オオトモ博士「ナカジマ君。もし怪獣と人間が共存できるとしたら、どう思うかい…?」
概要
ウルトラシリーズでも度々語られる「怪獣と人間との共存」をテーマとした話だが、本編はどちらかというと怪獣プロレスに力を入れているのかメッセージ性はやや薄め(そもそも本編に登場する怪獣達は皆、人工的に生み出された怪獣である為、『共存』以前の問題ではあるが)。いわゆる「ダイナ版の多々良島」とも言うべきか。
また、本編では前作「ティガ」第26話に登場したシルバゴンが再登場しており、シルバゴン好きな方はそちらと合わせて視聴するのがお勧め。
予告
魔のザリーナ地帯に消えたTPCの科学者。
地上最強のネオザルスの出現!
次回、ウルトラマンダイナ『激闘!怪獣島』お楽しみに
あらすじ
ナカジマと共に生物工学研究所を訪れたアスカは、かつて第4メラニー遊星で出会ったハネジローと再会。しかしその後日、研究所の責任者であったオオトモ博士がヤマザキ・ヒロユキを始めとした研究員と共にハネジローを連れて姿を眩ませてしまった。
ミドリカワ・マイによると、彼らはバミューダ海域より危険な「ザリーナ地帯にある地図に載っていない無人島」にいる事が判明。すぐさまアスカはコウダ、ナカジマと共にザリーナ地帯へと向かう。
だが、彼らを待ち受けていたのは、かつてティガやダイナによって倒されたハズの怪獣・シルバゴンとシルドロンだった。何とオオトモ達はここ無人島において人工的に怪獣を生み出していたのだ。
ヤマザキによって研究所へと案内されたコウダとナカジマは、そこでオオトモの真の目的を知る。
かつてオオトモは、怪獣を危険な環境で作業させたり、侵略者を撃退したりする家畜として利用しようと考え、人間の命令に従う怪獣を生み出すべく遺伝子操作によるクローン怪獣の開発を行っていたのだが、TPC生物工学委員会から「神をも恐れぬ行為」だと非難され、怪獣遺伝子実験の中止を命じられたのだという。自らの実験を否定されたオオトモはそんな彼らに復讐する(自分の研究の正当性を認めさせる)為に最強の怪獣を生み出していた。それがネオザルスであった。
しかし、ネオザルスには知性が無い為、オオトモは拉致したハネジローから遺伝子を抽出しようとするも、ガッツイーグルαに乗り込んでいたアスカに妨害された挙句、更には騒ぎに気付いたシルバゴンに研究所を破壊されそうになる。
オオトモは研究所を守る為、止む無くネオザルスを起動。シルバゴンを撃退させるが、肝心の研究所は大破。しかも制御が効かなくなったネオザルスは生みの親であるオオトモを殺害してしまう。
その後、ネオザルスはアスカが乗っていたガッツイーグルを破壊するが、アスカは寸前でダイナに変身。オオトモが生み出した罪の象徴とも言えるネオザルスを葬り、ハネジローと再会を果たすのだった。
今回のシルバゴンについて
前作でティガを苦しめた強豪怪獣であるシルバゴンが意外にも再登場した回ではあるが、前回ではガギⅡに対して圧倒的な実力で勝利し、格の違いを見せつけたのに対し、今回は逆にネオザルスから格の違いを見せつけられるという皮肉な結果に、良くも悪くも印象に残った人もいるはず(実際、どちらかというとティガ怪獣よりもダイナ怪獣の方が強力な個体が多く、ある意味ネオザルスはそれを証明したとも言える)。
しかし、これまで登場した強豪怪獣が他作品において別の怪獣に敗れるという事例は決して珍しい事ではない。
例えばこれまで数多くの怪獣達を打ち破ってきたレッドキングに至っては、ウルトラマンパワード第12話においてパワードドラコに敗れた他(因みにドラコは「初代マン」第25話においてレッドキングに敗れているという事例がある)、大怪獣バトルシリーズにおいてもゴモラに三度も敗北している(この他にも、ウルトラマンZ第24においてもレッドキングはデストルドスに敗れていた)。
更にウルトラマンA第8話においてムルチ(二代目)を惨殺した事で有名な超獣・ドラゴリーもまた、同じく大怪獣バトルシリーズにおいて、本来なら自分より格下であるはずのゴモラやエレキングに敗北している。
そして何より、最初にウルトラマンを倒した怪獣として有名なゼットンを初めて破った怪獣もまたゴモラである(しかもこのゴモラは、ウルトラセブンを苦しめたロボット怪獣として有名なキングジョーやウルトラマンを二人も倒した事のある地球怪獣最強のバードン、更にはウルトラ5兄弟に連戦連勝したタイラントにも勝利している)。
この様にどの強豪怪獣においても決して完全無敵という訳ではなく、時と場合によっては意外な相手に敗北してしまう事もあるのだ(ただし、これらのゴモラは、レイオニクスの力によって強化された個体である事を考慮すべし。また、今回のネオザルスに至っても、シルバゴンを圧倒できたのはオオトモによって遺伝子強化を施されたからであり、そうでなければシルバゴンに勝機はあってもおかしくはなかっただろう)。
また、今回のシルバゴンは(弱点である視力が克服されたとはいえ)初代に比べて弱体化しているのではないかという見方もある。
実際、前作の個体はティガのゼベリオン光線にすら耐え抜くほどの耐久力があったにもかかわらず、今回の個体はガッツブラスターやブレイクシューター等のスーパーGUTSの携行火器だけでダメージを受けてしまっており、こう考えると「ティガが挑んでも楽勝なのではないか」と思った人もいるだろう(そもそもこの程度の攻撃で日常的に怪獣を撃退できるのならTPCも日頃から苦労などしないはずである)。
因みにシルバゴンはウルトラマンブレーザーの世界観にも登場していたが、こちらの防衛隊はウルトラマンの力を借りずともシルバゴンを倒している事から、こちらの個体も本編同様に耐久力が低かったのだろうか…?
今回は残念ながらダイナとの直接対決は実現しなかったが、今回のネオザルスには愚か、後に本編の11年後に公開された映画に登場した本個体よりも遥かに強化されたシルバゴンにすらダイナはあっさりと倒してしまっている事を考えると、仮に本編で対決できたとしても、ほとんど相手にはならなかったかもしれない。
余談
- 本編において、ハネジローは人間で例えると「小学2年生くらいの知識」を持っているという事がオオトモの口から語られている。因みにハネジローはその事実を聞いたアスカから、「お前、小学2年生なのか!」と聞かれた際、大きく頷いているシーンがあったが、果たして…。「こりゃアスカよりハネジローの方がよっぽど賢いや!」
- 前述の通り、オオトモは「怪獣との共存」という目的のためにネオザルスを始めとしたクローン怪獣を多数生み出したが、実際には「怪獣を人間の都合で利用しそのために身体改造(遺伝子操作)をする」という人間の手による怪獣の支配であり、しかもネオザルスに知性を持たせるためにハネジローを犠牲にしようとするなど(更にネオザルスもまたオオトモの身勝手な目的で改造された上に怪獣やウルトラマンと戦わされ倒されるという境遇を考えると、ある意味一番の被害者とも言える)、とても「共存」とは言えない形であった。
しかし、人間は以前から動植物の品種改良を行ってきており、動植物は好きなだけ作り変えて良くて怪獣が駄目というのは単なる好き嫌い・ワガママではないのかと指摘されたらコウダとナカジマはどう答えたのか?という点をある熱心なファンが推察している。
- 前作に登場したシルバゴンは時空界に生息しており、そこでティガによって殺されてしまった為、「オオトモ博士は一体どのようにしてシルバゴンの遺伝子を手に入れたのか?」という疑問が残る。
- ウルトラマンデッカー第10話「人と怪獣」は本編エピソードのオマージュ回となっており、ネオザルスに似た怪獣であるネオメガスと、オオトモのオマージュキャラであるシゲナガ・マキが登場。尚、こちらの回は怪獣プロレスが薄れた代わりにドラマ性が重視され、よりメッセージ性が強調されている。
関連タグ
多々良島:本エピソードのオマージュ元。
虹の怪獣魔境:前作「ティガ」第26話のサブタイトルで、シルバゴンが登場。こちらも多々良島のオマージュ回である。
ミュウツーの逆襲、ジュラシック・ワールド:どちらもクローン技術で生み出されたモンスター達の戦いと悲劇を描いた作品。
人と怪獣:ウルトラマンデッカーにおける今作のオマージュ回