概要
前年のクラシック路線をにぎわせた2頭の女傑牝馬が引き続き存在感を発揮していた2008年。この年の有馬記念は、前年の2着馬であり、前走の秋天でウオッカとの死闘を繰り広げたダイワスカーレットが中心だった(ウオッカはファン投票で1位に選出されたがジャパンカップ後の休養にあてるため回避)。他に前年覇者マツリダゴッホ、今回のレースを最後に引退が決まっていた一昨年の二冠馬メイショウサムソン、今回で5年連続の出走となるコスモバルクなどがエントリーした。
出馬表
※勝鞍の太字はGⅠ、斜字はGⅡ、普通の字はGⅢを表す。【】内は後の勝鞍。
枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 騎手 | 単勝オッズ(人気) | 主な勝鞍 |
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1 | 1 | カワカミプリンセス | 牝5 | 横山典弘 | 19.0(6人) | ’06優駿牝馬、’06秋華賞 |
2 | 2 | ベンチャーナイン | 牡3 | 柴田善臣 | 80.0(13人) | ’08プリンシパルステークス(OP) |
3 | 3 | コスモバルク | 牡7 | 松岡正海 | 75.7(12人) | ’06シンガポール航空インターナショナルカップ、’04弥生賞、’04セントライト記念、’03ラジオたんぱ杯3歳ステークス |
3 | 4 | エアジパング | 騙5 | 藤田伸二 | 54.4(11人) | ’08ステイヤーズステークス |
4 | 5 | フローテーション | 牡3 | クリストフ・ルメール | 27.3(8人) | ‘08荻ステークス(OP) |
4 | 6 | エアシェイディ | 牡7 | 後藤浩輝 | 36.1(10人) | ‘08アメリカジョッキークラブカップ(JpnⅡ) |
5 | 7 | アルナスライン | 牡5 | オリビエ・ペリエ | 18.3(5人) | 【’09日経賞】 |
5 | 8 | スクリーンヒーロー | 牡4 | ミルコ・デムーロ | 6.4(3人) | ’08ジャパンカップ、’08アルゼンチン共和国杯 |
6 | 9 | メイショウサムソン | 牡5 | 武豊 | 8.4(4人) | ’06皐月賞、’06東京優駿、’07天皇賞(春)、’07天皇賞(秋)、’07産経大阪杯、’06スプリングステークス |
6 | 10 | マツリダゴッホ | 牡5 | 蛯名正義 | 4.4(2人) | ’07有馬記念、’07・’08・【’09】オールカマー、‘08日経賞、‘07アメリカジョッキークラブカップ(JpnⅡ) |
7 | 11 | ドリームジャーニー | 牡4 | 池添謙一 | 24.1(7人) | ’06朝日杯フューチュリティステークス、【’09宝塚記念】、【’09有馬記念】、【’09産経大阪杯】、’07神戸新聞杯(JpnⅡ)、’07朝日チャレンジカップ、’07小倉記念(JpnⅢ) |
7 | 12 | アサクサキングス | 牡4 | 四位洋文 | 29.5(9人) | ’07菊花賞、【’09京都記念】、【’09阪神大賞典】、’07きさらぎ賞 |
8 | 13 | ダイワスカーレット | 牝4 | 安藤勝己 | 2.6(1人) | ’07桜花賞(JpnⅠ)、’07秋華賞(JpnⅠ)、’07エリザベス女王杯、’07ローズステークス、’08産経大阪杯 |
8 | 14 | アドマイヤモナーク | 牡7 | 川田将雅 | 90.2(14人) | ’08日経新春杯、’08ダイヤモンドステークス(JpnⅢ) |
レース展開・結果
ゲートが開くと、好スタートを切ったダイワスカーレットが外枠の影響もなくハナを切ると、その直後にカワカミプリンセス、メイショウサムソン、アサクサキングス等が先行集団を形成し、同じく先行すると思われていたマツリダゴッホは外枠発走でさらに蛯名騎手が内に入れようとした際にスクリーンヒーローに外に押し出されるかたちで後方に控える格好となった。
1000m通過タイムは59秒6と2500m戦としては比較的早いペースとなり、先行勢が4コーナーでダイワスカーレットに詰め寄るも早々と失速し、代わってスクリーンヒーローがマツリダゴッホに大外を回らせるため同馬の捲りに併せて早仕掛けで2番手に進出するもこちらも直線で脚色が鈍くなる。一方で先頭を走っていたダイワスカーレットは直線でも脚色は衰えるどころか逆に加速し後続を突き放した。
先行勢が崩れたことで後方から伏兵アドマイヤモナークやエアシェイディ等、後方勢が追い込んできたが、ダイワスカーレットは既に十分なセーフティーリードを保っておりそのまま2着のアドマイヤモナークに1.3/4馬身の差をつけてゴール板を駆け抜けた。
着順 | 馬番 | 競走馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 13 | ダイワスカーレット | 2:31:5 | |
2 | 14 | アドマイヤモナーク | 2:31:8 | 1.3/4 |
3 | 6 | エアシェイディ | 2:31:9 | 3/4 |
4 | 11 | ドリームジャーニー | 2:31:9 | ハナ |
5 | 8 | スクリーンヒーロー | 2:32:0 | クビ |
6 | 7 | アルナスライン | 2:32:2 | 1 |
7 | 1 | カワカミプリンセス | 2:32:5 | 2 |
8 | 9 | メイショウサムソン | 2:32:5 | ハナ |
9 | 5 | フローテーション | 2:32:7 | 1.1/4 |
10 | 2 | ベンチャーナイン | 2:32:7 | クビ |
11 | 3 | コスモバルク | 2:32:8 | 1/2 |
12 | 10 | マツリダゴッホ | 2:33:1 | 1.3/4 |
13 | 4 | エアジパング | 2:33:9 | 5 |
14 | 12 | アサクサキングス | 2:34:3 | 2.1/2 |
ダイワスカーレットは1971年のトウメイ以来37年ぶり4頭目、グレード制導入以後では初となる牝馬による有馬記念制覇の快挙を達成した。また、逃げ切り勝ちも1995年のマヤノトップガン以来13年ぶり4頭目となるが共に1番人気での優勝は初となる。
一方、連覇の期待のかかった2番人気のマツリダゴッホは12着、4番人気でラストランとなったメイショウサムソンは8着とそれぞれ惨敗した。
動画
フジテレビ系列(実況:三宅正治)
ラジオNIKKEI
その他
上記の通りメイショウサムソンはこのレースを最後に引退。また勝ち馬ダイワスカーレットは翌年フェブラリーステークスをステップにドバイワールドカップ遠征へと向かう予定であったが1週間前追い切り後、左前脚の熱が治まらず、翌日にはそれが浅屈腱炎と判明しフェブラリーステークス出走及びドバイ遠征を断念、現役引退となり本レースがラストランとなった。
三連単の配当は98万5580円で、同方式としては有馬記念史上最高額となった。
当時ブレイク前だったお笑いタレントのスギちゃん(当時の芸名は杉山えいじ)が競馬雑誌の企画にて本レースの334.9倍の馬単を1万円購入し的中。334万9千円の配当を得た。その配当を元手に翌年有明コロシアムでの無料単独ライブを行った。