概要
1961年、鹿児島県種子島出身のライター。東京大学中退。既婚者で三児の父。
幼少期から科学に興味を持ち、科学者を志すも挫折し、在学中に行っていた塾講師のバイトに興味を持ち塾講師を始める。やがて私塾『天下無敵塾』を開校するも経営に行き詰まる。以前「怪獣VOW」というネタ本に寄稿した縁もあって宝島社から『空想科学読本』を出して経営の穴埋めにしようとするも、印税が渡る直前に倒産。
以降は学習塾講師と執筆業の二足のわらじをはくが、やがて専業作家となった。
現在は空想科学研究所の主任研究員を務める。
『水曜日のダウンタウン』でもくだらない説の科学考証によく参加させられており、ダウンタウンの松本人志からは「ええ声や。」と言われていた。
なお、いかにも空想科学本を出してそうな名前だが、これはペンネームではなく、れっきとした本名である(父親が「これからは理科の時代だ」と思ったかららしい)。
作風
誤字脱字、計算ミス、作品の不理解、及び、研究不足・専門知識の欠如から来る誤解、結論のはぐらかしなど文章自体には非常に問題が多いが、ギャグのセンスと話し言葉中心の文体は非常に高いレベルのユーモアを持っている。
- 計算ミス
- ガンダムに登場する「コロニー落とし」は大気の摩擦熱でコロニーがすべて蒸発すると考察しているが、摩擦熱の計算をミスしている。など
- 作品の不理解
- 研究不足
- 『ガラスの仮面』や巨大ロボットの考察において「人間が走ると頭部は20cm上下する」と記述しているが実際はそんなに上下しない。など
- 専門知識の欠如
- ゴルゴ13の狙撃の最大射程2kmに関して、アンチマテリアルライフルの存在や劇中でゴルゴがM16以外の銃も多数使用している事実を無視して、M16を改造し、かつ眉間を狙って狙撃したと想定して検証する(尤もゴルゴがM16で1km先を狙撃しているのも事実である)。
- 「人間が宇宙空間に出ると目玉が飛び出る」と記述しているが実際はそうはならない。など
本来は「科学的には無理だな、こうしよう」「現実の世界では実現できないことをしている空想科学の科学技術は凄いのだ」というネタなのに対し、「科学的には無理だな、ばっかじゃねーの」と勘違いした(ただし『空想科学大戦』に限ってはギャグマンガ故にそういう作風。代わりに(直接的な)版権ネタは使わないが)困ったちゃんな信者やアンチのせいで無駄に荒れている部分もある。
例えば「と学会」の山本弘は柳田の著書の間違いを批判する『ここがヘンだぞ!空想科学読本』を発刊した。しかし一方でこちらにもミスがあったり、柳田を批判することだけが目的化して論点がブレているような記述があったりする。ちなみに本書は後に柳田氏の参考文献にされていたりする(明らかなミスなどは修正が入っているが、わざと過去の過ちを晒すために脚注のみの修正にしている所もある)。
なお、ネタとして理解している版権者から直接依頼を受けた公認作品(ゴジラ、ポケモン、戦国BASARA、イナズマイレブン、スターウォーズなど)も存在する。
柳田のファンであろうとアンチであろうと科学知識が正しいかどうかは別問題である。またSF作品などにマジレスを入れてネタにすることを快く思わない人も少なからずいるほか、作品の設定を誤解したままその作品に言及することは、原作者やその作品のファンに嫌がられる行為であることは間違いない。
しかししばしば「柳田が好きかどうか」という論点が混同されてしまったり、先述の通り柳田氏の著書をさらに曲解した人がさらに的外れにSF批判を持ち出したり、柳田の著書関連の話はなにかと話がこじれやすい。
空想科学読本の初稿などは担当者に「これじゃただの揚げ足取り」と突っ込まれたことこそあったものの、あくまで目的は揚げ足取りではなく一般の方に科学技術への興味を持ってもらう事が主な目的である。
また柳田氏自身は「科学とは一人の力でなく皆の協力で発展していくもの」としてミスの指摘に対しては前向きな態度を見せている。
科学を人殺しに使う戦争や核兵器を激しく嫌悪しており、欄外脚注において「戦争」について「戦勝国にも敗戦国にも多大な犠牲を齎す、無能な政治家の行う最悪の政治判断の事。筆者の祖父もこれで亡くなった」と記し、核実験を行ったシラク大統領の事を「いくら旧ドゴール派だからって、いまさら強いフランスなんてめざすな、バカ!」と非難しており、ハリウッド版新ゴジラについて、劇中における核実験(2014年版)やゴジラ誕生の設定変更(1998年版)について「大義名分作って核実験を正当化してんじゃねぇ!」「フランスの核実験の影響で怪獣が生まれるとは、アメリカは随分ジョークがお得意なようで」などと激しく批判している。
空想科学図書館通信も配信中。また、空想科学研究所では月・水・金にリメイク記事「空想科学読本WEB」を連載している。2018年秋からはYouTubeチャンネル『KUSOLAB』を開設し、毎週月曜に更新している。
秀逸な文章の一例
- 「パイロットは生きた心地がしないどころか生きてはいまい。こんな人命軽視マシンにホイホイ乗ってしまうパイロットもパイロットだ」(空想科学読本1)
- (超音速で衝撃波を起こしながら走るバリアス7で悪党を追いながら)「いつまでも逃げてると、罪もない人がバンバン死ぬぞー!!」(空想科学読本1)
- 「要するに固形燃料とは、命中しようが外れようが燃え尽きるまで絶対に止まらないわけで、こんなあしたのジョーみたいなやつをロケットパンチに使おうものなら大惨事だ」(空想科学読本2)
- 「ゴジラが放射能火炎で戦うのを見物どころか応援までしている女の子までいた。なんという無知無知ギャル。危ないのはオマエであって、死にそうなのもオマエのほうだ!」(空想非科学大全)
- 「『アボラスの弱点はスペシウム光線だ』…それはやられ方であって弱点ではないだろう。すると日本人の一万人に一人は交通事故に弱く、織田信長の弱点は本能寺の変なのだろうか?」(空想科学読本4)
- 「大悪獣ギロンは頭から手裏剣を出すが、なんとそれは脳が変形したものだという! 脳を千切って投げてまで守らねばならんものとは何だ!? 頭がドンドン悪くなるぞ!!」(空想科学読本5)
- 「馬力を上げるには走り続けるのではなくベルトコンベアから脱出するトレーニングにしなければならん。つまり一瞬でも遅れたらベルトに運ばれて丸鋸でギャ~ン! だがこのベルト、ローラーの隙間が靴一個分ほどある。もし踏み込みすぎて隙間に足がハマったらそのまま運ばれてまたしてもギャ~ン! 更に横幅も広く、ガニマタで走るしかないが加速に失敗したらやっぱりギャ~ン! うーむ、このマシンではレスラーが鍛えられる前にジャンジャン死んでしまう。」(空想科学漫画読本3)
- 「崖に衝突した時、魔物のザバスはともかく使い手のガリオントは死んだな、こりゃ。(中略)いや、接触した段階でガリオントは死んでたかも。(中略)感電する以前に吹き飛ばされた時点で、ザバスも死んでたりして。」(空想科学漫画読本4)
- 「だいたい、かぐや姫が提示した者の中で、蓬莱の玉の枝以外にかぐや姫が実態を把握している物があったのか。火鼠の皮衣ってピカチュウの皮を剥いで来いというようなもんじゃねえか。竜の首の玉に至ってはウルトラの父の角をへし折れというようなものだ。出来ないなら出来ないと言ってほしい! 筆者はこういう試すような言い方が大嫌いなのだ」(空想科学日本昔話読本)
また、勝手にキャラクターのセリフを妄想したりすることもある。
- 「たとえ伴が『うおお、星よ~なぜこの感動をオレと分かち合おうとせん! うおおん、おんおん!』と泣いて縋り付いてきても、全力で逃げねばならん」(空想科学読本2)
- 「ハム太郎の世界では1と6と8しか数字が無いが、これではハム太郎がリボンちゃんとデートに行ったときどうするのだ。あ、『ボクとリボンちゃんに1皿づつ欲しいのだ』って言えばいいか」(空想科学読本5)
- 「いっそ足に三本目を巻くというのもありかもしれない。両足に巻けば四刀流だ。この場合、フェイント技はゾロならば『腿の空揚(もものからあげ)!』とか名付けるだろう」(空想科学読本6)
- 「爺さんが笠を売りに行って戻ってくるのならば、雪を被ったお地蔵様を見ても『こいつぁちょうどいいや!』とばかりに載せていくわけで、それは親切とは言い難い。笠があくまで交換したものだからこそ傘地蔵の話には深みが増すのだ」(空想科学日本昔話読本)
- 「いかん、このまま書いてると『わ~ん柳田が酷いこと書いた~』などとアクアファンに叱責されてしまう。別の方法を考えねば」(ジュニア空想科学読本16)
- 「優しい甘露寺さんなら、筆者ですら『原稿が遅くて素敵!』とか言ってくれるに違いない」(ジュニア空想科学読本17)
趣向
- 酒好き。「ニホンザルのもとにサワガニと栗が仕返しに来るなんて、筆者のもとに酒と刺身が復讐しにくるようなものだ」「晩酌の無い人生など人生ではない」などの文章からも伝わってくることだろう。学生時代は安酒を飲んで公園で猛烈に運動をし、酒の回りをよくしていたらしい。死ぬぞ。挙句の果てに幼少期に酒を誤飲して死にかけたりも。
- 煙草も日に40本吸うと豪語するヘビースモーカー。
- そのくせ持病は全くと言っていいほど無い謎の健康体。
- 大の格闘技ファン。プロレスの超オタクであり、大相撲も好き。
- 梶原一騎作品と松本零士作品には少年時代からの熱狂的なファン。ちなみに『銀河鉄道999』を中学時代に読んでいたら下宿先の叔母から取り上げられたが翌日には「これは聖書だわ」と返却され続きを買ってくるように言われたらしい。
- 高校時代は水泳部で某漫画にあこがれ空手を習っていたが、パワー系以外のスポーツはてんでダメで、「足が遅くても文明社会ではそんなに気に病まなくていい」と開き直る始末。
- ご飯と麺類は好きだが、パンは苦手。甘いものも予備知識なしで食べると驚いてしまうとのこと。
- ひいきの球団は西武ライオンズ。九州出身だというのもある(前進の西鉄ライオンズは福岡が本拠地)らしい。
- 新幹線が大好き。
- ウルトラシリーズが好きすぎるあまり、「質問されると困ります。語りすぎて本が出版できなくなる」と言っている。ウルトラセブンの大ファン(勿論ダンアン派)であり、ウルトラマンゼロの存在を知った時は愕然としたらしい。柳田氏のウルトラシリーズの知識の多くは旧作品時の資料のものであるため、現在は使われていないとされる設定も多いが、だからこその良い文章になるものも。
- 昭和世代なせいか仮面ライダー龍騎のライダーバトル等の設定は釈然としなかったという。逆に、「大人の色気があった」仮面ライダー響鬼、「オルフェノクの哀愁が素晴らしい」仮面ライダー555は高く評価している。
- ガンダムには疎いが、マジンガーZは直撃世代であり、神のごとく崇拝している。これをネタにした「柳田理科雄のスーパーロボット最強決定大戦!」のネタっぷりは語り草
- 北斗神拳とケンシロウに対しても妙に好意的。前者に関しては科学では説明のつかない存在と認めてしまった挙句、極めて分かり易くていつもの作風とも正反対なベクトルの科学考察を北斗の拳の公式ファンブック『北斗の拳2000』に寄稿している。
- ゲームが大の苦手であり、あまりゲームネタを扱わないのはすぐにゲームオーバーになるかららしい。「怪獣図鑑に筆者が掲載されたら『弱点はゲームが下手なことだ』と記されるであろう」と自虐する程、腕前は散々なモノらしい。
- イカ娘を心底愛している。
- ドメル、花山薫、不二周助、土方十四郎、緑間真太郎のようなクールな大人っぽいキャラ、岩鬼正美や黒神めだか、ナツ・ドラグニルやポートガス・D・エースといった豪放磊落なキャラが好みらしい。学生時代には三国志の張飛のファンだった。
- 逆に嫌いなキャラは『キャンディ・キャンディ』のイライザ、『フランダースの犬』のハンス、『ONEPIECE』のエネルなど、まあ納得のいくチョイスになっている。この人にウルトラマンメビウスのデスレム編を見せてみたいものだ。
- 「大人気の『ポプテピピック』が、筆者には全然わかりません!」といいつつ結構用語の使いどころはうまい。さてはファンだな。なお、「ポプ子vs竹書房」では破壊に必要なエネルギーだけ求め、ポプ子が巨大化した件等については完全スルー
なお、「柳田国男は親戚ですか?」という質問はいまだに来るらしい。文系と理系でちょうど対になっているような名前だが、別段関係はないとのこと。