ニコニコ動画( - どうが)とは、株式会社ドワンゴが提供している動画投稿・共有サービスである。
2006年(平成18年)12月12日に試験的に開設し、2007年(平成19年)1月から本格的にスタート。略称は「ニコニコ」「ニコ動」。
ニコニコ動画のプロモーション拠点であるニコニコ本社は2010年(平成22年) - 2014年(平成26年)まで原宿にあり、2014年(平成26年)以降は池袋P'PARCOへ移転。2019年7月をもって閉場。
2024年(令和6年)6月8日早朝にランサムウェアによるサイバー攻撃を受け全サービスを停止。
2024年(令和6年)8月5日より、一部サービスを再開し、それ以外も順次再開することを発表した。
概要
元々はニワンゴという会社が運営していたが、ニワンゴがドワンゴへ吸収合併されたことに伴い、ドワンゴに移管されている。さらに現在はドワンゴがKADOKAWAの傘下となっている。
利用者増加に伴い、幾度ものリニューアルやサービス追加が行われれ、現在はサイト自体の名前が変わり「niconico」となっており、「ニコニコ動画」はniconicoが提供するサービスの1つとして名称が使用されている。
ちなみに、この記事のメイン画像に描かれている「ニコニコテレビちゃん」が、イメージロゴとなっている。
サイトの主なシステム機能
コメント
再生中の動画上にコメントを付加し、他閲覧者と共有することが出来るという独特な機能を有する。字幕テロップのようにロールが流れる仕組みとなる。
再生数・コメント数・マイリスト(=お気に入り)登録数の伸びの勢いによって決まるランキングが存在するのも特徴。
動画上に利用者コメントを流すシステムは、ニコ動登場以降、他動画サイトで採用されるようになった例もある。
ジャンル
ゲームプレイ動画や、さらにその様子をプレイヤーが実況する「実況プレイ」、楽器を演奏したり歌を披露するといった手法で「動画」を作成し、それらを自分の作品として投稿する「演奏してみた」「歌ってみた」「踊ってみた」など独特な文化を形成し、2024年(令和6年)現在は他動画サイトにも影響している。
2010年(平成22年)末には画像やイラストを投稿出来る「ニコニコ静画」が開設。
ニコ動(RC2)より、「ニコニコ生放送(ニコ生)」というライブストリーミング形式サイトも開設されている。著名人によるチャンネル生放送や、一般人がビデオ放送による雑談やチャットを行う生放送などが存在する。
また、ドワンゴは2009年(平成21年)に「日本インターネット報道協会」に加盟し、ニコ生を用いた報道番組も開始。
2010年(平成22年)には、それまでNHKのほぼ独壇場であった国会中継へ参入した。
動画投稿
動画投稿は同じく、株式会社ニワンゴが提供する「SMILEVIDEO」上で行うことが可能。2010年(平成22年)10月29日に「SMILEVIDEO」がニコ動本体と統合したため、2024年(令和6年)現在は直接アップロードを行う形式となっている。SMILEVIDEOは現在は動画の管理番号のsmに名前を残している。
PCからの閲覧のみならず、携帯電話・家庭用ゲーム機など多数のメディアで動画視聴が可能。だが最初から視聴出来る訳ではなく、後からアプリで対応するケースが多い。
なお、ゲーム機や携帯アプリより視聴する場合50分オーバーの動画はほぼ視聴出来ない。ゲーム機はそれに加え、R-18タグが付いたものも視聴不可。
クリエイター奨励プログラム
2019年(令和元年)頃よりniconicoよりクリエイターへ奨励金を還元するプログラム。
作品収入申請条件と奨励金審査を通過する必要があり、詳細は公式サイトで調べる方が良い。
2022年(令和4年)10月6日より新たに、クリエイターに対して月額課金で継続的に応援することが出来るクリエイターサポートが追加された。月額は330円/月で固定されている。
条件はユーザーレベルが18を満たしているユーザーであることで、普通は自動的にONとなっている。任意でサポートをOFFとすることも可能である。
ニコニコのコンテンツ
当初はニコニコ動画そのものには動画をホスティングされている訳ではなく、Youtubeの動画にコメントを上乗せする形でサービスがスタートした。その為、投稿者は一旦Youtubeに動画を投稿することとなっていた。後にサイトをYoutubeから分離して、動画のホスティングが始まったのであった。
その影響は投稿する動画にも影響し、深夜アニメや昔のテレビ番組・面白動画・エロ動画などの各種違法転載であったものの、flash黄金時代から引き続く形でのFlash動画の製作や転載、自主制作動画の投稿、さらには動画・音声加工の極致MAD動画として、BEATMANIA IIDXの曲を使用した○○ZONEシリーズや、グルメレースや天国と地獄、ウサテイといったIOSYS作品が
流行し頭が破裂しそうな混沌とした空間と化した。
その他にもペット動画・科学実験・解説動画などの動画も多数投稿された。
さらに時代を経てVOCALOID・アイドルマスター・東方Project・レスリングシリーズ等々、この時期の動画文化にも影響を与えている。ニコニコオールスターを参照。
当時のニコニコ動画は各種掲示板やはてな、個人サイトからの文化の影響を受けており、草を生やしまくる(例:WWWWWWWなど)やコメント職人の文化、Flash動画の延長といった動画制作文化、ドワンゴの技術系記事の作成等の文化へ現れている。
ニコニコ動画のカテゴリと動画について
解説が莫大になるため、カテゴリや動画の詳細については関連タグにある記事を参照。
ニコニコ動画にはかつてはカテゴリがあり、そのカテゴリに従って様々な動画コミュニティが存在した。
構造としては大カテゴリがあり、その下に複数の小カテゴリがあった。
2019年にカテゴリが廃止されたため、2024年現在はカテゴリ分類は存在しないが、その代用として旧カテゴリと同名のタグを用いて動画が分類されている。
VOCALOIDや東方、アイドルマスターは当時の運営の判断で分離され、現在のカテゴリに落ち着い
た。
現在の真夏の夜の淫夢系、エア本、レスリングシリーズの動画コンテンツは例のアレに属してあるが、集約前は該当する各動画が各々で他カテゴリに間借りする形で動画の投稿を行っていた。所謂カテゴリ侵略のような形であったが、
運営によって実質上の隔離カテゴリである例のアレに集約されていった。
文化的影響
ニコ動の影響を与えた分野は多岐に渡る。
VOCALOID成長期と重なったことから、ボカロPの多くがニコ動より名を上げた。中には米津玄師(ハチP)やwowakaの様にメジャーデビューを経て、国民的アーティストに成長した者もいる。
歌い手も同様で、今や国民的歌手となったAdoは、元々はニコ動出身である。
このように、音楽系クリエイターの下積み時代を支えた功績は大きい。
ネットでの将棋中継文化もニコ動功績が大きい。
他に与えた影響としては、東方Projectのジャンル浸透の他、『真夏の夜の淫夢』から発祥したコンテンツ(いわゆる淫夢ファミリー)普及が挙げられる。
初期に投稿された同ビデオ切抜き動画を発端に、派生作品発掘やMAD動画作成が盛んに行われ、今や現実でも使われる様な語録を多数拡散させ、現在進行系で語録は増加中となっている。ただし、元々が権利者関係及び昨今の世論の流れ、とある漫画家に似た特定の人物の肖像権が絡むグレーなネタだけに賛否は分かれ、運営も一時期は動画削除など強化する(これのついての詳しい経緯は運営爆破シリーズやホモコーストを参照)など厳しい姿勢を取っていたが、2024年(令和6年)現在では、メインコンテンツの一部として黙認されているのが実態である。
また、コメントが流れるというプラットフォームは、中国動画サイト『bilibili』などへ影響を与えた。
2024年(令和6年)のサイバー攻撃における状況
2024年(令和6年)6月8日、ランサムウェア含む大規模なサイバー攻撃の影響に伴い、ニコ動・ニコ生・ニコニコチャンネルなどのニコニコ各種サービスが早朝6:00より全面停止する事態となった。
復旧が現在は後述の通り完成に近い状態となっており、最新の状況についてはニコニコインフォ及びニコニコ公式Xアカウントで随時お知らせされている。
これの影響でニコ動難民となった配信者及びリスナーは、YouTube・TikTokを始めとした他配信サイトで難民生活を強いられることとなっている。
また、X(旧・Twitter)では多くのニコニコユーザーにより「#頑張れニコニコ運営」のハッシュタグが作られ、運営への応援が行われている。
6月14日、ブラウザ版ニコ動が「ニコ動(Re:仮)」という仮説サイトとして開設・仮復旧した。当面の間は数日ごとに切替わるテーマへ沿った一部動画のみが視聴可能となる。
アマチュア動画文化を象徴する往年の動画が、この仮設サービスへ公開され、ネット老人会として盛り上がった。
他にはニコ生が6月19日に仮復旧、また比較的影響が小さかったニコニコ漫画は6月25日にスマホ版Webサイトが機能縮小版(漫画閲覧・コメント・お気に入り追加などの基本的機能は利用可能)としてサービスを再開した。
それから7月26日19:30頃となって、8月5日15:00よりニコ動・ニコ生(公式放送のみ)などのサービスが再開すると発表され、予定通りニコ動が復旧した。復旧後直ぐは一部ユーザーで不具合※が報告されていたが、その後正常に動作する様になったと見られる。ニコニコチャンネルやユーザー生放送、プレミアム会員入退会なども一応順次再開して行く予定。なお、ニコニコミュニティについては復旧へ必要なデータ及びシステム消失に伴い、再開が突如断念された。
また、ユーザーへの補償として6 - 8月分の月額会員料が無料となり、既に支払い済の分については順次返金が行われている。さらにクリエイター奨励プログラムへ参加しているクリエイターに対しては「6月8日以降、ニコニコサービスが停止しなければ、本来受取れていたと考えられる奨励金分を追加補償する」と発表された。
※「ニコニコ鯖落ち」が一時的にトレンド入りしたが、表示されたエラーはアクセス過多に伴うサーバーダウンを防ぐためにサイト訪問者に対し閲覧制限を掛けるものであって、鯖落ちではないと思われる。
Pixivとニコ動
Pixivぶ投稿されたイラストを無断使用して制作された動画がニコ動へ投稿されるという事例がしばしばあり(後述)、それが原因でPixiv利用者の中にはニコ動自体を嫌う人もいる。
しかし、Pixiv・ニコ動どちらにも投稿している利用者も多数存在し、「NNI支援中」「UTAU支援中」等の動画用素材公開の動きもある。
当然であるが、個人個人で関わり方や感情はそれぞれ異なっている。サイト間対立を煽るような記述やレッテル貼りには注意する必要がある。
イラスト無断転載問題
Pixivへ投稿された画像を作者へ断りなく「無断転載して動画を制作する」といった事例が存在する。
法的には、別場所へ転載された画像再転載、Pixivへ投稿されていた作品であると知らなかった等は言い訳にならず、そもそも作者不明画像を使用した時点で同罪である。事後承諾を得ている動画もあるが、本来は事前許可や作者思確認を怠れば違反となる。
「無断転載禁止呼びかけ」の項目も参照。
なお当然ながら、ニコ動へ投稿された動画やニコニコ静画・ニコニコ大百科・ニコニ・コモンズへ投稿された画像をPixivへ無断転載するのも同罪である。
2024年(令和6年)現在のニコ動には「ニコニコ静画」があり、ここでもPixivや外部イラストサイトからの無断転載が疑われている。ただし、投稿者がPixiv等で公開しているものを(Pixivとは違うハンドルネームで…)ニコニコ静画へアップすることもあるので、これらを一概に無断転載と判断するのは難しい。
中には既成ブログすら存在しなかったぐらいの古い時代の絵師サイトから、丸パクリして無断転載し、そのようなイラストの本来の権利がパクリ元サイト閉鎖によってうやむとになるケースまである。
タグ機能の違い
各動画に付けられるタグ数は基本的にPixivと同じ10個である(例外:海外タグ)。ただし、Pixivでは「全タグをロック可能」且つ「投稿者本人が付けたタグは強制的にロック」「他人の作品タグは付加も短時間に連続しては出来ない(10 - 20分程度間をおく必要がある)」が、ニコ動タグロックは5個までで、それ以外の編集制限はない。
Pixivタグの中にはこのニコ動由来のものも多く、有用なものも少なくないが、ニコ動と同じ感覚で適当にタグを弄ってしまうと後々まで残って邪魔になることがある。
付け間違えたタグをすぐに消すことも出来ないので、Pixivでタグを付ける際は少し慎重になる必要がある(類似した意味を持つタグをつけない、事前に誤字を確認する、など)。
他に
- 検索窓からの検索は、ニコ動の場合完全一致検索で、Pixivは部分一致検索となる。
- ニコ動の検索は平仮名|ひらがなと片仮名|カタカナが同一視されるが、Pixivはされない。
- ニコ動には「キーワードを含んだタグ」の一覧を各々の個数と共に検索・表示する機能がある。
- Pixivには検索時に関連タグを表示したり、タグを人気(数は多いもの)順に一覧する機能がある。
- ニコ動タグは付けた順に並ぶが、Pixivタグは文字コード順にソートされる。
…等の違いがある。
Pixiv百科事典に動画を貼る
記事に[nico:sm???????](?の部分は動画ID)と入力すると貼付けることが可能。
ちなみにYouTube上の動画は[youtube:?????](?????の部分は動画URL上の"watch?v="から"&"手前までの文字列)という形で貼付けることが可能。
なお、百科事典内での呼出し速度はYouTube動画埋込みよりも、ニコ動埋込みの方が早い。
関連イラスト
関連タグ
ニコニコのサービス
ジャンル
歌ってみた/踊ってみた/演奏してみた/描いてみた/歌い手描いてみた
著名楽曲・パロディシリーズ
その他
著名ジャンル・人物・キャラクター
スパイダーマッ…(東映版のスパイダーマン。権利者削除対策が理由で一部は釣り動画の中身として投稿されることがある。)
ゼERO…(アニメのロックマンX系列の改変作品であるMAD動画。ただし一部作品にはロックマン作品以外のキャラも登場する。)
外部リンク
公式サイト(日本語)
ニコニコ公式チャンネル(YouTube) (日本語)
Wikipedia(日本語)
コトバンク(日本語)
由来(日本語)