ラディゲ「・・・フン、トランザが最強のロボを造っても、戦う相手がいなければ無用の長物だ」
「見ているが良い、ジェットマンは俺が倒す。思いも寄らぬ作戦で、完璧にな!」
登場話数:第43話「長官の体に潜入せよ」
概要
ラディゲがジェットマン打倒のために生み出したバイオ次元獣で、作中に登場した最後の個体でもある。
黄色い体色に黒いまだら模様という毒々しさの漂う蛭の胴体に、異なる形状のドリルとなっている両腕と、両足とが生えた二足歩行の怪獣の如き姿を有する。大きく空いた口には二重三重に鋭い歯が並んでいるが、これ以外にも同様の歯を備えた、口腔めいた部位が両腿にも確認できる。
高速回転するドリルと、エネルギー吸収能力を武器とし、その柔らかそうな見た目とは裏腹な防御力の高さで、ジェットイカロスのバードニックセイバーさえも弾き返すなど、正しく思いもよらぬ実力の高さを発揮する。
さらに細胞縮小エネルギー波を受けることで、その身体をミクロ化させることも可能となっており、これを利用して小田切長官の体内に侵入、彼女を操ってジェットマンを内部から壊滅させようとした。
作中での動向
トランザが魔神ロボベロニカの開発に精を出す中、これを出し抜かんとすべくラディゲが出現させたのがヒルドリルであり、ミクロ化して小田切長官宛の花束に紛れ込んだ後、これを受け取った彼女が花の匂いを嗅いだ際に体内へと侵入、まんまと彼女の身体を乗っ取ってしまう。
その後は小田切長官を利用して、内部からジェットマンを壊滅させるべく行動を開始。「ジェットマン強化プロジェクト」の実行を名目として提出させた、ブリンガーソードとビークスマッシャーの性能を大幅にグレードダウンさせるのみならず、バードニックスーツの強度テストと称して5人を拘束し、散々に痛めつけたのみならずラディゲたちにこれを襲撃させ、装備のグレードダウンと相まってジェットマンを密かに窮地に追い込んだ。
が、そこに加えてクロスチェンジャーの提出までも迫ったことで、竜たちからの不審の目はいよいよ強まることとなり、提出したクロスチェンジャーを溶かそうとした現場を竜に押さえられた上、悪魔のような形相でこれに襲い掛かったことで、小田切長官の身に起きている異常を感付かれてしまう。
凱の一撃で昏倒した小田切長官の身体を検査した結果、腹部静脈内から未知のエネルギー反応が検出され、そこにヒルドリルの姿も確認された。ラディゲの持つ結晶から細胞縮小エネルギー波を送り込まれることで、ミクロ化を維持していたヒルドリルであったが、竜たちもまたキャッチしたエネルギー波を増幅させ、ジェットイカロスごと自分たちをミクロ化することで長官の体内に入り込み、これを助けようと試みる。
こうしてエネルギー波の照射を担当した香を除く4人が、ミクロ化したジェットイカロスを駆って長官の体内でヒルドリルを探し出そうとするが、ミクロ化を維持できる時間がわずか3分のみな上、ヒルドリルの奇襲や胃液によるダメージもあって思うような動きが出来ないまま、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。
しかし、残り時間も10秒というタイミングで長官が流した涙が、ヒルドリルとジェットイカロスをまとめて体外へと押し流すという事態が発生。これに気付いた香が涙滴をスライドガラスに乗せて屋外へと運んだことで、タイムリミットを迎えたヒルドリルとジェットイカロスは市街地で元の巨大な姿へと戻ることとなる。
長官は救われたとはいえ、ジェットマンの劣勢が覆ることもなく、ヒルドリルにエネルギーを吸収されたジェットイカロスは戦闘不能に陥ってしまう。そしてそのジェットイカロスにヒルドリルが止めを刺そうとしたその時、ジェットガルーダを駆って現着したのは・・・まさかの小田切長官その人であった。
「今まで完璧な人生を送ってきた私に、よくもよくも恥を掻かせてくれたわね!」
怒りに燃える小田切長官の操縦により、ブーストキッカーやガルーダバーストを繰り出すジェットガルーダに散々に叩きのめされたヒルドリルは、そのままガルーダクローを喰らって爆散。ラディゲによるジェットマン打倒の奇策もここに潰えた。
そしてその失敗を嘲笑うかのように、トランザが満を持して完成させたベロニカが、いよいよその全容を現そうとしていたのであった・・・。
備考
デザインは野口竜が担当。ドリルと蛭というモチーフの組み合わせは、シナリオでの指定によるものであったといい、野口自身としては「どちらかというと円谷プロのテイストだろう」ということで、自分からドリルをデザインに使うことはなるべく避けていたとも語っている。
デザイン画稿は、この手のゲスト怪人としては珍しく正面の他に背面からの姿も別途描き起こされており、毒々しい模様やブヨブヨの柔軟な感じを出して欲しいといった意図の指定文も添えられている。
関連タグ
鳥人戦隊ジェットマン 次元戦団バイラム バイオ次元獣 蛭 ドリル
ヒルゲリラ、ヒルカメレオン、ヒルアゲハギン、冥獣リーチ:いずれも蛭をモチーフとした特撮怪人達でヒルアゲハギンは合体怪人の要素も持っている。
ヒルリンドウ、ケサランパサランのペサラン挫、ヒルドン、ヒルビル・リッチ:蛭モチーフの後輩怪人達でヒルリンドウは前述のヒルアゲハギン同様合体怪人の要素を持っている。
幻獣ユニコーン拳ハク:『獣拳戦隊ゲキレンジャー』に登場する敵怪人の一体。ヒルドリルと同様に、戦隊関係者の女性が生身で操る巨大ロボに倒されたという共通項を有する
宇宙細菌ダリー:『ウルトラセブン』に登場する怪獣の一体。女性の体内で特撮ヒーローと戦った悪役という共通項を有する
はたらく細胞:この作品に出ても違和感はないであろう、人間の体内を舞台としたアニメ作品