概要
「悪」のトランスフォーマー「デストロン(ディセプティコン)」の破壊大帝。
設定は作品ごとに異なるが、多くは同じく破壊大帝であるメガトロンと同一人物(強化版)として描かれる(全くの別人である場合もある)。
また、彼の登場にユニクロンが大きく係わっている事が多い。
ガルバトロン(初代)
CV:レナード・ニモイ(劇場版)フランク・ウェルカー(TV版)(吹き替え:加藤精三)
コンボイとの一騎打ちで瀕死の重傷を負い、スタースクリームによって宇宙に放逐されたメガトロンがユニクロンの配下として改造され、パワーアップした姿。
初登場時には自身を宇宙に捨てたスタースクリームを報復で消滅させ、再びデストロン軍団の破壊大帝の座に返り咲く。この当時は元のメガトロンと何ら変わりはなかったと考えられるが、その後ユニクロンによる精神攻撃に加えてロディマスに投げ飛ばされて頭を強打した事で、「理想の上司」と称されたメガトロンの頃から一転、色々な意味で危険な人物になってしまわれた。
『2010』では、「溶岩風呂を楽しんでいた」として迎えに来たサイクロナス達を怒鳴りつけたり、あまりの狂いっぷりに部下達が呆れて離れかけたり(かつてメガトロンに忠誠を誓ったモーターマスターでさえも)、あげく精神病院にぶちこまれるなど非常にカオスな活躍をしていた。
それでも衰退したデストロンを立て直したり、最終話においては自身を救った事についてサイバトロンの戦士に礼を返す(これはマトリクスの叡智で宇宙ペストが治った際正常になったためかもしれないが)など、知性と人格が伺える部分もあった。
ちなみにこんな暴力的なキャラに成り果てているが、14話を見るかぎりだと古くからの腹心であるサウンドウェーブに対してはあまり暴力的にならずに以前のメガトロン時代の態度で接していた。
別人のようなキャラ付けになっているが、中の人である加藤精三氏はちゃんとメガトロンと同一人物であるというディレクションを受けていたという。
その後は海外版と日本版で展開が異なる。
日本で展開された『ザ☆ヘッドマスターズ』の頃になると完全に人格が破綻、粗暴な悪役としてのキャラクターが全面的に押し出されるようになり、この頃は一人称に「俺」を用いる時もあった。サイバトロンの戦士ダブルスパイが「頭だ!頭がガルバトロンの弱点だ!!」と仲間に助言したように、まず物理的に頭が弱くなったばかりか、作戦立案にもセイバートロンを丸ごと奪おうとする等、大雑把で力任せなものが目立つようになる。
だが、それでも部下であるサウンドウェーブ(サウンドブラスター)の前では以前の自身を取り戻すらしく、BLアニメと見紛うばかりの仲の良さを見せる。
最後は地球をボディ化するグランドガルバトロン計画を企み、その際弱点である頭を補強する為に彼を心酔していたシックスショット達を自らの部品にしようとしていた(シックスショットを選んだのが忠義の勇者でもある為なので、サウンドブラスターもスパークの防護あたりに使うつもりだったのだろう)。
この荒唐無稽で部下を顧みない計画が元で、彼は多くのデストロン兵士達から見放される事になる。最期はクロームドーム達サイバトロンヘッドマスターの前に敗れ、「助けに来い」と叫びながら北極海の底に沈んだ。
海外版の『ザ・リバース』ではセイバートロン星に眠るプラズマエネルギー貯蔵庫を狙い、サイバトロン壊滅を企む。ウルトラマグナスらを倒しセイバートロン星を制圧、プラズマエネルギー貯蔵庫を開放するが最終的に失敗。手を結んだネビュロン人のロード・ザラク(日本版のメガザラックに相当)と共に撤退、新たな拠点を求めて再び宇宙の彼方へ消えて行った。
日本展開の一つ『キスぷれ』ではムービーのラストでロディマスに投げ飛ばされた後、ユニクロンの使徒によって航路を変えられたため、溶岩惑星スラルではなく日本の東京に落下していた様子が描かれた。
体内に「ガルバトロン細胞」という細胞を有しており、これをほかの物体に融合させることで新たな生命体にしたり、特殊能力を発動させることが出来る。ただしこの細胞に融合されたものは精神に強烈な破壊衝動をもたらしてしまう。(そのためガルバトロンが凶暴になったのはガルバトロン自身もこの細胞に蝕まれているからとも解釈できる)
ガルバトロン細胞から新型トランスフォーマー「レギオン」を誕生させたが、ラストで再びロディマスによって宇宙へと投げ飛ばされ、今度こそスラルへと落下した。
玩具展開『ユナイトウォリアーズ』ではヘッドマスターズから10年後の2021年に幽霊となり、かつての片腕であるサイクロナスに憑依してスクランブル合体システムを持ったタクティシアンサイクロナスへとパワーアップさせ、サイバトロンデストロン両軍がユニクロンの頭部とボディを封印した「トリプルZポイント」へと赴き完全復活を果たすためにユニクロンにそのボディを要求。ユニクロンからセイバートロン星を乗っ取ったら自身の新たなボディとして献上することを条件に、半実体として復活したスタースクリームの幽霊や別次元から召喚された強い恨みを持つ3体のデストロン戦士と合体することで怨霊破壊大帝グランドガルバトロンとなる力を与えられた。バルディガス漫画終盤で、サイクロナスに憑依したのは実は「要塞参謀」ガルバトロンⅡであり、メガトロンが変化したガルバトロンになりすました事が語られた。
玩具は元々ウルトラマグナスのライバルキャラとして作られており、役職も「要塞参謀(ダイナザウラー基地の指揮官)」と設定されていた。
しかしながら、初出である『ザ・ムービー』が秘密体制の中制作されていた為、玩具の開発に当たったタカラにも一部の情報が公開されておらず、雑誌記事やテレフォンサービスではニューヒーローにしてメガトロンの部下として紹介されていた。
メガトロンを踏襲した上記の色彩から紫基調に変更され、開発チームは困惑したという。
2005年にはアニメ準拠の色彩で復刻される。発射音が変更され、おしゃべりフォーマーの加藤氏の台詞も発する。e-HOBBYで元の色彩でグラビアのアレンジを再現できるレリーフの付属した、ガルバトロンⅡもユニクロンが平行世界から呼び寄せた別人という設定で販売された。危険な存在ながら玩具ではウルトラマグナスのライバルのため、役割は同じシティコマンダー。
これはTFでは良くある事である。
……とはいえ、後の実写映画シリーズでもやはりタカラトミーにはロクな資料を与えられておらず、僅かな手がかりを元に玩具の設計に携わる事となった開発チームのその苦労たるや、推して知るべしである。
後年の尚近年のIDWのコミック(アメコミ)でも登場している…のだが、これもメガトロンとは別人という設定で登場している。
ガルバトロン(ビーストウォーズⅡ)
CV:小村哲生
デストロン機甲部隊を統べる新・破壊大帝。
いつも健康的な白い歯を見せているお方で、彼に歯並びで勝てるのはばいきんまん位であろうが、口を閉じ歯を剥き出しにしながら喋れるというある意味ロボット生命体ならではな芸当を持つ辺り、こちらの方が格上である。
また、歴代の破壊大帝の中では珍しい兄弟持ちであり、メガストームという弟がいる。
メガストームからはたびたび反抗的な態度を取られており、彼も弟といえど(むしろ弟だからこそ)厳しく当たる一方で、兄としての情を垣間見せる。
弟であるメガストームにG2メガトロンの面影があるという事を考えると、破壊大帝としての血筋は正統なものと思われる。
物語開始時は欲張って最強の兵器と生物のデータをダウンロードした結果バグで寝込んだ挙句、オイル(酒)を飲んで(元々はメガストームが作戦の為に用意した度の強い物という事もあり)酔っ払って大暴れなどの失態を繰り返していたが、復活後は破壊大帝の名に恥じない活躍を見せていた。
また、破壊大帝としての信念は「絶対なる力による支配で平和を作る事」であり、敵であるライオコンボイとは形は違えど、同じく全宇宙の平和を実現しようとする信念を持っていたことが後に明らかになる。
最期には説得を試みるライオコンボイを一蹴し、命を賭けた決戦を展開。彼の平和主義を屈服させ、デストロン的な不意打ちまで繰り出させたのだが、自らの流儀に則った上で敗北したガルバトロンは、一切の情けをかけず自身を討った彼を、「見事だ」と称賛して逝った。
初代ガルバトロンが精神疾患持ちだったのに対し、性格はその前身たる初代メガトロンと比較しても遜色ないほどに寛大で、部下のオートローラーズには、処刑直前に実力を見出して採用した者が居たり、反逆したものがほぼ居ないなど、部下からの信頼も厚い。
(弟のメガストームが真正面から謀反起こそうとしたが、それすらもあっさり許している)
なんだかんだで弟・メガストームに対する愛情も深く、手柄を立てた際は他の部下にも見習うようにいう兄バカの節があり、ライオジュニアが現れるまでは、いずれ弟に破壊大帝の座を譲ろうとしていた。
メガストームの方も、兄への反抗は憧れの裏返しであり、その思いから「ギガストーム」へと進化した。(初代ガルバトロンと関連深いダイナザウラーの仕様変更品)
また、本作の続編である『ビーストウォーズネオ』では、ユニクロンが彼の姿を借りて登場している。
ガルバトロン(トランスフォーマースーパーリンク)
CV:遠藤純一(英語版:デビッド・ケイ)
前作『マイクロン伝説』のラストでユニクロンに取り込まれたメガトロンが、10年の時を経てパワーアップした姿。見た目も声も若返っている。
10年間もユニクロンの内部に居た所為か、以前よりも凶暴さが増した上にかつて和解した人間に対する情も消えている。
目覚めた直後にはメガザラックを顔がボコボコになるほどフルボッコにした。
洗脳が大好きで、元々アルファQの部下であったナイトスクリームとメガザラックを洗脳し、自身に忠実な部下に仕立て上げた。もっとも、実際には両者共にデストロン兵士のスパークをアルファQが利用していた存在だったのでガルバトロンからしてみれば「横取りされた部下を取り返した」だけかもしれない。また、サイバトロンのインフェルノを洗脳しようとした事もあるが、こちらは彼の命がけの利用して抵抗によって失敗している。
暴君だが、何だかんだで部下思いであり(※ただし忠実な部下に限る)、アイアンハイドの死にショックを受けたり、自らの意識を乗っ取ったユニクロンに対して部下達の命乞いをしたりした事も。
その一方で忠誠心の無い部下に対しては徹底的に容赦が無く、特に反逆を企てたレーザーウェーブ・シックスショット兄弟に対しては、最初こそ大目に見ていたものの、最終的にはスパークごと踏み潰して殺害している。
後にスーパーエネルゴンの力によってガルバトロンG(ジェネラル)にパワーアップ。一時的にユニクロンに意識を乗っ取られたが、グランドコンボイの声で正気に戻り、自身の意思の力とユニクロンの力を利用して超巨大な姿に変身した。
ユニクロンはグランドコンボイによって破壊されたが、ユニクロンのスパークからくる衝動に突き動かされ、ユニクロンへの意趣返しと自身が犯したことへの後始末のために、ナイトスクリームと共にエネルゴンの太陽に飛び込み消えた。
マスターガルバトロン(ギャラクシーフォース)
CV:中田譲治((英語版:デビッド・ケイ)
41話でマスターメガトロンがギガロニアのプラネットフォースの力でパワーアップした姿で、バンガードチーム3人がかりでも太刀打ち出来ない程に強力になっている。
人物像はまさに悪の一言で、そこに魅力を感じる視聴者がいる一方、終盤では部下を顧みないその傍若無人さが災いし、彼らの離反を招くなど悪役過ぎてネタにならないため、愛着を持てない視聴者もいた。
最終局面で上記の部下を顧みない行動から最後まで自分についてきたサンダークラッカー一団が離反してしまい、一度は野望達成を諦めたが、突如現れたスタースクリームの幻影に煽られ、月面でギャラクシーコンボイと一騎打ちに挑む。
自身の武器をフルに活用し互角に渡り合うが、ベクタープライムの剣を託されたギャラクシーコンボイの一撃で敗北、消滅した。(この対決は勇者エクスカイザーのオマージュ)
だがスパークはまだ生きており、別次元にてベクタープライムと戦い続けている模様。
デザインはパワーアップ前のマスターメガトロンと同一だが、玩具はパワーアップ前と並んで高評価。
ガルバトロン(シャッタード・グラス)
善悪が逆転した世界のガルバトロン。
すなわち正義の心を持ったガルバトロンである。
謀反を起こしたサイクロナスによって瀕死の重傷を負わされたメガトロンがネクサスプライムの力によって転生、パワーアップした姿。
救難ヘリコプターにトランスフォームするようになった。
Botconで限定販売された玩具は、『ギャラクシーフォース』に登場したイーヴァック(ライブコンボイ)のリカラー品である。
ガルバトロン(実写TF)
CV:フランク・ウェルカー(吹替:大友龍三郎)
実写版4作目『ロストエイジ(原題:Age of Extinction)』に登場する。
玩具での表記は従来通りだが、劇中での発音は『ガルヴァトロン』となっている。
前作『ダークサイド・ムーン』でのシカゴ戦でオプティマスプライムに討ち取られたメガトロンだったが、今作より台頭してきた反トランスフォーマー組織「KSI」(Kinetic Solutions Incorporated)がその頭部を回収。それを解析して得られたデータを基に開発した人造トランスフォーマーとして登場した。オプティマスをモデルに開発されたため、トレーラー(フレイトライナー・アーゴシー)に変形する。
KSIのリーダーであるジョシュアの指示により、メガトロンの頭部より採取された記憶データが移植されているが、同時にまだ意識のあったメガトロンの策略により意思もコピーされ、更に脳内に寄生していたインセクティコンを介してメガトロンの染色体が植え付けられている。
その染色体が原因でオプティマスをモデルに設計したにも関わらず、メガトロンに類似した外見になったが、事実を知らないジョシュアはスタッフの過失と思い込み、何度も作り直しを命じていた。
最終的にはメガトロンの記憶と意思を引き継いで目覚め、事実上のメガトロン復活となった。
カラーリングは従来のガルバトロンと異なり、黒と銀色を基調としている。
胸部には魂(スパーク)がないことを示すかのように、中空となった円形のシュレッダーを備えている。戦闘時は「ヘヴィメタルグラインダー」というロケットランチャーと、腕から展開するブレードを武器とする。
また、ガルバトロンを初めとする人造トランスフォーマーには特殊金属「トランスフォーミウム」が使用されており、純正トランスフォーマーのような変形ではなく、身体を粒子状に分解・再構築することでロボットモードに変わる。
トランスフォーミウムを得て更なる軍団を獲得し、それによって人類を一気に絶滅させるために「シード」を求めており、ジョシュアを利用して手に入れる一歩手前までいったが、オートボット達やダイナボット達の乱入で阻止されてしまう。
兄弟とまで称した同じ出自の人造トランスフォーマー達を失うが、ラストシーンでは再起を誓い、どこへともなく消えていった。