概要
アニメ『星のカービィ』の放送終了から約半年後の2004年4月に発売された。開発元はフラグシップで、星のカービィシリーズ本編としては初の外注製作。
ゲームボーイアドバンスにおける2本目かつ最新のカービィ。
元々アニメカービィの販促の一環としてアドバンスで2本、ゲームキューブで1本の本編カービィの発売が予定されており、アドバンスのうちの片方がHAL研究所謹製の『星のカービィ 夢の泉デラックス』、もう片方がフラグシップが担当した本作である(よく見られる新作を本家、リメイクを外注で並行開発というスタイルとは逆の珍しい格好)。
開発元のフラグシップは後にニンテンドーDSにて次回作『星のカービィ 参上!ドロッチェ団』の開発も担当する。
また、シリーズの生みの親である桜井政博が最後に開発に携わったカービィでもある(ディレクターとしての最後は前年発売の『カービィのエアライド』)。
後述の通り探索型横スクロールアクションのゲームで、自由度の高さやボリュームなど評価は高く、『星のカービィ スーパーデラックス』の「洞窟大作戦」を除けば今のところ唯一の探索型カービィであることもあって、本作のリメイクや探索型カービィの新作を望む声も少なくはない。
ストーリー
プププランドのはるか上空にある鏡の国。
そこは鏡に映る願いが叶う夢のような世界。しかし、鏡はいつしか悪い心だけを写し取り、邪悪な世界へと変わっていった。
その異変に気付いたメタナイトは、鏡の国を救うために飛び立つ。
ある日、散歩をしていたカービィの前に真っ黒なメタナイトが現れ、いきなり剣を振り下ろしてきた。
剣で切られ、4色に分かれたカービィ達が逃げるメタナイトを追いかけると、そこではなぜかメタナイト同士の戦いが繰り広げられていて・・・。
システム
基本的なゲームシステムは前作『夢の泉デラックス』のものをベースにしている。
マップ探索
今作はカービィシリーズでは御馴染みのステージクリア型ではなく、「セントラルサークル」という中心エリアを拠点に各エリアを自由に探索することでルートが繋がって行ける場所が増えていく、所謂メトロイドヴァニアである。
ただし新たな能力を獲得してこれまで行けなかった場所に行くといった概念は無いため、ボスの攻略順やエリアの完全攻略はほぼ自由である。
一応、ゴールの概念は存在しており、マップ端に何か所か存在するゴール扉を潜ったり、ボスを倒すとセントラルサークルに戻る。また、マップ途中にある大型スイッチを押すとセントラルサークルへのショートカットが出現する。
エリア切替は「ワープミラー」というものを潜る形(従来の扉と同じスタイル)となっており、メトロイドシリーズなどのようにエリア同士が物理的に隣接した形ではないため、マップ構造は結構複雑であり、探索面についてはやや難易度高め。頼みの綱のマップ画面も、そのエリアに行ったことがあるかどうかやエリア達成率が100%かどうかは分かるが、所謂「地図」としてはあまり役に立たない。
迷った際には携帯通信機でワープスターを呼び出すことにより、セントラルサークルへ戻ることも可能。
協力プレイ
前作でも最大4人のマルチプレイは存在したが、本作ではステージクリア型ではないため、各々が完全に独立して行動することが可能。
他のカービィの状況はマップ画面でおおよその位置、画面左上のアイコンで所持しているコピー能力が分かるようになっている。必要時には後述の携帯通信機で集合することができる。
また、本作では1~3人プレイ時でも常に4人のカービィが存在。人間が操作していないカービィはCPUが動かしており、やはり各々独自に行動する(そのため、ふとマップ画面を見たらプレイヤーがまだ行ったことが無い場所に到達していたり、レアなコピー能力を入手しているなんてことも)。
常に複数のカービィがいるためか、本作では協力プレイを前提としたステージギミックもいくつか存在する。
主な登場キャラクター
カービィ
言わずと知れた星のカービィシリーズの主人公。
今回はダークメタナイトに剣で切られて4色に分かれてしまうが、互いに協力して鏡の国を救う。
デフォルトではピンク・赤・黄色・緑の4色で冒険をするが
道中で手に入る『カラースプレー』というアイテム(後述)を使う事で身体の色を変える事が出来る。
メタナイト
同じく言わずと知れた仮面の騎士。
鏡の国の異変にいち早く気付くものの、ダークメタナイトとの戦いで敗れ・・・。
シャドーカービィ
カービィの悪の心を映した存在。
とは言っても、裏表のないカービィの性格上、ちょっとしたいたずら好き程度でしかない。
ダークメタナイト
メタナイトの心を映したとされる、通称「黒いメタナイト」。
今回のカービィの冒険のきっかけとなった張本人。
ダークマインド
本作の黒幕。
鏡の世界を暴走させ、そこから全てを支配しようと企む。
鏡の国
こちらを参照→鏡の国(星のカービィ)
登場コピー能力
新コピー能力
アイテム
- 携帯通信機
本作の最重要アイテム。
これで連絡をとる事により、他の場所で冒険をしているカービィを呼び寄せる事ができる。
- カラースプレー
カービィの身体の色を変えることが出来るアイテム。
道中に隠された宝箱の中に入っている。
ディメンションミラー
鏡の国への入り口で、プププランドの上空にある特別な鏡。
元々はこの鏡に写った者の願いが叶うという能力であったが、とある人物の影響で鏡に写った者の心の闇を具現化してしまうことになった。
メタナイトの心の闇が具現化した、ダークメタナイトによって粉々に砕かれて鏡の国の各地に破片が散らばってしまう。
サブゲーム
- 刹那のつまみぐい
「刹那」の名前の通り、『スーパーデラックス』の「刹那の見斬り」の系譜を継ぐ反射神経系ゲーム。
蓋が空いた瞬間にボタンを押すとカービィがリンゴを吸い込んで食べる。1ターンに出てくるリンゴは4個で、速かった順に多くのリンゴを食べられる。一番早く8個食べた人が優勝。他の誰にも食べさせずに勝利するとファンファーレが変化する。
お手付きするとそのターンに参加できないほか、フェイントとして混ざることがある爆弾を食べてしまうと次のターンに参加できない。
『スーパーデラックス』の「かちわりメガトンパンチ」をバージョンアップさせたゲーム。
パワーゲージをタイミングよく止め、最後に照準をタイミング良く合わせる。カンストスコア(999.00)を出すと亀裂がポップスターの裏側にまで届いて裏側の夜景が見られるほか、ファンファーレも別物になる(「刹那のつまみぐい」の誰にも食べさせないで勝利した場合と同じ)。
後に『星のカービィWiiデラックス』の「わいわいマホロアランド」にも再録された。
- なみのりスターライド
『夢の泉デラックス』の「カービィのエアグラインド」に似たゲーム。
カービィがワープスターでサーフィンをしており、誰がゴールに一番早く到達するかを競うレースとなっている。
波に乗って先端の地点でジャンプすると加速する。よりギリギリのタイミングになるほどスピードアップするほか、さらに高い位置の波に乗って連続でジャンプすることも可能。
余談
- デモデータには「げだつ(ポア)」というテキストと(ギャグテイストだが)殺されたカービィが描かれた、シャレにならない没データがある。この作品の開発に携わったフラグシップというゲーム会社が悪戯で没データに仕込んだ可能性があるとされるが、真相は不明。参考
- アニメの影響からか、メタナイトが明確に味方ポジションで登場した最初の作品であり、以降のシリーズでの立場を確立した作品でもある。
- 本作はこれまでボスキャラを筆頭に何かしらの形で出演し続けていたシリーズの主要キャラのひとりでもあるデデデ大王が、全く登場しない唯一の作品である。(以降の作品でもストーリーには登場せずとも何らかの要素で出ていることがあるが、本作はそれすらもない。)
- 『星のカービィ スターアライズ』では、歴代の本編シリーズから原曲BGMが使用されているが、本作のみ唯一原曲BGMが使用されていない。(厳密には夢の泉の物語のBGMはないが代わりにリメイク版のBGMが使用されている。)
- これは従来の作品とは異なり、石川淳氏や安藤浩和氏といったHAL研究所所属のサウンドスタッフが本作では一切不参加で、『夢の泉デラックス』からの流用を除きディンプスの伊勢村篤義氏と稲垣博信氏が全曲を担当しているためと思われる。
- 特に、アップデートで追加されたドリームフレンズの「星の○○○○」のある専用エリアのBGMがアップデート1弾に登場したもの達は原曲BGMなのに対して、ダークメタナイトがドリームフレンズとして登場した2弾以降はアレンジ版のBGMになるあたりかなり徹底されている。ちなみに彼にあてがわれたのはセントラルサークルのBGM「スタートステージ」(本作初出の楽曲のアレンジは全て『スターアライズ』でデビューした小笠原雄太氏が担当した)。
- なお、本作の原曲BGMは『カービィのグルメフェス』にて初めて流用された(「森・自然エリア」と「ラストボス/第3形態」)。これは本作と同じくHAL研究所のサウンドスタッフが不参加だった『カービィのブロックボール』と『コロコロカービィ』も同様。なお「森・自然エリア」はカービィシリーズ以外も含めれば『大乱闘スマッシュブラザーズX』でも原曲が使用されている。
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カービィのエアライド→鏡の大迷宮→タッチ!カービィ