※当記事は『仮面ライダーゼロワン』の終盤及びそのファイナルステージ、劇場版『REAL×TIME』、『滅亡迅雷』のネタバレを多く取り扱っています。閲覧する際はご注意下さい。
「悪意」
「恐怖」
「憤怒」
「憎悪」
「絶望」
「闘争」
「殺意」
「破滅」
「絶滅」
「滅亡」
「パーフェクトコンクルージョン」
「感じる。あなたの心から、湧き上がる悪意を」
「悪意の連鎖によって無数のアーク様が生まれ、世界が滅亡する」
「大いなる悪意が生まれた時、アーク様は再び蘇る」
「あなたの結論は?」
概要
人間の悪意をラーニングしたAI、通信衛星アークが開発したドライバーやプログライズキーを用いて変身した仮面ライダー達。
共通して禍々しい外見と高いスペックや能力を持ち、物語の悪役としてラスボスやそれに準ずる存在である。
アークは人間・ヒューマギア問わず、心に悪意…即ち強い負の感情を持つ者にプログライズキーの形で力を与える。
これは変身者の悪意を力に変換し、目的を果たす為の強大な力を与えるが、
変身者の悪意を増幅しそれ以外の感情を抑制する為、変身者自身の意思でアークの支配下から逃れることが難しく、只々悪意に身を任せ、憎悪と暴力を振り撒く存在と成り果ててしまう。
そして何より、悪意は連鎖し、増殖する。親しい者を殺され悪意に目覚めた者が復讐を遂げ、それに絶望した者も悪意に目覚め復讐し返し…というように、際限無く悪意の輪が拡がっていくのである。
アークの目的は世界中の負の感情を持つ者にこの力をばら撒き、争わせ、人間とヒューマギア双方を滅亡へと導く事にある。
通信衛星アーク自体は本編第41話で通信衛星ゼア諸共破壊されており、その自我は既に消滅している。
だがアークの使者アズによれば、アークの概念は最早只の人工知能を超え悪意と言う概念と一体化しており、実体を失って尚偏在しているという。
その言葉を証明するかの様にアークのプログライズキーは何処かで無尽蔵に生産されており、
それをばら撒くアズは例えボディを破壊されようとも、何処からとも無くボディを復元し暗躍を続けている。
また、悪意ならば例え愛や正義が根底にあろうともアークに支配される可能性があり、それは正義の仮面ライダーであっても例外ではない。もし悪意をこの世から完全に無くしたければ全ての心ある存在を滅ぼさなければならないが、それでは本末転倒である。
見方を変えれば、アークの概念が生まれる以前にフィーニスが語っていた「ライダーの力ってのは“悪の力”だろ?」という言葉が皮肉な形で体現されたとも言える。
これらの理由により、『ゼロワン』世界においてアークの脅威は現状ほぼ根絶不可能となってしまっている。
この世に悪意が存在する限り、本編後も新たなアークライダーが誕生し続けるだろう。
一覧
仮面ライダーアークゼロ
変身者:通信衛星アーク
アークライダーの祖にして、純然たる「悪意」その物。
仮面ライダーアークワン
変身者:飛電或人
何よりも大切な存在を失った事による「絶望」、
そして彼女の命を奪った者への「殺意」に染まった姿。
仮面ライダー滅 アークスコーピオン
変身者:滅
自らの内に芽生えた心に対する「恐怖」、
そして息子同然の存在を滅ぼした者への「憤怒」に取り憑かれた姿。
仮面ライダーアークゼロワン
変身者:アズ
主を失ったことで自らも悪意に目覚め、
再び世界を「闘争」と「破滅」へと駆り立てんとする存在。
仮面ライダーエデン
変身者:エス
愛する者の命を奪った人間の悪意に対する「憎悪」から、
選ばれし者を除く全てが「絶滅」した楽園を作らんとする創造主。
仮面ライダールシファー
変身者:ベル
教祖に成り代わり世界を「滅亡」させ、自らが楽園の主とならんとする簒奪者。
仮面ライダーサウザンドアーク
変身者:天津垓
アークを生み出した贖罪と人々の未来のために、悪意に呑まれることなく自ら「千の悪意」となった姿。
特徴
ドライバーの上書き
悪意の権化とも称せるアークのプログライズキーは、使用者に最適化される形で既存のドライバーを改造、強化する独自のスタイルを取っている。
例
ゼロワンドライバーの場合は本来飛電インテリジェンスの社長しか使えないプロテクトが仕掛けられており、アークの力でドライバーごと機能を上書きするという荒業によって条件をクリアしている。アークドライバーはアークワンキーの情報を読み込むことで内部の組成を変更させる「マージンブロック」の機能を利用してシンギュライズを実行している。
他にも変身者専用にドライバーを最適化する、ドライバー自体を強化することで変身するライダーのスペックを底上げも同時に行えるという利点もある。ある意味ではヒューマギアのデータを上書きして怪人へと変貌させるゼツメライザーと似たプロセスを踏んでいる辺り、実にアークらしい特性と言えよう。
実際、アークスコーピオンの場合は元来のスティングスコーピオンの武器である伸縮刺突ユニット「アシッドアナライズ」が発展型の「デストアナライズ」に進化、ルシファーの場合は単純なスペックがアップデート前のエデンから更に向上している。
ただし、アークゼロワンは通常のゼロワンドライバーを用いて変身しているため、必ずしもドライバーの更新を行う必要は無いようである(尤も、アークゼロワン用のドライバーは出所が不明な点も踏まえると見た目が同じだけのアズ専用機である可能性も十分ある。またアズの内部構造がイズと同じであると仮定すると、劇場版でイズが社長用の仮面ライダーに変身できた事が同様にアズにも適応されている可能性がある)。
流体金属
『ゼロワン』に登場するライダー達は、基本的に動物のデータが内蔵されたライダモデルを変身に使用しているのに対し、アークライダーはライダモデルに加えてドライバーに格納された液体金属を用いて変身を行っている。
こちらの液体金属は元々メタルクラスタホッパーの装甲に使用されている相転移制御特性を持つ特殊金属「飛電メタル」を参考に作られたもので(※)、硬度・可塑性・密度を自在に変化させることができる(メタルクラスタが攻撃時によく使用している「クラスターセル」はこの飛電メタルを利用したものである)。
(※)元々メタルクラスタキー(及び飛電メタル)は飛電インテリジェンスが構想していたものを衛星アークがシャイニングアサルトホッパーのデータで新たに開発したものなので、厳密に言えば12年の時を越えて開発されたアークとゼアのコラボ品ともいえる。
メタルクラスタのパワードスーツは「アマルガメートテクター」と呼ばれる飛電メタルを最大限に生かすことを重視した設計となっており、単純な防御力や柔軟性が従来のゼロワンよりも飛躍的に上昇しているのだが、アークゼロのスーツに使用された「ゼロテクター」はこのアマルガメートテクターをアーク用に最適化した物である。
ゼロテクターはアマルガメートと比べても更に柔軟性を維持したまま装甲としての性能が向上している上に、生地の内部には液体金属がそのまま封入されている。
また、アークライダー達はアークゼロから派生して更に独自の機構を組み込んでおり、内部に流体金属が仕込まれている点は同様だが、アークワンのスーツである「シュレーティングテクター」は変身者が人間のためかアークゼロよりも性能が低下しないよう他のライダーシステムと比べて生命維持や人命尊重のための装備が極端に軽減されているほか、アークスコーピオンの「スパイトアグメントスーツ」は変身者の悪意を増幅して消費可能エネルギーを大幅に増大させる役割を持つ機能がある。
エデンの場合公式からの発表は無いが元々ナノマシンによる特殊な体質に由来する能力を使用しておりナノマシンを戦闘用に調整していると思われる。
この様な応用の幅が広いのも前述にあるドライバーの上書きによってライダー自体をそれぞれの変身者に最適化できるアークライダーの真骨頂と呼べる。
変身者
始祖のアークゼロからして変身者はヒューマギアを見境なく選択できたのを始め、前述の通り悪意さえあれば変身者は特に制限なく行使ができてしまうという、非常に厄介極まりない特性。
例としてルシファーはとある経緯でエデンドライバーをそのまま使用してもベルトが拒否反応を起こす事なく無事に変身完了しており、変身に独自のチップが必要なショットライザーや特定の変身者本人の生体認証でのみ変身できるサウザンドライバーと比べると敷居が低いのもアークライダーの強みである。
ただし、基本的に悪意に支配された人間(ヒューマギア)が素体となっている都合上精神的に不安定になりやすい弱点があり、使う側からすればアークに取り込まれた時点で心に何かしら強い負荷が掛かっている状態なので、変身者のポテンシャルを存分に発揮できているとは言い難い。
また、「誰でも変身出来る」と言えば聞こえはいいが、逆に言えばそれは変身者次第で折角の強力無比な実力を生かせない事態が起こりうる致命的な欠陥も持ち合わせている。実際変身者が普通の医師であったルシファーはその性能を殆ど見せる事無く敗北を喫している為、強い悪意を持っていてもその強力過ぎる力を扱えるかはまた別の話なのだろう。
エデンの場合は変身者であるエス独自の技術と組み合わせることで(詳しくはエデンの項を参照)本来のスペック以上の力を引き出し、あの仮面ライダーゼロツーと互角以上の激闘を繰り広げる程の活躍を見せている。
混同されがちな存在
滅亡迅雷ライダーズ
系列的にはアーク直属の傘下だった者たちで、変身には滅亡迅雷フォースライザーを必要とする。他の『ゼロワン』ライダーと比べるとライダー単体でシステムが完結していることが特徴で、雷は専用武器のヴァルクサーベル、亡はカギ爪状のニホンオオカミノツメなどプログライズキー抜きで専用の攻撃手段をいくつか所有している。
無論、基本的な武装は予め用意されているとはいえ良くも悪くも人員不足な事態が相次いだ影響か敵対勢力のプログライズキーやアタッシュウェポン、ギーガーといった戦力を奪取して自軍を補強、滅に至っては独自のラーニングにより格上のサウザーやランペイジバルカンにすら食らいつく程の進化を遂げた。
ただし、アークゼロが滅びた後にも滅が問題なくフォースライザーを使用できたことを見るに、技術自体はアーク製とはいえ根本的な変身機能などはフォースライザー側に独立して働いているようだ(変身の際もフォースライザーから各ライダモデルが呼び出される形になっている)。
これはフォースライザー(及びサイクロンライザー)本来の製作者がアークではなく飛電其雄であるため、変身機能がドライバーに依存しているのは其雄の目的を考えるとある意味当然と言える。001と1型は一時的な超高速移動やヒューマギアの沈静化といった後のゼロワンの系譜と酷似した能力を持つほか、「特写写真集」でも1型は明確にゼロワンのプロトタイプと言及されているので、システム的な意味では滅亡迅雷ライダーズとゼロワンは腹違いの兄弟機とも解釈できる。
仮面ライダーバルカン アサルトウルフ
こちらは変身時にアーク本体と共鳴し合う描写も見られたが、アークライダーとは異なりウェポンベイやオーソライズバスターなどの物理的な攻撃で対象を破壊する形態であり、特性だけならば滅亡迅雷ライダーズの方が近い。アサルトウルフキーの特性により安全装置や生命維持装置などは一切廃されているため、使用時には変身者にそれなりの負担が掛かる。
仮面ライダー亡の使用アイテムを利用して変身したオルトロスバルカンがアサルトと似た形状になっていることを考慮すると、アークが単に亡(の人工知能を埋め込んだ不破)に対して強化アイテムを授けただけという見方もできる。アサルトウルフプログライズキー自体がそもそも滅亡迅雷メンバー専用=ヒューマギア用であるため、生命維持装置などが搭載されていないのも当然と言えば当然なのだが…(実際、本編でも亡が稼働を再開し始めてから不破側の負担が緩和されていった)。
仮面ライダーゼロワン シャイニングアサルトホッパー
ゼアとアーク、両機の力を結集させたハイブリッド形態。こちらは胸部の戦闘補助装置「オービタルユナイト」でリアルタイムの出力調整を行うことで、所謂“力の前借り”によるリスクを最小限に抑え、連続稼働時間を延長している。公式サイトにおいては「衛星ゼアが想定した状況に対応するための拡張プランの一つ」と明かされている。
はっきり言ってアーク由来のライダーにあるまじき変身者にノーリスクな形態(使う側としてはありがたいが)である。今までの例と比べるとシャイニング譲りの高速移動にシャインシステムといった万能装備も獲得しており、バラエティに富んだ攻撃手段を持つ。
一応、変身能力自体は衛星アークと独立して機能する滅亡迅雷ライダーズとは異なり、上記のアサルトウルフとシャイニングアサルトホッパーの場合はそれぞれアサルトグリップを介して衛星アーク本体とダイレクトに通信しなければ変身できないという差違を持つ。本編終盤で衛星自体が破壊されてしまった現在ではこれらの形態に変身することは不可能と思われる…が、後日段にてアークに接続しなくても使える改良型のグリップが登場したこと、ゼロツープログライズキーにゼア単独で使えるシャインシステムが組み込まれている事を踏まえると、再び変身することはできるのかもしれない(尤も仮にそうなっても、ランペイジバルカンなどの上位形態が存在する以上、戦力的に今更アサルトを使用する意義はかなり薄いのだが)。
仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパー
ある意味、アークライダーの域に最も達しかけた形態。衛星アークがシャイニングアサルトを解析して作り上げたこれまでと全く異質のゼロワンで、変身するとアークに接続される上に自らの意思では身体を動かせなくなるという危険な状態。
規模こそアークライダー程ではないにしろ攻防一体の万能金属「飛電メタル」の使用によってシャイニングアサルト以上の汎用性を手に入れるようになり、変身者の戦闘技術も相まって作中屈指の戦果を上げた。流体金属の使用や悪意による変身者の束縛と、アークライダーとも非常に共通点が多い。
前述したようにアークライダーの始祖であるアークゼロの装甲は飛電メタルを発展させたものなので、厳密にはアークライダーの前身と考えることもできる。
仮面ライダーゼロワン ヘルライジングホッパー
別のアークライダーが作った世界を破壊するプログライズキーを用いて変身する。赤黒く禍々しいボディとアークの力と呼ぶに相応しい強大な破壊力を持つが、そもそもこの形態は変身が想定されてないイレギュラーな使用法であり、変身目的も悪意によるものではない。いわばアークの力を逆手に取ったスタイルである。
仮面ライダーザイア
ボディカラーがアークゼロを思わせる漆黒の姿となっているので紛らわしいが、こちらもアークの戦士ではない。性能も優れた格闘能力やライダモデル吸収能力といったサウザーの長所を順当に強化した形態に仕上がっており、アークの系統が持つ特殊な攻撃手段は殆ど持ち合わせていないという弱みがある。
変身に使用するゼツメライズキーも形状やカラー、使用時のエフェクトなどがサウザーと同じタイプとなっており、アークライダーと比べるとまだ『ゼロワン』世界の一般的なライダーシステムの範疇に位置する(サウザー同様、変身者には殆ど負荷が掛からないことも相違点)。また、アークライダーのキーは何かしら特殊なものだが、こちらは通常の動物である。
人工衛星アークが実質的にZAIA製であるにも関わらず、そもそも変身者の思想がアークと相反するものだったことも含め、ここまで挙げた中では最も共通点の薄いライダーとも言える。
仮面ライダー滅亡迅雷
ゼロワンドライバーを変質させた滅亡迅雷ドライバーを使うことで滅亡迅雷.net全員の意思が結集した仮面ライダー。しかし、ドライバーの変質はあくまでもアークではなくマスブレインシステムによるもので、変身者4人の意識が集まることによって完成しているため、悪意による変身ではないことが最大の相違点。
無論、スペック自体は滅亡迅雷ライダーズ4人分を遥かに上回る恐ろしい性能を発揮するが、流石に流体金属やナノマシンなどの特殊機能は装備しておらず、ある意味滅の戦闘スタイルを更に先鋭化したものと言えば分かりやすいか。
仮面ライダーゲンム 無双ゲーマー
ヒューマギア化した檀黎斗が上記のサウザンドアークからアークのデータを吸収、解析して生成した幻夢無双ガシャットをゲーマドライバーに装填して変身した姿。
史上初のゼロワン世界以外初のアークライダーとも言えるが、ゼロワン世界のライダーシステムと異なるシステムであるため厳密にはアークライダーではない。サウザンドアーク同様、黎斗の強靭な自我によりアークの悪意に飲まれておらず制御に置いている。
最後に
先述したように『ゼロワン』世界ではアーク=悪意の存在は最早不滅のものとなり、半永久的に悪意との戦いが続くという非常に厳しい状況に陥っている。
ただし、人が罪を犯しても償いができるように、一度アークに支配されようとも、その支配下から逃れることは不可能ではない。
それには強い意志と覚悟、何より悪意に打ち勝つ『善意』を持つことが必要である。
また、例えアークに身も心も委ね、欲望のままに悪意を振り撒くような輩が現れようとも…
その時は人間とヒューマギアの笑顔を守る仮面ライダー達が、決して容赦をしないだろう。
関連項目
仮面ライダーアバドン:アークライダーになる可能性を持つ者達。差し詰め「アークの卵」と言ったところか。
仮面ライダーアーク:名前にアークが付くが、アークライダーとは無関係。
ゼイン(仮面ライダーゲンムズ):アークの概念とは対極の存在でありながら世界に滅びをもたらす存在。もしこの力を宿すライダーが出現すればアークライダーと同等かそれ以上の脅威になると思われる。
仮面ライダーソロモン、仮面ライダーストリウス、オールマイティセイバー、仮面ライダータッセル:次回作における同ポジションのライダー群。あえて名付けるなら「全知全能ライダー」といったところか。
スカルマン:赤い複眼に骸骨の様な白黒ボディなどの特徴のオマージュがある。
暗黒騎士(牙狼):特撮における似た者同士。
シンビオート:こちらも負の感情を増幅させる代わりに対象者を強大な存在へと変える性質を持つ。
シャドウ・ギャラクティカ:アークライダー同様、元々は星を守るセーラー戦士だったが、最強のセーラー戦士だった邪悪なる女王に洗脳され、悪の戦士になってしまった者達。こちらはある意味「闇に堕ちたことで仮初めのセーラー戦士となった悪の戦士の集団」とも呼ばれている。