「自分が死ぬ時のことは分からんけど 生き様で後悔はしたくない」
※この項目は単行本未収録のネタバレ情報を含む場合があります。 |
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概要
第1話時点では宮城県仙台市の杉沢第三高校一年でオカルト研究会所属(…のつもりだったが、実際は陸上部顧問により陸上部所属に書き換えられていた)。
物心つく前から両親は居らず、現時点では生死及び所在も不明。本人曰く「母親のことは憶えていないが、父親のことはうっすら記憶にある」との事。親代わりであった祖父虎杖倭助が二人について何か伝えようとしていたが、当人は「興味ない」と一蹴してしまった。
その倭助も第1話にて肺がんで入院しており、お見舞いを欠かさないのが日課で放課後は倭助のお見舞い行く為に、運動部への入部は断り続けていた。しかし、倭助は「オマエは強いから人を助けろ」「オマエは大勢に囲まれて死ね。俺みたいにはなるなよ」という言葉を遺して1話で亡くなってしまう。この言葉が虎杖の人を助ける理由の一つとなる。
その夜、特級呪物「宿儺の指」の回収任務に訪れていた呪術師・伏黒恵に出会い、「呪い」と呼ばれる超常現象に直面する。呪いに取り込まれたオカルト研究会の先輩と、窮地に陥った伏黒を助ける為に、虎杖は呪力を得ようと「指」を飲み込んだ。
通常であれば宿儺の指を人間が取り込む事は不可能であり、受肉する事もなく即死する筈であったが、虎杖は千年生まれなかった逸材と評される程に高い適性と耐性を持っており、両面宿儺が受肉し現代に復活してしまう。しかもその上で虎杖は宿儺の意思をも抑え込む事に成功。
生き残った虎杖は、呪術高専一年担任五条悟の計らいで「20本の宿儺の指を全て取り込む代わりに、それまで死刑は保留する」という条件で呪術高専に転入し、呪術界に足を踏み入れる。
プロフィール
年齢 | 15歳 |
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誕生日 | 3月20日 |
出身地 | 宮城県仙台市 |
身長 | 173cmくらい(作者曰くどんどん伸びてる) |
体重 | 80kg以上 |
体脂肪率 | 1ケタ |
所属 | 東京都立呪術高等専門学校一年 |
高専入学方法 | スカウト |
趣味・特技 | カラオケ、テレビ鑑賞、モノマネ |
好きな食べ物 | 丼もの、麺類 |
苦手な食べ物 | 無し |
ストレス | 理系科目(molで躓いた) |
好みのタイプ | ジェニファー・ローレンス(ケツとタッパがデカい女) |
一人称 | 「俺」 |
イメージソング |
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CV | 榎木淳弥 |
演(舞台) | 佐藤流司 |
生得術式 | 無し→???+??? |
黒閃経験 | 有り(連続記録タイ) |
反転術式 | 使用可能 |
領域展開 | 名称不明 |
容姿
薄茶色でツーブロックの短髪頭(表紙絵及びアニメによっては薄いピンクっぽい色合いに見える事もある)。刈り上げ部分が黒くて一見すると染めている様に見えるが全て地毛である。
両目尻の下には一対の小さな溝がある。これは皺とかではなく、宿儺の指を飲み込んだ時に生前は顔が2つあった宿儺の影響で、外見が部分的に変化して目がもう一対開眼した結果。
渋谷事変後は口元と右目付近に強敵との激戦で負った傷跡がついている。
私服は大体パーカーが付いたもの。これは別にパーカーが好きな訳ではなく、色々悩んだ結果いつもパーカーになってしまうらしい。呪術高専での制服もパーカー付きで、これは五条が勝手にアレンジを加えたもの(高専の制服は要請すれば好きに改造できる)なのだが、本人は気に入っている。
宿儺の意識が表層化して肉体を支配した際には、顔や体に黒い紋様が刻まれ、赤眼になり前述の目の下にもう一対目が開眼する。さらに宿儺自身の好みなのか宿儺が表層化すると髪を逆立てる。その影響かは分からないが、虎杖が敵に殺意を向けてガラの悪い表情になると宿儺に乗っ取られた時の表情によく似ていたり、渋谷事変での真人戦では無意識なのか髪を逆立てる仕草を見せていた。
人物
ノリがよく素直で人懐こい性格で、誰に対してもフレンドリーに接する事ができるコミュ力の塊のようなキャラ。その結果一風変わった相手ともすぐ打ち解けたりする事もあり、会って間もない吉野順平等ともあっという間に打ち解けてしまった。呪術高専の先輩達には初めて会ってから短時間で「善人」「呪術師には珍しい根明」と評価されており、仲間達からも一風変わった相手の懐柔の際には矢面に立たされる事もある(余談ではあるが、『週刊少年ジャンプ』創刊50周年記念号の2018年33号表紙では、『世紀末リーダー伝たけし!』の主人公・たけしと一緒にはしゃぐ虎杖の姿が描かれている)。
誰の影響なのか、パチンコなどの少年漫画の主人公らしくない未成年禁止の遊興にまで精通しているが、本人的には特に悪い事をしているという自覚も殆どない。またテレビっ子で微妙なモノマネレパートリーが多いなど、気のいい近所の兄チャンのような性格である。さらに五条の用意した訓練の結果映画好きにもなり、モノマネのレパートリーもさらに増えた。
ちなみに一年生の中で一番歌唱力が高い(これは原作の芥見先生が持つ「モノマネがうまい人は歌もうまい」という偏見から)。祖父と二人きりで生活していた為、料理も一年生の中で一番上手い。
眠りも深く、作者曰く「東名高速のアスファルトの上でも余裕で寝れます」との事。
東京の名所に行きたがるなど、地方民らしい一面もあり、同じく東北出身の釘崎ともこの点でよく意気投合している(しかし、単行本おまけ(カバー裏)の「じゅじゅさんぽ」で仙台に出張(虎杖にとっては帰郷)した際は、仙台の都会ぶりに驚いた釘崎に「てめェ2度と田舎者ヅラすんなよ!!」と足蹴にされている)。初の家系ラーメンの感想は「次の日ウンコがよくでる」。
東堂に好みのタイプを訊かれた際には、「強いて言えばケツとタッパのデカい子」と回答し、夜蛾学長との問答の際にも「好みのタイプはジェニファー・ローレンス」と言っていたが、中学時代は容姿ではなく振舞いで相手を判断する性質を好ましく思われ、クラスの女子から密かな思いを寄せられたりしていた(他にも複数の女子から好意を寄せられて実はモテていたのだが、虎杖に好意を抱く女子はあまり自分の思いを表に出すタイプはいなかった模様)。
そもそも、自他共に認める肥満体であった中学時代の小沢優子の話題の中ではクラスメイトの「デブじゃん」に対して「そう?」と返したり、釘崎も認めるほどの大きな変貌を遂げた小沢優子をひと目見て当たり前のように「小沢じゃん」と見抜くなど、他人の容姿にあまりこだわりを持っていない(少なくとも日常的に審美の眼を持って人を測っていない)事が覗える。
とはいえ、部屋に水着姿の女性のポスターを貼るなど、年頃の少年らしい面もある。
呪霊と対峙してもあまり怯まないばかりか表情も変えず、よく知らないとはいえ宿儺の指を躊躇なく飲み込むなど、人知を越えた異形の存在に対して常人よりも抵抗が薄い印象を受ける。
しかし、真人によって異形の姿に変えられた人々を前にしたときは哀しみと激しい怒りを見せており、1級呪術師の七海建人は「この子は他人の為に本気で怒る事ができるのだ」と評価している。
また祖父の遺言もあってか、仲間や一般人を初めとする目の前の人間を手の届く範囲で出来る限り救おうと動いており、たとえ犯罪者の遺体であっても遺族の元に帰そうとしていた。
戦闘能力
「何百回でも何千回でも グチャグチャになるまで 叩き潰す!!」
特筆すべきは、その高すぎる身体能力である。
呪術に関わる前から、超人的、異常なまでの身体能力を有していた。砲丸投げで30m弱(世界記録が23m弱)を記録したり、50mを僅か3秒で走ったり、校舎4階の窓を外から蹴破って人外を蹴り飛ばしたりと、そのレベルは最早高いを通り越して人間離れしている。
その為に、元の高校では「SASUKEの全クリア」「ミルコ・クロコップの生まれ変わり」等々、色々噂される有名人だった。ついたあだ名は「西中の虎」だが、虎杖本人はダサいとしてそのあだ名を嫌っている(※砲丸投げの際は、何と投げ方はピッチャー投げで、加えて球がサッカーのゴールポストにめり込んで止まっただけであり、それがなければ更に伸びたと思われる)。
運動部がこぞって欲しがっている逸材だったが、祖父の見舞いの為に夕方5時までに帰りたかった彼は勧誘を全て拒否して、時間に融通の利く心霊現象研究会(オカ研)へ在籍していた。
その身体能力の高さ故に瞬発力に呪力操作が追い付かず、習得して間もない頃は、打撃に遅れて呪力が流れ込む変則的なものになっていた(後述の逕庭拳を参照)。しかしこれは逆に呪力操作の精度が未熟である証明でもあり、東堂には「特級には通じない」と酷評された。
この呪力操作の精度は、東堂との「蜜月」と黒閃の経験によって呪力の味を理解した事で大幅に改善される事となり、特に渋谷事変以降は意図的な技として打撃と呪力のズレを使えるようになった。
その高い身体能力を呪力で更に強化した格闘能力は作中屈指。
打撃だけなら渋谷事変の時点で1級術師の七海に比肩するレベルであり、伏黒は「東京校・京都校の全員が呪力無しで戦ったら虎杖が勝つ」、“化け物”と評される東堂は「素の力は自分より上」、多くの呪術師を退けてきた日車寛見は「生物としての強度が高い」と、虎杖の身体能力の高さをそれぞれ評している。
生命力も怪物じみており、真人の攻撃で胴体を貫通する致命傷レベルの大怪我を負っても「平気」の一言で済ませ、最終的には疲労とダメージの蓄積で力尽きてしまったものの、本調子を崩す事なく戦い続け、交流会では東堂に頭を何度も踏みつけられ、大量に出血したにもかかわらず平然としており「人の頭バカスカ殴りやがって! これ以上バカになったらどうすんだよ!!」とブチキレる余裕がある程。
交流会の時点でも(ブラザーとの連携だったといえど)特級呪霊の花御と真っ向から殴り合い、渋谷事変の時点で1級術師の中でも上位の実力者の冥冥からは既に1級相当の実力を持っているというお墨付きを貰い、特級相当(呪物換算で術師換算では1級)で高い実力を持つ脹相との戦いにおいても、ガードしたものを除いて、たった3発打撃を喰らっただけで活動に支障をきたすレベルのダメージを脹相に負わせており、素のフィジカルの高さに驚かれていた。
加えて相手に合わせた打撃の組み立て、地形の積極的活用など、肉弾戦における戦闘センスは突出しており、禪院真希の歩き方(重心)を見ただけで彼女の強さを見抜くなど、洞察力にも秀でている。
ちなみに目立った格闘技を習得している訳ではないが、祖父の倭助から空手を少し仕込まれている。
しかし元々が一般人であった為に、呪術に関しての知識が不足しているという致命的な弱点を持つ他、生来が非呪術師なので呪術師が持って生まれるものである生得術式を持っていない。(生得術式を持たない呪術師自体は普通にいる)。
作中では宿儺の指を取り込み続ける事で、いずれ宿儺の術式が身体に刻まれる可能性が示唆されてはいるものの、その気配が無いまま時間が経ち...
呪術の世界に入って僅か数ヶ月で1級相当へと成長し、宿儺の術式を習得し得る潜在能力は、現代最強の呪術師である五条悟をして「僕に並ぶ術師になる」と、その将来性を高く評価している。
黒閃を経験し、数々の死線を越えた渋谷事変後では、これまで以上に繊細な呪力操作の技術を体得する。先程の身体能力と併せて、特級呪術師の乙骨憂太に勝てないまでも善戦して見せ、全快ではない状態でも脹相に“鬼神”とまで評される程の戦闘能力を手に入れた。
さらに渋谷事変を経て「部品」となる覚悟を決めた事で、負傷の是非によらない動きもさらに磨きがかっており、深傷を負っても内臓が出ていなければ戦闘を続行するなど、メンタルも吹っ切れている。
ただし、武具に呪力を纏わせる技術を習得していない上に、結局のところ術式が無い事に変わりはない為、現状の有効な戦法が肉弾戦に限られているなど、まだまだ発展途上であると言える。
両面宿儺の器
その身は五条悟曰く「千年生まれてこなかった逸材」。
宿儺の指が持つ呪力に耐えた上に、その身に受肉した呪いの王・両面宿儺を抑え込んで難なく自我を保つ「器」としての圧倒的な高い適性を持ち、その類稀かつ危険な才能故に、呪術高専上層部の判断によって一時は秘匿死刑が決定してしまう。しかし、五条の提案と説得により「誰も祓う事が出来なかった、二十本ある宿儺の指を全て取り込ませてから処刑する」という事になった。
しかし、あくまでこれはただの執行猶予であり、彼の身は呪術師界では疎んじられる立ち位置にある事は変わらない。さらに上層部も決して一枚岩ではないので、なおも虎杖の危険性を危惧する上層部の者は決定を無視して、早期に虎杖を抹殺するべく様々な謀略を秘かに仕掛けてきた(そもそも虎杖に執行猶予が付いたのも半ば五条のゴリ押しなので、それに不満を持つ者も相当数いた模様)。
虎杖の方は、上記したこの決定を祖父の遺言を元に自らの信念を見つけた事から半分受諾。死刑には到底納得できないが宿儺の指は全て喰う事を決断し、五条の計らいの下で呪術高専への入学を決めた。
ただし、未だ宿儺の力の欠片である指は方々に散らばっている為に虎杖は自我を保てているが、どこまでその抑止力が機能するのかは不明な為に、目的である指を手に入れても容易に喰わせる訳にはいかないのが現状。上層部としても虎杖の器としての強度を図りかねているらしく、基本的には指をすべて集めてから順次喰わせるという方針でいるが、中にはさっさと喰わせようとする奴もいる。
その身に取り込んだ宿儺とは共生する関係になっており、傍目には二重人格のような状態。虎杖の呼びかけに対して宿儺が内部で応じたり、虎杖が呼ばずとも勝手に顔や手に口や目を生やして外部と交流してくる。虎杖本人によると頭の中に声が響くらしく「うるさい」との事。
さらに宿儺の憑依後は、猛毒である呪いの王をその身に宿した事であらゆる毒に耐性を持つようになる。また半ば共生関係の受肉体となった副次的効果としてか別の魂が常に内部に存在する事で、無意識に「魂の輪郭」を知覚し、真人を魂の形ごと殴るなど、宿儺が外に出ずとも器としての特性を発揮している。
さらに、宿儺の指が集まる程に虎杖の肉体的にも回復力等が上昇する影響があるようで、渋谷戦後は過酷な戦いが連続したにもかかわらず、「黒閃」を受けた箇所以外は短期間で快癒してしまっていた。
しかし、宿儺は虎杖本人に対しては全く関心を持っておらず、当初は他の指が存在するので別に虎杖が死んでも構わないと発言して全く協力しようとはしなかったばかりか、むしろ虎杖を苦しめる為に伏黒や釘崎を殺害しようとすら目論んでいた。実際に虎杖の身体を乗っ取る為に一度虎杖の心臓を抜き取って殺害している。
伏黒に興味を持って以降は伏黒を近くで監視する為にも虎杖を生かす方針に変えたが、それでも虎杖に協力する気など微塵もなく、虎杖に対して「お前がいるから人が死ぬ」と発言して嘲笑い、虎杖が順平を助けられなかった際には真人と共に腹の底から虎杖を嗤うなど、物語が進む毎に協力どころかむしろ虎杖との敵対関係が深まっている。
虎杖が脹相に負けた際にも「下らん」と吐き捨てるなど、虎杖の実力も全く評価しておらず、隙あらば主従の立場を逆転させてその身体を奪おうと画策している。宿儺にとって虎杖は「自身の新しい身体になり得る者」以上でも以下でもなく、虎杖自身の人格や意思は自身を縛る邪魔な枷でしかないのである(後に宿儺は虎杖の事を器ではなく「檻」と評しており、彼の事は心底忌々しく思っていたらしい)。
そして、虎杖の方も宿儺のことは少年院や順平の件も経て、どこまでも自身が祓うべき「呪い」に過ぎないと判断し、特に渋谷以降は「面を見るのも胸糞悪い」と言い捨てる程に敵視している。この2人が互いに歩み寄るような様子は絶無で、そもそもまともな会話をしている描写すらも殆どない。基本的にこの2人の会話は、宿儺が虎杖に一方的に嫌味を言って煽る時くらいである。
後に虎杖から解放されて新たな肉体を得た宿儺自身が、どれだけ強くなろうとも虎杖に対して嫌悪感が拭えず相対するだけで不機嫌になる事に対して自己分析を行う。
本来他者は所詮他者であり、理解など出来るはずもない。しかし虎杖と体を共有してその歩みを見続けた事で「虎杖悠仁はなにがあっても理想を折らない、百折不撓の魂を持つ」事を確信すると同時に、「取るに足らない弱者が精神面でのみ自分に並びうる」事実を突きつけられる。
その事がどうしようもなく不愉快なのだと確信するに至り、遂に宿儺は明確に虎杖悠仁を敵と認め、その理想ごと全てを粉砕すると宣告する。
ちなみに呪胎九相図を虎杖が取り込んだ場合は、九相図の意識が消えて虎杖がただ呪力を持っている状態になるか、現在の宿儺の位置に九相図の意識がいる状態になる(九相図の意識が消えるというのが虎杖の器としての耐久力故か、九相図の4番以降が既に死骸な為かは不明)。既に中に宿儺がいる状態で取り込んだ場合は、虎杖の内部で宿儺に九相図の意識が消されるとの事。
技
- 逕庭拳(けいていけん)
呪力を纏った拳を放ち、一度の打撃で二度の衝撃を生む技。
虎杖は生来常人離れした身体能力を持つが、その瞬発力の高さが原因で通常遅れる筈のない呪力の流れが体の動きより遅れるという事態を引き起こしている。拳に纏わせた呪力が本人の動作に追いつかずズレが生じた結果、微量の呪力を纏った拳の直後に本命の呪力がぶつかる、という二回分のインパクトを発生させた。
この技を見た七海は「やられる方は相当嫌」、修業をつけていた五条は「大きな武器になる」と評価していたのだが、東堂からは「特級相手には通用しない」と酷評される。そもそも逕庭拳は、虎杖自身の呪力操作の未熟さから生まれたものに過ぎず、その未熟さのまま二重のインパクトに依存する事は一種の「悪癖」だったからである。
技の持ち味である「一度の打撃を二重の衝撃を受ける事による相手の混乱」も呪力操作を完全に会得し、通常の打撃との使い分けによって初めて真価を発揮するもので、威力の面を鑑みても逕庭拳“だけ”では十分な効力を発揮できないが故の酷評である。
その後は黒閃を経験した事で、呪力操作の精度向上と引き換えに一時使用不可になった。
後に脹相との戦いの際、腕に受けた傷のせいで再発したが、逆にこれによって真の意味での技として習得。通常の打撃と逕庭拳の使い分けが可能となり、時間差の二重の衝撃で相手に大きなダメージを与えるばかりか、相手の動きを撹乱する事までできるようになる。
相手にとっては、受けるまで通常の打撃か逕庭拳か(黒閃か)が判別できない、七海の評価の通りかなり厄介な代物となった。
- 魂を捉える打撃
宿儺という別の魂が同居している影響で、虎杖は無意識に魂の輪郭を知覚しており、彼の打撃は魂そのものを捉える。
そのため、基本的にあらゆる攻撃が無効の真人に対し、数少ない有効打となり得る。
それ以外にも、受肉体から宿主と呪物の魂を引き剥がす効果を持つ。受肉体が虎杖の打撃を受けると魂の境界にダメージが入り、呪力を大幅に削るため、虎杖の攻撃は受肉体特攻の性質も持ち合わせている。
交流会にて出会った東堂葵との特訓の末に発生。
前述の呪力のズレを無くす事に重点を置いて東堂と手合わせし続けた後、持ち前の集中力の高さと、東堂との蜜月(ほぼ洗脳)を経た事で、花御との戦闘で初めて発生した。その後さらに4回の連続発生を成し遂げている。
打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した空間の歪みで、この際に呪力が黒く光る事から黒閃と呼ばれている。その破壊力は凄まじく威力は平均で通常の2.5乗となる(1は何乗しても1なのだが、呪力は2からと作者は半ば強引に説明している)。 黒閃を経た呪術師はアスリートで言うところのゾーンに入ったような状態になり、より高度な呪力の精密操作が可能となるも、狙って発生させられる者は存在しないとの事である(黒閃発動直後に黒閃が連続発動する事はある)。
「黒閃を狙って出せる術師はいない」と明言されている中、虎杖は作中で「黒い火花に愛されている」と明言され、実戦においてもここぞというタイミングで黒閃を決めている。その様は、本来意図的に発生できるはずがない黒閃を狙って出している、と特級呪霊のみならず宿儺にもそう思わせるような凄みがあり、事実上彼の必殺技的ポジションになっている。
- 卍蹴り
膝抜きと呼ばれる古武術の技術で、姿勢を低くしながら相手の足元へと移動し、その勢いを利用して強烈な蹴りを放つ躰道の技。ただし、虎杖がその時にベストな行動をとった結果卍蹴りになっただけであり、虎杖自身に躰道の心得がある訳ではない。
本誌最新話のネタバレ注意!
- 異形の両腕
宿儺戦に参戦する際、いつの間にか人外のものへと変わっていた虎杖の両腕だが詳細は不明。
覚醒した術式の効果により変化したのか、仙台結界で乙骨が装着していたような呪具なのか。長らく判明しなかったが、266話で呪具である事がほぼ確実となった(少なくとも術式の効果で変化した腕ではない)。装着していた理由はこちらの記事を参照。
また、右耳には宿儺が切り落とした部分を補うように耳当てのような物が付いている。
五条悟が復活してから12月24日までの約一ヶ月の間に習得した。
これにより、元々痛みをものともせず動ける虎杖が致死レベルの傷を自力で修復できるようになり、継戦能力が大幅に向上した。
さらに、呪胎九相図の四番以下を取り込んだ事で兄同様に『呪力を血液に変換する体質』を獲得。これにより、本来なら高等技術を用いて修復する部分を体質でカバーできるようになり、反転術式のネックであった膨大な呪力消費を比較的免れている(あくまでカバーできるのは血液だけで、肉や骨などは他の術師と同様に呪力を大量に消費して再生している)。
しかし、覚えたての大技であるため、他の習得者に比べると精度は低く、何度も使用すると次第に修復が追いつかない部分が出てくる。
乙骨曰く、(呪力強化の向上や高度な結界術も含めた)習得には「ズルしました」とのことだが、後に魂そのものを入れ替える『入れ替え修行』により乙骨と体を入れ替える事で体得した、という経緯が明かされた。
- シン・陰流「簡易領域」
『入れ替え修行』で日下部と肉体を交換し、そこに染み付いた呪力操作等の感覚から結界術の基礎と共に習得。
術式
「赤血操術」(せっけつそうじゅつ)
自身の血液や、その血液が付着した物質を操作する加茂家相伝の術式。
本来、術式を後天的に獲得する事はできないが、呪胎九相図四〜九番の亡骸を取り込む事で刻まれた。兄弟の亡骸を取り込む事については、脹相から「オマエの中で生きられるのならいい」と許しを得ている。
決戦までの約一ヶ月間、同じ術式を持つ脹相と加茂から指導を受けていたが、虎杖は「百斂」はまだ上手く出来ず、あくまで基礎的な運用に留まる。そのため「穿血」などの技を使う際は、脹相が「百斂」で作った血の塊を貰い受ける必要がある。
しかし血液操作は可能で、宿儺の顔面に吹き付けた自身の血を炸裂させたり、血液を細部まで認識する事で不慣れな反転術式を補っている。加茂から「所詮は付け焼き刃。簡単な止血や縫合の仕方をおさえておいた方がいい」と判断された通り、切断された足を血で繋げるという応急処置も可能。
- 「穿血」(せんけつ)
「赤血操術」の奥義。加圧した血液を一点から解放して放つ血のレーザー。
「御廚子」(みづし)
257話において、物語初期に五条が推測していた通り、両面宿儺の受肉体であった虎杖に同じ術式が刻まれている事が判明した。黒閃を経た覚醒状態により使用可能となる。
ただし、同じ術式でも時代や扱う術師の表象(イメージ)によって差異が生まれるようで、虎杖の斬撃は対象に切り取り線がつく。257話時点では触れたものにしか発動していない。
また、覚えたてであるため、宿儺の斬撃と比べても出力が低い。
- 「解」(カイ)
通常の斬撃。虎杖は直接触れて発動していたが、宿儺のように飛ばせるのかは不明。
魂を知覚している虎杖は、斬撃を受肉体の魂の境界に作用させる事も可能。術式対象を絞る縛りを科し、打撃よりも確実に境界を引き裂く。
これら二つの術式を虎杖はまだまだ使いこなせておらず、現状は体術メインの戦闘の幅を広げられる程度の能力でしかない。
しかし偶然か必然か、今の虎杖の戦い方は、かつて五条自身も怖いと告げた「下手な呪術よりも基礎(呪力で強化された肉弾戦)でのゴリ押し」を体現しており、ついには呪いの王へ届くほどのものになった。
また、覚醒状態になると虎杖の目が、波紋のような模様を持つ宿儺と同じ目へと変化する事が確認できる。
領域展開
「そうだ宿儺 俺はオマエを殺せる」
掌印は、釈迦から生きとし生けるものを救う事を委ねられ、時に閻魔天と同一視される菩薩の一尊、地蔵菩薩の印。
名称不明で264話のラストで登場。
岩手県北上市の北上駅を初め、最上階がイオンシネマ北上になっているショッピングモール「さくら野」、小岩井農場など、幼少期の虎杖が過ごした思い出の場所を再現・展開する。
領域内では、これまで負った傷が消えており、宿儺は虎杖に受肉していた頃の姿となっている。しかし、渋谷でついた虎杖の顔の傷は残っており、宿儺に切り落とされたはずの右耳が綺麗に戻っている事から、おそらく宿儺が伏黒に受肉し直す(虎杖の裡にいた最後の)瞬間にまで遡っているのだと思われる。
虎杖自身も必死になって展開したため、記憶の中の風景が展開された理由を正確には把握できていない。しかし、最後に宿儺と会話する機会を望んでいた事もあり、予想外の効果を発揮した模様。詳細はこちら。同様に、今は宿儺に支配された肉体の奥底に沈められている伏黒の魂とも話が出来た。
虎杖と宿儺の対話が終わると、二人は現実の姿に戻り、思い出の領域内で戦闘が再開された。
領域に付与された必中術式は「御廚子」。
直接触れなくても「魂の境界を引き裂く『解』」を発動させる事が可能。
しかし今の虎杖は、反転術式や生得術式を何度も使用し、その上でこの付け焼き刃の領域を展開した事で膨大な呪力を消費している。そのため、斬撃を連発するほどの余力は無い模様。
主な人間関係
悠仁の父方の祖父。行方知らずとなった息子夫婦に代わり孫を男手一つで育て上げる。息子夫婦の一件を伝えようとするも、悠仁は両親に関して興味がなく遮られた為、伝えられないまま遺言を遺して彼が15歳の時に肺がんにより死去。
呪術には一切関係は無かった模様だが、後述する香織の異変に気付いて息子の仁に忠告していた。
悠仁の父。詳細は不明だが、恐らく故人となった可能性が高い。容姿は悠仁と瓜二つだが、眼鏡をかけた聡明な雰囲気を持つ男性。
悠仁の母、額に縫い目の跡を持つ黒髪の美人。その正体は……。
起首雷同編で遭遇した敵。今までの呪霊達と違って、兄弟の為に涙を流す事の出来る優しさを持つ二人を殺害した事は、虎杖の心に傷として残り、更に後述の脹相との因縁として繋がる事となった。
上述の壊相と血塗の兄。二人の命を奪った虎杖に対して激しい復讐心を抱いており、渋谷事変で遭遇した際には殺害寸前まで追い詰めたが、突如頭を抱えて苦しみながら虎杖の前から姿を消す。
そして、偽夏油に追い詰められる虎杖の前に再び現れ、虎杖を自らの弟と確信し、以降は虎杖を守る為に共に行動する事となる。
死滅回游以降の動向
呪胎戴天・再帰
とある切っ掛けを経て、虎杖の内より解放されて復活を果たした呪いの王・両面宿儺。
突然の出来事に動揺して無防備となった虎杖は、宿儺の強力な一撃によって吐血しながら遥か彼方へと吹き飛ばされる。その描写から瀕死の状態になったと思われており、宿儺自身もそう判断して特に追撃などもせずに放置していた。
しかし、宿儺が天使に重傷を負わせて投げ捨てた直後に、無傷ではないものの普通に走って戻ってきた。
肉体的なダメージが意識から消えるほど、宿儺の蹂躙に対して怒りを爆発させた虎杖は、今までとは比較にならない異常なまでの身体能力を発揮する。
地上からビルの屋上に一瞬で着地し、その着地と宿儺に跳び掛かる踏み込みで屋上の一部が粉砕するという、素で常人離れしていた時の比でない程の力を発揮する虎杖に、宿儺ですらも「なんだこの力は?」と驚愕する。
「オマエも噛み潰してみろ 不幸(おれ)をよ」
六眼を持つ五条から「いずれ宿儺の術式が発現する」と予想されていたにもかかわらず、結局術式が刻まれた様子もないまま宿儺と分かれてしまった虎杖だが、それが逆に何かの開放を促したかのような状態となった。
その力は、完全に呪力ゼロとなった天与呪縛のフィジカルギフテッドに匹敵する。
ちなみに宿儺はこの覚醒に心当たりがあるらしく、「そうか 小僧はあの時の」「羂索め 気色の悪いことをする」などと発言している事から、これも羂索による仕掛けである模様。
いずれにせよ、やはり虎杖悠仁には単なる器以上の秘密が存在するようだ。
しかしその一方で、宿儺は虎杖の覚醒や正体を察したらしい後でも、彼に対しては特に無関心なままであり、戦闘においてもフィジカルギフテッドの真希の方を警戒し、相変わらず虎杖に対しては「本当につまらん」と辛辣な評価をしている(ただし、最終決戦時の宿儺の自己分析の描写から虎杖の能力面ではなく、精神面の嫌悪感から出た評価の可能性がある)。
伏黒の抵抗、真希との連携で確実にダメージを与えていく虎杖だが、乱入してきた裏梅の足止めを喰らって宿儺の離脱を許してしまう。さらに宿儺は〝浴〟という儀式を行い、計19本の指+即神仏の木乃伊を取り込んだ事で、ほぼ全ての力を取り戻すに至る。
改めて宿儺という呪いの邪悪さを、身をもって痛感した虎杖は「アイツを殺すためなら なんでも喰ってやる」と殺意が混じった決意を顕にした。
ちなみに家入によると、今の虎杖は宿儺という呪力に浸された呪物みたいな状態らしく、上述にある〝浴〟の本来の用途によく似ている事からも、これがあの身体能力と関係しているのではないかと考察されている。
余談だが宿儺が抜けた事で、虎杖の両目の下にあった宿儺の目も消えた模様。
そして最後の戦いである人外魔境新宿決戦へ
五条・鹿紫雲に続く形で、虎杖は日車と共に完全体と成った両面宿儺へ挑む。
宿儺「小僧 貴様に 何ができる」
決戦までの一月に反転術式を習得した虎杖は、九十九由基が残した魂に関する研究記録を参考に、魂を捉える打撃で伏黒の肉体から宿儺を引き剥がそうと画策する。
伏黒と宿儺の魂の境界を知覚している虎杖であれば、打ち込むたびに〝欲〟で沈められた伏黒の魂を叩き起こし、宿儺との同調を阻害させる事ができる。つまり虎杖の攻撃が当たるほど、宿儺は弱体化(呪力出力の低下、及び肉体の支配の鈍化)していく。
これを利用して虎杖は、日車や乙骨達と共に伏黒の救出を目指す。
そして反転術式だけでなく、ついに術式が覚醒した虎杖は仲間達と共に宿難と激闘を繰り広げていく。
出自
※さらなるネタバレ注意! |
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羂索の手により、虎杖の肉体には宿儺の指の一本が生まれながらに封印されていた事が、257話にて宿儺の口から語られた(158話での伏黒との会話でもその存在を示唆されていた)。
それは宿儺の器としての強度を担保し、天元と人類の超重複同化の儀式死滅回游に宿儺を強制参加させるため。
つまり虎杖は、生まれた時から既に宿儺の指を一つ取り込んでおり、1話で伏黒を助けるために喰った指は二本目だったのである。
これにより、宿儺の指全ての所在が判明した(高校の百葉箱に1本。五条が喰わせた1本。少年院と八十八橋の特級呪霊がそれぞれ取り込んでいた計2本。美々子・菜々子の1本と漏瑚の10本。宿儺が伏黒受肉後に裏梅から献上された3本。五条が虎杖を生かすために隠し持っていた1本。そして羂索が虎杖の体に封印していた1本)。
さらに虎杖の父・虎杖仁が、かつて宿儺が胎子の頃に喰らった片割れ(双子)の魂の生まれ変わりという事も判明。
血こそ繋がってないものの、魂の観点では虎杖と宿儺は甥・叔父の関係にあたる。
もしも宿儺と片割れが、真希と真依のような一卵性双生児だった場合、呪術では同一人物という事になるため、実質虎杖と宿儺は父子となる(なお母親は羂索)。
余談
- 第一回人気投票では総投票数の約8分の1の票を獲得し、見事一位を飾った。 これ以降の人気投票でも五条と首位争いを続けている(概ね、虎杖、伏黒、五条の3人でTOP3をローテーションで回しているイメージである)。
- 前述した通り、虎杖や三輪霞のような常人とは異なる髪色は呪術的に何か意味があるらしく、三輪が呪術師に勧誘された理由もそれだったようだが、現状は詳細は不明のままである。
- 領域展開後に広がった駅のホームは、作者芥見下々の出身地岩手県にある北上駅がモデル。また、駅の名称から第236話との対比が指摘されている。
- 虎杖は本作の主人公だが、呪術廻戦0(東京都立呪術高等専門学校)を連載していた段階では虎杖の構想は全く無かった模様。ただ、続編を描く場合は乙骨から主人公を変える事は最初から決めていたらしい。
- 虎杖は近畿、特に奈良県の集中して存在する苗字であり、現在およそ60人の虎杖さんが存在する。ただし、現実では虎杖という苗字は近畿地方のみに分布し、宮城には存在しない。
- 一時期「虎杖」と検索しようとすると、サジェストに「虎杖 妊娠」というワードが出てくるという珍事件が発生した。これは呪術廻戦のとある至って真面目な考察ツイートによるものであり、決して男である虎杖が妊娠したという訳ではない。
- 別作品に名字と同じ読みのキャラクターがおり、それぞれの服装を入れ替えたイラストが投稿されている。