機動戦士ガンダムF91
きどうせんしがんだむふぉーみゅらないんてぃわん
人は、いつ戦争を忘れることができるのか?
『機動戦士ガンダム』の時代から40年以上、『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』の時代からは約30年経った宇宙世紀0123年が舞台となっている。
監督は富野由悠季、メカニックデザインは大河原邦男、キャラクターデザインは安彦良和という、初代ガンダムに携わったスタッフが再集結した一作であり、登場人物を「ガンダム」から「逆襲のシャア」までの登場人物より一新し、シリーズをリニューアルする意図を含んだ作品である。
また、「家族」をテーマに置いた作品でもあり、主人公達と敵対する組織であるクロスボーン・バンガードの中心となるロナ家とヒロインセシリー・フェアチャイルドの確執と葛藤、主人公シーブック・アノーと家族との和解が取り上げられている。
同時上映は『武者・騎士・コマンドSDガンダム緊急出撃』。
平成初期は今作から『機動戦士Vガンダム』の放映までわりとラグがあったため、『コンパチヒーロー』シリーズでは、『ウルトラマングレート』や『仮面ライダーBLACKRX』と共に新コンパチ御三家として紹介されている。
ちなみに映像化されたガンダムシリーズとしては、最初に主人公声優が鬼籍に入った作品となってしまった。
元号が令和に変わる前に亡くなった例としては唯一である。
コミックボンボンにおけるコミカライズは続編である『機動戦士Vガンダム』のそれと共に大まかな流れを踏襲しながらも登場人物の言動がアニメのそれと大きく異なる事から、現在でも話題の種となる作品となっている(ぼかされがちな宇宙世紀元年を正式に設定してしまっている、シーブックがセシリー信者すぎる上に野蛮すぎる、宇宙世紀なのに米食、アンナマリーとビルギットが出てこない、宇宙貴族主義にほとんど触れていないetc…)。
詳細はボンボン版F91を各自参照の事。
企画自体は1989年頃から既に存在したようでありデザインそのものは早い段階から固まっていた模様である。元々は1クール(13話)のTVシリーズとして企画されていた作品で元々の構想のプロローグ部分に当たる物語を劇場用に映像化したものである(エンドロール直前のカットで表示される「This is only The Beginning」はその名残)。
また1クールは当時のアニメとしてはかなり尺が短い。当時制作に携わっていた井上幸一の口からもF92やF93なる続編の企画もあった事が示唆されているが、実際にはメモ書き程度しか残されていなかったという。
かつて『勇者エクスカイザー』の後番組は例の続編の予定だったが、諸般の事情からF91は勇者シリーズ第2弾『太陽の勇者ファイバード』に逆転負けを喫する。現在でも続編として位置づけられたアニメは作られず、物語の前後は富野によるノベライズと、漫画作品『機動戦士クロスボーン・ガンダム』で語られている程度に留まっている。
しかし、結果としてそれまでの世界観(アムロやシャア)とは独立したアナザーガンダムの制作やガンダムブランドの継続に繋がったという意味では成功したと井上幸一は語っている。
宇宙世紀0123年。月の周辺に新設されたフロンティア・サイドのコロニー、フロンティアIV。その内部にあるフロンティア学園では学園祭が開催され、いつもと変わらぬ平和な一日が過ぎようとしていた。
そんな中、フロンティアIVに近づくMS部隊の姿があった。彼らの名は、クロスボーン・バンガード。庶民のための真の貴族による支配主義「コスモ貴族主義」を標榜するマイッツアー・ロナが創設した武装集団に所属するMSだった。
クロスボーン・バンガードのMSはフロンティアIV内部に潜入し、迎撃する連邦軍MSとの戦闘によって、平和なコロニーは一転して戦場と化していく。戦火の中、フロンティア学園の生徒であるシーブック・アノーは、幼なじみのセシリー・フェアチャイルドら学園の仲間と共に、シェルターへ避難しようとしていた。しかし、死地を乗り越え、ようやく宇宙港に辿り着いたシーブックたちの前に現れたのは、クロスボーン・バンガードのMSだった。彼らの目的は、ロナ家の血を引くセシリーを連れ帰ることにあったのだ。迎えに来た兄と共に友人たちのもとを去るセシリー。その後、脱出したシーブックたちはスペースボートでフロンティアⅠに辿り着いていた。
フロンティアⅠでクロスボーン・バンガードの追撃を逃れた練習艦スペース・アークに助けられたシーブックは、そこで母親が開発していた新型MSF91ガンダムと出会う。しかし追撃の手はついにスペース・アークにも及び、シーブックはF91で出撃。初戦闘ながらクロスボーン・バンガードのMS部隊を退けるのだった。
その頃セシリーは、ロナ家の女として生きることを心に決め、フロンティアIVで行われるコスモ・バビロニアの建国式典に参加しようとしていた。建国式典の前夜、コロニーに戻り、セシリーと再会するシーブック。しかし、彼女の決心を覆すことはできず、再び離ればなれとなってしまう。
そして、再び始まるクロスボーン・バンガードによるフロンティアⅠへの侵攻。そこで、敵と味方という立場になってしまった二人は、それぞれがMSパイロットとして戦場で再会する。しかしその進行作戦の裏ではセシリーの父である鉄仮面の巨大な陰謀が進行していた。
離ればなれとなったシーブックとセシリーは、再び通じ合うことができるのか? そして、鉄仮面が企てる陰謀の正体とは……?
(公式サイトより)
地球連邦軍、その他
- シーブック・アノー(CV:辻谷耕史)
- セシリー・フェアチャイルド(CV:冬馬由美)
- リィズ・アノー(CV:池本小百合)
- アーサー・ユング(CV:松野太紀)
- クリス(CV:遠藤章史)
- グルス・エラス(CV:竹村拓)
- ケーン・ソン(CV:佐藤浩之)
- ケニー・ハーハー
- コズモ・エーゲス(CV:渡部猛)
- コチュン・ハイン(CV:吉田古奈美)
- サム・エルグ(CV:高戸靖広)
- ジェシカ・ングロ(CV:天野由梨)
- ジョージ・アズマ(CV:西村智博)
- ストアスト長官(CV:池田勝)
- ディーナ・ジョク
- ドロシー・ムーア(CV:折笠愛)
- ドワイト・カムリ(CV:子安武人)
- ナント・ルース(CV:大友龍三郎)
- バルド(CV:若本規夫)
- ビルギット・ピリヨ(CV:塩屋翼)
- ベルトー・ロドリゲス(CV:伊倉一恵)
- マヌエラ・パノパ(CV:鈴木みえ)
- ミンミ・エディット(CV:千原江理子)
- モニカ・アノー(CV:荘司美代子)
- リア・マリーバ(CV:小林優子)
- レアリー・エドベリ(CV:横尾まり)
- レズリー・アノー(CV:寺島幹夫)
- ローバー(CV:田口昂)
- ロイ・ユング(CV:大木民夫)
作詞:西脇唯 作曲:西脇唯・緒里原洋子 編曲:門倉聡 歌:森口博子
元々は「君を見つめて -The time I'm seeing you-」が起用される予定だったのが、富野監督の判断でこちらが主題歌に起用されたのは有名な話。
ガンダムシリーズの主題歌としては28万枚と好調な売れ行きを見せ、森口博子の代表曲となった。
また門倉聡が作った今作の劇伴があまりにも某スペースオペラと似通っていたため本家の関係者から激怒されたという。
- F91という数字は劇場版公開の1991年(企画自体は1989年から存在)と合わせている説や、当時流行っていたF1ブームに便乗したなど諸説が多数ある。なお本編でサナリィが小型MSの運用化を企画した名称は「フォーミュラ企画」であり事実としてF91のデザインはF1カーがモチーフとして取り入れられている。
- TVシリーズの企画がポシャってスタッフが流された影響か同時期にサンライズで制作されていた勇者シリーズの太陽の勇者ファイバードはキャラクターデザインや作画に似通った部分があったり次年の機動戦士ガンダム0083でもメカデザインなどに面影が見られる。また0083の次年に制作された機動戦士VガンダムでF91で没になった案がいくつか採用されており、スタッフの遊び心も多少取り入れられている。
- 他には大張正己がスケジュールの関係でF91に参加できなかったり(よほど愛着があったのか後年にとある作品でF91モチーフのガンダムを登場させている)アニメーターの一人であった北原健雄がキャラクター作画ばかりで肝心のメカ作画の方に携わらせて貰えなかった事を不満に思っていたなどの逸話がある。
機動戦士クロスボーン・ガンダム(漫画。F91直接の続編)
武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃(同時に上映された映画)
シリーズ
機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争←機動戦士ガンダムF91→機動戦士ガンダム0083
宇宙世紀
機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ←機動戦士ガンダムF91→機動戦士Vガンダム
宇宙世紀(富野由悠季シリーズ)
機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ←機動戦士ガンダムF91→機動戦士クロスボーン・ガンダム