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SuperGTの編集履歴

2024-09-23 18:55:52 バージョン

SuperGT

すーぱーじーてぃー

日本屈指の人気を誇るモータースポーツ(カーレース)の一つ。

概要


2005年から株式会社GTアソシエイション(GTA)が管轄する、日本を中心にアジアでも開催されるスポーツカーレースシリーズである。略称は"SGT"。


1994年に創設されたJGTC(全日本GT選手権)が改名したものであり、歴史や記録を語る上ではこちらも含まれることもある。

2024年、シリーズ創設から30周年を迎えた。


現在市販されている車をベースに開発された、GT(グランドツーリング)カーを用いたレースである。

搭載エンジンの馬力によってGT500GT300の2クラスに分けられている。決勝は両クラスが同時に走るため、両クラスにおいて非常に熱い駆け引きを繰り広げられる。「世界最速の箱車レース」と称されることもある。

当初、500と300はそれぞれ馬力を指していたのだが、現在は規則の変更によって形骸化しており、クラスの名前として残っている。


SUPER GT独自の特徴として、レースで上位になったチームに付与されるポイントの合計に応じてウェイト(おもり)などを追加しなければならない「サクセスウェイト制」(旧称「ウェイトハンデ」)を採用していることである。

この仕組みを簡潔に言えば、年間ランキングの上位に位置しているチームほど車輌重量が増やされるため、次のレースで上位に食い込むことが難しくなってくる。こうすることでマシンの速さの均衡を図り、特定のチームによる独走を防ぐシステムである。

近年は、従来のウェイトの追加による車両重量の増加に加えて燃料流量を絞る"リストリクター"も追加されるようになり、ポイントあたりのハンデがかなりキツくなっている。現在はGT500のみにこのリストリクターが採用されており、その段階は3段階に分けられている。段階が大きくなるにつれて絞る量も大きくなってくるため、いかにしてハンデの影響を最小限に食い止められるマシンを開発し、またハンデを計算した上でいかにして効率よくポイントを稼いで優勝するかという点もまた、SUPER GTの醍醐味である。

ただし、以前はその"計算"の所為でなりふり構わない譲り合いが起きてしまい、かえって興覚めであったので、2009年から第6戦までは獲得ポイントの2倍、最終戦直前は獲得ポイントと同じ(改定年の2009年は全9戦で争われたため、第7戦、第8戦が獲得ポイントと同じウェイト)、最終戦は(全車)ノーハンデによるガチンコ勝負を行う事でそうした自体を防いでいる。


また、タイヤのワンメイク化が主流になったために世界的にも例の少なくなったタイヤ戦争がある事も大きな魅力で、現在、ブリヂストンヨコハマタイヤダンロップミシュラン(現在はGT300のみ)の4メーカーが鎬を削っている。


さらに、元F1ドライバーや世界のスポーツカーレースで活躍するドライバーが多数参戦しているのも大きな特徴である。特にWEC(世界耐久選手権)のハイパーカークラスには、日欧米のどのメーカーにもSUPER GTで長年活躍したドライバーがレギュラーとしてフル参戦し、シリーズチャンピオンの獲得やル・マン総合優勝を記録するなど、国際的な知名度も高まっている。


歴史

前述の通り、全日本GT選手権(JGTC)が前身。

元々はJAF(日本自動車連盟)の管轄下に置かれていたが、マレーシア(セパンサーキット)等での公式戦の開催が決定した際、FIAの規定により「国内選手権」の定義から外れることになったため、JAFの管轄下から独立し今に至る。


かねてからGT500でDTM(ドイツツーリングカー選手権)との交流戦を前提としたクラス1規定を進めており、2019年にはエキシビジョンとしてスーパーGT・DTMの双方で交流戦が実現している。(ドイツ・ホッケンハイムリンクと富士スピードウェイの2回)

しかし、DTMに参戦していた自動車メーカー(メルセデス、そのメルセデスの撤退後に参戦したアストンマーティン、そしてアウディ)の離脱が相次いだ結果、2021年からはGT3規定に移行。このため交流戦の話も消滅した。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、2020年以降はマレーシア・タイでの海外開催が消滅し、8戦全てで日本国内での開催に切り替わり、特に富士と鈴鹿は年2回開催されていた。

しかし2025年からマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで公式戦が開催されることが決定。スーパーGTの海外戦開催は2019年のタイ以来、セパンでのスーパーGTの公式戦開催は2013年以来となる。




GT500

概要

白色灯のヘッドライトに、白地に黒文字のゼッケンが目印。

現在TOYOTANISSANHONDAの3社3車種が各4~6チームにマシンを供給する形で火花を散らしているクラスである。

前身であるJGTC時代を含む90~00年代にはフェラーリランボルギーニ、それにポルシェマクラーレンなどの外国車勢も参戦していたことがある。(そのうち、JGTC黎明期の1996年にチーム郷のマクラーレンがシリーズチャンピオンに輝いている。これはスーパーGTに改名された現在でも唯一となる、外国車勢によるシリーズチャンピオンの獲得である)

元々は「原則として市販車をベースに改造」という規定があったのだが、コストの削減を名目にパイプフレームの許可などレギュレーションが年々緩和されていき、現在はフロントマスクとキャビンの形状だけ市販車に似せているがマシン内部は市販車の骨格すらも使われていないという、いわゆるレース専用設計の規定になっている。

マシンの性能もいわゆる"箱車"としては先鋭化(特に空力面)され過ぎており、事実上のシルエットフォーミュラと化している


2014年からはDTMと車両規則を統一したクラス1規定を採用し、2012年のDTMの車両規則を元にSUPER GTの独自規定を盛り込んだ新規則による車両が使われている。ちなみにGT500車両のエンジンは2.0L直列4気筒のターボエンジンだが、プラットフォームを共有するDTMは2018年まで4.0LのV8自然吸気(NA)エンジンであった(※1)。

余りにもGTマシンが速くなりすぎてしまってサーキットの安全性が不安視されたこともあり、2017年からはマシンのダウンフォースを削減する等、安全面を重視したレギュレーション変更が提示され、さらに特例でミッドシップ(MR)車両による参戦が認められていたホンダ・NSXも、2020年からは他の2社の参戦車両と同様、フロントエンジン(FR)車での参戦となった。


なお、エンジンの基本規格は2007年からフォーミュラ・ニッポン/スーパーフォーミュラと統一されており、これによりトヨタ・ホンダが両カテゴリーに参戦している。なお、日産だけはスーパーフォーミュラには参戦していない。


トヨタ/レクサス

6チーム(au・Deloitte TOM'S、ROOKIE Racing、SARD、CERUMO、PROJECT BANDOW)が参戦。

2020年よりTOYOTA GAZOO RacingGRスープラと、チーム名と参戦車両が変更され、TOYOTAブランドとスープラの名前が15年ぶりに復活した。

これにより、2009年から各エントラントが名乗っている「LEXUS TEAM(メインスポンサー)」も「TGR TEAM (メインスポンサー)」へと改称された。


なお、直列4気筒ターボ+FRという共通レイアウトを用いているGT500だが、スーパーGTのレギュレーションと同じレイアウトを持つ市販車をラインナップしているのは、3メーカーの車両の中ではGRスープラだけである(SZ、SZ-Rグレード)。


GRスープラのスーパーGTデビュー戦となった2020年の第1戦富士では1〜5位をトヨタ勢で独占するという圧倒的な強さを見せた。

その後も確実にポイントを取りつつ、チャンピオン争いは最終戦の富士スピードウェイで決着することとなり、圧倒的な速さでチャンピオン獲得を目指す37号車・KeePer TOM'S GR Supraだったが、ファイナルラップの最終コーナーでガス欠を起こすというまさかのトラブルによりチーム国光のNSXに敗北、GRスープラのスーパーGT参戦初年度でのチャンピオン獲得はならなかった。

翌2021年はホンダ勢が優勢であったが、最終戦・富士でホンダ勢同士の接触で自滅。これによりホンダはタイトルを逃し、逆転チャンピオンを獲得したのは(auの方の)TOM'Sという、前年と勝者と敗者が真逆になるという形でホンダにリベンジを果たし、シリーズチャンピオンを獲得した。

2023年には、開幕戦でau、DeloitteのTOM'S勢のワンツーフィニッシュをピットなどでの戦略ミスで逃したものの、第3戦で19号車・Weds Sports BANDOH GR Supeaが第3戦で7年ぶりの優勝を挙げたほか、36号車・au TOM'S GR Supraがポイントを重ねてシリーズチャンピオンを獲得。ドライバーの坪井翔は2021年以来2度目、宮田莉朋はこの年のスーパーフォーミュラでもチャンピオンを獲得しているため、2冠を達成した。


過去の車両

(レクサスブランド時代の車両を含めて)クーペモデルが豊富であったトヨタは、3メーカー中、最も参戦車両の切り替えが多いメーカーである。

JGTC初年度の1994年からスーパーGTに改名された2005年まではJZA80型スープラで参戦。2006年にレクサスブランドの国内導入に伴い、ブランドをトヨタからレクサスへと掛けかえて参戦。以降8年に渡って活躍したSC430(UZZ40型ソアラ)はゼロベースで開発されたが、参戦初年度でチャンピオンを獲得するなど十分な戦闘力を示した。

2014年からは前述のSC430に代わってRC Fで参戦。車両規定の大規模刷新後において安定した成績を残す。空力の開発で日産に後れを取り、加えてハンデウェイトに敏感であったようで、シリーズ序盤にポイントを獲得しても中盤で失速が見られる車両ではあったが、RC FのスーパーGT参戦最終年となる2016シーズンには、SARDが見事(前身のJGTC時代を含めても初となる)チャンピオンを手にしている。

2017年からは新規定に沿って開発されたLC500で参戦。デビュー戦となった岡山ではいきなり1〜6位をLC500勢で独占するといった歴史的完勝を記録した。一時、GT-Rに首位を譲ったが最後は平川亮、ニック・キャシディ組の37号車・KeePer TOM'S LC500がシリーズチャンピオンを獲得した。これは「開幕戦で表彰台に登ったチームはチャンピオンになれない」というジンクスを破ったものでもあった。

2018年シーズンに入るとタイヤのコンパウンドの変更に伴い前年とは打って変わって苦戦を強いられたが、それでも第三戦終了時点で全戦で表彰台に食い込むなど、マシンの完成度の高さを見せつけた。

この年は(チーム国光の)ホンダ・NSXに敗れ惜しくもチャンピオンは獲得出来なかったものの、最後の最後までチャンピオン争いを演じた。

2019年シーズンも圧倒的な強さは健在で表彰台独占を連発。第5戦で6号車・WAKO'S 4CR LC500の奇跡の連勝などもあり、チームルマンが前身のJGTC時代の2002年以来となるタイトルを獲得するなど、レクサス系チームがシーズンワンツーフィニッシュを飾り、LEXUS GAZOO Racingとしての有終の美を飾った。

日産

4チーム(NISMO、NISMO NDDP、TEAM IMPUL、KONDO RACING)が参戦。

2008年から2021年まで、実に14シーズンにわたってR35型GT-Rで参戦してきたが、2022年以降はビッグマイナーチェンジを受けて大きく印象の変わったRZ34フェアレディZへと切り替えられ、2024年からはベース車両をNISMO仕様のものに変更して参戦している。

RZ34型Zの参戦初年度となった2022年は開幕戦こそ優勝を逃したものの、TEAM IMPULが第5戦・鈴鹿で最後尾からの逆転優勝を成し遂げたほか、(第3戦・鈴鹿を除く)全てのレースで入賞し、また表彰台も計4回獲得したことでRZ34型Zに参戦初年度でのシリーズチャンピオンをもたらした。

これは長年王座から遠ざかっていた日産勢にとっても、2015年のNISMO以来のチャンピオン獲得であり、TEAM IMPULにとっても、(前身のJGTC時代を含めると)実に27年ぶりのチャンピオンであった。加えて、この年をもってIMPULのメインスポンサーのブランド名がカルソニックからMARELLIへと変更されるため、カルソニックとしての最後の年にチャンピオンを飾ったこととなった。


100%子会社のNISMOが事実上のワークスチームとなっており、常にシリーズ上位に位置している。また、ホンダ・トヨタはブリヂストン勢が大多数を占めているのに対し、日産はミシュラン勢の方が多いのも特徴であった。

ただ、2023年シーズンの終了をもってミシュランがGT500クラスへの供給を休止(GT300クラスへのタイヤ供給は継続)。2024年以降はZ勢は4台中3台(NISMO、NISMO NDDP、IMPUL)がブリヂストンを履くこととなり、データ量の増大によって戦闘力の増強が見込まれる。


過去の車両

スーパーGT初年度の2005~2007年からZ33型フェアレディZで参戦していた(車両自体は前身のJGTC時代の2004年から)が、JGTC時代とは異なり、ドライバーズタイトルは獲得できなかった。

2008年にベース車両をR35型GT-Rに切り替え、初年度でいきなりチャンピオンを獲得するなど、GT-Rブランドの完全復活を宣言した。

かつては「GT-Rは菅生では勝てない」というジンクスもあった(現在は克服済み)。

2014年のレギュレーションの大幅な変更、2017年規定の小規模変更後もベース車両が同じという点が他の2社とは異なっている。2014年規定車両では若干やや足回りの発熱トラブルが目立つところはあったが、予選では圧倒的な速さを誇った。また第3戦ではGT500の表彰台をGT-R勢が独占し、往年のGT-R伝説復活かと騒がれた。ストレートに強いと言われており、2014年規定の車両で初めて時速300㎞を超えた車両でもある。

RC Fと比較するとウェイトハンデの影響が小さく、特にチャンピオンを取得した年(2014、15年)はハンデを背負った後も圧倒的なスピードを誇っていた。


しかし、新規定で行われた2017年はそれまでの圧倒的な速さが鳴りを潜め、特に開幕戦の岡山では全車が予選Q1敗退という屈辱の結果となった。その後は何とかNISMOが優勝争いを演じるも、GT-R勢全体を見ればやはり苦戦を強いられている状況にあった。

2019年シーズン開幕戦の予選ではこれまでの状況を跳ね返すような走りを見せたが、今ひとつマシンの性能を最大限に活かしきれていなかった。

この年はNISMOが2年ぶりにチャンピオン争いに加わるも、レクサス勢には敵わずシーズン3位という結果となった。

2020年からは新エンジンのNR20Bを投入してある程度の競争力を取り戻すが、タイトル争いに絡むことはできなかった。

結局2021年シーズンを以て、R35型GT-RでのスーパーGT参戦は終了することになった。他の2メーカーがベース車両を度々変更する中で改良を重ね続けていたため、晩年のエアロパーツを投入した量が他のメーカーよりも圧倒的に多く、いかに日産がGT-Rという車に苦労しながらも勝利を目指していたかが分かるポイントでもあった。

結果として2008年から実に14シーズンにわたり、日産のスーパーGT参戦のベース車両として君臨したGT-Rであったが、それ故に日産のGT500車両=GT-Rというイメージが定着。特にNISMOの1台で日産勢のエースカーでもあるMOTUL AUTECH GT-Rは異常に語感が良く、これで1単語と言わんばかりの定着性を誇った。

事実、ベース車両がRZ34型Zに変更された2022年の第5戦鈴鹿の予選において、スーパーGTの公式場内実況を担当しているピエール北川氏が、本来はMOTUL AUTECH Zと呼ぶところを勢い余ってモチュールオーテック GT-R!!と叫んでしまうハプニングが発生。ただ、その次の瞬間にはZと言い直している。

ホンダ

4チーム(ARTA、REAL、NAKAJIMA RACING、TEAM KUNIMITSU。 ARTAは2カー体制)が参戦。

2024年からFL5型シビックタイプRをベースに、共通モノコックと2リッターの直4ターボエンジンでFR化したCIVIC Type R GT500を使用している。

(前身のJGTC時代を含めると)GT500では初の5ドアスポーツカーをベースとした車両で、先代のスーパーGT参戦車両であるNC1型NSXと比べるとリア回りのスタイリングがまるっきり異なるが、前面投影の面積はこちらの方が小さい。

シーズンオフでのセパンテストでは最高速度をマークするなど、完成度の高さを見せたが、ホンダのドライバー陣からは(先代のGT参戦車両であるNC1型NSXと比べると)高速コーナーが苦手であるという評価が下されている。


過去の車両

2009年まではMRレイアウトのNA2型(初代)NSXでエントリーしていた。さらに2010~2013年までの4シーズンにわたって、FRスポーツカーのHSV-010でエントリーしている。

なぜHSVなの?と首を傾げる人も多いかもかもしれないが、それもそのはず、この車はアキュラブランドで市販する予定の試作車両であった事から参戦を許可された特例車で、結局2008年のリーマンショックの影響で計画は頓挫・開発中止になってしまった車なのである。

投入当初は開幕戦のHSV同士によるアクシデントなどがあったものの、シーズンを通じて安定した速さを見せ、参戦初年度の2010年にウイダー童夢がシリーズチャンピオンを獲得した。

2011年モデルではフロントフェンダー内にラジエターを設置するなどの改良が重ねられ戦闘力の向上に努めたが、シリーズチャンピオン獲得には至らず。


2014年のレギュレーションの大幅変更以降は、NC1型NSX(※3)を投入した。当初、NC1型はまだ市販されている段階ではなかったため、『NSX-CONCEPT GT』という名称で参戦している。

導入当初は他の2社とは異なる、市販車と同じミッドシップエンジン+ザイテック製ハイブリッドシステムという独自構造を、ハンデ(※4)を受けることを条件に特別に許可を受けて開発していた。

しかし元々フロントエンジンの搭載を前提として作られた共通コンポーネントがミッドシップエンジンのNSXと適合していない事や、ハイブリッドシステムの不具合、さらにミッドシップ故の熱害などによるトラブルが多発し、(2社と比較しても)マシンの戦闘力もなかったので苦戦を強いられた。

中盤で前記の不具合対策のための車体の改良が認められてからはなんとかトップ争いに参加できるレベルになり、第4戦・菅生からは表彰台に上がれるまでに仕上がっていた。

2016年シーズンからはバッテリー製造メーカーからの供給が困難になった事から、それまで積んでいたハイブリッドシステムを外すことになり、システムを下ろした事でモーターアシストによるストレートスピードの伸びがなくなったうえ、ウェイトバランスの変化にも対応できず、苦しいシーズンが続いた。

2017年からは市販モデルの販売が開始されたため、マシン名を『NSX-GT』へ変更。

その際の小規模変更に伴い、最初からハイブリッドシステムの非搭載に最適化した設計に変更され、シーズンオフのテスト段階では開幕戦に圧勝したLC500に肉薄することが期待された。

しかし迎えた開幕戦ではスタート直前、直後で電子系のトラブルが連発し3台のNSXが早々に勝負権を失う珍事が発生。そのため先行きが不安視されたものの、その後は表彰台を獲得するだけでなくその中央(優勝)にもたびたび登場するなど、マシンの高いポテンシャルを示した。

2018年はタイヤコンパウンドの変更がレクサス勢とは逆にプラスに働いたようで、鈴鹿や岡山国際サーキットなど、コーナリングを重視するサーキットでは表彰台に並ぶようになり、この年からフル参戦を開始した2009年のF1王者・ジェンソン・バトンの活躍もあって、チーム国光がシリーズタイトルを獲得。ホンダ勢としては実に8年ぶりのチャンピオンを手にするに至った。

前述したように、2020年にはクラス1規定に準拠する形で駆動方式がMRからFRに変更された。

シリーズ前半はこの年からデビューしたGRスープラ勢が強さを見せる中で着実にポイントを獲得していき、最終戦・富士スピードウェイでは最終ラップのホームストレートで37号車・KeePer TOM'S GR Supraがガス欠を起こして失速、ゴール直前で逆転し、山本尚貴&牧野任祐組のチーム国光が2年ぶりに大逆転チャンピオンを獲得。加えて、長年チーム国光のメインスポンサーを務めたRAYBRIGがこの年を以てブランドを廃止するため、(レイブリックブランドとしては)有終の美を飾る結果となった (ブランドを保有しているスタンレー電気自体は存続しており、STANLEY名義で引き続きチーム国光のメインスポンサーを務めている)。

2021年は前身のJGTC時代を含めても初となる連覇がかかっていたが、最終戦の最終盤でGT300のARTA NSX GT3がブレーキングミスで追突してきた事により、タイトルを逃した。

奇しくもぶつけられたのはチーム国光で、これにより逆転チャンピオンを獲得したのは(au)TOM'sという、前年と勝者と敗者が真逆になるという結果であった。

ベースとなるNC1型が2022年末に生産を終了し、2024年からベース車両がFL5型シビックタイプRに変更される事からNC1型NSXがスーパーGTに参戦するのは2023年が最後となり、最後までチャンピオン争いに名を連ねたものの、結果としてチャンピオン獲得は果たせず、約10年に渡るNC1型NSXのGT500への挑戦は幕を下ろす事となった。






GT300

概要

黄色(フォグランプの色に近い)のヘッドライトに、黄色地に黒文字のゼッケン目印。

メーカーが開発したレース車両(3メーカーなので多くても3車種)を使用するGT500とは異なり、ワークス・プライベーター問わず多くのチームが多種多彩な車両を用いてエントリーしている。いわゆる「痛車」がエントリーするのもこのクラスである。

GT500に比べて小規模なチームでも低コストで参戦できることから、参戦台数はGT500の倍近くを集める。


過去には「市販予定」であることを名目に、ほぼ専用設計のようなスポーツカーが特認で何車種も走っていたが、現在は(後述のマザーシャシーを除いて)禁止されている。


現在はGTA-GT300(旧称JAF-GT)、GT3(旧称FIA-GT)という2つの異なる規格のマシンによって争われている。

GTA-GT300は日本独自の規格。開発の自由度の高さがウリで、過去には普通のスポーツカーに混ざってプロトタイプカーも存在していた。2012年以降は市販車ベースのみであるが、代わりにハイブリッドカーが参戦できるようになっている。

2015年からは運営元であるGTAの働きかけで、共通モノコック・共通V8エンジンで独自車両を低コストで開発できる『マザーシャシー』も誕生し、参入障壁が下がった。

またJGTC末期から4ドア/5ドアのセダンが参戦できるのも特徴で、2012年から2023年までの10年以上に渡ってプリウスがこれを利用して参戦していた。

対するGT3は「グループGT3」という世界で主流となっているGTカーの規格で、一切開発をせずにメーカーお手製のマシンを入手出来るため、プライベーターチームには大変人気がある。

なお、概要で述べたこのクラスの300馬力規制が撤廃されたのは、GT3導入の際に300馬力までデチューンされることを各メーカーが嫌がったためという経緯がある。


現在のGT500との最大の違いは市販車の骨格を用いる点(マザーシャシーを除く)である。このため、ベース車両の骨格の剛性や空力が戦闘力を少なからず左右する。ただし骨格以外は「魔改造」と呼べるレベルで別物である。

さらにGTA-GT300規定で改造する場合は、キャビン(居住空間)の前後をパイプフレーム化することが可能なため、純レーシングカーに限りなく近い構造である。

エンジンについてはGTA-GT300の場合は同一のブランド内で生産されているもの(レース専用エンジンを含む)なら、例えば市販車が直列4気筒でもV8エンジンに乗せ換えることができる。

四輪駆動も(マザーシャシー除く)GTA車両では一応可能なのだが、2008年に活躍したSUBARUのインプレッサが厳しい性能調整を受けて撤退して以降、採用するチームはいない。


このようにGT300は多種多様な規格・スペックを同じ土俵で戦わせるため、ウェイトやリストリクターなどを用いる「BoP」(性能調整)で戦闘力を均衡させている。


近年は国内外でGT3を使うワークスドライバーやワークスチームの参戦が増えてレベルアップしていて、新規参戦のアマチュアドライバーやプライベーターチームにとっては敷居の高いシリーズになりつつある。


現在の参戦車両

(非常に多くのメーカー、モデルが参戦しているため、参戦車種とその製造企業を列挙する。)


メーカー車両名規格参戦年及び備考
トヨタ自動車・LEXUSLC500hGTA-GT3002023-
RC FFIA-GT3※2015-
86マザーシャシー2014第7戦(スポット参戦)2015-
GR86GTA-GT3002022-
GRスープラGTA-GT3002020-
日産自動車GT-RFIA-GT32012-
フェアレディZGTA-GT3002024-
ホンダ・ACURANSXFIA-GT32018-
スバルBRZGTA-GT3002012-
フェラーリ296GTBFIA-GT32024―
BMWM4FIA-GT32022-
メルセデス・ベンツAMG GTFIA-GT32016-
ランボルギーニウラカンFIA-GT32016-
アストンマーチンヴァンテージFIA-GT32024-

※正確には開発車両で、2016年シーズン終了時まではFIAの正式なホモロゲーションを取得していなかった


過去の参戦車両


トヨタ・LEXUSプリウスJAF-GT2012-2018(プリウスPHV GR SPORTに変更)
MARK Xマザーシャシー2017-2019(GRスープラにスイッチ)
カローラアクシオJAF-GT2009-2011(プリウスへ変更)
IS350JAF-GT2008第3戦-2012
MR-SJAF-GT2005-2008(カローラアクシオに変更)
セリカJAF-GT2005-2008(IS350に変更)
日産自動車フェアレディZJAF-GT2005-2010(撤退)
マツダRX-7JAF-GT2005-2011(撤退)
スバルレガシィB4JAF-GT2009第6戦―2011(BRZに変更)
インプレッサJAF-GT2005-2008
BMWZ4 MクーペJAF-GT2008第9戦-2009
Z4FIA-GT32011-2015
M6FIA-GT32016-2018,2020-2021
メルセデス・ベンツSLS AMGFIA-GT32012-2017
ポルシェ911シリーズFIA-GT22005-2011(GT3に変更)
JAF-GT2005-2011(GT3に変更)
ボクスターJAF-GT2005-2010
968JAF-GT2005
アウディR8 LMS(旧)FIA-GT32012(ultraに変更)
R8 LMS ultraFIA-GT32012-2016(開幕戦のみ)
R8(2代目)FIA-GT32016-2023
フェラーリ488GTBFIA-GT32016-2017,2021-2022
360モデナJAF-GT2005-2007,2009
F430GTCFIA-GT22009-2012(規定変更に伴い参戦不可に)
458GTCLM-GTE2011(2012以降は使用チームなし、区分上はJAF-GT)
458イタリアGT32012-2013,2015(488に変更)
ランボルギーニムルシエラゴRG-1JAF-GT2005-2009
ガヤルドRG-3FIA-GT32007-2012(引退、区分上はJAF-GT)
ガヤルドLP600+FIA-GT32012-2013(使用チームが全車LF2に変更)
ガヤルドLF2FIA-GT32013-2015(ウラカンに変更)
アストンマーチンV8ヴァンテージFIA-GT22010-2012開幕戦(v12ヴァンテージに変更)
V12ヴァンテージFIA-GT32012-2014(2015シーズンは使用チームなし)
ヴァンテージFIA-GT32019-2020
ヴィーマックRDシリーズJAF-GT2005-2012(撤退)
ムーンクラフト紫電JAF-GT2006-2012(規定変更に伴い引退)
オートバックス・スポーツカー研究所ガライヤJAF-GT2005,2007-2012(規定変更に伴い参戦休止)
ホンダ・ACURACR-ZJAF-GT2012-2015(撤退)
NSXJAF-GT2005-2006
モスラーMT900MJAF-GT2010-2011、2012第3戦(撤退)
ロータスエキシージJAF-GT2005第3戦スポット参戦
エヴォーラマザーシャシー2015-2021
シボレーコルベットJAF-GT2005,2008(c6型)
コルベットFIA-GT32011-2013(c6型)
フォードGTJAF-GT2005-2006
マクラーレンMP4-12CFIA-GT32013-2015
720SFIA-GT32019
ベントレーコンチネンタルGTFIA-GT32017-2018


問題点

このように日本のレースシーンでも人気を誇っているSUPER GTでもいくつかの問題を抱えている。

そのうちの代表的な例を紹介する。

参戦コストの高騰

前述した通り、GT500は凄まじい空力性能とエンジン技術(排気量わずか2.0Lで600馬力)を兼ね備えた結果、下手すれば並のミドルフォーミュラよりも速く走ることができてしまう。

車両開発はメーカーが担当するとはいえかなり高性能な車両なので、マシンの購入・運用コストは当然高く、参加チーム数の増減はほとんど起きないという状況にある。


GT500に比べれば安価なGT300でも世界的なグループGT3の過激な開発競争の波にさらされ、車両一台当たりの価格高騰が止まらない。

さらに元々開発費のかかるGTA-GT300も、GT3に対抗するべく相当な努力と資金が必要となっている。


ただし参戦コスト高騰の問題はSUPER GTに限った話ではなく、WECやIMSA、DTMなど古今東西、世界各国のスポーツカーレースで起きたことでもある

先述の通り、これが原因でDTMとSUPER GTの交流戦が流れる結果となった。

特にWECの華であるLMP1クラスが1社(トヨタ)のみになってしまった点を鑑みると、GTAでは依然としてGT500に3社を共存させたり、GT300の方では、上述した2つの規定より安価に開発できるマザーシャシーを供給するなどの努力により、上記で述べたシリーズよりはエントラントの減少を防いでいる方ではないだろうか。


タイヤ戦争の弊害

SUPER GTの大きな魅力であるタイヤ戦争だが、開発力の差により特定のタイヤメーカーを使っているチームはほぼチャンピオン争いに加われなかったり、逆に1つのタイヤメーカーしか勝てないような状態が続くこともある。

実際、日産のように4チームで3タイヤメーカーを使い分けるメーカーより、6チーム中5チームが同じタイヤ(ブリヂストン)のトヨタのほうが、タイヤに合わせたマシン作りが出来るという見方もある(前述で述べた通り、ミシュランが2023年限りでGT500クラスへの供給を休止したため、2024年から日産もKONDO RACING以外はブリヂストンタイヤを履く)。


またDTMとの交流戦において、ワンメイクタイヤのDTMとの性能調整にはかなり苦吟したようであった。


しかしタイヤメーカーとの関係の強いチーム・ドライバーは多く、運営母体であるGTAとしてもSUPER GTの大きなウリにしたい部分でもあるため、現実的にワンメイク化は難しいように思われる。


BoPに対する不満

GT300で毎年のように不満の声が聞かれるのがBoPの問題である。車両やエンジンの大きさが全く異なる各車両を、たとえウェイトやリストリクターを用いようとも100%戦闘力を同一にすることは不可能なのは周知の事実であるが、それを差し引いても差が大きすぎる、という声が聞かれるのは日常茶飯事である。


特に規定として全く異なるGTA-GT300とGT3の勢力の不均衡は毎年槍玉に挙げられている。ただし「BoPが不利だ!」と騒がれているチームと同じマシンがチャンピオンになっているケースも散見されるため、主観も多分に含まれている批判が多いことは考慮すべきである。


「GT400」クラスを作って両規定を分けるべきでは、という声もあるが、実現には至っていない。


ガラパゴス化

以前は日本独自のマシンレギュレーションによってガラパゴス化が進むことが危惧されていたが、何度も触れている通り、SRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)など海外規定の導入によって心配されることは大幅に減った。

その結果、海外でもSUPER GTドライバーに一定の評価が与えられ、WECやブランパンGTなどの主要スポーツカーレースに参戦する例も増えている。


だが、毎年同じサーキットでしか走らないため、セッティングの仕方やドライビングテクニックが各チーム・ドライバーとも習熟を極めてしまい、重箱の隅をつつくようなセッティングの詰め方になってしまうと言われており、こうした日本のやり方に慣れてしまうと、様々なサーキットで走る欧州では通用しないとされている。

これはSUPER GTのみならず、日本のレース界自体が抱える慢性的な問題でもあり、解決策はほぼ存在しないと思われる。


とはいえ、これは欧米をスタンダードとして考えた場合の話。

それならいっそSUPER GT自体をアジアの最高峰レースと認知させよう、という声は内外から強い。


運営自体の問題

Youtubeのサムネイル等を作っていない、おかしなグラフを投稿したりするなど、広報にはあまり力が入っていない。

2023年シーズンにはレース後の車検違反が多発したり、レース中の疑惑の部分をオンボード映像からカットするなど、レース方面でも怪しい部分がある。

その他にも、GT500にGTA代表の息子が代表を務めるチーム(RACING PROJECT BANDOW)が存在し、それに忖度したと言われる裁定を行うなど、裁定の公平性には疑問が呈されている。


痛車の参戦

創作物やそのキャラクターとのタイアップカラーリングを纏う、いわゆる痛車のレーシングカーが多数存在する日本のレースだが、それはGTも例外ではない。

ただし、GT500で禁止されているわけではないにもかかわらず、参戦事例は全てGT300のみとなっている(GT500は2007年のKRAFTの機動戦士ガンダム00が唯一)。


アニメ・キャラクターチームマシン活動年備考
マッハGoGoGoチームマッハ※12002年~タツノコプロ40周年のプロジェクトとして発足。最古にして最長の歴史を持つ。
トイ・ストーリーaprMR-S2007年Teamラナおよびウォルト・ディズニー・ピクチャーズとの共同事業。チャンピオンを獲得
機動戦士ガンダム00KRAFTSC4302007年放送開始に先駆け第5戦からガンダムカラーに変更(車種名もバンダイ00ダンロップSC430に改められた)。ちなみにバンダイはメインスポンサーである。
カーズaprMR-S2008年前年のトイ・ストーリーに続く共同事業。第3戦富士で優勝。
初音ミクTeam Studie→Team UKYOZ4SLS AMGAMG GT2008年~グッドスマイルレーシングとのコラボ事業。3度チャンピオンを獲得した最強の痛車。
鏡音リン・レンMOLAフェアレディZ2008年最終戦の1レースのみのラッピングだが、このレースでモーラは歴史に残る大逆転でチャンピオンを獲得した。
エヴァンゲリオン※2※32010年~Teamラナが既存チームと共同で行うプロジェクトであり、年によって母体チーム・マシンは全く異なる
イカ娘LMP×PACIFIC430GTC2011~2012年J SPORTS実況の下田恒幸の「ここで行っちゃったんじゃなイカ?イカ娘!」の実況で知られる。
涼宮ハルヒDIJON9112011年第1、2、5、6戦のスポット参戦。第6戦でラッピングが刷新されている。
音々DIJONコルベット2012年涼宮ハルヒ灼眼のシャナなどのキャラデザインを手掛けたいとうのいぢ氏のキャラクター。
インフィニット・ストラトスDIJONGT-R2013年スーパー耐久も同アニメのラッピングで参戦
攻殻機動隊PACIFIC9112013年
ラブライブ!PACIFIC911→MP4-12C2014~2015年
ミライアカリPACIFIC9112019年初のVtuber痛車
ホロライブPACIFIC4882022年
ぶいすぽっ!PACIFICAMG GT2023年~

※1 モスラー、ヴィーマック、430GTC、GT-R、86など

※2 apr、カーズ東海、Rn SPORT、JOLC、X worksなど

※3 カローラアクシオ紫電、GT-R、ウラカンR8など


関連タグ

モータースポーツ GT スポーツカー 初音ミク

スーパーフォーミュラ スーパー耐久…日本国内を代表するサーキットレースシリーズ。SuperGTはグランドツーリングカー(GTカー)に分類。


脚注

(※1)2013/5/7付 オートスポーツweb DTM、16年からSGTとエンジン統一か。代表認める

(※2)2014/1/14付 オートスポーツweb レクサスの新GT500車のベース車両名称は『RC-F』に

(※3)元々はホンダブランドではなく、本来はアキュラブランドの車種である。

(※4)具体的にはウェイト(重り)である。またトヨタ・日産・ホンダ3社でフロントセクションの空力において性能が均衡するような措置が取られていたが、これもNSXがミッドシップであることに起因する。


関連動画

YouTube SUPER GT公式chより

2024 SUPER GT公式ガイド



外部リンク

公式ページ

SUPER GTプラス(テレビ東京)

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