概要
JR東海・JR西日本が東海道新幹線・山陽新幹線で運行する最速達列車の愛称。
なお、JR東日本起点の東北新幹線系統は、1997年より命名法が変更された（緩急ではなく発着エリア別の愛称）為、これにあてはまる列車名はない。
(強いて言えば命名法変更前、上毛高原→浦佐間で275km/h運転を実施した通称「スーパーあさひ」で、1990年運転開始なのでこちらが先になる)
愛称はJR東海の社内検討により決定したもので、「希望」を大和言葉にしたものとされる。この提案をしたのは当時選考委員を担当していた作家の阿川佐和子である。
歴史
1992年（平成4年）3月14日ダイヤ改正に伴い、従来の速達列車「ひかり」よりも速い列車として、東海道新幹線の東京駅～新大阪駅間にて全車指定席で運転開始。
当時利用客数を伸ばしていた航空機に対抗する列車として登場したこともあり、それまで一部の「ひかり」に連結されていた「食堂車」や「グリーン個室」や「カフェテリア」などを廃止して、乗車定員を増やしている。また速度向上を重視した事もあり、2階建て車両は導入されていない。
当初は東海道新幹線で朝と夜だけの運行であったが、翌1993年（平成5年）3月18日より山陽新幹線での直通運転も開始。毎時1本に東京ｰ博多間を設定。
その後もダイヤ改正の度に順次増発されていき、2003年（平成15年）10月1日ダイヤ改正で東海道・山陽新幹線のダイヤ構成の根本的見直しに伴い「ひかり」と入れ替わる形で大幅に増発され、名実ともに東海道・山陽新幹線の主役の座についた。1号車～3号車に自由席を設定。自由席特急料金は「ひかり」「こだま」と同額に設定されている。
2023年9月13日に、最繁忙期（大型連休・お盆・年末年始に適用）に限り、のぞみ全列車を全車指定席で運転すると発表。2023年12月28日～2024年1月4日乗車分から適用開始。
なお、他の交通機関に支障が生じた場合の救済臨や災害時に特別ダイヤで運行される臨時列車はこの限りではなく、基本的に普通車全車自由席の扱いで運行する（グリーン車は指定席だが、事前予約不可で車内精算のみとなる）。最近では2024年1月2日に発生した羽田空港地上衝突事故で羽田空港が閉鎖され、欠航便が多数発生したことに対応した救済臨時列車ののぞみが普通車全車自由席になっていた。
所要時間
現在の日中の標準的な所要時間は、東京〜新大阪間が2時間27分～30分、東京〜博多間が平均4時間57分～5時間丁度。
2023年3月18日改正で、東京～新大阪間の所要時間が平均3分短縮された。
なお、2020年（令和2年）3月14日以降においては、東京～博多間の下り最速列車は「のぞみ1号」（東京発博多行きの始発）で4時間52分、上り最速列車は「のぞみ64号」（博多発東京行きの最終）で4時間46分。東京～新大阪間の最速所要時間は「のぞみ64号」・「のぞみ265号」の2時間21分。
停車駅
現行のダイヤでは、博多・広島行きは東京発が毎時12・30・48分発で、48分発は広島行きであるが、多客期は臨時列車として博多まで延長運転されるものもある。博多発毎時15分・36分（時間帯により00分もある）が東京行きであるが、19:30発と20:01発は運行時間に規制がある関係(※)で名古屋止まりとなっている。
博多発着の途中停車駅は、
東京駅-品川駅-新横浜駅-名古屋駅-京都駅-新大阪駅-新神戸駅-（姫路駅）-岡山駅-（福山駅）-広島駅-（徳山駅）-（新山口駅）-小倉駅-博多駅
- （ ）内は一部の列車のみ停車。いずれか1駅が基本（定期列車では上り最終の1本のみ全列車停車の途中9駅のみに停車）
また、同改正改正で、相鉄・東急新横浜線の開業に伴い、新横浜始発の臨時列車「のぞみ491号」新大阪行（新横浜6:03発・新大阪8:06着）を新たに設定した。先発の「ひかり533号」広島行（新横浜6:00発・新大阪8:13着・広島9:56着）の発車後に同駅を発車し、一個西隣の小田原で「ひかり533号」（小田原6:14着・6:17発）を追い越すダイヤになっている。
（※）新幹線は周辺環境への影響や保線作業時間の確保の関係で異常時を除き24:00～6:00の間は原則として営業運転は行わないが、行う場合は速度を落として運転される。
車内設備・サービス
※2025年3月15日からは、3号車を自由席から指定席に変更して指定席を拡大、自由席を3両から2両に減少。
- 7号車に「ビジネスブース」と「SワークPシート」、11号車に「車椅子スペース」を設置。
- グリーン車のみQRコードを利用した車内販売『モバイルオーダーサービス』を導入。
- かつては3号車、7号車、10号車、15号車に「喫煙ルーム」を設置していたが、2024年3月16日改正で全面禁煙となった。
- 2025年3月15日からは、女性専用トイレを半数に拡大。
- 連休・お盆・年末年始などの最繁忙期は全車指定席で運転。
※かつては300系と500系のみ、7号車の東京寄、11号車の博多寄に「サービスコーナー」もあった。
「のぞみ301号」
運転開始当初の下り一番列車であった「のぞみ301号」の停車駅は、東京を出ると新横浜のみで(当時は品川駅は未開業)、名古屋・京都を通過していた。特にJR東海本社のある名古屋を通過するのはかなり衝撃的な出来事であり、名古屋飛ばしと呼ばれる騒動となった。ちなみに、この「のぞみ301号」は300系の山陽新幹線運行開始後も残ったが、1997年11月29日に「のぞみ1号」に新横浜停車を追加して統合し廃止、該当列車は同日に東海道新幹線への乗り入れを開始した500系になった。
余談
「のぞみ」という列車名はかつて朝鮮総督府鉄道・南満州鉄道で釜山～新京（現在の長春）間を走っていた急行にも用いられていたが、奇しくも同区間を走っていた姉妹列車の名は「ひかり」である。
国鉄時代から東海道新幹線の高速化計画は進められていたが、当時は「スーパーひかり構想」と呼ばれており、計画車両も当時主力であった100系に近いデザインだった。東京駅にモックアップが展示されたり、プラレールが発売されるなどした。
しかし車両軽量化の難しさや高速化重視のためにこの車両デザインはボツになり、新たに300系の開発が進められた。
「のぞみ」の指定席特急料金は「ひかり」や「こだま」より少し高めに設定してある（自由席特急料金は同額）。
また、ビジネス客向けの列車である事から、外国人向けのジャパンレールパスでは自由席・立席含めて乗車できなかったが、2023年から追加料金を徴収の上で解禁された。
2023年春より一部の旅行会社を通じて「のぞみ」の車両を貸し切りにする「貸切車両パッケージ」の販売を開始。スポーツやアイドルなどといったファン交流イベントや、車内でのプレゼンテーション・商談などを想定したもの。
プロレス団体DDTはこれに目を付け、2023年9月18日の「のぞみ371号」の16号車を貸し切ってプロレスの試合（高木三四郎 vs 鈴木みのる、いわゆる路上プロレス）を行った。
充当された車両
- 300系（1992年3月14日(山陽新幹線への乗り入れ開始は翌1993年3月18日)～2012年3月16日）※定期運用は2001年9月30日に終了。
- 500系（1997年3月22日(東海道新幹線への乗り入れ開始は同年11月29日)～2010年2月28日）
- 700系（1999年3月13日～2020年3月1日）※定期運用は2012年3月16日に終了。
- N700系（2007年7月1日～現在）※1000・4000番台ことN700Aは2013年2月8日より投入。
- N700S系（2020年7月1日～現在）
最高速度は
- 東海道区間では300系・500系・700系が270km/h、N700系・N700S系が285km/h。
- 山陽区間では300系が270km/h、700系が285km/h、500系・N700系・N700S系が300km/hである。
関連動画
CM 1992年3月 のぞみ 誕生
CM 500系のぞみ デビュー
関連タグ
勇者特急マイトガイン：ガインの元ネタが300系。名乗り口上の「銀の翼に希望(のぞみ)を乗せて〜」の元ネタにもなっている。
勇者王ガオガイガー：劇中にて登場。500系のぞみと共に出演したり、ゾンダーロボとなってガオガイガーと対峙したりと出番に恵まれる。
新幹線変形ロボ_シンカリオンシリーズ：700のぞみ、N700Aのぞみ、N700Sのぞみ、N700Sのぞみ(Z)、N700Sのぞみ(CW)
洞木ノゾミ：新世紀エヴァンゲリオンより。洞木姉妹の名前の設定は東海道新幹線の列車愛称から引用された。
