概要
本来は他のインド・ヨーロッパ語族の言語(ドイツ語、ラテン語、ギリシア語など)と同じ屈折語であるが、歴史的変転により中国語などのような孤立語に近づいている。系統上はドイツ語やオランダ語と同じゲルマン系の言葉であるものの、フランス語やラテン語など他の言語からの借用語が多く、綴りと発音が一致していない単語が多い。
英語の孤立言語化は、日琉語族や朝鮮語族、バスク語やシュメール語などの孤立言語の成立過程を明らかにするためのヒントともなりうるものであり、知られ尽くされたオーソドックスな言語の割に言語学者からの注目度も高い。
歴史的経緯から、他のヨーロッパ系の言語に比べて、動詞の活用が大きく単純化している(一部のケースを除いて、文法における人称による動詞の活用の変化があまり見られない)のが、大きな特徴である。また、他の言語に見られるような、名詞における性はほとんど消失しており、特別な例を除いて、形容詞や冠詞などの品詞が、名詞の性別や単複などの要素に影響を受けることはない。こういった単純化した活用などが、世界中で広く学ばれる一つの要因ともなっている。
話されている地域の広さを反映して、様々なバリエーションが存在する(発祥地のイングランドでも方言差が著しく、その他スコットランド英語、アメリカ英語、オーストラリア英語、インド英語など)。しかしイングランドの英語が標準語で他が方言、というわけではなく、地域ごとにそれぞれ標準語としての英語が存在している。特にスコットランドのローランド地方ではいわゆるスコットランド英語とは別に現代英語が確立する前の古い発音を色濃く残した言葉が存在しており、これを「スコットランド語」という英語とは別の言語として扱う事もある(日本で言えば沖縄語(ウチナーグチ)と日本語沖縄方言(ウチナーヤマトグチ)の関係に近いといえる)。
各英語には単語・表現の違いのほかに発音の違いも存在し、同じ英語を話す国の人同士でも「相手の発音に慣れていないのでうまく聞き取れない」ということは普通に起こりうる。
日本の場合、歴史的な経緯により、英語教育のスタンダードとして用いられているのはアメリカ英語であり、発音もアメリカ準拠である。この発音が国際常識的に世界共通語とみなされているイギリス英語とは発音、単語、一部の綴りが少し違うということは覚えておいて損なしである(アメリカ人であっても極めて格式高い場ではイギリス式の発音、言い回しを勉強するのが常識であり、オフィシャルな場でもアメリカ英語を平気で連発すると教養がないとみなされ、恥をかくこともある)。
ただ、日本で一般的なアメリカ英語と国際標準のイギリス英語のどちらを学ぶかということを気にする必要は全くない。というのも、日本人の英語は俗にEngrishと呼ばれるデタラメ英語になりがちであるため、まずはこれを直すことが先決であるためである。
国際的にもカジュアルな場ではアメリカ英語がよく話される傾向にあるほか、話者数で言えばアメリカやイギリスの英語とは大きくかけ離れた特有の訛りを持つインド英語の台頭も著しい。理想を言えば、アメリカ英語とイギリス英語の「どちらを選ぶか」ではなく、「両方とも対応できる上、オーストラリア英語やインド英語も問題なく聞き取れる」ようになるのが好ましい。
TOEICなどの英語試験では、アメリカ式、イギリス式どちらの発音・表現にも対応できるよう、両方の課題が混ざって出題され、時にはオーストラリア英語などの方言も出題されうる。
アメリカ英語で学習し、現在進行形で習得に苦労している人間は、習得を諦める前にモノは試しにイギリス英語に触れてみるべきである。言語の向き不向きは個人差がある上、イギリス英語はアメリカ英語に比べ、リエゾンやリエゾン時の子音の変化が少なく、リスニングやスピーキングがしやすい傾向があるためである。アメリカ英語で一度は挫折したものの、その後イギリス英語でメキメキと実力をつけた人間は多い。ちなみにオーストラリア英語はほとんどローマ字読みで話すスピードも遅いので最も簡単である。イギリス英語でも挫折した人間は一度お試しあれ。ただし、簡単ゆえに一度身についてしまったオージー訛りは生涯抜けることはないと思って良い。
世界の共通語
イギリス及びアメリカ合衆国の影響力が強い(あるいは、過去に強かった)地域はもちろん、冷戦終結後はその他の地域でも国際語として広く通用している。
英語を母語とする人口は5億人前後と推計される。これは突出して多いというわけではないが、英語圏でない国でもほとんどで第2言語として英語が学習されている。世界広くで通用する言語のため世界の共通語と位置付けられ、国際会議の場では英語を使うのが暗黙上のルールである。ソフトウェアの分野でも英語の重要性は圧倒的で、英語の通じやすさはIT分野の競争力に直結している。
英語で発信されるニュース、英語で書かれた書物、英語で対応している様々なサービスは他言語より圧倒的に充実している。そのため英語ができる・できないで情報発信力・吸収力に格差が生じるほどである。
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日本における「英語」
多くの日本人は一般的に英語が不得意であると言われている。これは日本の英語教育は明治時代から和訳に重点を置いていたためであって、「英語で会話は苦手だが少々程度なら読むことはできる」という人は多い。
「弱系」と呼ばれる特殊な発音方法を理解できず何を言ってるのかわからない事がしばしば発生する。
日本は自国資本の企業によって経済が成り立っている関係上、労働の場でも日本語が基本であり、ほぼ全ての国民は日本語だけで生活に不自由がない。しかも英語圏の国から日本は離れているということもあって、(近年は英語圏からの観光客が増えてるとは言え)日本では英語の必要性が高いとは言えない。
なお、アニソンやJ-POPでは、サビなどで急に英語の歌詞が出てくるのは普通だが、文法が間違っていることが非常に多いため、英語圏でこの点をネタにされたりしている。また安物のTシャツにプリントされている英語も、しばしばメチャクチャである。しかし英語圏の人も、意味不明な日本語がプリントされたTシャツを着ていたり、間違った漢字をタトゥーにしたりしているので、まあ多言語への憧れは同じような感じだ。(母音から始まってる単語なのに「ジ」、じゃなくて「ザ」から始まってたりとかこの国ではザラである。まあ、語感優先という面もある為、仕方がないのだが。)
漢字表記をそのまま英語に訳す事ができたり、ニュアンスがほぼ一緒な和語がある為(例えば水瓜はまんま「water melon」、ノコギリザメはまんま「saw shark」である)に勘違いされやすいが、漢字表記がそのまま英訳できるわけではないし、ましてやあちらさんと日本人の感性が一致しているとは限らない。
これを鮫で例えてみよう。鼬鮫は英語では「weasel shark」ではなく、「Tiger shark」(虎鮫)となる。ちなみに、これを日本語でそのまんま再翻訳すると「虎鮫」となるが、日本語でトラザメというとトラザメ科の鮫を指す…ややこしいッ!流石に英語の授業でこんな細かい表現を習うことはないだろうが、参考までに。(日本語と英語のギャップについては和製英語やスカイママの項目も参照されたし)。
日本人が英語を習得するにあたって誰かが作った本来の英語の文法を無視した「和訳」という先入観は捨てるべきであり、「意訳」(つまり言いたいことはこういうことではないかな)で覚える方がある程度は独学で身に付けやすくなる。
そもそも、文法が違うということは我々日本人と英語を使う人達との文章の作り方に対する認識の時点で違うものであり、例えば
「あなたは私に何を求める?(何か用?)」(=What do you want to me?)だったら日本人はそのまま言葉に出来るが、これに対し英語の場合だと
「何を したい あなた 求める 対象 私に」くらいの頭の構成(ニュアンス)で伝える必要がある。先の文章の後に()で要約された様に日本語は主語を省略しても会話が成り立つ場合が殆どだが、英語はそうはいかずちゃんと主語を入れないと成立しない。(でないと「What do you mean?(どういう意味?)」で返される)
文法の違いとはそういうものでありそこを踏まえてあとは単語さえ徐々に覚えれば英語に対して慣れていけるのではないかと思う。
英語を公用語としている国・地域
アジア・オセアニア・アフリカなどでは、かつて長らくイギリスやアメリカといった英語圏の国の支配下にあり植民地であった経緯から、英語の通じる地域が多い。
アジア
- インド(他にヒンディー語と14の言語)
- シンガポール(他にマレー語、タミル語、中国語)
- 中華人民共和国の一部/香港(他に広東語)
- パキスタン
- パプアニューギニア(他にトク・ピシン語、ヒリ・モツ語)
- パラオ(他にパラオ語)
- フィリピン(国語はフィリピン語)
- ブータン(他にネパール語、ゾンカ語)
- マレーシア(他にマレー語、タミル語、中国語)
オセアニア
- オーストラリア
- キリバス
- ソロモン諸島
- ツバル(他にツバル語)
- トンガ(他にトンガ語)
- ニュージーランド(慣習的な公用語、法的にはマオリ語)
- フィジー(他にフィジー語、ヒンドゥスターニー語)
- ミクロネシア連邦
- マーシャル諸島(他にマーシャル語)
北アメリカ
中央アメリカ
ヨーロッパ
アフリカ
- ウガンダ(他にスワヒリ語)
- ガーナ
- ガイアナ
- カメルーン(他にフランス語)
- ガンビア
- ケニア(他にスワヒリ語)
- サモア(他にサモア語)
- ザンビア
- シエラレオネ
- ジンバブエ
- スワジランド(他にスワジ語)
- セーシェル(他にセーシェル・クレオール語、フランス語)
- セントクリストファー・ネイビス
- セントビンセント・グレナディーン
- セントルシア
- タンザニア(他にスワヒリ語)
- トリニダード・トバゴ
- ナイジェリア
- ナミビア
- バヌアツ(他にビスラマ語、フランス語)
- バルバドス
- ベリーズ
- ボツワナ(国語はツワナ語)
- マラウイ(他にチェワ語)
- 南アフリカ(他にアフリカーンス語、南ンデベレ語、北部ソト語、ソト語、スワジ語、ツォンガ語、ツワナ語、ヴェンダ語、コサ語、ズールー語)
- モーリシャス(他にフランス語、クレオール語)
- リベリア
- レソト(他にソト語)
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