封印の剣
ふういんのつるぎ
概要
『ファイアーエムブレム 烈火の剣』の約20年後の世界が舞台。
前作『トラキア776』から3年という期間を経て、ハードをGBAに移行。
FEシリーズの生みの親、加賀昭三氏が離脱した後の初作品。
それに伴い、シナリオライターが加賀氏から前作の脚本に協力した堀川将之氏に交代。
その他、シナリオ補助に前田耕平氏が新しく加わった。
エレブ大陸は西の「エトルリア王国」、東の「ベルン王国」、この二大勢力に挟まれるように存在する小勢力達の微妙なバランスによって平和が保たれていた。ところが、その安定が突然崩れた。ベルン王国が国王ゼフィールの命の元、各地へと侵攻を開始。これに対し、大陸南方の小勢力フェレ家の嫡男ロイは病気の父に代わってリキア同盟の盟約に従い、フェレの軍を率いて立ち向かっていく。
今作のシステム面は前作『トラキア776』からある程度引き継がれているが、疲労度やスキルなどの複雑な要素を廃止。ほぼ紋章の謎に近いシンプルな作りに原点回帰した。
ストーリーも紋章の謎の路線を受け継いだシリアスながらも王道な内容で、キャラクター面では青髪のメインヒロイン、赤と緑の騎士を始めとして、その他にもトラキアまでの過去作を彷彿とさせるオマージュ部分が数多い。
これらのゲーム内容に関しては、加賀氏のインタビューにて次回作はシンプルにしたい、暗黒竜の過去編を作りたいというものがあり、その案が流用された可能性があるが実際のところは不明。
もちろん本作の独自要素も存在している。従来にいなかった活発な性格のメインヒロインであるリリーナや、女性の師匠キャラかつヒロイン枠も兼ねるセシリア、他にも過去作を踏襲しつつ独自の個性を持つキャラが多数登場しており、キャラクター面の人気は非常に高い。
主人公ロイは本作の発売に先駆け『大乱闘スマッシュブラザーズDX』にてプレイヤーキャラとして参戦(声優は福山潤、海外版も同一)している。
本作の発売日はスマブラDXと同時期の予定だったが延期になったため、ロイが初めて登場したゲームはスマブラということになる。
2015年からWii Uのバーチャルコンソールで配信されていた。
2023年からNintendo Switch Onlineで配信されている。現状では国内版のみであり、海外向けのローカライズ版の配信予定はない。
作品の特徴
ゲーム全体のバランスは難易度が高すぎた前作と比べて初心者向けに大きく調整されている一方、クラス間やユニットの格差が比較的大きい、ボスの守備力が高すぎるなど荒削りな部分もある。
クラス面では後のFEでお馴染みとなる斧歩兵バーサーカーが躍進した。
魔法については、味方も普通に闇魔法を使用できるようになった初の作品である一方、デフォルトで光魔法が使えるクラスがおらず光の神将器(伝説の武器)の使い手が確保できないという問題が起きるなど、まだまだバランスには調整不足の部分もあった。
これらの粗削りな部分は、次作以降から徐々に改善されていくことになる。
シリーズ初の携帯型ハードでの発売でもあり、電源が切れてもその時点から再開出来るオートセーブ機能が搭載された。ユニットの行動毎に中断データが更新される仕組みとなっており、味方ユニットがやられる状況を覆すのは不可能。
前作に引き続き、特定のマップで条件を満たすことで、「外伝」マップに進むことが出来る。
尚、本作では全ての外伝マップを出現させ、なおかつゼフィールを倒すまで神将器を全て残しておかないと(壊れたり、所持ユニットが死亡でもアウト)終章にたどり着くことが出来なくなっている。
以下に上げるものは封印の剣で初登場し、後の作品に引き継がれた機能である。
支援会話
マップ中で特定のユニットを決められたターンの間隣接させると、「支援」のコマンドが出現。
それを選択すると「支援会話」が始まり、その2名の間に支援効果が発生。
これにより、支援がついたユニット同士を近くに置くと、戦闘の際に攻撃や回避などの能力が上がるようになる。
支援会話は1人のユニットにつき5回まで、支援レベルは3段階(C→B→A)まで上がる。
基本的には、Cをたくさんつけるよりも特定の2名で支援Aまで支援をつける方が効果的。
支援効果そのものは暗黒竜と光の剣でもあった(マルスとシーダを隣接させると必殺率が上がる等)が、封印の剣以降では会話が発生する相手なら自分の好きな組み合わせで支援効果を得ることが出来る。
アタッカー同士で敵陣に突撃させる、壁役と回復役で守りつ守られつつ…等、好みに合わせて支援をつけよう。
支援会話により、そのユニット同士の意外な関係や知られざる過去を知ることが出来るのも魅力の1つだろう。
通信闘技場
- 通信機能を使うことで、自分が育てたユニットを他のプレイヤーのユニットと戦わせることが出来る(要通信ケーブル)。
- 精鋭を集め、全力で挑むもよし、相手が驚くような超個性的なユニットを出してみるのもよし。
尚、通信闘技場でも支援効果は発揮される。
本作以降のGBA3作品全てに登場し、対戦中のBGMは過去シリーズの味方攻撃時の曲がアレンジされている。
これらのBGMは、本編中の闘技場でも使用される。
封印の剣 聖戦の系譜アレンジ
烈火の剣 トラキア776アレンジ
聖魔の光石 外伝(最終マップ用)アレンジ
トライアルマップ
- ED後にクリア時のメンバー+αで挑むことが出来る特別なマップ。
- 本編のクリア回数が増えるたびにゲイルやゼフィールなど本編で敵として登場したユニットが使えるようになる。
- 本編には無いクリア条件のマップがプレイできる、クリア後のお楽しみ的な要素である。
ハードモード
- 1度エンディングを見た後、新たなデータを始める際に選択できる。
- 敵の増援として出現し、かつ敵から寝返るユニットに能力補正が掛かる(通称ハードブースト)。
- とにかく敵が強い。その名の通り手ごわいシミュレーションを味わうことが出来る。
- Vジャンプ限定マップを除いたすべてのトライアルマップを遊ぶには最低でも1回はクリアする必要がある。
主なキャラクター
非プレイアブルキャラクターには★マーク
ディーク傭兵団
イリア傭兵騎士団
エルトリア王国
ベルン王国
名前 | 初期兵種・クラス | 人物像 |
---|---|---|
★ゼフィール | 国王 | ベルン王国の国王。ギネヴィアの異母兄。烈火の剣にも登場 |
★マードック | ジェネラル | ベルン三竜将の筆頭。イリア地方の攻略を指揮する。烈火の剣にも登場 |
★ナーシェン | ドラゴンマスター | ベルン三竜将の一人。リキア地方、後にエトルリア地方の攻略を指揮する |
★ブルーニャ | 賢者 | ベルン三竜将の一人。サカ地方の攻略を指揮する |
★ゲイル | ドラゴンマスター | ベルン王国の竜騎士。マードック直属の部下。ミレディの恋人 |
★シグーネ | ファルコンナイト | ベルン側についたイリアの部隊長 |
★ギネヴィア | 賢者 | ベルン王国の王女。ゼフィールの異母妹。烈火の剣にも登場 |
エレン | 僧侶 | ギネヴィア付きのシスター |
ミレディ | ドラゴンナイト | ギネヴィア付きの女性竜騎士。ゲイルとは恋人。ツァイスの姉 |
ツァイス | ドラゴンナイト | ベルン軍の竜騎士。ミレディの弟。エレンとは仲がいい |
関連動画
余談
本作品の元となったタイトルは64時代から開発中であり、
当初『ファイアーエムブレム 暗闇の巫女』としてリリースされる予定だったが、
様々な事情で何度か作り直しになって現在の形に至ったという複雑な経緯があるらしい。
そのような理由もあって本作の構想は長かったが、内容が決まってからは1年足らずの期間で製作出来たとのこと。
ちなみに当時のFEの開発内部ではこのような没になったゲームが出ることはさほど珍しくないらしく、
聖戦の系譜の頃も何作か没作品が作られていたと語っている。