外房線
そとぼうせん
路線データ
路線名 | 外房線 |
---|---|
ラインカラー | 朱色 |
区間 | 千葉〜安房鴨川 |
路線距離 | 93.3㎞ |
軌間 | 1,067 mm |
駅数 | 27駅 |
電化区間 | 全線(直流1,500V) |
最高速度 | 120km/h |
複線区間 |
|
単線区間 |
|
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-P |
運転指令所 | 千葉総合指令室
|
第一種鉄道事業者 | JR東日本(全線) |
第二種鉄道事業者 | JR貨物(千葉〜蘇我) |
路線概要
千葉駅(千葉県千葉市中央区)から安房鴨川駅(鴨川市)までを、房総半島の東側を経由して結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)の鉄道路線である。
路線名の由来は外房地域から取られた。
沿革
房総鉄道時代
国有化後
- 1907年(明治40年)9月1日:房総鉄道が国に買収され国有化。
- 1909年(明治42年)10月12日:路線名が「房総線」として定められる。
- 1913年(大正2年)6月20日:大原駅〜勝浦駅間延伸。
- 1927年(昭和2年4月1日:勝浦駅〜上総興津駅間延伸。
- 1929年(昭和4年)4月15日:上総興津駅〜安房鴨川駅間延伸により全線開通。同時に「北条線」(現・内房線)を編入。
- 1933年(昭和8年)4月1日:「房総東線」に改称し、旧北条線区間を「房総西線」として分離。
- 1968年(昭和43年)7月13日:千葉駅〜蘇我駅間直流電化。
- 1972年(昭和47年)7月15日:「外房線」に改称及び蘇我駅〜安房鴨川駅間直流電化により全線電化。
国鉄分割民営化後
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道(JR東日本)・JR貨物に継承。蘇我駅〜大網駅間の貨物輸送廃止。
- 1999年(平成11年)3月31日:大網駅〜新茂原駅間のJR貨物の第二種鉄道事業廃止。
- 2001年(平成13年)11月18日:Suica導入に伴い千葉駅〜茂原駅間が首都圏エリアに設定される。
- 2004年(平成16年)10月16日:茂原駅〜大原駅間が東京近郊区間及びSuica首都圏エリアに設定される。
- 2009年(平成21年)3月14日:大原駅〜安房鴨川駅が東京近郊区間及びSuica首都圏エリアに設定される。
- 2021年(令和3年)3月13日:上総一ノ宮駅〜安房鴨川駅間の一部列車でワンマン運転を開始。
運行形態
外房線と内房線は前述の通り一時期「房総線」として同一路線だった為、現在でも関わりが深い。
ここでは外房線系統の列車のみ記載する。内房線系統は内房線の項を参照。
特急
定期列車では京葉線経由の「わかしお」が東京駅〜上総一ノ宮駅・勝浦駅・安房鴨川駅間で運行されている。
下りの17号・21号のみ勝浦から普通列車に変更し安房鴨川まで運行されるが、かつては上りも含めて末端区間が普通になる列車が現在以上に設定されていた。
この他に臨時列車扱いで毎週土休日に総武快速線経由で新宿駅〜安房鴨川駅間に「新宿わかしお」が設定されている。
通勤快速・快速
総武快速線直通系統と京葉線直通系統の2系統が存在する。
通勤快速は京葉線系統のみ。
- 総武快速線直通
朝と夕方以降に上総一ノ宮駅発着で設定され、一部はその先の横須賀線にも直通する。
過去には日中も運転され国鉄民営化直後は勝浦駅まで、その後短縮され大原駅まで運行されていたが、2004年10月16日ダイヤ改正以降は現在の運行区間となった。2010年(平成22年)12月4日ダイヤ改正で後述の京葉線直通快速が設定された為日中の運転が取り止められた。
停車駅
(久里浜〜錦糸町間の各駅) - 新小岩 - 市川 - 船橋 - 津田沼 - 稲毛 - (千葉〜大網間の各駅) - 茂原 - 上総一ノ宮
- 京葉線直通
・通勤快速
京葉線直通列車。平日に設定され、朝は上り、夜は下りが運行される。外房線内の停車駅は後述の途中駅を通過する快速と同じ。2022年(令和4年)3月12日ダイヤ改正で上総一ノ宮駅発着の列車は全て快速に格下げされ、現在は勝浦駅・成東駅発着の1往復のみ設定されている。誉田駅で増解結を行う。
勝浦駅発着の編成は上総一ノ宮駅〜勝浦駅間を普通列車として運行する。
なお土休日は快速として運行する。
普通
2021年3月13日ダイヤ改正以降は上総一ノ宮駅で運行系統が分割され、千葉駅〜上総一ノ宮駅間と上総一ノ宮駅〜安房鴨川駅〜内房線木更津駅間の運行に大別される。これにより全線通しで運行される列車は一部時間帯で存在するものの、大幅に削減された。
- 千葉駅〜上総一ノ宮駅
定期列車は千葉駅発着を主とし、一部時間帯で京葉線との直通も行う。総武快速線方面への直通は行わない。また千葉駅〜蘇我駅間は内房線列車も経由する為本数が多い。
日中の蘇我駅〜大網駅間は上総一ノ宮駅発着の他茂原駅、東金線成東駅発着と京葉線直通快速を合わせて毎時4本設定されている。
早朝の上りと夜間の上下線には大原駅・勝浦駅・安房鴨川駅発着の上総一ノ宮駅を跨ぐ列車も運行される。
- 上総一ノ宮駅〜安房鴨川駅
運行系統分割後は長らく中止されていた内房線との直通運転が再開され、前述の通り上総一ノ宮駅〜安房鴨川駅〜木更津駅間でワンマン運転の列車が運行される。区間列車として千葉駅・上総一ノ宮駅〜大原駅・勝浦駅間と早朝に安房小湊駅発安房鴨川駅行が設定されている。
また前述の通り勝浦駅発着の京葉線直通列車は当区間は普通列車となる他、特急「わかしお17号」「わかしお21号」は勝浦駅→安房鴨川駅間を普通列車として運行する。
駅一覧
●:停車 ○:昼間の京葉線直通快速のみ停車 レ:通過
現在の使用車両
自社車両
記載の無いものは全線で運用。
E257系500番台・5000番台
500番台は幕張車両センター所属。5両編成。
特急「わかしお」で使用される他「新宿わかしお」の運用に就く事もある。
5000番台は大宮総合車両センター東大宮センター所属。9両編成。「新宿わかしお」で使用。
209系2000番台・2100番台・2200番台(B.B.BASE)
幕張車両センター所属。2000番台及び2100番台はワンマン運転列車以外の普通列車と東金線直通で使用。
なお2100番台C612編成は後述の脱線事故の当該車両。
2200番台は臨時列車で使用。
E131系0番台・80番台
幕張車両センター所属。上総一ノ宮〜安房鴨川〜木更津間のワンマン運転列車で使用。
E217系・E235系1000番台
鎌倉車両センター所属。基本編成は10両で4・5号車はグリーン車、付属編成は5両。横須賀・総武快速線直通快速として千葉〜上総一ノ宮間で使用。
E217系の基本編成は過去に大原まで乗り入れていた。
209系500番台・E233系5000番台
京葉車両センター所属。10両編成。
京葉線直通列車として蘇我〜勝浦間で運用される他、内房線普通運用で千葉〜蘇我間にも入線する。
なお上総一ノ宮〜勝浦間はE233系6両編成、東金線には4両編成のみ乗り入れる。
過去の使用車両
国鉄民営化後の車両のみ記載
自社車両
183系
幕張車両センター所属。特急「わかしお」及び末端区間の普通列車、「おはようわかしお・ホームタウンわかしお」で使用された。
JR貨物所属
EF64形1000番台
愛知機関区所属。京葉臨海鉄道直通貨物列車の牽引機として使用された。
置き石による脱線
2020年(令和2年)5月8日、安房鴨川発千葉行普通第280M列車6両編成(209系2100番台C612編成)の1号車(クハ208-2112)が、安房鴨川〜安房天津間の「第一新田踏切」通過中に脱線し、乗客1名が負傷した。
事故発生前の4月21日の午後に同踏切内で列車が異音を感知して緊急停止する事象が2件続けて発生しており、この時も現場付近に粉砕された石の跡が複数残っていた事から千葉県警は往来危険の疑い、即ち置き石による事件の可能性を考慮して捜査を開始。
5月19日に置き石を行ったとして往来危険の非行事実で当時10歳の男子小学生が児童相談所に書類送検された。犯人が小学生だった事、少年が当時「実験でやった」と供述していた事から、ニュースでも度々取り上げられていた。
しかし少年が書類送検された理由は「置き石」による件のみであり、その後の事故調査において脱線との因果関係はあくまで「可能性がある」として断定はされなかった。
なお当該車両であるC612編成は同年6月19日に運用復帰したものの、翌2021年(令和3年)4月28日に廃車回送された。