概要
一般的には「空中戦艦」・「飛行戦艦」と呼ばれることが多いが、空中艦は戦艦から駆逐艦、航空母艦、揚陸艦まで、幅広い艦種を含む分類である。そのため空中戦艦とは異なり、主な攻撃方法が艦砲射撃とも、艦体が大型とも限らないのがポイント。
また、この分類は、飛行船のようなバルーンとプロペラで飛行しているものから、浮遊機関のような現実には存在しないもので飛行しているものまで、ありとあらゆる飛行手段が存在するが、一部の例外を除いて、飛行機タイプのものは含まれない傾向にある。
巡洋艦に相当する艦種では「巡空艦」、潜水艦に相当する艦種では「潜雲艦」という名称が充てられることが確認されている。
空中艦が登場する主な作品
空中艦という言葉が広まったきっかけでもあり、この界隈でも有名なものがこのラスティフロント(旧称フライトグライド)だろう。機械的な反重力機関から、生物を改造した生体器官まで、様々なものを搭載したポンコツ艦艇と、スチームパンクな世界観に定評がある。
例外的に、登場国家である「自由パンノニア共和国」の艦艇のみ飛行機タイプである。
ラスティフロントは12年もの歴史を誇るシェアワールドであり、pixivに投稿されている空中艦作品の半数以上がラスティフロント関連であることから、その人気の高さがうかがえる。
風の谷のナウシカ(漫画版)
トルメキア帝国のコルベットやバカガラス、土鬼諸侯国連合が保有する浮砲台や僧会の戦艦などが該当する。トルメキアは装甲が極端に薄く、土鬼は建材に木材が多いため、どちらも非常に脆い。
飛行船タイプのゴリアテが登場。バルーンの周囲に頑強な装甲とプロペラ、多数の砲台を搭載していることが特徴的。
作中では「飛行船艦」と呼称される。
ネオ・アトランティスの空中戦艦や万能戦艦N-ノーチラス号(こちらは正確には宇宙戦艦)が登場。ネオ・アトランティスの空中戦艦は反重力エンジン(石炭火力発電式)を搭載している。
ガンダムシリーズ
所謂初代である『機動戦士ガンダム』の頃から主人公たちの乗る船「ホワイトベース」などが該当するペガサス級強襲揚陸艦はミノフスキー・クラフトという浮遊機関で飛行し、敵のジオン公国軍が運用する艦艇にも飛行機タイプのガウ級攻撃空母が登場しているなど両方のタイプが存在する。宇宙戦艦も当たり前に存在する世界観であるため、場合によっては飛行のみならず大気圏離脱能力も備えていることがあるが、外部からの補助を必要とする場合も多い。
初代から続く宇宙世紀作品と時系列的な繋がりの無いアナザーガンダムにおいては出るか出ないかは作品による。
作中世界の文明レベルは正史における第二次世界大戦前後相当であり、当時のありとあらゆる艦種の軍艦を水素電池で駆動する揚力装置によって飛行させた様々な空中艦艇が「飛空艦」の名で登場する。
突如として南極に出現した竜巻状の通路で繋がっている別の惑星「フェアリィ」にて、敵性異星体「ジャム」の地球侵入を防ぐ防空の要としてバンシー級原子力空中空母2隻が登場する。バンシーは地表へのランディングは考慮されておらず、一旦気球で吊り上げて空中を滑空しながら艤装し、その後も半永久的に防衛圏外縁を一定の軌道で飛行し続ける。
エースコンバットシリーズ
初代エースコンバットの「衝撃の空中要塞」、エースコンバット2の「XB-10」、エースコンバットZEROの「フレスベルク」、エースコンバットXの「グレイプニル・ガンド」、エースコンバットX2の「スピリダス・オルゴイ」、エースコンバット6の「アイガイオン」、エースコンバット7の「アーセナルバード」など、いわゆるボスキャラとして空中空母・空中要塞的な超兵器がしばしば登場する。
鋼鉄の咆哮シリーズ
戦艦に匹敵する重武装を持った飛行型超兵器が複数登場する。
帝国華撃団の伝統的な装備として空中戦艦ミカサが登場するほか、新サクラ大戦で多数のWLOF級空中戦艦や新生莫斯科華撃団の空中移動要塞セバストーポリが登場する。
空の軌跡の高速巡洋艦アルセイユや飛行戦艦グロリアスを始めとした様々な空中艦艇が導力飛行船の名でシリーズに登場する。
ファイナルファンタジーシリーズ
ファイナルファンタジーでは様々な空中艦艇が飛空艇の名で登場する。作品ごとに世界観が異なるため、飛行原理は作品によってさまざま。
星のカービィシリーズ
「星のカービィ スーパーデラックス」以降の作品に登場する「戦艦ハルバード」は巨大な翼をもつ空中戦艦。作品によっては宇宙空間を航行する能力を持つため宇宙戦艦に該当することもある。
マーベルシリーズ
S.H.I.E.L.D.の活動拠点として巨大飛行空母「ヘリキャリア」が登場する。飛行甲板は二段に分かれ上部がアングルドデッキ式という構造をしており、左舷前部の巨大なタービンエンジンが上部飛行甲板の進路と完全に重なってしまっているため、固定翼機の着艦のやり直しや上部甲板での発艦が構造上物理的に不可能となっている。
防衛チームが空中母艦的な巨大航空機を保有している場合がある。『ウルトラマンメビウス』のフェニックスネストのように基地そのものが飛行し最終兵器になる場合もある。
しかし防衛チームの持つ強大な兵器は敵に奪われるのも常である(意外とフェニックスネストは敵に乗っ取られることは無かったが)。『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』に登場した電脳巨艦プロメテウスは敵に奪われてデスフェイサーとなってしまった。
『秘密戦隊ゴレンジャー』のバリブルーン・バリドリーンをはじめ、戦隊側が空中戦艦を保有していることがあり、作品によってはそれ自体がロボットに変形・合体する。ロボットに変形・合体する機体の母艦である場合もある。
また敵組織が先兵として空中戦艦を保有している作品もある。敵組織の空中戦艦は最初の1~2話では侵略描写で圧倒的な存在感を示すが、スーパー戦隊側に1隻でも撃破されると損耗を恐れてか出撃する描写が無くなってしまうこともしばしば。
「空中戦艦」と称されるロケット型の巨大航空機アルファー号・ベータ号が登場。前者は空中司令部タイプ、後者は巨大爆撃機タイプだが外観は同じ。
1963年公開の映画版に登場する「轟天号」が有名だが、大元の押川春浪の小説には『空中大飛行艇』という派生作品があり、これが日本のSFにおける空中戦艦の原点といわれている。
「海底軍艦」に続いて東宝は1966年に『空飛ぶ戦艦』という映画の企画を立ち上げたが、こちらは実製作には至らなかった。
しかしこの企画をもとに円谷プロが1968年に『マイティジャック』を製作した。
大空魔艦
海野十三の冒険小説でいわゆる空中戦艦ものの古典。主人公の少年が謎の組織の操る空飛ぶ戦艦を追う。
本作に登場する空中戦艦パル・キマイラは、反重力魔導エンジンを搭載し、様々な武装を積んでいる。古の魔法帝国が建造し、神聖ミリシアル帝国が保有する超兵器である。
他にも様々な作品に登場するため、随時追加お願いします。
関連タグ
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