概要
『Fate/GrandOrder』の外伝ギャグ漫画。
作者は槌田氏。
主人公は男性。素直で天然すぎる主人公にサーヴァントやカルデアの仲間達が振り回されたり、逆に主人公の方が振り回されたりする。
緩くのほほんとした雰囲気に反し、コミカライズとしては初の第二部の時間軸を描いており、それも第0話からいきなり旧カルデアが襲われシャドウ・ボーダーに乗って避難中。
その後も作中の攻略はかなり進んでいるようで、ストーリーを進めないと解放されない機能や新章のキャラクターなど、掲載時点でのゲームの最新部分に関する話題が普通に出てくる。
同じギャグコミカライズでも、まんわかと比べるとサーヴァントたちの性格や行動もギャグ寄りではあるものの本来のキャラクター像から大きく逸脱してはおらず、ゲーム設定にもかなり忠実。
ゲーム中の要素の数々は「ログインボーナスは朝に主人公のマイルームの枕元に置かれている」「青銅の果実はスタミナを消費し苗木から育てる」「星見のティーポットはサーヴァントとマスターが一緒に飲む」といった形で表現されている。
逆に、「マスターが寝ている=動けない間はサーヴァントは自動で攻撃できない」「保管庫に同じお返し・イベント礼装がいくつもある」「星見のティーポットに有効期限が存在する」等々、忠実なところをメタネタにも使ってくる。
公式の紹介でまんわかと比較された時は「わからないの方がわかります」とか言われたりしてしまっている。
主人公及び本作の通称は『謎丸』。
本作の時系列について
時系列については諸説あるが、保管室を整理した際の台詞(原作12話、アニメSEASON1・6話)から北欧異聞帯攻略までは確定済。原作40話で聖杯鋳造ができている事を踏まえれば、ツングースカも攻略している。
更にカルデアにテスカトリポカ、トラロックといったミクトランの面子がいる事から南米異聞帯攻略済、ドゥリーヨダナも含めればペーパームーン攻略済という可能性まで浮上した。
ただしこの人が登場したり、この人とこの人がカルデアに同時にいたりもするため、「第2部の設定を下敷きにしたパラレルワールド」「大まかなシナリオはゲーム本編と同じだが、本編ほど重い展開ではない」といった説も存在する。
公式も厳密な時系列は定めず、「第2部のどこか」という形であえて曖昧にしていると思われる(ちなみにこの人は4巻描き下ろしで眠っている姿が描かれた)。
アニメ
2022年の大晦日特番にて、まさかのアニメ化を果たし、シリーズ化も決定した。
2023年2月7日から毎週火曜日にFGO公式Twitter(X)とYouTubeチャンネルにて、各話2分前後で配信。キャストは当然ゲームと同じなので、「あの人にこんな台詞を言わせるのか」「このためだけにアフレコスタジオにキャストを呼ぶのか」と思わされる事も少なくない(ちなみに、フェスとのついで録りもしていないらしく、フェスと同じ出演者がいれば2回来たと思っていいとのこと)。
また、おまけとして最後にシルエットクイズが出題されるが、答えは毎回視聴者の予想の斜め上を行くものであり、正解はほぼ不可能な無理ゲーと化している。
以下はその一例。
- 巌窟王に見せかけて巌窟王に変装したホームズ(22年年末特番)
- 頭にプリムを付けており、本編に出ていたからアルトリア・オルタ(水着)……と思わせてただ単にメイド服を着せられた青いセイバーのアルトリア(SEASON1・6話)
- メドゥーサだがライダーではなくランサー(SEASON1・7話)
- シルエットクイズの先輩に倣った伝説のネタ(SEASON1・11話)
- 青いセイバーのアルトリアと思わせて水着の方のアルトリア(SEASON1・29話)
- 普通の寸胴鍋だが正解は中身(カレー)(SEASON2・1話)
- 水着ニトクリスの第一再臨と思わせてシーツをかぶったフォウ(SEASON2・2話)
- 普通の宝箱に見せかけて正解は中身(聖杯)(SEASON2・5話)
- 本編に出てきた八犬士のどれかに見せかけて正解はカヴァスⅡ世(SEASON2・6話)
- 本編に出てきたタヌキに見せかけて正解はアナグマ(SEASON2・8話)
- 本編に出てきた饅頭に見せかけて正解は苺大福(SEASON2・10話)
- 本編に利休が出てきたため抹茶入りの茶碗に見せかけて中身はお茶漬け(SEASON2・11話)
- 本編に卑弥呼が出てきたため、卑弥呼の土偶に見せかけて正解はノッブの土偶(SEASON2・13話)
- 本編に絵本のナーサリーが出てきたため、ナーサリーかスペルブックに見せかけて正解は邪悪教典(SEASON2・14話)
- 本編にアタランテ・オルタが出てきたため、アタランテ・オルタに見せかけて正解は仕留めた魔猪を肩に担いだアーチャーのアタランテ(SEASON2・15話)
- 本編にザルを使った罠が出てきたため、ザルに見せかけて正解は罠にかかった、ベーコンの誘惑に抗えなかったフォウ(SEASON2・17話)
- 本編にミス・クレーンが出てきたため、鶴に見せかけて正解はボーパルチキン(SEASON2・18話)
この理不尽ぶりを逆手にとって、SEASON1・5話の答えが普通に虞美人であったり、SEASON2・12話では1/1のヒポグリフ人形に見せかけて人形のようにおとなしいヒポグリフ自体だったりした事も……。
なお、アニメ化に合わせてムック本『藤丸立香はわからない まるわかりBOOK』が発売された。「わかるのか、わからないのかどっちなんだ」とツッコまれたのは言うまでもない。
2023年7月2日には『今からでも間に合う!「Fate/Grand Order 藤丸立香はわからない」スペシャルセレクション』がFate/strangefakeスペシャルアニメの後に放送。SEASON1・14話→18話→10話→8話→16話の順番で放送された。
『FGOフェス2023』でも新作エピソードが多数放送され、プログラムの一つである『FGO 藤丸立香はわからない グランドフィナーレ』にてアニメは最終回を迎えた。
…かに思えたが、イベントでの思わせぶりなエンドカードを回収するかのように『Fate Project 大晦日TVスペシャル2023』にて新規エピソード『大忘年おたのしみ会2023』が放送。『大忘年おたのしみ会2023』の裏でモリアーティと密会していた密会人Yの正体を探る本格ミステリーとなっている。
同スペシャルではアニメ以外にもまさかのゲームインフォメーションを担当。開発ディレクターのカノウヨシキと共に正月イベントや2024年のFGOについて紹介した。さらには番組最後に2024正月ピックアップサーヴァントの発表という大役を任された。
さらに2024年8月3日、『FGOフェス2024』のステージにてSEASON2の配信が発表。同時に1話&2話が公開された。
ちなみに、このステージにて、リヨぐだ子が乱入し実写シルエットクイズを出題した。
答えはテキヤトリポカの格好をした金沢さんに見せかけて、実際にコスプレをしていたのはカノウさんだった。余談だが、テスカトリポ金沢が登場した時点で『次はテスカトリポカノウさんも』と反応していた人がいた
8月7日以降、毎週水曜日にSEASON1と同様の形式で配信。
制作スタッフ
原作 | 槌田 |
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監督 | 槌田 |
キャラクターデザイン | 槌田 |
脚本 | 槌田 |
演出 | 槌田 |
撮影 | 槌田 |
編集 | 槌田 |
音楽 | 毛蟹・Iruma Rioka・Pan |
音響制作 | INSPION エッジ |
制作 | DLE |
上記の通り、監修は殆ど作者である槌田本人が行っており、ショートアニメでお馴染みのDLEがアニメーション制作をしている。
また、『大忘年おたのしみ会2023』ではミステリーコンサルタントとして円居挽が参加している。
メインキャラ
CV:島﨑信長
主人公。天然でKY風味でかなりの食いしん坊な男の子。異聞帯のレポートを溜め込んで所長に叱られたりする様は小学生男子のノリであり、大体そんなイメージであってる。時々電池が切れたみたいに眠ってしまう。廊下で寝ちゃうなんてこともザラ。「何??? 赤ん坊???」(by槍ニキ)
複数のクラスが混在する戦場には「とりあえずバーサーカー」で挑む等、時々FGOマスター達を彷彿とさせる一面も。
クラス相性がわからない、サーヴァントの真名がうろ覚え、クラススキル「単独行動」をロンリーウルフと勘違い、など、劇中では度々FGO知識のわかってなさを露呈させている。更に南極が出てこない等、一般常識にも少々疎いところが見られる(ラスプーチンの想像では、バールとスパナの違いがわかっていなかったり、ボルトやナットも「ネジみたいなやつ」と呼んでしまっている様子が見られた)。
このカルデアには妖精國やミクトランの面々がいるため、例のイベントや例の型月最強生物をほぼ確実に通過しているはずであり、にもかかわらず純朴さを失っていない精神力に少し戦慄を覚えた読者もいるとかいないとか。(ただし、上記の通りホームズや武蔵が健在であるため、本当にミクトラン通過済かは少し曖昧になっている)
同じ相手からのバレンタインイベント礼装を何年分も貯め込んでいたり、数的に見るとこれまで入手可能だった聖杯をほぼフルコンプしていたり、サーヴァントの強化クエストを消化済みであったりなど、地味にプレイヤー的に見ても相当古参の部類の様子。
作中はおろか編集部にもよく名前を間違えられるが、自分もサーヴァント達の名前の読み書きが怪しいため強く言い出せない。
緩い性格だが異聞帯を攻略しているだけあり、個性が強すぎるサーヴァント達とのコミュニケーションはかなりしっかり取れている。とある回では「オレの身に何かあったら誰が地球を救うんですか!?」と医神にツッコミを入れており、人類最後のマスターとしての自覚も相応にある模様。
CV:高橋李依
我らが後輩。先輩を補佐するしっかり者だが結構先輩と同じノリを発揮するため、ダ・ヴィンチちゃんいわく「毒されてる」。
CV:坂本真綾
ツッコミ役の天才美少女。振り回される側かと思いきや、話題にのめり込んで本題を置き去りにしたり思いつきでドえらい事をしでかしたりする。
CV:水島大宙
ご存じ名探偵。ダ・ヴィンチがツッコミ切れない藤丸のボケをフォローしたりする名コンビ。でもたまに一番割を食う。
CV:伊丸岡篤
料理の上手い新所長。その腕前はカルボナーラの匂いで騎士王を呼び寄せ、対抗心を燃やした赤い弓兵を誘い出す程。根っからの善人で常識人なので一番振り回されている。
CV:青木志貴
アトラス院からの協力者。理知的に振舞うが結局ボケ側。
本作アニメSEASON1・16話でまさかのCV解禁。
関連動画
1巻発売記念ボイスコミック
年末アニメスペシャル
アニメ本編
SEASON1
第1話 | 急な眠気の理由は… | 第2話 | 叡智の結晶の材質は… |
---|---|---|---|
第3話 | キミの好みは… | 第4話 | お米の食べ方は… |
第5話 | 全体攻撃の代償は… | 第6話 | 倉庫整理の方法は… |
第7話 | 箱の中身は… | 第8話 | 切れないものは… |
第9話 | 一番言いたいことは… | 第10話 | フォウくんの正体は…※1 |
第11話 | キャプテンの頭の中は… | 第12話 | レポート作成に大事なことは… |
第13話 | 呪腕の真価は… | 第14話 | 艦の強化に必要なのは… |
第15話 | 金羊毛皮を超えるものは… | 第16話 | 最適な礼装は… |
第17話 | キミのあだ名は… | 第18話 | 視線の先にあるものは… |
第19話 | 夢の中の出来事は… | 第20話 | 非常事態にやるべきことは…※2 |
第21話 | 感染予防の対策は… | 第22話 | 心変わりの理由は… |
第23話 | アガートラムの実力は… | 第24話 | 絡繰の不調原因は… |
第25話 | 正しい令呪の使い方は… | 第26話 | オレの後輩は… |
第27話 | 隠れてしまう気持ちは… | 第28話 | 伝えたい思いは… |
第29話 | 悪属性の真髄は… | 第30話 | 夏の思い出は… |
第31話 | ジェットスキーの乗り方は… | 第32話 | 事件の真相は… |
第33話 | 聖杯に願うことは… |
※1 特殊ED1。通常はEDの右下でフォウが走っているが、本編の内容を踏まえ、とぼとぼ歩く映像になった。ED曲も疲れ切ったフォウの鳴き声に変わっている。
※2 特殊ED2。本編に登場するアキレウスが走った。
SEASON2
第1話 | お茶の大量消費法は… | 第2話 | オフの日の過ごし方は… |
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第3話 | 好きな理由は… | 第4話 | 真の堕落は… |
第5話 | アンガーマネジメントは…※1 | 第6話 | 犬とのふれあい方は…※2 |
第7話 | 落ち着くマイルームは… | 第8話 | 葉っぱの贈り主は…※3 |
第9話 | 馬のゆくえは…※4 | 第10話 | 埼玉から出る方法は… |
第11話 | 招かれざる客は… | 第12話 | ローランの弱点は… |
第13話 | 野外で役立つスキルは… | 第14話 | 魔導書の代用品は… |
第15話 | 子供たちとの接し方は… | 第16話 | 刀匠は… |
第17話 | お宝を盗んだ犯人は… | 第18話 | インスピレーションの源は… |
※1 モブでアマゾネスが3人登場。キャストは福圓美里・本多真梨子・花守ゆみり。
※2 特殊ED3。本編に登場する八犬士たちが走った。また、上記の3人と高橋李依が犬士役を担当。
※3 特殊ED4。本編にて(藤丸の想像内で)登場したタヌキが走った。タヌキのキャストは花守ゆみり。
※4 この回でクサントスが喋った。キャストは坂泰斗。坂氏は14話でもモブの兵士役を担当(坂氏の方は『兵士B』。兵士Aはジルとの兼ね役で鶴岡聡氏)。
連載開始の経緯
元々、槌田氏は個人的にFGOの二次創作を行っており、同人誌の頒布も行っていた。
そんな槌田氏の元に、ある日KADOKAWAから連絡が届くという事態が発生。
何かマズイ事でもあったのかとビクビクしながら行ってみると、通された会議室の机に槌田氏の同人誌が置かれており、面談した担当者(後の謎丸編集担当)から
「これを関係各所に見せびらかして、既に連載許可を得た」
と迫られたのだという。
先に原作関係各所(TYPE-MOONやアニプレックス)へ話を通し、外堀を埋めた状態で作者に連載を打診するという嘘かフィクションのような展開である。KADOKAWAのフットワークの軽さはさすがというべきだが、槌田氏によると「一番ノリノリで恐ろしかったのはKADOKAWAさんで TYPE-MOONさんやアニプレックスさんは『まあ いいけど……』くらいの温度感であったと思われる」との事。
なお、この経緯については槌田氏が直接言及したのがFGOフェス2023『藤丸立香はわからないグランドフィナーレ』ブースのゲスト出演時の発言だった関係で音声アーカイブが残っておらず、
といった具合に、SNSでの伝言ゲームでエピソードが盛られている事がある(このため槌田氏が直接Xで言及するに至った。⇒その1、その2)。
ただ、一番ウソみたいな部分(既に外堀が埋まっていた)は、概ね正しく伝わっている模様。