《迯」髮サ謌ヲ髫》
「モット構エ~!構ッテクレ~! アタシャ淋シインダァ!構ッテクレェ~!!」
「誰カ構エェ~!! 構エ、構エェェッ!!」
データ
身長/194cm
体重/245kg
スキン/ブレイブインマスク
むかしむかし/房子は夫を亡くし息子にも家出されて淋しかったという…。
概要
街の迷惑クレーマー・房子の「自分に構って欲しい」と言う欲望を叶える為に誕生した、獣電モデルのヒトツ鬼。
ベニツ鬼が、ティラノサウルスを模した民族の仮面を始めとした、民族衣装あるいはサンバ衣装風のスキン・“ブレイブインマスク”を身に纏った姿。顔の仮面は真正面から見たティラノサウルスの顔をディフォルメした物だが、コミカルな第一印象の一方で周りを威嚇するかの様に感じられるデザインで、宿主の「構って欲しいが自分のワガママや好き勝手も許して欲しい」身勝手な願望や「極端に威圧的で攻撃的な言動で“淋しいから構って欲しい”本心を覆い隠している」本質を端的に表しているとも言えよう。
その上で頭部はティラノサウルスのトサカを模した黄色い羽根飾りをあしらい、脇からは先端が充電池で留められた長髪が複数房垂れ下がっている…が、その充電池をしっかり見ると使い捨てであるボタン電池を三つ繋げてそれっぽく見せ掛けているだけである事が分かる。また、両肩がティラノサウルスの頭骨となった胸鎧も装着している。
描写は無かったが、変貌時に「迯」髮サ謌ヲ髫」(獣電戦隊)の文字化けと獣電戦隊キョウリュウジャーのクレストが浮かび上がると思われる。
どこかで聞いた様なサンバの音楽に乗って踊りながら現れ、既視感のあるステップを踏みつつ、長髪の先端より荒れて誰にも止められない鮮やかな七色の電撃を撒き散らしながら、自分に構って欲しいと泣き叫んで人々に襲い掛かる。
その性質上攻撃その物は非常に激しいのだが、その行動は本人にとっては「構って貰いたいが為の自己主張」であり戦闘をしている自覚がなく、自身を仕留めようとする相手を見分けたりその場から逃げる等の危機回避能力も皆無なため、撃破すること自体は非常に容易い。
活躍
喫茶どんぶらで「おしぼりが熱くて手を火傷した」と騒いだり、美容室で物思いに耽っていた翼に悪口を言って絡んだりと街の方々で迷惑行為を働いていた房子は、更にバーゲン会場で他の客から品を強引にひったくる暴挙に及ぶ。
「この世はねぇ、強い者が勝つんだよ!」と勝ち誇る彼女だったが、怒った客達から「帰れ」コールを浴びせられてしまい、奪い取った品も放り出してその場から逃走。そして一人きりになった彼女は絞り出すように本心を口にする。
「…本当は淋しいんだ。旦那は死んで、息子は家出、誰も構ってくれなくて…。だから、ダカラ…ウゥゥゥゥッ……!!」
ワザとクレームをつける事でしか対人関係を築けず、淋しさで思い詰めた結果ヒトツ鬼に取り憑かれて獣電鬼に変貌。人を超えた自己主張の鬼と化して電撃を放ちながら屋外に現れ、あっちこっちにどんどん噛みつきながら人目を引こうと荒ぶりまくる。
「構ッテェ~!モット、モットォォ!!」
ドンモモ「構うか~っ!!」
そこにドンモモタロウにチェンジしたタロウが登場し、他のドンブラザーズメンバーから「仲間を信頼できない、褒められない」欠点への荒療治を兼ねたボイコットを受ける中で孤軍奮闘。
しかし更に元老院の情報を聞き滅亡したドン王家の生き残りを始末すべくソノイも乱入、激しい技のぶつかり合いの衝撃で両者変身解除、お互いが敵同士だったと知ってしまう。
「誰カ構ッテェェェ~〜ッ!!」
ドンモモ「楽しもうか…」
二人は未練も見せず決別、別れの挨拶を交わした後、タロウは再び戦いの場に戻り獣電鬼と交戦。上段から袈裟斬りを喰らわす。
そこに脳人の残りの2人(と、ボイコットの件を知らなかったイヌブラザー)が現れ、脳人2人に襲われドンモモが窮地に陥る一方、獣電鬼はイヌを相手に電撃を放って追い立てる。
しかし、様子を物陰より窺っていたボイコット中の残りのメンバーがこの不利な状況を見兼ね、戦闘に加わり体勢を立て直す。そして脳人を追い払ったドンモモの放った銃撃で獣電鬼はイヌより引き剥がされ、最期はロボタロウにチェンジしたドンブラザーズが放つ、矢継ぎ早の必殺の「前人未桃・打ち上げロボタロウ」を喰らい敗北・爆散した。
だが房子の欲望が更に暴走し脳人レイヤーへ積み重なった事で、獣電鬼ングへと変貌。ドンブラザーズもドンオニタイジンへと合体しこれを迎え撃つ。
房子
夫に先立たれ、息子に家出された女性。それ故に淋しくて誰かに構って欲しい気持ちの裏返しから迷惑行為の数々を働いていた。
誰に対しても常に喧嘩腰で接する一方、イケメンには弱いのか、介人から謝罪として手の甲にキスをされた際にはしばし舞い上がって上機嫌な姿も見せている。
「人から構われたい」が為に傍若無人に振る舞っては騒ぎを起こす非常に短絡的且つ自己中心的な人物ではあるが、「あたしだって好きでこんな風になったんじゃない」と吐露する等自分の性分に対して思う所はある様子。
獣電鬼に憑かれるまでは1人の時にしか「淋しい、構われたい」本心を口にせず、人前では終始高圧的に振る舞っていた辺り、人に弱みを見せたくないプライドの高さが劇中の言動の根底にあるのかもしれない。
構ってくれと叫びながら電撃を撒き散らして人々に危害を加える獣電鬼の行動は、「誰彼構わず噛み付く事でしか自己主張や他人とのコミュニケーションが出来ず、その結果余計に孤独を深めてしまう」房子の抱える問題を端的に表した物とも言えるだろう。
ドンブラザーズに倒された後、困惑した表情で目覚めてどこかへと立ち去った。
欲望が解消されたので暫くクレーマー活動は鎮静化されると思われるが、活動の過程で寂しさを解消するのに必要な人脈や他者からのイメージをズタズタに壊してしまっていると思われ、再出発するには相当の努力と苦労が必要なのが予想される。それでも彼女の未来は彼女自身の行動にかかっているのだ。
ドン27話に再登場し、指定された時間に配達に来たタロウに、食事中なのに邪魔をされたと宅配物を殴りながら抗議した(箱には「割れ物注意」のマークがあるのに…)。
咄嗟にソノイが手の甲にキスをすると、機嫌を直すなど、相変わらずの様子であった。
余談
- モデルとして使われた戦隊は獣電戦隊キョウリュウジャー。ガブリボルバー(およびガブガブリボルバー)の待機音のサンバのリズムが流れる等その意匠がある。
- 更にデーボス軍の要素も入ってると思われ、仮面みたいな頭部は百面神官カオス、様々な器物や要素を組み合わせた派手でコミカルな容姿はデーボモンスターを連想させる。
- オリジナルのレッドは破天荒ながら自然と人に好かれ周囲を引っ張る好人物だったが、こちらは人に構われたい願望から傍若無人な行いを繰り返して孤独になってしまう等対照的な関係となっている。
- 上記の「帰れ」コールも、合体待機音が応援のコールであり初合体で人々から応援されたギガントブラギオー及びギガントキョウリュウジンのコールとの対比になっている。
- ある意味『世界の主役が反転して世界からの嫌われ者になった』と言えるだろう。
- ただのクレーマーの主婦が宿主に選ばれた理由は公式曰く「垂らしている電池の髪がおばさん特有のくるくるパーマっぽいから」とのこと。
- また本エピソードでは他のドンブラザーズ(翼/イヌブラザー除く)とのコミュニケーションが上手く取れずに悩むタロウとの対人関係も描かれており、その点において房子は彼と同じとは言わずとも共通する欠点を持っているとも言える。
- 他にも、キョウリュウジャーも当初はドンブラザーズの様に互いの素性を隠していたが、レッドによってまとまっていったのに対し、ドンブラザーズは現時点ではバラバラなままである点もまた対比となっている。
- 原典のキョウリュウジャーには人間が描いた漫画のファンである敵幹部が登場するが、後にソノザも同様に人間が描いた漫画のファンとなっている。
- このヒトツ鬼の登場により(ゼンカイジャー以外の)センパイジャーモデルのヒトツ鬼はコンプリートを果たした。
関連タグ
充電器:同音異義語
恐竜鬼、爆竜鬼、騎士竜鬼:同じく恐竜スーパー戦隊モデルのヒトツ鬼。
特命鬼:「寂しさを紛らわしたい」欲望を叶える為に誕生したヒトツ鬼の前例。
電磁鬼:後に登場した元ネタのSEが使われたヒトツ鬼。
忍者鬼:こちらは母親の元から家出した息子のヒトツ鬼。
獰猛の戦騎D/デスリュウジャー:原典によるキョウリュウジャーと強大戦力を歪んだ存在。
デーボ・ブレイブスキー:キョウリュウジャーの要素を混ざっている怪人。
デーボ・センキング、兜武神デーボス:翌年登場したキョウリュウジャーコラボエピソードに登場する敵組織の首領及び幹部&幹部怪人の後継者。