概要
地獄大使は、仮面ライダーシリーズに登場する悪の組織の大幹部。シリーズきっての悪役としての人気と存在感を誇る。怪人態はガラガラヘビの化身、ガラガランダ(ガラガラヘビの毒を研究していたという設定がある)。『仮面ライダーZX』に登場するバダンの暗闇大使とはいとこ同士という設定(両方とも潮健児氏が演じている)。ただ、お互いを忌避し合っている。
本編での活躍
『仮面ライダー』では、ショッカー大幹部にして、東南アジア支部から派遣された第3の日本支部支部長として登場。仮面ライダー1号やダブルライダーと激闘を繰り広げた。
前線にも自ら積極的に乗り出し陣頭指揮を取る機会が多く、また生贄によってザンジオーやサイギャングなどを再生させるなど、魔術師的な能力も持ち合わせている。
人間性が豊かで、激情的でありつつも洒落た物言いを好んだり、紳士的な一面も持つ(アブゴメスの回で、拉致した博士に「ショッカーを代表して挨拶申し上げる」と頭を下げたりなど)。初登場のジャガーマンの回では、炎の中から本郷猛に宣戦布告した。機嫌が悪いとアブゴメスに八つ当たりするが、機嫌がいいとカミキリキッドらの特訓を笑顔で褒める。
一応策略家でもあり、本郷が作戦に必要な博士に変装している可能性を考えてアブゴメスを本郷に向かわせ、自ら博士を待ち伏せた事もあった。
死神博士とは互いの性格から、あまり仲が良くない。
出身はアメリカのサンフランシスコのスラム街らしい。古い資料においては、細かい住所まで設定されているものもある。
全体的に軽率でオッチョコチョイといった評価を受けることが多いがデストロンで復活した際、「V3の姿を見たい」と言ったことが仇となり、風見志郎の脱走を許している事もその理由の一つであると思われる。
その際に、過去の栄光を振りかざして牢番の戦闘員につっかかり、困らせるという馬鹿もやらかしていて脱走された後に、地獄大使はデストロン首領に自身の処刑を望んだ。(ただし、望み通り殺してやるとゾル大佐に射殺されかけるという落ちがついた)。しかし、終盤では学習したのか、立花のおやっさんを捕まえようとはやる部下に対し、「やり過ごした方が得だ」と部下達を抑えていた。結局、隠し事はバレたが、それはおやっさんの洞察力が凄すぎたのであって、地獄大使のせいでない。
また、ショッカー首領への忠誠心は誰よりも強く、断末魔の「ショッカー軍団、万歳!!」という叫びが印象的であった。
『仮面ライダーV3』においても同じくショッカーの大幹部だったゾル大佐、死神博士とゲルショッカーの大幹部のブラック将軍と共にゲスト出演をした。
平成作品での活躍
『仮面ライダーディケイド』
兜や鎧をブラックカラーにして、大ショッカーの幹部であるリ・イマジネーションが大杉漣氏の演技で劇場版に登場。左腕が巨大なツメになっているのが特徴。
基地に殴り込みをかけてきたディケイドを返り討ちにすべく、怪人ガラガランダとして出陣。怪人軍団のリーダーとして登場したが、仮面ライダーBLACKRXと仮面ライダーカブトに胴体を切り裂かれ、怯んだところに仮面ライダー1号と仮面ライダー2号のライダーダブルキックを受けて敗北。「偉大なる大ショッカー、大万歳!!」という原作を彷彿とさせるくどい断末魔を残して爆死した。
裏設定によれば日本人であり、田中一郎という偽名を名乗っていたらしい。
(小説『仮面ライダー1971-1973』では、田中一郎を本名に持ち、大物代議士の秘書を表の顔とするショッカーの支配人「大使」が登場している)
また、映画公開時の2009年の総選挙に合わせ、「大ショッカー党」として出馬し、イー社会を作る、というジョークも映画宣伝のイベントで行われている。(このときは死神博士も一緒だった)
後に公開された『仮面ライダー大戦』の二代目暗闇大使もこれに合わせたブラックカラーの衣装になっている。
『仮面ライダーSPIRITS』
この作品では裏設定のダモンを本名とし暗闇大使との確執も詳しく描かれた。
暗闇大使=ガモンとは瓜二つの姿で、醜い外見(失礼な話だ)、貧しい家庭環境などが原因で周囲からはいじめの対象とされていたらしい。年齢は三か月しか離れておらず、それを利用して様々な犯罪に手を染めていった。やがて刑務所から脱獄し、東南アジアの小国で独立軍の将軍に着任、「力の悪魔」の二つ名を得る。そして「知恵の悪魔」ガモンと共に周囲からは恐れられるが、最後の戦闘の際にガモンを犠牲にして独立を掴み取り、その国は後にガモン共和国と名が付けられることとなった。
ダモンは建国後に失踪し、ショッカーに認められてその大幹部の座に就くこととなる。
その後1号ライダーに敗れて戦死するも、暗闇大使の個人的な心情からアマテラス(銀のドクロ)の頭部を核として、不完全な身体と完全な魂を持って復活した。BADAN大首領(ショッカー首領の人格プログラムの大本)に対する忠誠心は全く変わっておらず、「俺の魂は大首領の妄執」と言い切っている。
デルザー軍団以外では復活した大幹部では唯一魂を持っている(デッドライオンはブラックサタン崩壊後も生き残っていた)。村枝賢一の地獄大使というキャラクターへの想いが汲み取れよう(ちなみに、村枝はショッカー所属時の死神博士も描いている)。
第3部では死神博士、ゾル大佐らと共にショッカー東京湾基地に潜った仮面ライダー1号と彼を助けに来たZXを迎撃している。
本郷猛との決着に執着し、彼とある意味で対極の思想を持つがゆえに、互いの出方を読み切って互いに構える、という場面も見られた。
作中では「 この廃墟は私と同じだ……ショッカーはバダンの礎に過ぎなかった 」「暗闇よ、今度はこの地獄大使を捨て駒にしてライダーを討て」など自身に与えられた役割を知りつつも、大首領及びバダンの野望のために尽くそうとするアイデンティティーも見られる。
ショッカー海底基地が浮上した後、不完全な身体ながらも、配下の怪人を率いて仮面ライダー1号との最終決戦に挑む。
その最中、完全なガラガランダの肉体を取り戻すものの、暗闇大使との異常なまでの確執やショッカーへのこだわりから暗闇配下の再生初期ショッカー怪人を殺しまくり、造反と見なされてトカゲロンの爆弾ボールで殺されかける。この攻撃では死なず、上半身のみで1号に跳びかかったところを、暗闇が操る再生黄金狼男に撃ち抜かれて身体が崩壊する。
爆発する一瞬前、再びよみがえることを1号に宣言し、かつての断末魔「ショッカー軍団万歳!!」を叫び、完全な地獄大使の姿で爆死した。
その他の媒体
FC『グレイトバトル』では、相変わらずショッカーに処刑されそうになっており、なんと助けたのちにショッカーを裏切ってコンパチヒーローたちのアシストキャラになる。もしかするとすがやみつるの漫画の影響もあるのかもしれない(ガラガランダの記事参照)。
SFC『ガイアセイバー』では死神博士(&暗闇大使)共々ショッカーの腹心として登場、ヒーローたちに一度は白星を治めている。やっぱりゾル大佐は不遇である。
ピコのソフト『がんばれ! ぼくらのコンパチヒーローズ』では終盤にてジオング、メフィラス星人と共に巨大ロボットに乗り込み、コンパチヒーローズと闘ったが惨敗している。モビルスーツがモビルスーツに乗ってどうする。
PS2『仮面ライダー正義の系譜』では、邪眼によって蘇ったショッカー、ゲルショッカーの大幹部と共に歴史を塗り替えようと2004年の時代の原子力発電所で暗躍し、かつて紀伊半島で計画していた海底基地計画を再び実行しようとする。
しかし、計画を阻止しようと行動する仮面ライダーアギトこと津上翔一の妨害により、海底基地計画は失敗、海底基地もろともアギトを葬ろうとするも間一髪で脱出されてしまう。
脱出したアギトの前にシードラゴン三体と共に姿をあらわしたが、同じく悪の気配を察知し発電所を訪れた仮面ライダーギルスの加勢によりシードラゴンは全滅、最後はガラガランダに変身して対決し敗北。
最後の断末魔は「ワシの…ワシの……夢……」という執念的なものであり計画を失敗したことの無念さを物語っている。
ちなみにこの作品で演じたのは沢りつお氏である。
ぱちんこ『仮面ライダーフルスロットル』では全身を銀の装甲に包んだ姿で登場する。兜にもやたら装飾が多く付いている。
余談
いくつかの作品において極楽大使というパロディキャラクターが登場している。
昭和シリーズの時の衣装もアトラクション用のものが残っており、度々昭和シリーズ時の姿でショーに登場している。