概要
1996年から3年連続で放送されていわゆる平成ウルトラマンの魁となった、
の三作品のことを指す用語。「平成三部作」「90年代3部作」とも。
この呼び名が広まったのはティガとダイナの合体技である「TDスペシャル」からだろうか。
近年の公式でも「TDG」の通称が使用されるようになったが、良くも悪くも「ガイア」のみ世界観が異なることやストーリーやタイプチェンジの仕様が異なることからこの括りに違和感を持つファンも存在する。
作風
タイプチェンジという様々な色をした特殊な姿に変身する能力を使用できるようになったことは特にウルトラシリーズにおいても革新的であり、以降の平成ウルトラマンもタイプチェンジ能力を使用できるのが一般的になった。唯一の例外はウルトラマンマックスだが、マックスは途中で専用の武器が追加された。
ガイアとアグルはTDGの中でも異色であり、基本形態がアップデートされて、タイプチェンジは最強形態ただ一つという異色の描かれ方をされている(アグルに関しては登場が最終回から22年後になったが)。
デザイン面では、TDG三部作では赤と銀以外のウルトラマンが登場、登場するウルトラマン全員に金色を含む派手なプロテクターが存在する(ダイナのみタイプチェンジ後はプロテクターがなくなる)。
また、彼らに限った話ではないが、カラータイマーがウルトラ8兄弟客演時には色が青緑になっていた。
全作品に共通して劇場版とOVが存在する。ただし、ティガのみ放送中に劇場版が公開されておらず、完結から4年後の2000年に公開されるという異例の作品となった。OVは翌年の1月から3月までの25日に発売され、ウルトラマンネオスと共にウルトラマンコスモス放送までの期間を繋いだ(なお、OVはダイナ以外は最終回以降の後日談となっている)。
OVの切っ掛けとなったのはティガ放送終了後にバンダイビジュアルサイドから持ちかけられた映像企画であり、小山Pもこれに乗り気で、TDG三部作からブースカ!ブースカ!!までの円谷プロのTVシリーズがひと段落したうちに制作が決まった。このうち、ダイナとガイアのOV化は原田昌樹監督の企画案によるものとされる。(出典:『テレビマガジン特別編集 平成ウルトラビデオ全集』(2002/講談社)P84より)
一方で巨額の制作費用が掛けられていたことでも有名であり、一説によれば『ガイア』第1話の製作費は1億円を超えていたとも言われている…が2018年のイベントにて単純な予算は『ダイナ』の方が多く使ったと当時のスタッフがコメントしており、いずれにせよかなりの製作費がかけられたことは間違いない。
また、画面外のミニチュアに金をかけたことや、何度も撮り直しをしていた結果、これが円谷プロの経営を圧迫することとなってしまった。そのため後の時代に円谷プロ子会社化の原因は今作であるとする見解も存在する(事実円谷プロを買収したTYO関係者は「これだけ売り上げがあってどうして赤字が出るんだ」と頭を抱えたという)。
現在は予算管理をしつつも当時以上の迫力の映像が作られているが、特に「ガイア」の特撮シーンはクオリティが高く、現在に引き継がれていると言っていいだろう。
放送枠
平日のゴールデンタイムに放送していた昭和ウルトラマンとは違い、TDG三部作は土曜の夕方に放送されていたのが特徴。後の『コスモス』も同じ。
制作局は昭和ウルトラマンのTBSから代わってTBS系列のMBSこと毎日放送。ちなみに毎日放送は3部作だけでなく、ガイアから2年後の『ウルトラマンコスモス』も制作。『ネクサス』以降の『メビウス』までのハイコンセプト・ウルトラマンはCBCこと中部日本放送が制作した。
放送期間は3作品とも1年間だが、「9月開始・翌年8月終了」という当時にしては珍しいパターンだった。
世界観のつながり
このうち世界観を共有しているのは『ティガ』と『ダイナ』のみで、『ガイア』は別世界を舞台としている。『ティガ』は2007年、『ダイナ』は2017年と近未来を舞台にしているのに比べ、『ガイア』はリアルタイムが舞台。例外的に放送当時に公開された劇場版で共演を果たしている。ネオフロンティア2作とガイアは本来昭和ウルトラマンとは世界観がつながらないものの、後の作品では、別の世界の作品に出張していることもあり、ダイナは実際に昭和作品の世界にも現れ、光の国の戦士との共闘経験もある。
最近の作品群に過去作要素が多いこともあってか、ファンからはよく「過去作要素のない作品群」と言われることが多いが、実際に過去作要素が全く存在しないのは『ガイア』のみである。『ティガ』には初代ウルトラマンが客演、『ダイナ』はそもそもティガの世界観を共有した直接の続編であり、こちらにもある通り、最近の作品以上に過去作(ティガとごくわずかな初代要素のみだが)との繋がりが強い。
またガイアのTV本編に過去作要素は存在しないが、後の劇場版ではティガとダイナ両名との共演を果たしている為、完全に過去作との繋がりが無い訳ではない。
その後の扱い
平成作品の先駆けとなっただけあり、ティガとダイナは客演作品にも非常に恵まれており、特にウルトラマンダイナはその立ち位置ゆえに突出して出番に恵まれている。ティガも登場率自体は高いが、諸般の事情で変身者を出さないか、別人が変身しているという設定で登場したりする。
一方、ガイアは上記2人と比べると客演自体は少なめであるが、アグルのスプリーム・ヴァージョンのように後年に新たなる強化形態が用意される事も。
一方でM78スペースの怪獣と比べると、怪獣の再登場率はまちまち。特にゴルザ、ガンQが登場する傾向にあり、この他にも亜種怪獣として『大決戦!超ウルトラ8兄弟』ではキングゴルドラス、キングシルバゴンが、『ウルトラマンギンガ』では残っていた当時のスーツを改造してサンダーダランビア、『きたぞ!われらのウルトラマン』にはゴーグファイヤーゴルザという怪獣が登場していたが、これらは1回限りか少ない出番で終わっている。
近年ではファイブキングやゴルバー、キメラベロスといった合体怪獣の素材としての起用も増えてきているが、キリエロイドやガゾートのように数十年ぶりに再登場するというパターンも見受けられるようになっていった。
一方で後年のゲーム作品にはスーツを新造する必要がないためか、こちらではTDG怪獣の出番もそれなりに増えている(例として『大怪獣バトル』シリーズではゴルザ、メルバ、キリエロイド、ファイヤーゴルザ、イーヴィルティガ、ガタノゾーア、モンスアーガー、レイキュバス、ゲランダ、デスフェイサー、ミズノエノリュウ、キングオブモンス、スキューラ、バジリス、超コッヴが参戦している)。
ソフビ(『ウルトラ怪獣シリーズ』)も各世代に根強いニーズがあり、『大怪獣バトル』シリーズ展開中には上記の怪獣のソフビが展開され、新世代ヒーローズ以降、次シリーズへの繋ぎとして放送されるようになった再編集番組(クロニクルシリーズ)の放送期間になると造形や塗装を見直したソフビが新発売されるようになり、ゾイガーやヤナカーギーといったソフビ化の機会に恵まれなかった怪獣にもチャンスが回ってくるようになった。
公式サイト
上記の通り、三部作とコスモスはMBSが制作したが、TDGの3人はCBC制作の大決戦!超ウルトラ8兄弟に客演したため、CBCにより新たに公式サイトが作られた。
何気に本放送時に制作に関わらなかったにもかかわらず、公式サイトが放送終了から約10年たってから新たに開設されるという異例な対処となった。
これらのサイトおよび、ハイコンセプト・ウルトラマン、さらにはテレビ東京移行後の新世代ヒーローズのサイトは現在でも閲覧可能であり、2021年、『コスモス』を除く全てのTVシリーズの平成ウルトラマンの公式サイトが閲覧可能である。
サイト一覧
関連動画
関連イラスト
関連項目
ウルトラシリーズ 20代ホイホイ 30代ホイホイ 円谷こわれる
- ウルトラマンM730ウルトラマンランド:本シリーズで導入された『タイプチェンジ』の先駆けとなる設定を導入した作品。
- ウルトラマンナイス:『ティガ』の再放送時に展開していたシリーズ。
- 新たなる二つの光/ウルトラマンバトルコレクション64:本シリーズのゲーム作品。
- THE_FINAL_ODYSSEY/光の星の戦士たち/超時空の大決戦/大決戦!超ウルトラ8兄弟/ウルトラマンサーガ:本シリーズの劇場用映画。
- 超時空のアドベンチャー:上記『超時空の大決戦』の続編。
- 古代に蘇る巨人/帰ってきたハネジロー/ガイアよ再び:OV作品。
- ウルトラマンボーイのウルころ:M78ワールドでの出来事だが、本シリーズのキャラクターが登場。
- ハイコンセプト・ウルトラマン:同じく3作品で括られるネクサス、マックス、メビウスの平成ウルトラマン3作。
- ウルトラフュージョンブレス(決戦!ウルトラ10勇士!!):ティガ、ダイナ、ガイアが同じ位置にソートされている。
- ガンマフューチャー(ウルトラマンZ):ティガ・ダイナ・ガイアの力を授けられたウルトラマンゼットの戦闘形態。
- 新世代TD(ウルトラマントリガー/ウルトラマンデッカー):本シリーズのうち、ネオフロンティア2作品を下敷きにしたシリーズ。