デーボ・センキング
でーぼせんきんぐ
「“美味い”だと?さては貴様、レジスタンスの輩か……?(冷静)」
「ええッ!?全ての感情を司るデーボ・センキングを知らないとはぁ!沁みるわぁ~(哀)!……どうやらまだブレイブが残っている様だな(怒)!!」
第32話「遭遇!キョウリュウ!」に登場する、ダグデド・ドゥジャルダンが地球へ送り込んだ兜武神デーボスの、「自身の力を完全復活させる」という考えによって誕生した新たなデーボモンスター。
全ての感情を吸収する事が出来る、デーボモンスターの王様であり、同時に戦騎(=幹部)も担う特殊な立ち位置を持つ。
ただし、そもそも兜武神デーボスとオリジナルのデーボスの関係性が不明なので(創造主も異なる)、厳密にはこのデーボ・センキングも一応デーボモンスターを名乗ってはいるものの、原典のデーボモンスターと同じ存在なのかは不明。
外見は一言で言うなら「一人幹部集団」。
髭を生やした厳つく白い顔が特徴で、頭部は百面神官カオスを模しており、更に胸部にはドゴルドの顔、右腕にアイガロン、左腕にキャンデリラの上半身、右脚部にエンドルフ、左脚部にラッキューロ、背中に獰猛の戦騎Dとキマイラの様な禍々しい外見をしている。
このうち、最終的に改心したキャンデリラ部分は血管が浮き出た心臓の様な生々しくグロテスクなデザイン(笑い顔も鬼気迫った禍々しい雰囲気)、ラッキューロ部分に至ってはあのコミカルな顔ではなく帽子部分へ不気味な細目が付いた様な案山子を模した継ぎ接ぎだらけの怪物(パッと見はこの怪獣にそっくり)になっていたりと、オリジナルを歪めた様なおぞましい造形となっている。
一方で、生存・健在しているキャンデリラとラッキューロの情報をどうやって取り込んだのかは不明。そもそもカオスや他の戦騎達にしても、原典では最終的に大地の闇と共にその情報も完全に消滅したにも拘わらず、どうやって彼等の情報を得たのかは謎である。
性格は、全ての戦騎の情報を詰め込まれた結果、喜怒哀楽の感情が制御できていないのか、突然「沁みるわぁ~…」と哀しんだかと思えば、「腹立たしいぜ!」と怒りを露にした口調になり、またある時には「頭が痛てえ……」と相手への恨みが強すぎて気怠げに頭を悩ませたり、挙句に甲高い声で喜びを表現する等、まるで全ての戦騎の個性をゴチャ混ぜにした様な言動、もしくは躁鬱にも見える極端な感情の起伏を見せる。
一方で、落ち着いている時はカオスを反映したと思われるどの戦騎の口調とも違う冷静かつ慇懃な声色で話すが、ちょっとしたやり取りですぐに別の戦騎のものに性格が引っ張られてしまう模様。
その感情が代わる代わるに表出する様は、原典のキョウリュウジャー終盤で自らの身体に移したデーボスの心を解凍する為に、濃い感情エネルギーを自身へ注いだ時のカオスの精神状態を再現したとも言えるものである。頭部がカオスを模しているのもこれに因んでいるとも考えられる。
そう解釈する場合、その外見は旧デーボス軍主要陣の集合体に見せかけて、カオスが戦騎達を継ぎ接ぎして作成した鎧もしくは身体を無理矢理動かしている様でもあり(胸部のドゴルド部分が鎧の前垂風の造形なのは、文字通りの『生きた鎧』だった彼を揶揄っているのだろう)、デーボス軍という組織の実態の象徴しているとも評せる。
武器である『氷結杖』は、旧デーボス軍の本拠地にして暗黒種デーボスの身体そのものだった、氷結城内部の床壁をそのまま三叉槍にしたような形状をしている。
穂先部分は、かつての戦騎達がデーボスの心を復活させる為に集めた、人間の感情を蓄積する柱型装置の小型版となっており、これから放つ電撃を当てた人間から「感情の力=ブレイブ」を引き出して収奪する能力・『ブレイブキューイン』を行使。
これで世界中の人間からブレイブを吸い上げ、兜武神デーボスに送り続けていた。そしてブレイブを奪われた人間は感情を失い無気力化、誰かの命令に従うのみの生きた屍も同然な状態となり、デーボス軍の下僕として完全に支配されてしまう。
総じて、一度で多数の人々を精神的に無力化、感情エネルギーと従順な労働力を同時に確保出来る、戦略面で大変有用な力を持った存在だと言え、これに自分達の力の源である獣電竜等を一斉捕縛される二段作戦をかまされた結果、旧デーボス軍を打ち負かしたキョウリュウジャーを完封し敗走させた上で、短期間で地球のほぼ全てを兜武神デーボスの手中に収めさせたと推測される。
しかしその半面、仮にも戦騎の情報から作られたにも拘わらず、戦闘力自体は中の下程度と低く、クワガタオージャーとキングキョウリュウレッドの猛攻にあっさりと押し負かされていた。
前回の話で、ダグデドによってキョウリュウジャーの地球へ放逐されてしまったキングオージャー一同。
カグラギもまた一人逸れて飛ばされてしまい途方に暮れるも、今は農家をしているジェントルと知り合い意気投合。彼が作った葡萄をご馳走されていたが、そこをセンキングが襲撃。
自分を知らなかったカグラギに問われて哀しみに暮れるも、すぐさま怒りを露にしてジェントルからブレイブを奪い無気力化。カグラギが立ち向かおうとするもシュゴッドがいなかった為に王鎧武装が出来ず、変身動作が空ぶった相手を「何してんの、あれ?(楽)」と不思議そうに見る。しかし、その隙に有働ノブハルが駆け付け、近寄ろうとした所を怪力で止められている内に退避を許してしまう。
「腹立たしい!逃がしたか……(怒)!俺としたことが、頭が痛てえ……(怨)」
やがてレジスタンスの避難所に集まった王達6人は、キョウリュウジャー達からこの星が追い詰められた経緯を聞かされる。
2年前、ダグデドの手によって送り込まれた兜武神デーボスによってデーボス軍が復活し、それに立ち向かうキョウリュウジャーの中で、キョウリュウレッドとキョウリュウゴールドは元凶を追ってプレズオンと共に宇宙に旅立ち今は不在である事。そんな中、自分等もブレイブを奪われ変身不能に陥ってしまうも、未来の時空からやって来た新世代戦士としての素養を持つプリンスと共に、地球を守って戦っている事を聞かされる。
「デーボス様、各地で謎の輩が現れました。恐らくキョウリュウジャーの仲間かと……(冷静)」
兜武神デーボス「何者だろうが、潰せ!!それより…ブレイブは貯まったのか?」
「はぁ~い♡ デーボス様の~完全復活に必要な量まで、あと少し~♡(喜)」
翌日、新たなデーボス完全復活の為、ゾーリ魔に襲わせた人々から残り僅かのブレイブを奪っていた所で、王達一同とプリンスが立ち塞がる。
実は、獣電竜と共に戦うキョウリュウジャーと同様に、シュゴッドと共に戦うキングオージャーの共通点を見出したギラはあえてプリンスと戦い、自身に一撃入れさせ、獣電竜の代わりにシュゴッドの力を込めたアイテムを作り出した事で、彼を戦士として覚醒させる事に成功。
これにより、キングオージャーの力を併せ持つ新世代のキョウリュウジャー・キングキョウリュウレッドが誕生する。
「新人が調子に乗ってんじゃねえ!」と怒りながらゾーリ魔をけしかけ、ギラもクワガタオージャーへと王鎧武装、他のキングオージャーが生身の姿での剣術でゾーリ魔を一掃するのを傍目に、二大レッドとの直接戦闘に突入する。
しかし、2人の凄まじい猛攻の前に防戦気味となり、氷結杖を振るって放った斬撃で立て直しを図るも難無く迎撃された上、返し刃で繰り出されたオージャフィニッシュ二連撃が直撃し、呆気無く敗北・爆散した。
「このキング達強すぎィ~!(開き直りの楽観)グゥォォォォォ!?(獰猛に悶絶)……頭が痛いぜ……(怨みつつ敗北)」
こうして、人間から感情を搾取していた寄せ集めの王は撃破されたが、既にデーボスは十分な力を身に付けており巨大化した状態で王様らの前に出現。爆散したセンキングより飛び散ったブレイブを我が身に取り込んで……
結局、ブレイブを収奪するのはデーボスも自前で出来た様で、センキングの役割はその実、地球人一人一人に散らばったブレイブを主人に代わって各地を巡って奪い、集積する補助装置でしかなかった模様。
- 名前の由来はそのまま「戦騎+キング」から。
- 種族が違うとはいえ、殆んど一般怪人が登場しない第二部に入って、実に8話ぶりに登場した一般怪人である。同時にキングオージャーが戦う怪人としては初の生物以外がモチーフの怪人でもあり、彼が登場した回から公式サイトの表記が「バグナラク害虫記」から「宇宙害虫記」に変更されている。
- 公式サイトでは宇宙害虫記に記載されているが、所属はおろか成り立ちも違う為、デーボモンスターや戦騎達のフォーマットを意識した文面となっている。
- ただし、前述した通り主人である兜武神デーボスと原典のデーボスの関係性が不明なので、彼もデーボモンスターを名乗っていただけで、実際は原典のデーボモンスターとも全く異なる本作オリジナルの怪人だった可能性もある。
- 三人の神官の内、出番がデーボモンスターと同程度の雑魚神官と、閃光の勇者になった“欠陥品”の裏切り者神官は何故か含まれていない。仮にも神官だった前者は言うまでもないが、裏切り者の方もキャンデリラとラッキューロが含まれているのに、何故彼が含まれていないのかは謎。
- 声を演じる武内氏は『魔進戦隊キラメイジャーvsリュウソウジャー』のムービー邪面以来、2年ぶりのスーパー戦隊シリーズ出演となった。こちらも戦隊のコラボ作品で登場した怪人である。
- ちなみに氏は今回、実質的に複数の役を演じていた為、X内で「大変だった」と呟いている。
ヤラネーダ:2年前のプリキュアに登場した人間のやる気を奪う怪物。
アキャチューガ:6年前の敵幹部のキマイラ怪人繋がり。デザイナーも一致しており、合成元やモチーフ等の配置とそれを上手く人型に纏めたジオラマ構成の秀逸さはこちらも劣らない。
ドン・アルマゲ最終形態:こちらは宇宙一つ分の住人を体内に取り込み、苦しめ嘆かせて捻出させたマイナス感情をエネルギーとして蓄積・使用した。こちらもデザイナーが一致しており、インドの宇宙観(天動説)を外見全体に落とし込んでいる。
ヒトツ鬼:前作の一般怪人枠で、歴代戦隊の要素をディスペクトした上で再構成したデザインアプローチが酷似する。なおキョウリュウジャーモチーフのヒトツ鬼とヒトツ鬼ングとして、獣電鬼と獣電鬼ングが登場している。
ガニマ・ノシアガルダ:ある戦隊のモチーフを継ぎ接ぎにしたキマイラの如き姿を持った戦隊怪人で、コンセプト的には先輩に当たる。
ライノダブラー:11年前の戦隊にて、こちらとは逆に戦う相手としては初の生物モチーフの怪人。
クライマックスフォーム、ジオウトリニティ:向きこそ違うが両肩と胸に顔が有る、ある意味先輩もしくはデザインの模倣元。更にクライマックスフォームは両膝に顔がある形態が、雑誌限定ではあるも存在はしている。