この記事には『Fate/Grand Order』第2部6章『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』における重大なネタバレを含みます。
ネタバレを気にしない者のみ通るがいい
真名熔解
多くの犠牲を払い、多くの惨劇を経て、ついに呪いの厄災・ケルヌンノスを調伏したカルデア。
しかし、それでもブリテン島の崩壊は止まらない。
超巨大な虫のような怪物が突如として出現し、島の大地を根こそぎ呑み込んでいく。
そしてボロボロの主人公らの目前に、罪都キャメロットで散ったはずの男が現れ……
俺はおまえたち汎人類史が創りあげた空想、妖精王オベロンのカタチでこの姿になったもの。
神秘の時代の終わりと共に、自らの破滅を望んだブリテン島の意思の具現。
────名をヴォーティガーン。
オベロン・ヴォーティガーン。
君たちと共に、妖精國を滅ぼした『奈落の虫』さ。
プロフィール
真名 | オベロン・ヴォーティガーン |
---|---|
クラス | プリテンダー |
性別 | 男性 |
身長 | 174cm(人間時)/ 全長1440km(虫竜時) |
体重 | 56kg(人間時)/ −−kg(虫竜時) |
出典 | 妖精國ブリテン、『Fate/Grand Order』 |
地域 | 妖精國ブリテン |
属性 | 混沌・悪・地 |
好きなもの | マスター(明らかに嘘とわかる棒読み) |
嫌いなもの | 何もかも |
設定担当 | 奈須きのこ |
ILLUST | 羽海野チカ |
CV | 豊永利行 |
概要
これまで「オベロン」が真名と思われていた状況は覆り、真名熔解が発生。
改めて真名「オベロン・ヴォーティガーン」を名乗り、セイントグラフの意匠もルーラーからプリテンダーへと変化した。
その正体は妖精歴12000年に消滅した『本来のブリテン島』による滅びの意思の具現が「オベロン」という役に当てはめられたモノ。オベロンを名乗る人型は、あくまで奈落の虫から分離したアバターだが、同時に本体でもある。
ブリテン島を崩落させる底無しの排水口であり、抑止力とは逆に、世界や人類史を成り立たせまいとする反作用。そしてノウム・カルデアのトリスメギストスⅡが予測した、ブリテン異聞帯消滅による地球崩落の元凶でもある星の終末装置。
何度打ち倒されようと別の存在として再誕する厄介な性質を持ち、かつては「モースの王」として牙の氏族に呪いを残し、バーゲストの誕生を仕込むなど、次の災厄への布石を打っていた。
そして今回は「虚言の妖精王オベロン」として生まれ、オーロラ経由でウッドワスを氏族ごと自滅させる等、始祖の邪心を受け継いだ妖精たちが潰し合うよう様々な手を打ち、この度遂に滅亡を完遂させた。そして、最後のトドメに汎人類史も消滅させようとする。
ケルヌンノスは妖精國を罰し滅そうとする災厄であったと同時に、この奈落の虫を封じ込めるフタも担っており(ベリルが最初にたどり着いたブリテン異聞帯の姿からも分かるが、ケルヌンノスはブリテンの大地の消滅までは望んでいなかった)、オベロンの目的は自分を押さえつけていた彼を打倒し、穴から脱出する事だった。
異聞帯のヴォーティガーンである彼が「オベロン」として顕現したのは、モルガンが汎人類史からの漂流物を許可した結果、妖精王オベロンの概念が異聞帯においても存在していたため。
ゆえに彼はヴォーティガーンであると同時に、汎人類史から来た英霊の妖精王オベロンでもあり、その在り方はハイ・サーヴァントに近い存在とも言える。
根本的な性格や価値観こそ本来の彼と同じだが、終末装置としての在り方により、世界を滅ぼすレベルにまでその攻撃性は強くなっており、ヴォーティガーンとしての目的はブリテン島の消滅だが、オベロン本人の目的は人類史の根絶である。
口にする言葉は何もかも嘘まみれだが、世界滅亡は大真面目に叶えようと奔走していた、人類史とは決定的に相容れない正真正銘の敵。オベロンとして人理根絶を願うルーツは、本章の物語が大詰めを迎えた時に明かされる。
人物
本来の一人称は「俺」。
口を開けば今までのオベロンのように気さくで調子のいい言動に騙されそうになるが、その実態はまさしく希死念慮の擬人化そのものであり、目に映るもの全てに嫌悪感を抱き、ブリテン異聞帯や汎人類史を「気持ち悪いから」という理由で滅ぼそうとする。
獣のような愛や、降臨者のような人類史に侵攻しようとする敵意も何もなく、ただただ何もかもを滅ぼしたいだけの、「自分ではどうしようもない、そして自分の責任ではない世界の終わり」という無責任な終わりを望む者たちの代弁者。英霊を人間が生きたいと願うリビドーの化身とするなら、彼は破滅を願望するデストルドーを司る。
ヴォーティガーンが被った英霊オベロンの殻は、「すべて一夜の狂騒ならば」という性質を含むフィクションであるため、言動の全てが最終的にねじ曲がる。そのため一切の言動に信憑性が無く、どこまでが嘘でどこからが本当か判別する事が極めて困難な、根っからの大嘘つき。彼が好きと言ったものが本当に好きなのか、嫌いと言ったものが本当に嫌いなのか、どうでもいいと言ったものが本当にどうでもいいものなのか――自分自身をも偽ってしまうため、真実は誰にも分からない。
全ての言葉が真偽ごちゃまぜで出力されるが故に、言葉によるコミュニケーションは困難を極める。これは英霊としての性であり、自分ではどうする事もできず、本人も相当うんざりしている。まれに心からの本心を口にすることもあるが、万が一それを「本気の言葉」と分かる形で発言してしまった場合、「その発言を信憑性のない嘘にする」ために運命の方がオベロンの本心に反する形で確定されてしまう、ある種の因果操作的な特性もある模様。
例外として、"もう覆らない過去"となった事実や、そもそも口に出さず明言していない事はねじ曲がりようがないため、本当に大切なことに限ってはぐらかす。そう言う意味では、"断言しない"ことこそ彼なりの誠意なのかもしれない。
ちなみに彼は「ヴォーティガーン」を特定の個人ではなく「ブリテンを終わらせるもの」という役割のようなものと捉えており、その使命や責任は感じていても、自身がヴォーティガーン本人であるという意識は薄くどこか客観視している。
そのためか人格の主軸はオベロン寄りであり、無邪気だった箱入り王子が没落し、世の汚さを体感して荒んだと言った方が近い。ティターニアやシェイクスピアに言及する一方、本来オベロンとは接点の薄い汎人類史の円卓には特に言及していない。
カルデアに召喚された彼は、主に妖精王オベロンである第1〜2霊基の姿で活動しており、真の姿である第3霊基の姿を見せることはほとんど無い。態度も基本的に無気力に振る舞い、誰に対しても悪態と皮肉を口走る。
異聞帯での自らの使命は果たしたためか、燃え尽き症候群を自覚する程にやる気を無くしており、カルデアをどうこうする気力もない。ただし口は悪いが態度そのものは割と紳士的で、自身が認めた相手には言葉を濁す一方で真摯な態度を見せるなど、意外と誠実。しかしやっぱり性根はひん曲がっているため、そういうところは人に見せたがらない。
マイルームでは「食堂に行ってメロン食べよっと」と言っているが、『material X』の項目によると別にメロンが好きでもなく、単に一番希少で高級そうなものだから嫌がらせのつもりで食べているらしい。キャストリアには「器ちっさ!」と突っ込まれている。同様の理由でか、早々に(必要もなく)返す気もない借金を口八丁で方々からしまくり、再び"借金王"の名を拝借していた。
なお、あくまで全てに嫌悪感が湧くだけであって、性的嗜好や美的感覚が乖離している訳ではないため、異性の好みやファッションセンスに関しては別に普通だったりする。
能力
戦闘方法は、第1、2霊基に比べて禍々しいものに変化している。
モーション中では、竜の爪を用いた接近戦で戦う他、自身の体を黒い虫の群れに変化させて体当たりしたり、木製の槍2本を遠隔操作したり、地面から槍を突き出したりすることが可能。
また、虫の操作能力も持ち合わせており、蝶を始めとした虫の奔流を操る他、蟷螂の前脚を模した大鎌や蜂の毒針を模したレイピアを用いたり、巨大化させたダンゴムシを蹴り飛ばしたり、地面から百足を出現させて噛みつかせたり、ツノゼミに騎乗して突進したりする。
保有スキル
妖精眼(−) | ヒトが持つ魔眼ではなく、妖精が生まれつき持つ『世界を切り替える』視界。あらゆる嘘を見抜き、真実を映すこの眼は、知性体が持つ悪意や短所、生まれ持った性(さが)を明確にオベロンに見せつける。楽園の妖精達が保有する『妖精眼』同様、オンとオフを切り替える事は不可能であると思われる。 |
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対人理(D) | 本来はビーストのクラススキル。人類とそれが生み出すものに有利に働く法則、その全てに待ったをかける力。憎しみも恨みも持てず、ただ呼吸するように人類を根絶やしにしたくて仕方がないオベロンは、長い欺瞞と雌伏の果てに人類悪と同じスキルを獲得するに至った。簡単に説明すると、人々の心の方向性(場の空気)をさりげなく悪い方、低い方、安易な方へと誘導する悪意である。 |
夏の夜の夢(EX) | オベロンが発生時より持っている「呪い」。全ては夢まぼろし。ここで起きた出来事は真実に値しない――世界で最も有名な妖精戯曲『夏の夜の夢』はそのように幕を閉じたが、それはオベロンの性質をも表していた。人類史において、彼の言動は『何をやっても嘘』というレッテルが貼られてしまい、その結果として、「本当の事は(言え)無い」という呪いが刻まれてしまったのだ。 |
夢のおわり(EX) | 末期の夢。対象一騎にかける強化スキル(攻撃力、宝具強化)。対象サーヴァントは無類のパワーアップを齎されるが、一連の行動が完了した直後に全てのバフを失って永眠する――夢が喪われた者は、もう二度と現実に目覚める事はない。 |
宝具
彼方とおちる夢の瞳(ライ・ライク・ヴォーティガーン)
- ランク:EX
- 種別:対界宝具
- レンジ:無制限
- 最大捕捉:無制限
「良いだろう、今一度黄昏の空を……!」
「夜のとばり、朝のひばり。腐るような、夢のおわり……黄昏(たそがれ)を喰らえ!『彼方とおちる夢の瞳(ライ・ライク・ヴォーティガーン)』!!」
妖精國を滅ぼす際に見せた『空洞の虫』――真の姿である奈落の巨虫に変貌し、世界そのものを飲み込む宝具。飲み込まれた存在がどんなに強かろうと抜け出せない「空洞」としての性質を有し、ヴォーティガーンを撃破したうえで奈落の虫そのものが破壊されない限り脱出できないが、オベロンによってもたらされる「落ちていく夢」に囚われた状態で抗うのは不可能に近い。
「終わりがないのが終わり」とはまさにこの事である。
効果そのものは『彼方にかざす夢の噺』と同様に【敵全体に強力な秩序特攻攻撃+攻撃強化状態解除+睡眠状態を付与(1T)+無敵状態を付与(1T)〈デメリット〉】。しかし演出は、虫に集られたオベロンの姿が、黒い蚊柱が一斉に死滅するように醜く崩れ、ブリテン異聞帯に顕現した奈落の虫そのものへと変貌して、全てを飲み込み無限の奈落へ落とす、という悍ましいものに変わる。
ちなみに、第3段階のオベロン・ヴォーティガーンとしてのこの宝具につけられたBGMは、第2部6章の最終決戦のBGM「おしまい~妖精円卓領域:O・ヴォーティガーン」(ボイス依存で流れ始めの箇所が変化するため事実上2種類存在する)。
なお、宝具演出中の奈落の虫のボイスはSEではなく、加工した豊永氏のものとのこと。そのためか、ゲーム上でもSEではなく宝具台詞扱いであり、ボイスリストから聴き直しが可能。このボイスは息を吸って出したと『Spotlight Lostbelt No.6』でパートゲストで登壇した豊永氏本人が語った。
余談だが、この虫竜のデザイン原案もオベロン本人と同じく羽海野チカ氏。もともと(普段描いているジャンル上当然ではあるが)クリーチャーデザインなど経験がなく、また本作でも予定外だったものの、オベロンをデザインするにあたり、彼のイメージを深掘りしようと、奈須氏から受け取った奈落の虫についての資料を形にしたもの。また、このデザインには、羽海野氏のトラウマである「密猟に遭い、頭を切り取られてしまった象」(検索するとそれらしき画像はいくつもヒットするがいずれも凄惨極まりないため閲覧注意!!)の姿も落とし込まれているとのこと。
宝具演出ではイトトンボ、オオミズアオ、オオスズメバチ、カゲロウ、コノハムシといった昆虫が確認できる。
関連人物
汎人類史において、竜の血を浴びてブリテン島の意思と一体化した元人間で、最後はアーサー王と円卓の騎士に敗れ、討滅された。それについては「やり方が甘かった」「何もかも消してやろうという気概が足りなかった」と評した。
ヴォーティガーンは竜の姿に変じたとされるが、オベロンの翅は英語でドラゴンフライと呼ばれるトンボのものに似ており、どこか繋がりを感じさせる。あくまで結果的にだが、モードレッドやアグラヴェインも『ブリテンの破滅因子』の一つであり、それらの役割を担ったともいえる。
相性最悪な夢の住人。オベロンはマーリンからの支援を拒否するが、この拒絶の元は「物語」に対するスタンスの違いである。マーリンは登場人物(個人)に興味はないが物語(人類史)を好み、オベロンは物語(人類史)を嫌悪するが登場人物(個人)には感情移入しやすい。
マーリンは「千里眼」によって楽園の塔から世界を俯瞰できるが、プリテンダークラスの絶大な欺瞞能力をほぼ全てマーリンの千里眼除けに集中させていたため、彼の存在だけは一切認識できず、マーリンからは主人公とオベロンとの会話は全て「主人公がよく独り言を呟いていた」ようにしか見えなかった。
が、しかし。異世界の女マーリンからの支援は避けられずにその対象に入ってしまっている。
目的を達するのに重要な「駒」として注目し、ろくな教育を受けられなかった彼女にマーリンを騙って声を届け、苦労しながら魔術などの指導を行った(アルトリア曰く「通信教育」)。
しかし、それが巡りめぐって自らの悲願を最低限止まりで終わらせる結果になった。
マテリアルの記述によれば、彼女とオベロンは「ある一点を除きほぼ同じキャラクター性を持つ」存在らしく、またマイルーム会話においては、彼女曰く「宿敵にして同胞」「同じ幻想でありながら、私は人を知らず、彼は人を知りすぎた」。これらの在り方はかの人類悪と魔術王の関係を想起させる。総じてその関係は親子とも兄妹とも師弟とも割り切れない、複雑だが近しいものであった。
モルガンの残した資料から、妖精國の真実=先祖の自業自得兼自分の暗躍だと知ってしまった彼女を殺害した。その際、自らが翅の氏族に牙の氏族を差し向けた元凶であった真実を明かしている。
むしゃくしゃしてやったとは言っているものの、本当の理由は分からずじまいであった。
初対面時から辛辣に嫌っていた相手。
それもそのはず、本質が人類愛であるコヤンスカヤと、人類大嫌いのヴォーティガーンとでは決して相容れない……と、深読みしてしまうかもしれないが、その実は意外と単純で、嘘つき同士の同族嫌悪であった。
向こうも彼が黒幕である事に気づいていたが、ムリアンの最後の願いを叶えるべく、オベロンを殺すのではなくその計画にとって邪魔になるカルデアを守る事にした。
その為にケルヌンノスの死の呪いを受ける事となり、後にこれが原因でカルデアに敗北したも同然の結果となったが、ビーストⅣ:Lのマテリアルにて、オベロンの企みによるものと判明した。
計画の要にできると踏んでいた「一番どうでもいい駒」であり、自分と同じ傍観者。
彼/彼女とつい話しすぎたことは最大の誤算であり、相容れない敵同士ではあったが、失意の庭や決戦時の会話などを見るに、ある意味劇中における最大の理解者同士でもあった。
アルトリアと同じく、自分の代わりがいなかったために身の丈以上の使命を押し付けられ、否応なく歪まされた共通点がある。本編中でもイベントでも互いに色々な意味で遠慮のないやり取りをしている。異世界の天敵からは、主人公の夢を守護していることが暴露された。
純粋で眩しすぎる彼女のあり方はオベロンとは相容れないであろうと思われる。
しかし旅の仲間として気にかけていたのは本当だった。
巡礼の旅の仲間の1人。
マイルームでは「誰だっけ?ソレ」とすっとぼけている。恐らく彼女に抱いている心境は……
巡礼の旅の仲間の1人。
彼の強烈なキャラクターは嘘でも忘れることが出来なかったようで、同じ姿のサーヴァントを見かけた際は一瞬素に戻るほど驚愕し、呆れ混じりに感嘆していた。
ノクナレアと違い、恋に生きる人生を全力で謳歌する彼女を「自由に生きてるって感じがする」という理由で好きと語る。が、棒読みなので恐らく……
ちなみにティターニアは様々な妖精や女神の複合体として創作されており(いくつかの妖精・女神がモデルになっている)、そのモデルの一つにマヴ(=メイヴ)もいる。
感謝の想いを綴った手紙を「あのクソ野郎に届けてくれる?」と言ってマスターに押し付けてくる。しかも封蝋にはたっぷり毒が仕込まれており、触れないようマスターに忠告する辺り、確実に仕留める気である。内容も「墓まで持っていく」と書いてあるため、嘘でも感謝の言葉など伝えるつもりはないらしい。イベント中でも彼の話題を口にする時は完全に素に戻る。
余談だが、オベロンの結末はトゥリファスの聖杯大戦での彼の結末と非常に似通っている。ゲームにおける性能もBuster全体宝具、NP付与スキル、バスター性能アップスキル持ちと共通点も多い。
「誰かのための物語」であり、オベロンとは異種同質の存在。「全ての読み手のいなくなった世界でお茶会を開くから、その時は来てくれるかい?」と親しくお茶会への参加を呼び掛けるが、『竹箒日記』曰くナーサリーからは、「素敵なお誘いありがとう。でもごめんなさい、素敵な王子様。私は読み手のみんなが輝く顔が大好きなの」と、とても優しく礼儀正しく断られた。しかし「そう言うと思っていたよ」と、初めから断られると予想していた模様。最も近しく、最も互いを理解し合える相手だからこそ、断られることもわかっていたのだろう。オベロンの本心が垣間見える。
異聞帯での最大の障害。彼女さえいなければ自分は産まれる必要もなく、どうでもいい世界を滅ぼすという不快極まりない使命を押し付けられることも無かったため、排除すべき存在の一つと考えており、オベロン本人も「仇敵」と表現していた。
しかし、彼女が築き上げた國を一万四千年もの絵本に例えており、「アンタの描いた絵本は嫌いじゃなかった」と語っている(妖精という存在と滅亡したはずなのにまだ続いているブリテンという国を無に帰したかっただけで、「モルガンの理想」自体に文句があった訳では無いのだろう)。
ちなみに彼女からはクソ虫呼ばわりされており、「早々に見つけて潰しておけばよかった」と、その正体に気づいていた事が示唆されている。実際に、女王暦になってからモースの王を含めブリテンを二度も滅びに追いやろうとしたが、どちらもモルガンによって防がれているらしい。
ウェールズの森を焼いた彼女に対してはパーティなどで出会った際にも辛辣な態度を取っていたが、後に判明した情報ではバーゲストが決定的なタイミングで破滅するよう予め細工を施しており、それに関して「バーゲストには悪い事をしたとは思ってるけど自業自得だし、元から壊れてたんだから俺を恨むのは筋違い」と吐き捨てている。
バーゲストと同じく、ウェールズの森を焼いた相手。
その後、『世界を破滅させる為の駒』として扱っていた。
カルデアでは顔を合わせないよう逃げているが、コヤンスカヤをけしかけた事に関しては「見苦しいビーストがアルビオンの残骸を取り込んだらどうなるか興味があったから惜しかった」と笑った。そもそもオベロンがメリュジーヌに行ったのは背中を押すという手助けなので……
他2人とは異なり、劇中では特に絡みはなかった。汎人類史ではなく妖精國の彼女を呼んだ事を知るや、今さら更生できると思ってるのかと野次り、「悪の華はどこまでいっても悪の華」と断じる。
ウェールズの森の妖精たち
彼が召喚され、領地としていた場所に住む彼を慕う虫の妖精たち。
最初は彼らのことも嫌っていたが、カルデアと合流する頃には無意識ながらも憎からず思うようになっていた様子。また、オベロンの真実には彼らなりに気づいていたようで、彼らの会話にはぼーてがん=ヴォーティガーンやオベロンの相反する性に対して言及する場面がある。
本編で雌雄を決した時点でどうやら彼の精神の奥底に居座っている模様で、絆レベル4の会話で眠っている最中に彼らから色々と話しかけられて寝つかない事にウンザリしており、マスターに虫除けスプレーを持ってないかと聞かれる("殺虫"でない辺りやはり素直ではない)。
身代わりとなって呪いを引き受けて死んでしまった彼女を放り捨て、「どうでもいい」と唾棄していた……が、彼の性質や、最終再臨後のセイントグラフや絆礼装を鑑みると、本心では決してどうでもいいと思ってはいなかったことがわかる。最終再臨時の台詞でも、その最期に対し「あれがキミの満足の行く結末だったのか?」と問いかけている。死体とは言え、奈落の穴で無限落下するハメになるのを避けようとした結果、あのような言動をとったのかもしれない。
「間違ったブリテンを根絶する」という目的は果たせた勝ち馬である自分と違い、「自分の世界を守る」という使命を果たせず、カルデアに道を譲ったため、「人が出来てる」と皮肉を言いつつ敗者だの負け犬だのと煽り倒している。後が怖い。
北欧神話における終末装置。
オベロンは『陥穽』の終末装置であり、ビーストとは異なる大災害という共通点がある。
現状直接の絡みはないが、嘘を忌み嫌う彼女と大噓つきのオベロンは誰がどう考えても相性最悪である。ファンアートでは2人がいがみ合っている姿が描かれていることも。
スキル「貧者の見識」によって嘘を見抜くサーヴァント。上記の清姫と同様、現状直接の絡みはないが、スキルに加えてカルナの口下手加減もあって恐らくは彼女とは別ベクトルで相性が悪い。
生前敵対していたヴォーティガーンの気配を感じたらしく「妖精王……本当に?この気配、妖精というより竜のそれだが……」と戸惑っている。
気さくな隣人を演じ、味方として共に戦い、その陰に邪悪な本性を隠していた者繋がり。彼に関連付けて疑っていたユーザーも一定数存在した。
「無限」及び「形なきもの」に関連している者繋がり。ただし、奈落の虫の本質が彼女の追い求めた「 」の概念と同質のものなのかは不明(それに合致する例とは、超次元の異空間という共通項はあるが)。少なくとも、受ける印象が大きく異なるのは確かである。
別世界の死徒。オベロンが「人類史の根絶を願う破滅装置」である事に対し、ワラキアは「人類の存続を願い、結果絶望し人類への破滅装置と化した」事や、オベロンは「信用ならない虚言の化身」であり、口にした真実をも嘘にしてしまうのに対し、ワラキアは「一夜限り虚言をタタリとして現実に再演する」事で嘘を現実にするなど、いくつか相対的な関係をもつ。
またこちらの世界での彼は、ロンゴミニアドと深い関わりを持っている。
元々の彼の名前にはオベロンの名が含まれており(オーベロン表記だが)、事件簿マテリアルにおいてちょっとした小噺程の関係があると明言されている。
似て非なる在り方のプリテンダー。
自分が口にすること全てが嘘になる呪いを持つ妖精王に対し、他人が口にしたことと真逆の結果を必ずもたらす反願望機。
どちらも災いの竜と人型アバターの双方が本体で、竜が妖精の役を羽織っていたのに対し、果実が竜の役を羽織るという点では真逆である。
余談
プリテンダー(Pretender)とは「詐称者」あるいは「王位を狙う者」という意味でヴォーティガーンにピッタリなクラスと言える。
ユーザーからはそのまま「オベロン」、または第1・2再臨時と対比して「黒オベロン」「黒オベ」と呼ばれる事が多く、「ヴォーティガーン」の部分はだいたい省かれる。長いし。
サポートとしてオベロンが使えた頃より、秩序特攻宝具、サポートに登場するたびに変わるクラス、モースのようなエフェクト、マーリンの強化成功率が下がるクラススキル等、不穏なフラグと捉えるユーザーも多かった。更にヴォーティガーン自体がシナリオに登場する可能性も6章開幕前から示唆されており、終盤で満を持して現れたのは、両者が悪魔合体した邪悪そのものだった。
NPC時のバーゲスト戦にて「人類の脅威」特性付与の特殊デバフでアルトリア・キャスターを支援していた彼だが、これは皮肉にも自身が持つ特性のひとつでもある。
また、オベロンとしての「妖精」特性、ヴォーティガーンとしての「竜」特性に加え、「混沌・悪・地」「騎乗」「男性」といった複数種の特効が通用するため、最終決戦では弱点であるフォーリナーが不在でも特殊バフにさえ気を付ければ十分対処可能である。
また、今章ではスキップできない選択肢が多く、不穏な展開や今までにない分岐に繋がる可能性を考察する声もあった(ただし、別のシーンにしか影響しない選択肢もある)。
それについても実際その通りで、該当選択肢でオベロンに踏み込んだ質問をするなど、状況をより深く推察していた場合、通常の選択肢に加えて赤文字の不気味な選択肢が追加される。
ここで赤文字を選んだ場合は主人公が真相に気付いていた流れとなり、会話の内容が膨らむようになっているなど、演出面でもかなり力が入っている。
彼を疑う態度を取る場合、下側の選択を選べばだいたい正解。更に赤文字を選んでいくと、最終決戦の最中(ゲーム的には戦闘後)にオベロンの心中に文字通り踏み込んでいく。
これに関しては、後の『竹箒日記』にて奈須きのこ氏本人が明かしており、「ユーザーは気づいているのに主人公は気づいていない」という認識の乖離が発生するのは良くないと思って実装したものである。赤色という不気味な演出については「これを選んで本当に大丈夫なのか」と心配するマスターも一定数いたが、これについては「分かりやすくするために色を変えてみたけど、赤くしたところ何となく禍々しい感じになってしまっただけ」らしい。なお、元々の仕様として文章ログでは選んだ選択肢が赤文字で表記されるが、それとは何の関係もない。
第2部6章の真のラスボスとして登場した彼だが、仲間だった時期が長かったり、その悪行や言動、及びその使命自体がプレイヤーが思わず共感してしまうよう計算されたストーリーであった事から、ガチャでの登場が多くのユーザーに望まれていた。上記でも触れたようにアルトリア・キャスター、主人公、オベロンの3人は共通点を持っていたことから躍動トリオなどと呼ばれている。
現実時間で長きに渡る第2部6章が完結した直後はガチャに実装されていなかったため、同じく長らく放置され、かつて実装を望まれた者達のような催促の声を飛び越えて「オベロンPUが始まる」という集団幻覚じみた反応(本来の原典と最終節の題と配信時期とが相俟って通称「夏の夜の夢」とも)が多数寄せられる事態となった。更には仲間になったという前提で憎んでいたハズの人類史を生きるものたちと宜しくやっていたり潔癖症扱いされているなどのイラストも投稿されている。
その願いが届いたのか2021年8月11日にとうとうピックアップ実装。さらにクラス名にちなんで髭男の同名タイトルのあの歌が触媒に使われる現象も発生している。オマケに歌詞が絶妙な所で彼にベストマッチしているのだからなお凄い。ちなみに、妖精國での出来事は全て憶えており、6章攻略前と後のどちらの召喚であっても、カルデアに召喚されたことに複雑な感情を抱いている(クリア前では「話には聞いていたが本当に身震いする」と数多の英霊に会える事で興奮している、或いは武者奮いしているかのようにいうが、実際の所クリア後の召喚台詞「心底、気持ち悪いけどね?」からすると「嫌悪感で身震いしている」のが正しい)。
そんなこんなで召喚直後の彼に待ち受けていたのは、量産型レジライという歴代夏イベでも類を見ない狂気を産み出した『カルデア・サマーアドベンチャー!』、あのダイナミック違法建築が再び降臨した『チェイテ・ハロウィン・トリロジー』及び新規ハロウィン『ハロウィン・ライジング!』、復刻版『ぐだぐだ邪馬台国』と、怒涛のイベントラッシュであった。
しかも邪馬台国に至っては、そのスキル構成からレイド戦におけるワンキル要員として数多くのマスターに酷使される始末であった。複雑な事情を抱える中での怒涛の洗礼は、さぞ胃が痛くなったに違いない。合掌。さらに追い打ちをかけるように2022年水着イベントでは彼の地雷の女性バージョンが同僚として登場。おまけに2022年ハロウィンイベントではエリちゃんが幼女化してまたしても同僚として登場。やめて!オベロンの(胃の)体力はもうゼロよ!!
妖精國を攻略し、絆5にしてもこの色々と真っ黒な正体についてはプロフィールでは一切語られず、真相は分からないままであるが、実は彼だけ妖精國クリアに加えて絆を6まで上げるという結構ハードル高めな条件を満たすことで全てのプロフィールが更新される。ここでようやく彼の本来の人となりを垣間見ることができるのだ。
シェイクスピアの劇の偽作(没後に新たに発見されたシェイクスピアの劇として宣伝されたが実際は別人の制作したもの)として、『ヴォーティガンとロウィーナ』というものが存在する。なお、ロシアに発生し、ニキチッチに討ち取られた"竜だか虫だか分からない生き物"との関連性は不明。
フローチャート
上記の通り妖精國を滅ぼす事には成功しているが、実際の所20年近いハードワークの賜物であり、成功したのは奇跡と言っても過言ではない。
- オベロン自身が授かった戦闘力は凡庸。自分でモルガンや有力者たちを倒すなどまず不可能。
- ブランカ以外に、援軍や手駒と呼べる味方が一切いない。劇中で築いた数々のコネも、全て本人の努力の成果。
- 大前提としてケルヌンノスをどうにかしないといけないが、ただ復活させても「現在女王暦として世界が存在する」という確定した未来を利用し、過去に飛ばす事でモルガンに(再封印にせよ討伐にせよ)対処されてしまう。
- 上手くモルガンを消せても、バーヴァン・シーやノクナレアが健在なら護國の王座を継いでしまう。
- 反女王勢力の下地として円卓を組織。マネジメントも全部一人で行い、各地で情報収集に奔走し続けていた。
- 予言の子アルトリアも劣悪な環境によりひ弱だったため、自分があれこれ面倒を見てやらなければとても利用できる器にはならなかった。そして彼女に魔術を教えるために3日づけで魔術を猛勉強。
- オーロラと同盟関係を築くが、刹那主義な彼女の矛先が自分やアルトリアに向くと大変な事になるため、好感度や注目度など色々と調整しなければならない。
- マーリンの千里眼対策にプリテンダーとしての能力を使い続けながら、妖精眼を持ち嘘を見抜くアルトリアとの距離感も注意しなければならない。
- コヤンスカヤという相容れぬイレギュラーもブリテンに現れ、対応を誤れば全てを台無しにされる可能性があった。
こんな感じで簡単にまとめてもかなりの無理ゲーであり、何よりも絶えず吐き気を催すような「キライ」の感情を押し隠して芝居を張り続けるというある意味拷問のような環境で、全てのピースが最高最悪のタイミングで噛み合う瞬間を逃さぬよう、必死に策謀を張り巡らせていた。
その上でオベロン個人の願いであった「汎人類史滅亡」がストームボーダーの乗員を単に抹殺するだけで叶うというヌルゲーにも程がある終盤の状況は、彼にとって千載一遇のチャンスに見えたことだろう。それが納得せざるを得ない理由で失敗したため、燃え尽き症候群になってしまうのもあながちおかしくはない。
そういう意味では、異聞帯の王達に対して「負け犬の彼らと違って俺は勝ち馬」と煽るのは彼らしい「嘘」……なのかもしれない。
関連イラスト
pixivのイラストのタグはネタバレを防ぐため「オベロン」での登録が多いが、絵面が真っ黒なのであまり意味を為していない。
関連タグ
Fate/GrandOrder Cosmos_in_the_Lostbelt
嘘つき 詐欺師 蟲 嫌悪 奈落 無限地獄 美形悪役 憎めない悪役
地獄:仏教における地獄の一つに「阿鼻地獄」というものがあり、一説では「最も重い罪を犯した者達がどこまでも落下し続ける」地獄と言われている(ただし「そもそも辿り着くまでに何千年も落下する必要がある」だけであり、たどり着いた先でここまでの地獄が天国にすら思える責め苦を宇宙の寿命と同等の時間味わい、苦しみ続ける事になる)。
没落王子:現代においては領地も失い、有名無実な肩書きになったとマテリアルに明記されており、結果荒んだ詐欺師へ転向したと言える。
ワームホール:SFでも登場する別の空間と別の空間を繋ぐトンネルのような概念。尤も、彼の場合は文字通り虫型の穴なのだが……
^o^:2024年の「お正月特別パネルミッション」で入手可能な概念礼装『妖精國お正月興行』において、奈落の虫の姿が某顔文字風のゆるキャラに成り果てていた。背中には同じくゆるキャラと化したケルヌンノスを乗せている。妖精國オワタ/(^o^)\
ちなみに、この概念礼装と同じくリヨ氏の手掛ける『マンガで分かる!Fate/GrandOrder』での所長の(自分で赤マジックで書いた即興の)令呪のデザインもこれだったりする。
『Fate/DreamStriker』:2024年エイプリルフールアプリ。プロローグから胡散臭いさすらいのサッカーコーチ「オベルト・ホンゴウ」として登場した。
デザインはリヨ氏が手掛けている。尚、騒動の黒幕はいかに――。