聖魔の光石
せいまのこうせき
概要
2004年に任天堂から発売された『ファイアーエムブレム』シリーズの第8弾(サテラビューで配信された『BSファイアーエムブレム アカネイア戦記』を加えた厳密な作品年譜上では第9弾)であり、GBA版シリーズの最終作。
特徴
従来の作品と比べてシリーズ第2弾の『ファイアーエムブレム外伝』を意識した作りとなっており、「ストーリー分岐」「兵種分岐」「エクストラマップ」の3大システムの復活、導入によって自由度と多様性を前面に押し出している。
ただし、上記の3点は元来の仕様とは若干異なり、以下のような相違点が挙げられる。
ストーリー分岐
物語の中盤でエイリーク、エフラムの2人それぞれの進行を追う分岐点が登場する。しかし、プレイヤーはエイリーク編とエフラム編のどちらか1つしかシナリオを選択できず、どちらを選択しても仲間の大半をそのまま引き継ぐ形で物語が続くなど、
『外伝』のように完全に独立した分隊を同時に進軍させる展開にはならない。
兵種分岐
例えば、従来の作品ではアーチャーの上級兵種はスナイパーに固定されていたが、これとは別にフォレストナイト(剣と弓を操る軽装騎兵種)が選択肢に加わるといったように、クラスチェンジの際に2つの兵種が示されるようになる。
ただし兵種分岐の特徴を象徴する『外伝』の最下級兵種である村人だけは5つの選択肢(ナイト、ソルジャー、アーチャー、傭兵、魔道士)を持っていたのに対し、
それに相当するロス、アメリア、ユアンの3名(固有最下級兵種のかけだし戦士、新人兵士、魔道士見習い)の選択肢もまた2つになっている。
なお固有最下級兵種は初期のレベル上限が10であり、初期パラメータもかなり低い。
レベル上限を迎えるだけでクラスチェンジ可能であり、他の者よりも1回多い兵種経験によって数値はかなり底上げされるのだが、
逆に言えば早急にそこまで育てないと、序盤ですら戦力となり得ない立ち位置にあるのだ。
他にも固有最下級兵種には他の兵種とも扱いの異なるかなり特殊な性質がある。
条件を満たすと第3の選択肢「兵種の継続」が出現するのだ。
固有最下級兵種は高い成長率を誇っているのだが、最下級兵種を継続させることでそれを引き継げるのである。
レベル上限が20に拡張されクラスチェンジアイテムも必要になる(下級兵種と同様の扱いになる)が、固有のクラスパラメータも付与されるようになる。
そして次のクラスチェンジも最下級兵種を続けると、ロスとアメリアには必殺率15%が加算される能力値ボーナス、ユアンには光魔法と闇魔法の併用が可能となる使用武器ボーナスが付与される。
最終的な数値や破格の固有ボーナスだけで考えれば有力なユニット候補ではあるものの、
比類の無い成長要素を相殺する最大の弱点として全く変わらない体格が挙げられる。
「武器重量の影響をまともに受けて攻撃速度が格段に落ちる+攻撃回避率と追撃発生率が非常に悪い」という問題とどのように向き合って主力戦線で運用できるかが上級者か否かを分ける腕の見せ所となる。
エクストラマップ
指定されたステージをクリアする方式はそのままに、特定章での連戦を除くステージ毎の幕間に大陸全土を自由に往来する任意のマップ移動システムが登場する。
武器と道具の売買はエクストラマップ上でも可能(ステージマップに各店舗が存在する地点に限る。)。
闘技場の利用はステージ進行中のみだが、物語の中盤からは各地にランダムで出現するシンボルエンカウント、さらに特殊ステージ『ヴェルニの塔』『ラグドゥ遺跡』による自由戦闘が可能となる。
シンボルエンカウントや特殊ステージの登場によって能力値や武器レベルの吟味、レアアイテムの拾得を含めた戦力増強が極めて容易となり、ステージ構成もこれらを利用する前提で大量、且つ強固な兵力を揃えた布陣、圧倒的な増援部隊の派遣を当然としている。
しかし作品そのものの難易度は『トラキア776』以前の旧5作品に比べればむしろ遥かに穏やかであり、
使用するユニットの選抜に注意を払った育成と指揮を心掛ければこれらを利用せずに完全攻略に漕ぎ着ける算段が充分に整う。
考え得る限りの戦略を駆使しても難航する異様な難易度をこそ是とする旧来のユーザーからは「シリーズ最悪の駄作に貶めたFE」として黒歴史に等しい冷遇を受ける一方、
旧作を知らない、あるいは知っていても攻略に至らなかったユーザーからは「初めて攻略できたFE」と厚遇され、賛成派と反対派がはっきりと袂を分かつ形で作品を象徴する結果となった。
ストーリー
古の時代より、魔物が存在するマギ・ヴァル大陸。人は、魔を封じる五つの聖石を以って平和を手に入れた。
時は流れ…大陸は幾つかの国々に分かれ、古より伝承される聖石を守護石として国家を形成していた。
その聖石を持つ国の中でも最大の国力を誇るグラド帝国が、皇帝の命の下、突如大陸全土に侵攻を開始する。
グラド帝国領と広範囲で隣接していたルネス王国は、あまりにも突然の攻撃に反撃もままならず、次々と要所を落とされていった。
この戦乱の中、折しも王都を離れていたルネス王子エフラムの消息も途絶える。
勢いに乗ったグラド帝国軍の侵攻は遂に王都にまで達し、ルネス王国は陥落する。
落城の際、国王ファードは、残された王女エイリークに同盟国であるフレリア王国へ逃れるよう命じ、自らは王城に残り最期まで抵抗した。
エイリークは、騎士ゼトを始めとする数名の従者と共に、フレリア王国へと向かうのだった…。
(公式HPより引用)
プレイヤーユニット
ルネス王国
マギ・ヴァル大陸の中央に位置する王国。
国主相伝の双聖器は『雷剣ジークリンデ』と『炎槍ジークムント』。
「勇王」の名に恥じぬ武勇を馳せるファード王が治め、フレリア王家・グラド皇家と親密な交流を保つ同盟関係にあった。
ところが突如として襲来したグラド帝国軍の猛攻により、あえなく滅亡する。
名前 | 兵種 | 備考 |
---|---|---|
エイリーク | ロード | ルネス王国の王女でありエフラムの妹 |
エフラム | ロード | ルネス王国の王子でありエフラムの兄 |
ゼト | パラディン | 「真銀の聖騎士」の異名を取る知勇兼備の若き将軍 |
フォルデ | ソシアルナイト | ゼトの忠臣であり赤の鎧を纏う軽い雰囲気の騎士 |
カイル | ソシアルナイト | ゼトの忠臣であり緑の鎧を纏う真面目一徹の騎士 |
フランツ | ソシアルナイト | 手先の器用な王国軍最年少騎士でありフォルデの弟 |
ロス | かけだし戦士 | 父であり憧れの戦士でもあるガルシアの下で修行に励む新米戦士 |
ガルシア | 戦士 | かつて王国軍の部隊長としてその名を轟かせた歴戦の猛者 |
コーマ | 盗賊 | ひねくれた性格と鋭い観察眼を併せ持つネイミーの幼馴染 |
ネイミー | アーチャー | 祖父直伝の卓越した操弓の技を受け継ぐ極度の泣き虫 |
アスレイ | 修道士 | 敬虔で純朴な人柄であるために誰からも好かれる修行僧 |
ルーテ | 魔道士 | 「優秀」の自称に違わぬ桁外れの記憶力と探究心を持つ理魔道士 |
フレリア王国
マギ・ヴァル大陸の北西に位置する王国。
国主相伝の双聖器は『蛇弓ニーズヘッグ』と『翼槍ヴィドフニル』。
「賢王」の名で敬われるヘイデン王が治め、大陸随一と謳われる天馬騎士団の機動力を駆使した情報収集を得意とする。
ルネス王城を追われた上に反逆者の汚名を着せられたエイリークを保護し、自国も苦境にある中で僅かではあるが軍資金や臣下を快く提供する。
グラド帝国
マギ・ヴァル大陸の南に位置する帝国。
「穏健帝」の名で愛される皇帝ヴィガルドが治め、忠義に厚い3人の将軍から成る『帝国三騎』を中心に各国の精鋭が集う帝国騎士団によって大陸の平和を守る。
しかし、ある日を境に覇を唱えて新たに3人の将軍を加えた『帝国六将軍』を率い、各国に凄惨な侵略戦争を仕掛ける。
ジャハナ王国
マギ・ヴァル大陸の南西に位置する王国。
国主相伝の双聖器は『氷剣アウドムラ』と『風刃エクスカリバー』。
「白沙の女王」の名で麗しい美貌を広く知られる女王イシュメアが治める。
荒涼とした砂漠が広がる過酷な環境のために芳しくない産業活動の代わりに、幾人もの優秀な剣士や傭兵を輩出する剣客の国。
夫である先王を早くに亡くし、たった一人の肉親である王子も10年前に出奔して以来、国の行く末に不安を抱えている。
カルチノ共和国
マギ・ヴァル大陸の北に位置する商国。
6大国の中で聖石と双聖器を持たない唯一の共和制新興国家ではあるが、
大陸の富を一手に担う活発な交易、商業活動によって他国に劣らぬ平和と繁栄を謳歌している。
しかしグラド帝国による他国侵略が活発化してからは、
変貌を疑って帝国への協力を拒む穏健派・戦争を新たな儲けの契機と見て帝国に擦り寄る過激派が相争う内紛状態に陥る。
その他
前2作品の「トライアルマップ」に相当するクリア後のフリーマップパート『大陸の魔物退治』にて一定条件下で加入・操作可能となるエクストラキャラクター。
名前 | 所属 | 兵種 | 備考 |
---|---|---|---|
ファード | ルネス王国 | ジェネラル | 「勇王」の異名を持つルネス国王 |
オルソン | ルネス王国 | パラディン | ルネス王国古参の聖騎士 |
ヘイデン | フレリア王国 | フォレストナイト | 「賢王」の異名を持つフレリア国王 |
リオン | グラド帝国 | ネクロマンサー | 魔道の平和利用研究に没頭するグラド皇子 |
グレン | グラド帝国 | ドラゴンマスター | 平和を愛する帝国三騎でありクーガーの兄 |
セライナ | グラド帝国 | マージナイト | ヴィガルドの恩を胸に忠義を尽くす帝国三騎の紅一点 |
ケセルダ | グラド帝国 | 勇者 | 一途な夢を糧に死線をくぐり抜けてきた帝国六将の剣豪 |
ヴァルター | グラド帝国 | ワイバーンナイト | いたずらに血と争いを好む狂気に満ちた帝国六将の奸雄 |
アーヴ | グラド帝国 | 司祭 | マンセルを憎むあまり魔性に魅入られた帝国六将の怪僧 |
イシュメア | ジャハナ王国 | ソードマスター | 「白沙の女王」の異名を持つジャハナ女王 |