紋章(デジモンアドベンチャー)
もんしょう
概要
安定を望む者によって解析された、8人の選ばれし子供達の「それぞれの心が示す、最もすばらしい個性」を元に作られたアイテム。その中の『勇気』『友情』『愛情』『知識』『純真』『誠実』は精神的特質を現しており、『光』は進化や命を生み出すもの、『希望』はどんな暗闇の中でも光を失わないもののことを示している。
「タグ」と呼ばれるアイテムと組み合わせることで、安定した完全体以上の進化を可能にする。しかしそれには刻まれた心の特質のある程度の成長が必要であり、未熟な心では働かない。それどころか心の特質に反した行動で扱うと、暗黒進化へと導かれてしまう(『02』でもこうした精神的特質の別側面が描かれている)。また進化以外にも、ヴァンデモンの術から子供達を守ったり、テレポート、ヴェノムヴァンデモンを拘束した光のロープなどを発する能力を持つ。
元は安定を望む者に仕えるエージェントであるゲンナイ達が、パートナーデジモンのデジタマと デジヴァイスと共に管理していたが、ピエモンの襲撃に遭い奪われてしまった。
その後経緯は不明だが、タグはデビモンが海底洞窟にあるコンビニに隠しており、紋章はデジタルワールド中に散っていた。
最終的にアポカリモンによって8つの紋章は破壊されてしまったが、子供達がそれぞれの個性を輝かせてパートナーを進化させた。つまり、紋章はあくまでより良い進化へ導くための制御アイテムでしかなく、真の紋章とは彼らの心の中にある特質そのものだったというわけである。
『02』時点で紋章は再構築されたらしく、荒れ果てたデジタルワールドを元に戻すために利用された。このために太一たちのパートナーが完全体に進化するには特別な状況下でないと不可能になってしまった。この打開策としてチンロンモンのデジコアの力を借りたり、思いの強さが形になる世界では祈りを形にする事で完全体を顕現させていた。タケルとヒカリの場合はジョグレス進化という手段を獲得した為、そちらを利用している。
以上の理由から外国の選ばれし子供たちもパートナーを成熟期に進化するのが限界であったが、『LASTEVOLUTION絆』では一部の子供達がなんと紋章もなしに完全体への進化を行使している。
『デジモンアドベンチャーtri.』では完全体の進化時だけでなく、ワープ進化時にも出現するようになった(デジヴァイスの画面にはそれぞれの紋章と究極体を合体させ、図案化させたマークが表示される)。
『デジモンアドベンチャー:』ではアイテムとしての紋章は登場せず、進化の際にデジヴァイスに映し出される形で登場。また、ワイズモンのいる情報の大樹には旧作の紋章と同じ形状をした石版が並んでいた。
各紋章の詳細
勇気の紋章
『デジモンアドベンチャー』で最初に登場した紋章で、対応する子供は八神太一で彼の勇敢さが反映されている。カラーリングはオレンジで、図像のモチーフは太陽。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は本宮大輔。
サーバ大陸に上陸した太一がコロモンの村近辺にある洞窟で入手した。
グレイモンがメタルグレイモンに進化する為の補佐を行うが、太一が間違った勇気(無謀)の力でグレイモンを進化させた際にはスカルグレイモンに暗黒進化させてしまった。その後ピッコロモンの修行やナノモンとの戦いで本当の勇気とは『恐れを知った上でそれを乗り越えようとする力』である事を太一が学んだのでメタルグレイモンへの進化を可能とした。
この他にも『間違った勇気』に該当するのはメタルグレイモン戦でフレイドラモンのアーマー進化が解けていた事から『敵になった仲間と戦う覚悟を決めない』なども該当するのではないかと思われる(フレイドラモンの初進化もデジメンタルアップに挑戦するという勇気がトリガーとなっている)。
カードゲームではアニメ同様にメタルグレイモンの進化用アイテムとして登場した。
友情の紋章
対応する子供は石田ヤマト。カラーリングは青色で、図像のモチーフは恐らく太極図+三日月。
ガルルモンがワーガルルモンに進化する為の補佐を行う。『02』では友情のデジメンタルが安置されていた場所に刻まれていた。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は本宮大輔と井ノ上京。
ピッコロモンの下で修行を受けた際、砂漠の井戸から入手した。
一見すると一匹狼で一人で抱え込みやすいという弱点を持ってはいるが、実際は友情を感じた相手が殺されると怒りを見せる義理堅さを持ち、仲間たちと衝突しつつも成長していくヤマトに相応しい紋章だと言える。
『02』でも描かれたように友情とは『仲間を信じる事』、『仲間が道を踏み外したら戦ってでも止める事』であり、『間違った友情』があるとするならば、仲間を信頼しない事などがそれに該当するのではないかと思われる。事実として、タケルに過保護になりすぎたり、ピコデビモンの嘘に騙されて丈に罵詈雑言を浴びせたなどの例がある。同様に友情のデジメンタルの有資格者である大輔も仲間が暗黒進化したデジモンへの攻撃を躊躇していた事を咎められて反省した末にデジメンタルアップが可能となった。
意外にもメンタルが不安定になりがちなヤマトはパートナーを暗黒進化させた例が一度もない。第44話〜第45話ではあくまで自分自身と向き合って変わる為に仲間と戦う道を選び、ガブモンはそんな彼の悩みに真剣に向き合おうとした(=本当の友情だと認定された)為か、『間違った友情』扱いとはされていない。
カードゲームではスティングモンがエクスブイモンに進化する為のアイテムとして登場。成熟期から成熟期に進化と聞くと意味不明に聞こえるが、テイルモンがネフェルティモンに進化するようなものと考えればそこまでおかしいことではない(成熟期もアーマー体もレベルⅣと呼称されているから)。
勇気の紋章+友情の紋章
勇気の紋章と友情の紋章を合わせたような紋章。マークとしてのみ存在し、アイテムは存在しない。
オメガモンの胸に描かれたり、『デジモンアドベンチャーtri.』ではオメガモンの進化バンクでデジヴァイスの画面に表示されるという形で登場した。
愛情の紋章
対応する子供は武之内空。カラーリングは赤色で、図像のモチーフはハート (右側がお包みに包まれた赤ん坊のようにも見える)。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は井ノ上京と火田伊織。
ナノモンがエテモンへの復讐に隠し持っており、空のコピーとピヨモンを使って力を引き出そうと目論むも、失敗し、空に手に渡る。
気配り上手で面倒見もいい彼女にはぴったりな紋章だが、当初は母親との確執やピコデビモンに「本当の愛情を知らずに育った」と吹き込まれ事から自分に相応しくない紋章だと思っていた。傷付いた体を引きずってでもヴァンデモンに立ち向かおうとするピヨモンを引き止めた自分が母親と同じ立場であった事を自覚、『愛情』の本当の意味を実感した事でガルダモンへと進化させた。
『間違った愛情』が何に該当するのかは明かされなかったが、恐らくは過保護や束縛なのではないかと思われる。
知識の紋章
対応する子供は泉光子郎。カラーリングは紫色で、図像のモチーフは恐らくメガネ。
カブテリモンがアトラーカブテリモンに進化する為の補佐を行う。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は火田伊織と八神ヒカリ。
ピッコロモンの下で修行を受けた際、砂漠の井戸から入手した。
光子郎は知識量が子供達の中でもダントツであるが、この紋章に選ばれた本当の理由はそこではなく、知識量よりも知的好奇心が豊富だからである。行動原理そのものである知的好奇心をベーダモンに奪われた際には腑抜けになってしまったが、取り戻した際にはカブテリモンをアトラーカブテリモンへの進化させられるようになった。
彼の欠点は欲求が刺激されると視野が狭くなる事であったが、これが暗黒進化のトリガーになる事はなかった。
純真の紋章
対応する子供は太刀川ミミ。カラーリングは緑色で、図像のモチーフは涙。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は井ノ上京。
トゲモンがリリモンに進化する為の補佐を行う。
荒野に聳える巨大サボテンの花に隠されており、リリモンの進化バンクにも反映されている。
太刀川ミミは裏表がなく、感情を包み隠さない性格なのでこの紋章に対応しているものと思われる。
トゲモンがリリモンに進化するトリガーとなったのも、彼女の純粋な心が流した涙だとされ、『02』でも元々敵であった賢にも迷いなく救援を求めているなど素直さも子供達一である。
ミミは悪く言えば自己中な所があるが、これが暗黒進化のトリガーになる事はなかった。
誠実の紋章
対応する子供は城戸丈。カラーリングはシルバーで、図像のモチーフは十字架。
イッカクモンがズドモンに進化する為の補佐を行う。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は火田伊織。
いつもは頼りないが、その分他者へ貢献したいという思いと責任感が強い真面目な彼らしい紋章であると言える。とはいえ、丈は常に馬鹿正直というわけではない。無印から成長した『02』では正直さを貫こうとする余りに仲間を危険に晒し、『嘘』の付き方に付いて悩む伊織に付いてもいい嘘と付いてはいけない嘘の違いを説いている。これの本質はあくまでも「人を傷つけないための嘘と助ける為の嘘は付いていい」という誠実な彼なりの折り合いのつけ方である。このことから『間違った誠実さ』があるとすれば、極端なまでの正直さと解釈できる。
エテモンがケーブルを張り巡らせたコロシアムで入手したが、入手した回である16話がよりにもよって、スカルグレイモンの登場回だった。
希望の紋章
対応する子供は高石タケル。カラーリングは黄金で、図像のモチーフは諸説ある(薄明光線、灯台、山から登る太陽)。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は本宮大輔。
ナノモンが信用を得るために送信した地図に従い、タケルが入手した。
エンジェモンがホーリーエンジェモンに進化する為の補佐を行うが、パートナーデジモンでは最後に超進化したデジモンとなった。『デジモンアドベンチャー02』ではホーリーストーンが代わりを務め、エンジェモンをホーリーエンジェモンに進化させた。
タケルは自立心がある反面、意外とメンタルが弱い所があるが、天使型デジモンをパートナーに持つ子供には珍しく、一度も暗黒進化させた事がない。ヤマト曰く「タケルはどんな事があっても諦めない」との事なので、メンタルの弱さを希望が遥かに上回っているのだろう(流石にベリアルヴァンデモンの幻影で折れそうになっていたが)。『間違った希望』が具体的にどんなものなのかは不明。
光の紋章
『デジモンアドベンチャー』で最後に登場した8番目の紋章で、対応する子供は高石タケル。
カラーリングは薄桃色で、図像のモチーフは恐らく光芒。テイルモンがエンジェウーモンに進化する為の補佐を行う。その他のこの紋章の力を使う資格のある子供は本宮大輔。
『デジモンアドベンチャーtri.』の描写を見るに暗黒進化のトリガーとなるのは『光を見失う事』なのではないかと思われる。
ゲンナイから逸れたデジタマと一緒にヴァンデモンが確保しており(ピエモンが紋章を奪っている描写がある為、何らかの形でヴァンデモンに流れたものと思われる)、8人目の選ばれし子供探知機として利用していたが、ウィザーモンに奪還され、ヒカリの手に渡った。
優しさの紋章
『デジモンアドベンチャー02』で新たに登場した9番目の紋章で、対応する子供は一乗寺賢。
2002年の選ばれし子供で紋章を持っているのは彼だけであり、現時点で最後に登場した紋章である。
02本編時点ではデジモンカイザーの要塞にセットされ、動力源に使われていたが、デジモンカイザー事件収束後は賢の下に返還された。作られた時期は不明。
カラーリングはピンク色で図像のモチーフは恐らく、花の蕾(優しさのデジメンタルのモデルも花の蕾である)。
本編で『奇跡のデジメンタル』、ドラマCDでは『優しさのデジメンタル』にも変化しており、デジメンタルに変化する紋章は現時点ではこの優しさの紋章だけである(他のデジメンタルと紋章はそれぞれ独立して存在する)。また、賢はこの紋章を進化に使った事がなく、暗黒デジヴァイスの力でアグモンをメタルグレイモンに暗黒進化させている。この為、『間違った優しさ』がどういうものなのかは不明に終わった。
賢はタグまでは持っておらず、単体の完全体は披露されることはなかったが、カプセルトイ『デジモンアドベンチャーメモリアルグッズ』にてタグ付きが商品化されている。
なお、「02」のOPでは前作に登場した8つの紋章が光に吸い込まれていくが、後期からは優しさの紋章も加わった。
カードゲームではエクスブイモンがスティングモンに進化する為のアイテムとして登場。進化というよりもモードチェンジに近いか。
その後
基本的に紋章はデジモンアドベンチャーシリーズ限定の要素だが、デジモンの意匠や設定の一つとして組み込まれたりする事もある。主にデジメンタルから進化するアーマー体に多い。
設定に組み込まれた例では『デジモンクロスウォーズ』で初登場したオメガシャウトモンがそれであり、オメガモンに力を与えられた存在である為、勇気と友情に由来する力を行使できるとされる。
デジモンのデザインに組み込まれた紋章
(内は紋章の色)
勇気の紋章
デジモン | 位置 |
---|---|
ウォーグレイモン | 背中のブレイブシールド(白) |
カオスグレイモン | 同上 |
ブラックウォーグレイモン(Precious G.E.M.シリーズ) | "(黒色) |
オメガモン | 左肩のブレイブシールド(黄金) |
オメガモンズワルト | 同上(黒ずんだ金) |
オメガモン:マーシフルモード | 同上(青) |
オメガモンズワルトDEFEAT/オメガモンAlter-B/オメガモンAlter-S | 同上(金の縁取りに赤い宝珠) |
オメガモンX | 同上(金の縁取りに青い宝珠) |
フレイドラモン | 背中(オレンジ) |
ライズグレイモンX | 右肩に半分刻まれている他、ウイングにも発生している(オレンジ) |
勇気の紋章+友情の紋章
デジモン | 位置 |
---|---|
オメガモン | 胸 |
オメガモン(他媒体) | 同上(金色の縁取りに青い宝珠) |
オメガモン:マーシフルモード | 同上(シルバーの縁取りに青い宝珠) |
奇跡の紋章
デジモン | 位置 |
---|---|
マグナモン | 腰アーマー(金) |
運命の紋章
デジモン | 位置 |
---|---|
ラピッドモン | 腰アーマー(紫) |