近親相姦とは近親者で行う性行為の事。
だいたい三親等以内のことを指す。
シチュエーション
漫画や小説などによく用いられるシチュエーションの一つでもある。神話などにも、近親相姦の話は多い。
兄と妹、姉と弟、母と息子、父親と娘などバリエーションは様々である。
国によっては、いとこ婚も近親婚の範疇とすることもある。他、インドの一部では、血縁関係にない場合でも、同じカースト同士の結婚を近親婚と見なして、嫌悪する地域があるがあるなど、国や文化によって、その幅はかなり広い。
BLでは兄と弟の組み合せが多いが、父と息子、伯父(叔父)と甥などの組み合わせもそれなりに存在する。
百合でも姉妹などのカップリングが存在し、数としては目立たないが母娘のカップリングもある。
特徴
奇形児等のリスク
よく問題視されるのは、近親相姦でできた子供は奇形児などが生まれやすいという点だが、実は一代限りで言えば、赤の他人との場合と比較しても、奇形児などが生まれる確率は殆ど変わらない。誤差の範囲である。
が、これが近親相姦でできた子供同士の近親相姦によってできた子供、という具合に二代、三代と重ねるごとに、奇形児などが生まれる確率はグンと跳ね上がる。
遺伝子の特性の中に「近くに似た配列の遺伝子が存在すると、くっついて文字が入れ替わり、本来の機能に障害が生じることがある」というものがあるのが原因のひとつかもしれない。
ただし、あくまで遺伝子一般の特徴であり、近親相姦と因果関係があるかどうかは明らかではない。
免疫力の低下及び先天性免疫不良のリスク
これは多細胞生物であれば植物・動物問わず言われることである。近親交配を繰り返すと、免疫細胞の中から多様性が失われるため環境に適応する能力が低くなり、病原体に対する抗体の生成数が少なくなったり、その能力がまったく失われてしまう場合もある。愛玩動物などで言われる「血統書付きは弱い」はこれが理由(血統を維持するため近親交配を繰り返しているため)。植物でも例えば苺などは近親交配を繰り返して作られた農業用の一期成り品種に比べて、野生種に近い四季成りの方が病気や環境の変化に強いと言われている。
人間も例外ではなく、1代限りではあまり問題がないが、繰り返されると免疫力の低下や先天性免疫不全につながるとも言われている。一説によると、大正天皇陛下のご病気がちな体質はこのためであったとも言われ、後に当時の皇太子明仁親王殿下(後、平成天皇を経て現上皇陛下)が市井からご婚礼相手をお選びになられたのはこれを回避する側面があったためと言われる。
世間からの反応
近親相姦に対する世間からの風当たりは強く、その事実が露見した場合 社会的制裁は免れず、職場を追われたり、学生ならば退学、遠隔地への転居を余儀なくされる事がある。世間に知られなくとも、近親相姦をキッカケに家族間の信頼関係が崩れ、一家離散や絶縁などの事態に発展するケースもある。万が一、近親相姦で子ができた場合、その事実を伏せて養子などに出すことになるかもしれない。ただし、近親相姦が常に非難の対象であるという考えは一面的であり、成人の合意の上での近親相姦は道義上問題がないとする立場も少なからずある。そのような文脈では近親相姦はコンサングィナモリーと呼ばれる。デンマークのThomas Sobirk Petersen教授はドナー精子と卵子の普及は初対面の恋人が生物学的な兄妹・姉弟だったという状況が発生する可能性を高めており、そのような状況は近親相姦に対する「昔のタブー」を再考する必要性を高めていると論じている。また、同教授は子どもを持ちたい兄妹・姉弟夫婦はドナー精子や卵子を使用して遺伝的問題のある子供を持つことのリスクを減らすことができるとも言っている。
フィクションにおいても、近親相姦を扱ったシリアスな作品では、この世間体と愛情との板ばさみで苦しむストーリーが多い。また合意の上でない、強姦や脅迫による性行為などが行われた場合は被害者にことに深い心の傷を残す。
法律的観点
近親相姦そのものは成人同士の場合日本では違法行為ではない。三親等内での結婚は法律で禁じられているものの、三親等内での性行為は、レイプや 相手が未成年などの場合を除き、法律で禁じられていない。
2017年の法改正により、18歳未満の子に対する性行為は合意の有無に関係なく、本番・アナルセックス・フェラが「監護者性交等罪」、それ未満のわいせつ行為が「監護者わいせつ罪」として処罰の対象となる。「監護者性交等罪」は懲役5年以上の重罪となっている。
ただし、海外だと話は違い、明確に法律で年齢を問わない近親相姦全体を禁止している国もある。また、日本ではいとこ同士など、四親等以上であれば結婚も可能だが、海外だといとこ同士でも結婚が禁止されている国もある。インドでは、生物学的にはほぼ赤の他人であっても、同じカーストの場合、近親相姦と見なす地域がある。これを侵した場合、家族の名誉を怪我したとして、親族から殺害される事すらある。一方、パキスタンのように、いとこ婚が一般的な地域もある(ある統計によれば、70%がいとこ婚というデータもある)。
余談だが、日本では三親等内の結婚が禁止されているが、これはあくまで血縁関係がある場合に限っている。よく勘違いされがちだが、実は養子同士・再婚による連れ子同士など、血縁関係の無い義理の兄妹・姉弟なら問題無く結婚できる。
ただし、親子の場合だけは例外で、一度でも法的に親子関係(養子縁組含む)になった場合は、例えば妻の不倫による所謂「託卵」が後に発覚し血の繋がりが無いことが科学的に証明され親子関係の不存在証明をしても、養子縁組を解消した場合でも結婚できない。これは自分の配偶者にする為に親の無い子を引き取り、育てるという行為を防ぐためと思われる。
宗教的・霊的側面
ゾロアスター教では近親相姦は、「フヴァエトヴァダタ」と呼ばれ、七つの善行の二番目として、ゾロアスターの人間への十の戒めの八番目として、天国に至るための三十三の道の九番目として位置付けられている。最も完全な「フヴァエトヴァダタ」は、自身の兄妹姉弟や親子間の結婚であるとされる。
ユダヤ教シャブタイ派ではメシアの時代の到来によって近親相姦を禁じる制度がなくなり、上方世界で兄妹姉弟・親子が統合されることが説かれている。
キリスト教でも、自由心霊派やカタリ派などでは親子や兄妹・姉弟の近親相姦が認められていた。
アラビア語説話集『千夜一夜物語』の兄妹相姦の物語は三島由紀夫に影響を与え、同じく愛し合う兄妹を扱った戯曲『熱帯樹』の原点となっている。
実際的理由
実際的・経済的な観点から、近親婚が奨励される事例もある。
金銭的に見ると、結婚とは、いわば双方の一族の財産を分割し合う制度である。そのため、近い血族の中で婚姻を繰り返す事は、財産が外部に流出しないという経済的利点となる。また、身分が下の者と通婚することで、高貴な血が薄まるという考え方もあった。
こういった考え方そのものは世界のどこにでもあるものだが、これが極端になると、同じ格の家同士や、一族内の結婚すら通り越して、いとこや兄弟間での結婚すら行うようになる。エジプト古代王朝では、兄弟姉妹での結婚が当たり前のように起こっていた。実際の性行為は伴わず、形だけの結婚のパターンもあったようだが、当時の王族のミイラを調べると、兄弟姉妹の間に生まれた子供と推測されたという研究もある。ヨーロッパでは、ハプスブルクの事例が有名。
同様に、インカ帝国でも同じような兄弟姉妹での結婚が行われていた。日本では、平安時代あたりまで、母が異なった場合、兄弟でも結婚が可能であった(母が同じ場合は禁忌とされた)。
血が繋がらない「近親婚」
生物学的には、ほぼ血の繋がりが無い場合でも、文化によっては近親婚、あるいは近親婚に近いものとして、嫌悪される場合がある。
例えば古代中国では、同姓不婚という制度があり、同姓なれば出自が同じということで、姓が同じ者同士の結婚は「近親婚」扱いされた。このため、ほとんど他人という場合であっても、同姓の結婚が禁じられていた時代がある。この影響を受けて、朝鮮半島でも同様の概念が広がり、韓国では1999年まで「同姓かつ同じ本貫(先祖の出身地を示す地名。戸籍に明記されている)」の男女は、結婚ができなかった。
インドでは、カーストが有名であるが、一部地域では、同じカーストは先祖が同じという意識が働き、そのため同じカースト同士の結婚は「一種の近親婚」として嫌悪する地域がある。インドの法律上は、あくまで生物学的な血縁関係に基づき近親婚を禁止しているため、同じカースト同士の結婚は違法ではない。このため、一部の若者は結婚を強行するのだが、これらの若者が時に「家族や地域の名誉を汚した」として殺人対象になるほど、その地域の「同じカースト同士の結婚」に対する忌避感は強い。
義理の関係について
日本の法律では、親の再婚などで、戸籍上は兄弟姉妹であるが、血縁関係にない場合は、結婚が可能である。民法第734条では、わざわざ「直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない」と但書を付けてまで、明記している。近親の性交が自主規制されていた時代のエロゲでは、兄弟姉妹間の関係を描くときは、義理の間柄とすることが多かった。
この「傍系」というのは、簡単に言えば兄弟姉妹、あるいは伯父伯母の関係に該当する。つまり、養親と養子など、親子の関係にある場合は「傍系」に該当しない。このため、親子については、例え血の繋がりがなくとも、結婚は不可能である。
近親相姦と本能
一代限りなら殆ど影響が無いとはいえ、やはり近親相姦を重ねる事は生物にとって非常にリスクが高いため、多くの場合、近親相姦を回避する為の本能が組み込まれているという説がある。
特に群れで暮らす動物に関しては、雄の個体はある程度成長すると群れから出ていくというケースが多いが、これも近親交配を避けるための本能的な習性ではないかと考えられている。
人間の場合、年頃の娘が父親を嫌ったり(父親の体臭に嫌悪感を持つ)、母親が成長した息子の体臭を嫌うのは、近親相姦回避本能だという説があるが、遺伝学上は否定されている。
それらはあくまで幼少時より一緒に生活していたらという前提で成立するもので、生き別れの実の親子や兄弟姉妹が成人してから再会すると、恋愛感情を抱いてしまうというケースも往々にしてある。フィクションの近親相姦ものでは特に女性向け作品にこうした設定が多い。
逆に血の繋がりはなくても、幼少時より一緒に生活していると上記のような拒否反応が出るようになる(幼いころから見知っている幼馴染が現実では恋愛対象になり辛いのはこの為と思われる)。
つまり、人間の近親回避本能の判別方法は血縁ではなく、幼少時の記憶によるものとの見方が強い(まぁ普通は幼少時に一緒にいる存在は近親者である場合が圧倒的に多いので問題無いのだが…)。
ただし人間以外の動物はこの本能が完全であるとは言い難く、飼育下の動物だと気をつけていないと近親交配が起きてしまうため、動物園等では繁殖期のみ引き離したり繁殖可能な段階まで成長した個体は雄雌分けて飼育するなどの措置がとられている。これは飼う人間側の気分や価値観の問題ではなく、上記の遺伝上の問題を防ぐためである。
また、上記とは全く逆の説もあり、離れて暮らしていた近親者の血縁の近似性が身体的特徴が好みであるという気持ちや心理的な親近感を感じさせ、遺伝的な近さが性的な魅力に繋がっているというジェネティック・セクシュアル・アトラクションという現象が報告されている。初めて会って意気投合した異性が実は兄妹・姉弟だったというケースがある。
フィクションにおける注意事項
近親相姦は創作物において度々採用される題材であり、三島由紀夫、澁澤龍彦、桜庭一樹など近親相姦自体、あるいは近親相姦の描写にある種の魅力を感じていた作家は少なくない。
フィクションにおける近親相姦と現実のソレは実はまったくの別物である。
実妹モノや実母モノに興奮しているからと言って、その人が実際に自分の妹や母親に欲情しているという事はまず無い。
近親相姦というシチュエーションに興奮する事と、自分の肉親に興奮する事はまったくの別次元の話なのだ。
なので、身の回りにこういう趣味の人がいたとしても、どうか誤解しないで欲しい。
そうはいっても「いくらフィクションでも引く」という人がいるのも無理からぬことなので、近親相姦フィクションの萌え語りは特に相手とTPOに配慮すべきである。
アダルトゲームにおいて
かつてアダルトゲームにおいては、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)の規定により近親相姦描写がアウトだったため、攻略対象=本番シーンがある異性のキャラに関しては必ず血の繋がりが無い義理の関係である必要があった。
多くの場合はこの規制に従い、義理の関係にするか、もしくは血縁キャラで通す場合は攻略対象から外すか、攻略対象でもHシーンは無く、サービスショット止まりにするか、NTR等、血縁者以外の相手とのHシーンにするなどしていた。
しかし、中にはあらゆる涙ぐましい工夫をもって「義理の肉親」という一見矛盾する設定をこらしていたメーカーもあった。「従姉妹」「片方が養子で血縁が無い」「お兄ちゃんと呼んでくる幼馴染み」などが定番設定であったが、中には「実姉の脳を他人に移植」「死んだ実姉妹が魔術で別の肉体を得た」「前世の兄妹・姉弟」「性転換によって、同性ならOK( ← 現実世界じゃより一層アカンと思うが)」「実姉妹の電脳空間でのアバター」等々…あげくはどうみても実の肉親なのに「認知していないから大丈夫!」「他人が実肉親の肉体を乗っ取り行為をしていたので精神的には他人同士の行為」「表向きには義理関係で実肉親と知らなかっただけ設定を申し訳のように付ける」などほぼ無理筋のものも多くあった。
2005年にソフ倫の規定が改定され、実の肉親の近親相姦描写も可能になった。
近親相姦を扱っている物語(50音順)
血縁のない義理関係で関係を持つ設定作品、いとこ設定、恋愛や肉体関係設定が明確でなく「いきすぎのブラコン・シスコン」レベル止まり設定のもの、BL、ティーンズラブ、レディースコミック、成人向け漫画・エロ小説・ピンク映画・AV・ゲイビデオ、同人誌・二次創作ものなどの実肉親設定による近親相姦作品はあまりに多すぎてきりがないため省略。
また、合意に基づかない近親間の性的虐待を扱ったノンフィクション系、私小説的作品は本稿の趣旨と異なるため列挙しないことにする。
弟×姉
兄×妹
- 愛とは決して後悔しないこと
- 奇子
- お兄ちゃん、右手の使用を禁止します!
- 王子達は依存する
- おやつのじかん
- 旧約聖書偽典『ヨベル書』
- 銀の海金の大地
- 鎖-クサリ-
- 恋風
- 死妹人形
- 少女革命ウテナ
- 白のエデン
- 小説版機動戦士ガンダムAGE(第4巻、最終巻。プラトニック止まり)
- 千夜一夜物語
- 空から降る一億の星
- 鉄鼠の檻
- 天使禁猟区
- 天使契約
- バトルスピリッツ少年激覇ダン(プラトニック止まり)
- 瓶詰の地獄
- ファイアーエムブレム 聖戦の系譜
- 冬の海
- 僕は妹に恋をする
- 夢幻泡影
- MAZE☆爆熱時空(本番は原作、漫画版のみ)
- ヨスガノソラ
父×娘
息子×母
祖父×孫娘
祖母×孫
- ちちみこ!!(なお、続編に当たる「ちちみこ!! プラス1 ~祖母と娘の搾乳ハーレム~」では、主人公が祖母と結ばれた後、妻でもある祖母との間に設けた、叔母でもある娘が攻略対象になるという、ハプスブルク家もビックリの「おっぱいいっぱい近親愛欲ストーリー」となっている)
甥×叔母
父×息子
姉×妹
近親者内の複数CPあり
- エジプト神話
- Overflowのエロゲー
- 大奥(母×息子、兄×妹、父×娘)
- 旧約聖書(父×娘、異母兄×異母妹)
- ギリシャ神話
- 銀河電氣譜
- 腐り姫(兄×妹、父×娘)
- コ・コ・ロ・・・シリーズ
- 古事記
- 少女革命ウテナ
- スワン系のエロゲー
- ニーベルングの指環(双子の兄×妹、甥×おば)
- 日本神話
- 伯爵カインシリーズ
- 山岸凉子の作品
近親相姦作品の多い作家
漫画家
関連タグ
近親愛 近親婚 いとこ婚 インセスト・タブー 近親交配 / インブリード コンサングィナモリー
ヨスガる 血の繋がった夫婦 妹婚 レッツ背徳 血は水よりも濃い
兄×妹 兄妹恋愛 兄妹相姦 弟×姉 / 姉×弟 姉弟恋愛 姉弟相姦 伯父×姪 / 叔父×姪 甥×叔母 近親NL
育て屋/預かり屋 - ポケモンにおける廃人御用達の設備。高い個体値の個体を作り出すために親と生まれてきた強力な子どもとを掛け合わせる工程を繰り返さなければならないことから、プレイヤーの間でしばしば「近親交配に当たるのではないか」という指摘がなされることがある。
※この他にも近親相姦 に関係するタグがありましたら、紹介してください。