定義
2ちゃんねるのライトノベル板曰く、「あなたがライトノベルと思うものがライトノベルです。ただし、他人の賛同を得られるとは限りません。」
「青少年向けに、漫画やアニメを想起させるようなキャラクター造形を中心に書かれた小説」「アニメ調の挿絵のある小説」など様々な定義がある。再帰的な定義ではあるがライトノベル専門のレーベルから刊行されたものを「ライトノベル」とするのが一般的である。電撃文庫、角川スニーカー文庫、ファミ通文庫など。狭義では男性向けの作品を指す。
隣接ジャンルとの関係
文芸ジャンルの中でもメディアミックスが盛んな分野であり、漫画やアニメ化されるライトノベル作品も多く、逆にライトノベルとして小説化されるアニメやゲーム作品も少なくない。
一度ライトノベルレーベルから発売されたものが、一般文芸にレーベルを移して発売されたものや(『十二国記』『GOSICK』など)、逆に一般文芸レーベルから発売された後、ライトノベルレーベルで改めて発売されたもの(『Another』『RDG』など)、一般文芸レーベルでも表紙絵がアニメ調のもの(『空の境界』など)もある。ライトノベルとして刊行されたものが低年齢層向けに児童書として刊行される場合もある(『涼宮ハルヒの憂鬱』『吉永さん家のガーゴイル』など)。2009年のメディアワークス文庫を皮切りに、富士見L文庫、集英社オレンジ文庫などライトノベルと一般文芸の中間を狙ったレーベルが次々と発足し、これらのレーベルはライト文芸(軽文芸)あるいは新文芸と呼ばれている(ただし、それ以前からライトノベル調の作品を刊行していた一般文芸レーベルもあり、これらも後付けでライト文芸・新文芸と呼ばれることがある)。
ライトノベルは別名「キャラクター小説」と呼ばれるようにキャラクターの個性や魅力を押し出した内容が多い。基本的に社会派小説のような深刻なテーマや、ハードSFのように過度に複雑精緻な設定を押し出す作品はあまり好まれないが、『カオスレギオン』や『境界線上のホライゾン』といった重厚な内容で「ライト」のイメージにそぐわないものも少数ながら存在する。
このジャンルが誕生した1990年代には10代の読者を対象にしていたが、読者の加齢とともに対象とする年齢層も幅広くなり、2010年代には必ずしも青少年向けの文芸ジャンルとは言えなくなっている。
起源
「ジュブナイル」「ヤングアダルト」などと呼ばれた青少年(特にティーンエイジャー)向けの小説がこのジャンルの直接の起源である。この頃の同ジャンルにおける牽引作家・作品群として挙げられるのが筒井康隆や眉村卓や小松左京や平井和正あるいは星新一のショートショートである。
ライトノベルに相当するジャンルが形をなしてきたのは1980年代だが、当時のこのジャンルには決まった名称がなく、「ファンタジーノベル」「ジュニア小説」など様々な名称で呼ばれていた。ジュブナイルは児童文学から一般文芸への読者移行への橋渡しを狙うジャンルであり、漫画家やアニメーターなどのイラストがつくという後のライトノベルに通じる特徴をもちつつも、児童文学と大人向けの文芸の中間的な体裁を保っていた。
その中で、ライトノベルの契機として見なされるものは複数存在する。
ライトノベルの成立には、こうした複数の契機の積み重ねによる複合効果の部分が非常に大きく、そうして成立した作品群に後付けで「ライトノベル」の名が付された経緯がある。
まずひとつは、ミステリー作家赤川次郎の登場である。彼はそれまで登場した作家たちと比しても、より全面的に登場人物をウェット(情)に富んだ「人物」としてではなく、よりドライでポップな「キャラクター」(もう少し穿つ表現をすれば、物語を構成させるための記号)として押し出した。この作風の在り方は作品(あるいはキャラクターの行動)に、いわゆる「わかりやすさ」をもたらし、ティーンの女子を中心に人気を獲得する。
赤川作品は、のちに角川映画や2時間ドラマ(火サス・土ワイなど)を通じた映像化も成され、そのキャラクターを全面的に押し出した小説手法は後の作家陣に大きく影響を及ぼした。
さらに今ひとつは、SF作家新井素子の登場である。当時、高校2年生という若冠の身でありながら、その若さゆえに可能となった瑞々しくも砕けた(当時の)若者口調による、それまでのSF作法から(ひいてはヤングアダルトの作法からも)外れた奇想天外の発想(文体)はSF文壇においては大きな話題となり同世代の共感を集めてフォロワーを産み出し、後に続く作家たちに大きな影響を与えた。(この一連の出来事は、当時のSF文壇の一部評論家陣から「昭和(前後・80年代・新世代)言文一致運動」とまで称された)
さらにライトノベルのもう一つの起源としてTRPGのリプレイがある。1986年にグループSNEによって連載されたリプレイをもとに小説として書き直した水野良『ロードス島戦記』(1988年刊行)がRPG的な世界観を文芸の世界に持ち込んだ。(これは同時にトールキン系の流れを組む設定観の復興にも繋がっている)
1987年に角川文庫に青背(のちの角川スニーカー文庫)が登場。翌1988年に富士見ファンタジア文庫が創刊。両レーベルともに執筆メンバーに富野由悠季や渡邊由自、武上純希、富田祐弘などアニメーション監督や脚本家を積極的に迎え、アニメや漫画に慣れ親しんだ世代の取り込みを図った。
「ライトノベル」が誕生した直接的な画期と言われるのは1990年に刊行された神坂一『スレイヤーズ』である。同作はRPG調の世界観を踏まえつつ、「一人称の会話調文体」「早い展開」という一つのテンプレを築き、模倣作が続出した。
トドメにアニメ脚本家のあかほりさとるが『天空戦記シュラト』の小説版を引っ提げて富士見ファンタジア文庫に登場。以降あかほりは『NG騎士ラムネ&40』小説版でスニーカー文庫にも登場し原作の人気の追い風を受けて人気作家へ、さらにはメディア外のオリジナル作品も両レーベルおよび電撃文庫にて執筆するようになり、業界での一時代を築く。
そして、ここであかほりが用いたあかほり文体(「文庫の下半分はメモ帳かノート」とまで揶揄された非常に小まめなやりすぎ改行・擬音表現の多様・大フォント文字の使用、そして、その全ての頻繁な併用)は「これでは戯曲と同じで(あるいは戯曲よりもヒドく)小説の意味が無い」と批判を受けた半面、文章慣れをしていない層からは「マンガやアニメみたいに直感的で読みやすい」として支持され、後のラノベ業界に多くのフォロワーを生み出した。
そして、のちにあかほりは自らプロデューサーとなって自作・自企画のアニメ化やメディアミックスへと自重なく果敢に乗り出す事となり、そのやり方はラノベ業界におけるメジャーな手法へと至らしめる。
こうしてアニメやゲームとのメディアミックス商法が花盛りになるとともに一般文芸との繋がりが薄れ、「ライトノベル」として独立したジャンルになっていった。
「女性向けライトノベル」としばしば呼ばれる(そして前述の新井素子も一時期、自作発表の主要フィールドとした)コバルト文庫などのレーベルから刊行される少女小説は、男性向けのライトノベルよりはるかに古い(明治時代後期まで遡る)歴史をもつのだが、1980年代以降の少女小説は少女漫画の影響が色濃く、漫画風の挿絵が必ず添えられるようになった。平成以降は男性向けジャンルとの相互乗り入れも盛んになり、名実ともに女性向けライトノベルと見なして差し支えない。
Pixivでは
Pixiv内では、ラノベそのものよりも、そのキャラクターを描いた絵などに、タグとしてつけられる事が多い。
たまに挿絵を描いた絵師本人の絵が、仕事絵タグと一緒にアップされていることも。
主なライトノベルレーベル
「ライトノベル」の語が生まれたのは1990年初めであるが、コバルト文庫、ソノラマ文庫などライトノベル専用のレーベルは1970年代後半に誕生している(当時は「ジュヴナイル」「ヤングアダルト」または「ジュニア小説」などと呼ばれていた)。
角川パブリッシング
小学館集英社プロダクション
その他のレーベル
代表的な作品
※発表された年代順。
1970年代後半 | クラッシャージョウ |
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1980年代前半 | 吸血鬼ハンターD なんて素敵にジャパネスク 宇宙皇子 |
1980年代後半 | ロードス島戦記 スレイヤーズ |
1990年代前半 | 海がきこえる ロスト・ユニバース 十二国記 |
1990年代後半 | ブギーポップシリーズ 魔術士オーフェン |
2000年代前半 | 涼宮ハルヒシリーズ とある魔術の禁書目録 灼眼のシャナ ゼロの使い魔 |
2000年代後半 | 狼と香辛料 物語シリーズ 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 電波女と青春男 ソードアート・オンライン 僕は友達が少ない 織田信奈の野望 |
2010年代前半 | 人類は衰退しました 幼女戦記 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか |