概要
BUSINとは2001年11月15日にATLUSより発売されたPS2用3D ダンジョン RPGである。
正式名は『BUSIN Wizardry Alternative』。
海外市場では『Wizardry Tale of the Forsaken Land』として発売された。
その名のごとく『Wizardry』の流れを汲み、大まかなシステムは継承しつつも随所に大胆なアレンジが為され、和製RPGの進化の歴史の上に『新生した』Wizardryと言える。
モンスターのデザインを寺田克也が担当したことでも話題となった。
キャラクターのデザインは前納浩一。
システム
聖都ドゥーハン
「酒場(Bar LUNALIGHT)」「冒険者ギルド」「サレム寺院」「冒険者の宿」「ヴィガー商店」「セーブポイントの石碑」があり、ゲームの進行状況はプレイヤーの任意でセーブする。
キャラクター
種族(人間・エルフ・ドワーフ・ノーム・ホビット)、属性(善・中立・悪)の組み合わせに、能力値(力・知恵・信仰心・生命力・敏捷度・幸運度)の条件によって選べる職業(戦士・盗賊・僧侶・魔術師・司教・侍・騎士・忍者)が決定されるのは従来どおり。
システム上性別による影響はなく、種族と属性の組み合わせで15通りの性格が存在する。
上級職への転職は一定のレベルに達していることが条件となり、転職を行っても経験値は維持される。
それまでのWizardryとの大きな違いの一つが『主人公』の存在。記憶を喪った人間の青年であり、パーティから外すことはできない。このため『パーティの全滅』および『主人公の消滅』は即ゲームオーバーとなり、最後にセーブしたところからのやり直しとなる。
迷宮探索に同行する仲間たちは、従来同様に冒険者ギルドで登録する『メイドキャラクター』と、ストーリーの展開と共に登場する『オリジナルキャラクター』の二種がある。オリジナルキャラクターは改名・転職ができず、シナリオ中に会話イベントが発生することがある。
どちらもそれぞれの能力とは別に、主人公に対する信頼度が存在し、主人公の(つまりプレイヤーの)行動によって上下する。ただしその条件は性格によってバラバラ。
全員の信頼度の平均によってパーティランクが確定され、後述のアレイドをはじめ多くの行動・現象に影響する。ランクは低いほうから順に『憎・疑・盟・義・友・信・誓・絆』となり、基本的には高いほうが有利である。なお、パーティー編成で主人公一人になった場合は、パーティランクが『なし』になる。
魔法石
魔術師系と僧侶系の二系統にそれぞれLv1からLv7までの呪文がある。
忍者はLv2・盗賊はLv3までの両系統の呪文を、侍はLv6までの魔術師系呪文を、騎士はLv6までの僧侶系呪文を習得できる。
最高位のLv7呪文を習得できるのは呪文の専門職である僧侶・魔術師・司教のみ。
呪文はレベルアップによってではなく、各呪文の魔法石の使用によって習得でき、さらに同じ魔法石を使用することでその呪文のランクを上昇させることができる。ランクの上限は呪文ごとに異なり、上昇するランク自体がない呪文もある。
転職後も呪文の習得状況・ランクは維持される。
魔法石はそれ自体を入手できることもあるが、基本的には戦闘によって合成素材を入手し、商店の女将に錬金術で合成してもらうのが基本。逆に魔法石を素材に分解してもらうこともできる。
アレイド
戦闘面での最大の特徴が、複数のメンバーが連携で一つの技を繰り出す集団戦術・アレイドアクション(AA)である。
攻撃系14種・防御系3種・魔法系4種・援護系3種の四系統24種に加え、パーティ全員が死神憑き(後述)の状況でのみ使用できる5種の死神アレイドがあり、習得方法と使用条件はそれぞれ設定されている。
パーティランクによっては同一ターンに複数のAAを使用することもできるが、一つのAAに参加しているメンバーが別のAAに加わることはできないので、組み合わせのパターンは自ずと限られてくる。
なお、一部のAAはモンスターが使用してくることもある。
死神
『迷宮内の特定の地点を通過する』もしくは『同じフロアに一定時間留まる』という条件を満たすと、黒いガス状の屍衣を纏った巨大な髑髏の幻影=死神が出現する。
地形を無視してパーティを猛然と追跡し、追いつかれるとメンバーの誰かが『死神憑き』という状態異常に陥ってしまう。
生存率が低下するデメリット満載の状態だが、上記の死神アレイドが使用できる他、通常時は見つけることも通ることもできない『死神扉』を視認・通過できるというメリットもある。
この死神を倒すことはできないが、物語を進めていくと実体化した死神(メイン画像参照)と直接対決することになる。
依頼
街の酒場ではパーティ編成やトラップ解除(コマンド式)の練習の他、市井の人々の依頼を受けることもできる。
達成すればアイテムなどの報酬がもらえるほか、一部の依頼はオリジナルキャラクターの加入イベントや便利なサービスの開始条件、あるいは物語の重要な伏線にもなっている。
ストーリー
舞台となるのはベノア大陸の聖都・ドゥーハン。
慈愛と叡智に溢れた名君・第十七代女王オティーリエと、彼女を護る精鋭部隊・クイーンガードによって、平和な時代が続いていた。
だが、天空より突如降り注いだ怪奇現象・閃光によって、平穏は破られた。
美しい町並みも荘厳な王城も、見る影もない廃墟と成り果て、さらに城の地下は時空の歪みによって魔物が徘徊する迷宮に繋がってしまった。
絶望と死の気配に覆われたドゥーハンの街、真意の見えない奇行を繰り返す女王とクイーンガード、言動や記憶が微妙に食い違う住民たち、そして現れた記憶喪失の主人公と、彼を導く白髪の剣士…
ネタバレになるので詳述はしないが、端的に言って物語全体が非常に『暗い』うえ、ラスボスを倒してゲームをクリアしても最終的に『全く救いがない』と評する人もいる。
そんな中、依頼を持ち込んでくる市民や友好的なオークたちのとぼけたやり取りがわずかな救いであるともいえる。
いずれにせよ、この物語に何を見出すかはプレイヤーそれぞれの価値観次第である。
なお、シナリオ本編クリア後には、9999階層のランダム生成ダンジョン『the ABYSS』に挑戦できるようになる。
登場人物
オリジナルキャラクター
主人公
NPC
白髪の剣士