概要
1971年4月から2001年9月までフジテレビの週末の映画番組として長らく放映されてきた。元々は金曜日に放映されていたが、1981年4月からは土曜日に移動して定着していた。
解説者(ナビゲーター)に俳優の高島忠夫を据えたスタイルであり、病気治療の為に降板するまで続いた。ちなみに高島はゴールデン洋画劇場では二代目の解説者である。
特徴的なタイトルロゴは当初はローマ史劇を扱った作品を多く放映していた為に格調高いイメージとしてデザインされたものである。
定番(常連)作品では「ターミネーター2」「ホームアローン1・2」「ジャッキー・チェン主演作品」「エディ・マーフィー主演作品」が記憶に残る人も多いだろうが、これには世代別の印象の違いがあるらしく、内村光良は「熊本時代に観てたゴールデン洋画劇場といえば『大脱走』だった」と述べた事もある。
ちなみに内村は「ミル姉さん」として高島降板後にこのゴールデン洋画劇場の解説者を一度やった事がある。
洋画劇場というタイトルである為、邦画を扱う際は「特別企画」と題していた。いわゆるフジテレビ映画はこの枠で放映されていた。
その後2001年10月から2003年9月までは「ゴールデンシアター」に改題され、その後この土曜日21:00の枠は「土曜プレミアム」として映画以外の番組を扱っていくようになる。
日本語吹き替え制作
ゴールデン洋画劇場の放映作品の吹替制作では本職声優ではなく有名タレントを主演に据えた(例として織田裕二と三宅裕司を起用した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や近藤真彦を起用した「フットルース」、野田秀樹を起用した「ゴーストバスターズ」がある)、或いは定番のフィックス配役を外した変化球配役(例としてハリソン・フォードに玄田哲章を起用した「インディ・ジョーンズ」やブラッド・ピットに真地勇志を起用した「セブン」、ウィル・スミスに大塚明夫を起用した「バッドボーイズ」などがある)の音源の制作がよく行われており、賛否両論が激しかった。また、どの吹替においても江原正士の起用が非常に多かった(今となってはウソのような話であるが、例としてピアース・ブロスナンやトム・クルーズ、キアヌ・リーブスにまで江原が起用されることもあった)。
1970年代までは、今につながるジャッキー・チェンの石丸博也など、基本的に王道の吹替えを制作していたが、土曜に移行し他局のサスペンス劇場やドラマ等で平均視聴率的に苦戦しだした1981年頃から、フジテレビでは話題性を集めるためプロの声優ではなくタレントを起用するいわゆる「タレント吹き替え」を数多く製作した。これは洋画の放映権料が高額のため、タイアップを取るなどして予算を確保するための苦肉の策でもあった。これらの要因によって作られた吹替を「昨今、タレント吹替が跋扈することになった元凶」として毛嫌いする当時のファンも見受けられる。
なお、その中でも特に評判が悪かったものとしては、妻夫木聡・竹内結子吹き替えの「タイタニック」が有名であり、あまりの苦情の多さに、フジの公式ページの掲示板がダウンし、担当した2人の競演するドラマの製作現場でもその話題は禁句とされるなど文字通り黒歴史化し、当然以降の再放送やメディアへの転用は禁止され、封印扱いにまでなるなど両者自身のキャリアや評判に支障が起きかねない事態となった挙句、後年も『トップガン』のソフト版吹替と並んで「観る側も、演じる側も不幸にしかならないタレント吹替の悪しき例」として度々引き合いに出される始末であり、数々の禍根を残してしまっている(参照1、2)。なお詳細は不明であるが、90年代は問題なく再放送が行われていた織田・三宅のBTTFも2010年代に封印されたとのこと(参照)。
しかし、同番組のファンにはこれらの有名人起用を「この頃はまだ声と役者の最低限の相性が考えられていた」と高く評価しているファンも多い。また当時は現在と異なり吹替の「オフィシャル化(一つの映画作品につき吹替音源が一つのみに限定され、出来の良し悪しに関わらず新録が禁止される措置)」が行われておらず一度キャスティングミスを犯しても再録のチャンスがあったことや、当時の技術的な問題も相まってドラマや特撮作品への出演経験を持つタレントの多くが必然的にアフレコ経験者であり、一定のスキルが保証されていたことなどもあり「ゴールデン洋画劇場のタレント吹替は、今となっては良い思い出」「近年の劇場作品のタレント吹替の方が声も演技も最悪である上に新録も出来ないのでよほどタチが悪い」とする声もある。
いかに吹き替えというものの演技が難しいかよくわかるエピソードである。
もちろん文句無しに評判の良い吹替も数多く製作しており、前述の石丸ジャッキーのほかには「ホームアローン1・2」「大脱走」などは金曜ロードショーでも本番組制作の音源が使用されているほか、ライバルにあたる日曜洋画劇場が一時期は小林昭二のジョン・ウェインや野沢那智のアル・パチーノ、若山弦蔵のショーン・コネリーといった定番の組み合わせを敢えて外し、自局独自の配役で新録し顰蹙を買っていた時期に本番組が定番の声優で新録し直し、決定版を作り直すケースもあったり、アーノルド・シュワルツェネッガーの吹替に関しても当初は屋良有作(「プレデター」)や大塚明夫(「バトルランナー」)を起用していたが、他局で玄田の登板が定着した際には本番組も玄田の起用に注力し、今日まで決定版吹替と称される玄田版の「ターミネーター2」および「トゥルーライズ」を世に送り出していたりとこれらの例は吹替ファンからファインプレーと称されている。
タレント吹き替えで成功した吹替の例としては根津甚八のアンタッチャブル、渡辺裕之のトップガン、野際陽子の「エイリアン」、下條アトムのエディ・マーフィー(最初に配役したのは日本テレビだが、フジが引き継いだ)、宮川一朗太のマイケル・J・フォックス(最初に配役したのはテレビ東京だが、フジが引き継いだ)、村野武範のブルース・ウィリス等がある。
本職声優の吹き替えの中での成功例としては堀内賢雄によるブラッド・ピットがある。堀内は同局の『トリビアの泉』においても、「ブラッド・ピットの日本語版の声優」として出演。そして「工事現場の看板の人」に最もピッタリな声優の称号を得たり、『焼きたて!!ジャぱん』では前述のブラピのパロディキャラクター、ブラッド・キッドを演じた。さらにブラッドの吹き替えを担当してから25年目となる2022年には、来日したブラッドと対面し、本人公認の声優となるなどブラピ声優の真打ちとして番組終了後も長年に渡り配役が継承されており、大成功と言っても過言ではないだろう。
関連動画
1971年~1981年までのOP
1981年~1995年までのOP
※実は1995年~1997年の間に使われた別のOPもある。
1997年~2001年までのゴールデン洋画劇場としては最後のOP
関連項目
月曜ロードショー:TBSにあった映画番組。なお、後述の金曜ロードショーの前身番組は水曜ロードショーといい、少しややこしい。
木曜洋画劇場:テレビ東京(TXN)の映画番組。予告がフリーダムすぎる嘘字幕やインパクトあるネタすぎるナレーションが有名だった。
日曜洋画劇場:テレビ朝日の洋画番組。本番組とは良くも悪くも特にライバル扱いされる傾向にあった。
リコリス・リコイル:12話で同番組のOPのパロディが行われた。
ゴールデンボンバー:グループのロゴが同番組のパロディであり、同番組に因んだパロディが行われたアルバムも存在する
ゴールデンカムイ:「ゴールデン」繋がりで『ゴールデン道画劇場』というパロディ短編が作られている。