貴種流離譚
きしゅりゅうりたん
概要
民俗学者の折口信夫によって生まれた物語の類型の一種である用語。
各国の神話や伝説から近年の物語に多く見られるもので、主人公が歩む物語の筋書きに似通った要素やパターンが存在する。その中でも特に重要な要素が、特別な身分に生まれた「貴種」の主人公が、その身分に相応しい立場から離れて様々な試練を経験する「流離」を経てラストへ至る、というもの。
架空の人物の物語だけでなく、天武天皇、源頼朝・義経などの実在の人物の生涯を当てはめて解釈したり、物語にするものも多い。
また話の基本構造の類似性から、「異世界転移」や「異世界転生」はこのジャンルの「末裔」であると解釈されることもある。
シンデレラ・ストーリーと混同されることもあるが、出自の点で決定的に違う。主人公が逆境を耐え、協力者の力を得て、幸福を掴み取る点では同じだが、シンデレラでは主人公の出自や立場が一般人または平民以下であるのに対し、貴種流離譚では主人公が上流者階級のような特別な身分や立場の出身である。
要素
この系統の物語の筋書きには重要な要素があり、多少の違いはあれど、大筋でその要素が存在することが必要となる。
出身
主人公は王族や貴族、異種、異能などの一般人とは異なる身分や一族の出身者で、先述したようにこれはこのパターンの絶対的な大前提要素である。物語が始まる時点で主人公がその出身者たちの世界か別の世界で生きているかで分かれる。前者の場合はその世界での生活や思想での主人公の様子が描かれ、後者の場合は自分の出生の真実を知らないことが多い。
別世界
主人公が(あるいは主人公の親や親戚が)何らかの罪を犯したり(冤罪を含む)主人公の敵に敗れてしまう事で、今までの身分や生活を失って、別の世界や社会で生きることになる。あるいは、助言者に従って自ら別世界に行くものもある。また別の世界というものが「死の世界」を意味するものもあり、主人公が別世界に行くことは、主人公の死の体験を意味することもある。物語がこの時点で始まる場合は、過去を知らず、今の自分の立場を普通と感じていたことが多い。
出会い
かつての出身とは異なる世界で主人公が信頼できる仲間や愛し合える異性、後ろ盾となる協力者などの存在との出会いにより、物語を進行できる力を増すことができるようになる。
再起
力をつけた主人公はもとの出身世界に戻って自分を追いやった敵との対決や、贖罪の機会に挑戦することになる。
終幕
大概において主人公は敵を倒したり、名誉挽回できるハッピーエンドがほとんどで、主人公はかつての出身世界で今まで以上の立場で生きていけるようになって物語は終わる。また、出身世界に戻らず、協力者の存在する別世界に戻って生きるものもある。
作品の例
主人公以外のキャラ
注)ストーリーに大きく関わるメインキャラに限る
白雪ひめ/ヒメルダ・ウインドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ:ハピネスチャージプリキュア!
紅城トワ/プリンセス・ホープ・ディライト・トワ:Go!プリンセスプリキュア
ヒルメス:アルスラーン戦記
ファリス・シェルヴィッツ/サリサ・シュヴィール・タイクーン:ファイナルファンタジー5
他にもありましたら追記お願いします。