《邇区ァ俶姶髫》
「か…母ちゃん、ごめん…。今度という今度という今度こそは……俺ハ最強ノ王ニナルゥゥ〜ッ!!」
データ
身長/200cm
体重/240kg
スキン/オオノオウカン
むかしむかし/稔は手裏剣鬼と魔法鬼と轟轟鬼になったことがあるそうな…。
概要
ドン49話「さいごのおもいで」に登場する忍者道、魔法、冒険道を究めてきた男・大野稔の「宿敵の桃井タロウを倒したい」という欲望を叶えるために誕生した、王様モデルのヒトツ鬼。
本編では「最強のヒトツ鬼」とされており、事実上のラスボスとして登場する。
だがその強さはともかく、立場上はあくまで一般枠の怪人かつしょうもない逆恨みを募らせた一般市民に過ぎず、ここから最終回へどう落とし込むのか視聴者を大いに困惑させた。
シソツ鬼が、上半身を覆う巨大な紫色の王冠を鎧として着飾った甲虫の虫人を思わせるスキン・“オオノオウカン”を身にまとった姿。
全体的には王冠を被った王様の顔にも甲虫にも見えるような騙し絵風のルックスになっており、頭部が頭頂部の飾りと顔、甲虫の脚が王冠の両サイドに組み込まれている。背中のマントは後翅のイメージだろうか。
そして胸部には変身前の大野に似た髭面の男性の顔がある……が、よく見るとそれらしく見える模様が入っているだけの甲虫の鞘翅であることがわかる。
ぱっと見には「王様」の要素が強い荘厳で豪華なルックスだが、細かい部分にリアルな昆虫のディテールが多数含まれているためまじまじと見るとかなりグロテスクでもあり、「王様に擬態した、あるいはジンメンカメムシのように偶然王様の顔っぽい見た目になった昆虫」といった雰囲気を醸し出している。
変貌時には「邇区ァ俶姶髫」(王様戦隊)の文字化けと、王様戦隊キングオージャーのクレストが浮かび上がる。
脳人監視隊によってまたもや呼び起こされた打倒タロウの欲望に燃える、人を超えた再々リベンジの鬼と化し、都合4度もヒトツ鬼になった経験からか、これまでの道を超えた王者の風格漂う立ち回りは正確で王杖を用いた棒術を使う他、宿主の元々の欲望の影響か「王族分身の術」で紫・赤・青・黄・黒の五色のキングに分裂し、9九玉まで相手を追い詰める。しかも分身体各々がオリジナルと同等の戦闘能力を持っているため、この能力を使われてしまえば撃破はますます困難となる。
単純なパワーも脳人監視隊を軽くいなせる位に高く、上記の特徴も合わせてドンブラザーズと脳人が束になって掛かって来ても互角に渡り合える実力を見せており、正に最強のヒトツ鬼に相応しい総合力を有する。
活躍
前回で二体のヒトツ鬼を利用したドンブラザーズと脳人三人衆殲滅作戦が失敗に終わり、今度はタロウ・ソノイ・ジロウの3人を襲撃するも、自分達が行った余裕かましの目隠し戦法をそのまま返される形で敗走に追い込まれてしまったソノシゴロクこと脳人監視隊。
(本気を出してないと余裕を見せながらも)雪辱を果たすべく3人が目をつけた人物はあの大野稔。幾度もヒトツ鬼化するほどの欲望を心に抱える彼を最強のヒトツ鬼に変えて差し向ければ、わざわざ本気を出さなくてもドンブラザーズを一網打尽に出来ると企て吹き矢を物陰から連続で撃ち込み、吹き矢の効果で鳴りを潜めた欲望が刺激された大野は、王様鬼へと強制的に変貌させられてしまう。
ソノシにとっては下準備が成功し、ドンブラザーズ一行にぶつけるために彼を焚きつけるが、相手が悪かった。
「ウルサイ!!戦ウ相手ハコノ王ガ決メル!勝負ダーーッ!!」
王様鬼は強大な力と共に自我まで強大になって命令を受け付けず逆にソノシ達を攻撃し始め、パンチ一発でソノシをノックアウトに追い込み、なんとか応戦しようとするソノゴとソノロクをボコボコにし思わぬ事態に恐れをなしたソノシら三人は一目散に逃げ出す。
結果、まさかのアクシデントで手に負えなくなったソノシ達は馴染みのおでん屋を呼びおでんパーティーを開催、ドンブラザーズと脳人三人衆にヒトツ鬼討伐の協力を請願するという情けない顛末になった。
だが、そこに王者の道をどんどん究めようと王冠とマントを身につけた大野が来店、はんぺん5枚を注文すると一瞬で平らげ、腹ごしらえも済んだという意気込みで再び王様鬼へと変貌、「サア、勝負ダ勝負!マトメテカカッテコイ!」と戦う気満々で交戦開始。
止むえず共同戦線を張るドンブラザーズと脳人一行を単身で渡り合い、更には王族分身の術で分裂し、それぞれから繰り出す強力な攻撃で一網打尽にしようとする(そんな中、戦いの一部始終を、謎の黒服達が見物していた。)も、ドンモモタロウ/タロウがザングラソードで地を突いて波紋状に力を流し相手を探知、見切るや分身体共々斬り伏せられて、一斉に敗北・爆散した。
元の気質に戻った大野は母親に釘を刺されつつも、母が経営する牧場で再び精を出し始めるのだった。
(描写こそなかったものの)撃破時にキングオージャーギアをドロップした模様。
こうして、自体は終息し、ヒトツ鬼は全滅したのであった...かと思われたが、Vシネクストの暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャーにもまさかの再登場。しかし今回はジロウ及びドンブラザーズの面々が成長したのもあってあっさりと倒されてしまう。
だがしかし、大野はまた別のヒトツ鬼に変貌することになる。
余談
- モチーフ戦隊は次作のスーパー戦隊『王様戦隊キングオージャー』。スキンのオオノオウカンはストレートに「王の王冠」に「大野」をひっかけたものであると思われる。
- 王様鬼の全体的なイメージは「自称王様」のギラ/クワガタオージャーを皮肉っているようにも見え、金色の装飾や3本の角が直立したような頭部を始めとした意匠は彼の強化フォームであるキングクワガタオージャーを彷彿とさせる。
- 一方で大きな複眼を備えた顔は蝶のそれにも似ており、シソツ鬼ベースの下半身も含め全体的に紫を基調としたカラーリングになっているなど、スーパー戦隊史上初の紫色の初期メンバーとなるリタ・カニスカ/パピヨンオージャーを意識したらしい部分も見受けられる。
- ちなみに、パピヨンオージャーの演者は特撮演技の参考としてこのドンブラザーズをチョイスしたとか。紫の戦隊ヒーローの役者が『自身が出演する作品をモチーフにした紫の怪人』を実質的ラスボスにした作品を参考に視聴することになるとは……。何とも言えない偶然が重なったものである。
- また、スキン名が全てカナ表記になっているのは昆虫の和名表記を意識したものと思われ、キングオージャーモチーフの昆虫は全て「オオ」で始まる種類が存在するという共通点に則った名称になっている。
- 完全な余談だが昆虫にもオオノコメエダシャクという名前の蛾が実在する。
- キラメイジャー以前の戦隊モチーフのヒトツ鬼が揃い踏みした時点で公式から「とっておき」が存在すると言及されており、とっておきの正体は機界鬼か暴太郎鬼か非公認鬼かで視聴者の間で議論されていたが、まさかの次回作モチーフのヒトツ鬼が登場することとなった。
- キングオージャーが「それぞれが違った思惑と理想を持ちながら、民と世界を守るために手を取り合い悪と戦う王様達」からなる戦隊であるのに対して、王様鬼は「大義名分も何もなく、欲望の赴くまま好き勝手に戦いを挑む自称王様の暴君」である。
- ある意味では「シュゴッダムの正式の王でありながら、その実態はチキュー統一のためなら自国の民さえも道具として苦しめる最低最悪の王」のラクレス・ハスティーを彷彿させる。
- それを意識してかしてないのか、クワガタムシが(ロボの体積的にも)メインである戦隊であるにもかかわらず、デザイン的には(ラクレス王同様の)カブトモチーフである。そしてスーツアクターを務めた今井靖彦氏は、キングオージャー本編でラクレスが変身するオオクワガタオージャーを演じる事となった。
- ある意味では「シュゴッダムの正式の王でありながら、その実態はチキュー統一のためなら自国の民さえも道具として苦しめる最低最悪の王」のラクレス・ハスティーを彷彿させる。
- 何気に、キングオージャーの戦隊クレストが判明したのはこれが初だったりする。
- 本編では最後のシソツ鬼ベースのヒトツ鬼となった。
- 人間が変貌したラスボス怪人は以前にもあったが、完全な一般市民かつ元の人間に戻って生存エンドを迎えた事例は初めて。
- 「完全読本」によると、モチーフはスカラベで、スカラベの装飾がついた王冠のイメージ。まだ未放送の戦隊の為に余計な印象がつかないように一目だけでは顔がわからないようにしている。
- pixivでは登場以前にオリジナル怪人として王様鬼が投稿されていた。
関連タグ
パピヨンオージャー:基本カラーが同じキングオージャーで国王を名乗っているが、こちらは女性でモチーフは蝶。
オオクワガタオージャー:スーツアクターが一致するキングオージャーで、変身者は王様鬼に込められた皮肉の対象の一つになっているのが見受けられる。
邪鬼、超力鬼、獣電鬼、動物鬼、宇宙鬼:王にまつわる戦隊モチーフのヒトツ鬼。
黒十字王、皇帝バッカスフンド、デーボ・ザイホーン、トランパス、サザンキング、ヤバソード:王様モチーフの戦隊怪人の先輩。
オージャクラウン:後に登場する被ることで強化フォームになるアイテムでそのイメージから王様鬼の要素を逆輸入させたと思った人が多く出た。
アナザー1号、アナザークウガ、アナザーブレイド、アナザーカブト、アナザーキカイ:その他の昆虫モチーフのアナザーライダー。
アナザージオウ/アナザージオウⅡ/アナザーオーマジオウ:王様のヒーローを歪めた存在。
アナザーオーズ:敵の策略によって成り上がりの王になってしまった虫要素を持つアナザーヒーロー。
???:Vシネマで大野が変貌するヒトツ鬼。