概要
コロナウイルス感染症の一種で、病原体はSARSやMERSと近いβコロナウイルスのSARS-CoV-2。
感染の様相から、複数株があるものとみられている。→COVID-19変異体
2019年末に中国武漢市で初めて発見され、2020年2月12日に、WHOにより正式名称がCOVID-19と定められた。
名称はコロナウイルス感染症の英語名にグレゴリオ暦の年号を合わせた、日本語でいうかばん語(Coronavirus Disease 2019)。
発生地が中国であることから「中国肺炎」という通称で呼ばれることもある。
世界経済にも大きな影響を及ぼし、中小企業の破綻や株価の下落などの影響が出ている他、防疫のために都市部で休校や必要最低限以外の事業停止するロックダウン(都市封鎖)を敢行したり、国境を封鎖して鎖国状態にしたりする国家が急増した。
こうした状況を踏まえ、WHOは2020年3月11日に約10年振りとなるパンデミックを宣言し、2年以上に渡る影響が世界へ及ぶ事態となっている。
2021年へ入ると、流行主体が従来株から感染力・毒性のいずれもが強化された変異株(アルファ株→デルタ株)へと置換わったため、より一層徹底した感染対策が求められるようになった。
しかし2021年後半に入ると、特に衛生概念が高い日本においては感染率が一気に低下し、11月頃には1日の感染者が3桁を割る日も出て来ていたのであるが……
2021年末、逆に毒性が弱く感染力が強いオミクロン株が発見、以降世界各国で感染爆発が発生した。
日本も例外ではなく、ピーク時のアルファ株(2021年初頭)やデルタ株(2021年中盤頃)と比べて、文字通りケタが1つ2つ違う感染者数を出している。
これは、オミクロン株は逆に毒性が弱いために、その発症初期においては見過ごさがれがちで、無意識にスプレッダとなっている感染者が多数いるからと思われる。
なお、発見当初に「弱毒株」といわれていたオミクロン株であるが、その毒性の評価はあくまでデルタ株との比較でしかなく、実際は在来株より毒性は強いとのことである。またオミクロン株の亜種(BA.2やBA.5)はオリジナル(BA.1)より毒性が上がっているので、油断は禁物である。
特徴
生物学的分類はニドウイルス目コロナウイルス科ベータコロナウイルス属。
ベータコロナウイルス属はコウモリを始めとしたげっ歯類から媒介されているといわれており、このウイルスもコウモリが媒介したのではないかという説が出ている。
風邪同様、感染は接触若しくは飛沫感染と見られている。
そして新しい感染症であることを加味しても目新しい特徴が散見される。
…とはいえ毒性以外を見ると在来のコロナウイルスのような特徴もあるかもしれない。
- 感染力の強さ
比較的、重篤な症状になり難い(それどころか全く症状が出ないこともある)代わりに、感染力が恐ろしく高い。
あくまで状況から推測されたことであるが、どうもこのCOVID-19、潜伏期間でも感染を拡げられる可能性が高いという。
潜伏期間中は発熱がないため、検温による検疫は役に立たない。
しかも発症しても症状が出ない『無症候性キャリア』からも感染が広まっているようで、自覚症状が無い一人の感染者が小規模集団に入り感染を広め、その集団が散ってさらに感染を広める『クラスター感染』が起きやすくなっている。
なお、感染力に関してはムラがあり、感染者数の約8割は患者自身の免疫力などにより、他人に感染させる力を獲得する前に治癒してしまう(即ち他人に感染しない)一方で、残り2割の患者からは1人の患者から10人を超える人に感染させるケースへ至っていると考えられている。
なお、2022年現在では今までのとは比べ物とならないレベルの超強力な感染力を獲得したオミクロン株が感染主流となっている。
- 長い潜伏期間
潜伏期間は2週間程度とされているが、中には1ヶ月も潜伏期間が続く例が確認されている。そのため、潜伏中も感染力を有する特徴と合わせると「国外からの渡航者等、疑わしい者を全員ウイルス検査or潜伏期間とされる2週間の隔離観察」という、およそ現実的ではなかったり、多大な金と人員と時間を要するものしか有効な検疫方法がない。
各国で鎖国に限りなく近い措置が取られているのもこの特徴が原因である。なお、現状渡航者や帰国者の隔離手配や費用は自己負担であり、当事者の負担は極めて大きい。
ただし、デルタ株以降は潜伏期間が短くなっているとの報告も多く、2022年8月現在、感染の主流となっているオミクロン株へ至っては潜伏期間が約3日と見積もられているため、現在では潜伏期間の長さが話題になることは大分少なくなった。
- 死んでも油断出来ない
接触感染する病気であるために家族のお見舞いも大幅に制限され、防護服着用が要求される。
大流行に伴い防護服も不足しているため各国共に病院での面会が全面禁止となる場合が多く、タブレットでの通信しか許可されないことも多い。また死亡する際にも看取りが許可されないことが多く、親族の繋がりや看取りを重視する社会習慣がある国では遺族だけでなく、立会う医療職のメンタルをも削られる大きな要素となっている。
日本では遺体は2重構造の遺体袋に格納し、葬儀を行う際にも参加人数を絞り防護服などの着用が指導されている。実際には現場の逼迫などから顔を見ることもできず、火葬場直行になることも多い。
この特徴はある人物の死去の際、兄の口から語られたことで広く知られる事となり、「帰って来た時は(火葬直後で)温かかった」という言葉は世間に衝撃を与えた。
なお、日本では「24時間以内に火葬することが出来る」とされており、必須ではない。顔も見せずに火葬場送りにするのは葬儀屋の独断によるものなのであるが、葬儀屋も感染拡大の種扱いされることを恐れてそう判断せざるを得なくなった事情もある。
- 後遺症
ウイルスが体から去り、症状が落ち着いても炎症により破壊された肺胞や心筋などの組織が直ぐ回復する訳ではないため、息切れしやすくなったりする症状に苦しむ例も多い。
後遺症の時期も人により差が大きく、半月以内で収まるものから1年以上、あるいは一生涯掛かるとみられるケースもありと幅広い。
重症者はもちろん、軽症の範疇であっても後遺症が続くケースがあり、働けなくなった事例もある。
味覚や嗅覚の異常も人によっては長く続くこともある。
ただ、イギリスから「因果関係は解明出来ていないがワクチンを打ったら後遺症が半分以上の確率で軽減・解消した」という報告があり、後遺症治療観点から注目されている。
- 感染経路の把握困難
当初は日本でもある程度クラスターを潰し切れていたが、拡大に伴い感染経路を把握し切れないケースが増えており市中感染の可能性も大きくなっている。
ただし、特に東京都内の場合は「人にいえないようなお店で濃厚接触や親や友達、学校にはいえない交際で濃厚接触、夫や妻にいえない恋愛で濃厚接触(いずれも意味深)をしていて白状していない」ケースが少なからずあるとも見られている。
地方の場合は隠しても直ぐ口コミで判明するため、クラスターが出た店名を早々に公開するケースが多い。
また、ウイルスそのものの特徴ではないがPCR検査精度も世間のイメージよりも高くなく、30%という高確率で偽陰性が出てしまう。
検査する臨床検査技師の人手も足りていないことも、感染の状況の把握のしにくさに拍車を掛けている。
2022年現在では超強力な感染力を獲得したオミクロン株が感染の主流になった影響で感染経路の追跡に手間が掛かり過ぎて全数把握では負担が大きすぎるとの声も出てきたため、日本政府も監視体制の見直しを検討し始めている。
症状
風邪同様、咳やたんなど呼吸器系の症状が主。発熱や倦怠感(体のだるさ)を訴える人も多い。
多くの場合、感染しても十分な体力のある元気な者は無症状か風邪と似たような症状で、軽 - 中等症で済む(元々コロナウイルス自体が風邪の一因である)とされている。また、ある程度回復してからもだるさや体の痛み、高熱が続く場合がある。
しかし、「軽症」とはいっても、一般的に「風邪」と聞いて想像するような軽い咳や少しの発熱、体のだるさが数日続き、後は回復する…というようなものばかりではない。例として、1週間、高熱や節々の痛みが続き、激しい咳が出続けたと訴える声がインターネット上でも確認可能。後述の通り肺炎を起こす可能性もある。
日本では、無症状・軽症(場合によっては中等症も)の場合、自宅療養または宿泊施設(ホテル)での療養が指示される。しかし、この療養期間に症状が急激に悪化し、緊急入院や場合によっては死亡する事例も報告されている。
約12日で軽症のまま回復したこの方曰く、初期症状は「夜、肺にキシリトールを塗ったような少しヒンヤリスースーする違和感を感じ、乾いた咳が少しだけ出る。」であったという。
味覚や嗅覚が消失する場合も多く、この方達も味覚嗅覚に異常を来たしたという。この味覚や嗅覚消失については、他症状が落ち着いてからも後遺症として継続する場合があることが確認されている。
この他、後遺症として息苦しさやだるさ、胸の違和感などの他に、少々意外に感じられるかもしれないが、頭髪などの脱毛が起こることが確認されている(炎症により細胞が破壊されることや血管にダメージを負うことが原因と考えられている)。これに加え、気分の落ち込み(抑うつ)や不眠症といった気分、精神的な症状がある人もいる。
合併症
COVID-19では以下のような怖い合併症を起こすことがある。
など
重症者
日本の場合、上記の諸症状の診察や問診、抗原検査結果を総合した上で、PCR検査を行い陽性を確定する流れが主流である。PCR検査は、医療機関体制や所在地にもよるが、結果が出るまでは概ね1 - 3日程度となる。
しかし、基礎疾患があったり体力がない高齢者であったりすると、結果が出るまでの間や、結果が出てからの自宅・宿泊施設での療養期間中に肺炎を起こすなど悪化することがあり、肺炎が悪化すると死に至るまでが早い。高熱や激しい咳、呼吸困難症状が強く出ている場合、PCR検査や抗原検査と併用してCT検査によりウイルス由来の肺炎が起こっていないか調べるケースもある。
勿論若者が掛からない訳ではなく、海外では若年層死亡者も多い。日本の有名人でもこちらの狂言師が40歳の若さで罹患し、敗血症を併発して死亡しており、こちらの大相撲力士は28歳で死去した。
概ね85%前後は軽症といわれているが、残りの15%前後が重症化しやすく、特に5%前後の最重症化ルートに入ると数時間で容体が悪化することがある。
現状「重症化するかどうか」の兆しを正確に読む方法はなく、重症化や後遺症の危険性に関しては「運」としか言いようがない面がある。
外国で治療に当たった医師によると、このウイルスによる肺炎は「酸素を取り込む能力は低下しているがCO²を排出する能力は低下していない」という息苦しさなどの症状が出にくい状態が重症化ギリギリまで続いていたケースが多く、直ちに入院と酸素呼吸が必要なほど酸素飽和度が下がっているのにスマホを操作している患者すらいたという。
また、軽症であっても39 - 40℃の高熱に数週間苦しむ羽目になることがあるので、「軽」の文字を甘く見てはいけない。あくまで「軽症」とは「死ぬことや自力で体を動かせなくなるようなことに比べたら」である。
中等症程度でも入院治療が必要なことが少なくない。
重症の場合は回復するしないにかかわらず入院が1ヶ月以上掛かることもあり、そのため患者数が増大した地域では医療資源(専門家の人手、機材共に)が大幅に割かれることになり医療崩壊に繋がってしまう。
詳細は不明な点もまだ多いが、死亡に至るには他の感染症や病気などを併発している可能性もあるとみられる。
実際、日本国内で死亡した患者は高齢者は勿論高血圧、糖尿病などの持病持ちであったケースも少なくない。有名人でも既往歴があった人や、放射線治療のため免疫機能が低下していたと推測される人もいる。
特に「男性で肥満体かつ糖尿病」の重症化リスクは高いとうわれており、治療にあたっている医師も「リスク因子の中では、圧倒的に糖尿病がキツイ」と警鐘を鳴らしており(外部リンク)、先述の若くして亡くなった力士も状態が良くない糖尿病であった。日本の政治家で初の死者となった人物も肥満であり糖尿病の持病があった。
死亡へ至らない患者でも入院するレベルの症状であると「腎疾患で透析していた」「デング熱と併発していた」などのケースがある。これらの要因から身体の免疫システムがサイトカインストームを起こしている確率が上がっているものと考えられている。要するにウイルスの増殖によって自身の免疫システムが暴走を起こし、コロナウイルスもろとも自らの身体の細胞をコテンパンに痛め付けてしまい、その結果重篤化や死に至らしめているものと考えられている。
血管系へのダメージが大きい様相が確認されており、回復しても脱毛などの後遺症が残ることがある。
世界各国でも、特に死亡者数が多い国々は以前から大気や水質汚染が問題視されていた地方や、保険制度の関係や激しい貧富差で庶民が病院に簡単にかかれない地域が少なくない。
治療
風邪同様、基本的にその初期においては、対症療法で体力回復を待つこととなる。
重症者の治療に医療リソースを確保する観点から、軽症の入院は現在推奨されていないため、自宅もしくは自治体が指定した宿泊施設で他の家族との接触を避け部屋の換気をしつつ大人しく療養することになる。
軽症の場合概ね8日前後で症状が治まることが多いが、感染状況によっては保健所などの観察が暫く付くこともあり1ヶ月を超える静養となることも多い。
2021年からは抗体カクテル療法により重症化を食い止められるケースも増えているが、これとて重症化フラグを100%回避出来る訳ではない。なお、抗体カクテル療法はデルタ株までは有効であったものの、オミクロン株に関しては効果が期待出来ないという見解が主流であるため、現在ではほとんど使われていない。
他疾患用に開発された薬転用も様々に試みられているが、アビガンなどのように投与時期を見極めないと逆効果になるものも多く未だ目覚しい効果とはいえない。
運悪く重症化になった場合、酸素吸入や人工呼吸器などの装着で生命活動を維持しつつ、肺機能自然回復を待つこととなる。
体外式膜型人工肺(ECMO)を使用し、弱った肺の代わりに体外で循環を行い回復を待つという手段もあるが、ECMO操作自体数年の修行を要する難易度が高いものであり、使用に際しては腕利きの医師・看護師・臨床工学技士らのチームを10人以上必要としそう簡単には使えない。
また、特効薬を開発すべく様々な既存の薬品で検証が行われたものの、確定的なものはなかった。
血栓ができやすくなる症例の報告も増えていることから、状況に応じて血栓防止の薬を投与することもある。
現状では、1度破壊された体組織を元に戻す治療法は見付かっておらず、「かかってから治療するより予防する方が良い」ということはハッキリして来ている。
ワクチンは各国製薬会社や研究機関で急ピッチで開発が進められ、複数の企業が2020年末 - 2021年にワクチンを完成させている。欧米で接種が始まり、日本も完成前にある程度購入する契約をつけていた。
当初はさほどの効果もないであろうと見られていたワクチンであったが、mRNAワクチン2種が2回接種で90%以上という高い有効率を叩き出したこともあり一気に世界中がワクチン確保に走り出した。
詳細はコロナワクチンを参照。
経口治療薬
2021年には、インフルエンザの治療薬として開発されていた、「モヌルピラビル」について、軽 - 中等症患者を対象に臨床実験が行われ、入院・死亡リスクが半減したという結果が発表され、大きな話題となった。アメリカ本国で承認された後、まずイギリス、続いてEU諸国も承認。日本では12月に特例承認が出された。
2022年1月には、ファイザー「ニルマトレルビル」(日本での申請名『リトナビル錠』も本国FDA承認、日本でも緊急承認という形で申請された。
日本は、純国産はやや出遅れてシオノギ製薬「S-217622」が現在臨床第2/3相の途上。が出遅れたことが功を奏して、現時点2022年2月7日-JST基準)で新型コロナの最も新しい株であるオミクロン株再生産を阻害することが既に確認されている。
その後は『ゾコーバ』という名前で緊急承認されたが、軽症度しか有効にならないだけでなく、奇形児が生まれるリスクが高いことから妊婦には服用禁止という欠点もある。
日本は出遅れたというが、アメリカでは臨床試験初期でも絶大な効果があると判定された治療薬は、臨床第3相を待たずに承認してしまうことがあることに留意したい。実際ニルマトレルビルはこれとのこと。BBCのニュース記事
現在一般に使われている治療薬は点滴による投与のため使用に制限があるが、経口薬であれば処方を受けて自宅でも服用出来るため、患者のみでなく医療機関や従事者への負担を減らすことが出来るとして注目されている。
予防と注意
コロナ対策を参照。
致死率と危険性
コロナ致死率は季節性インフル(0.1%程度)やノロウイルス胃腸炎(0.01%程度)などより高く、全世界では2.1 - 2.2%となっている。
これは遥かに致死率が高いエボラウイルス、同類SARS及びMARSにも及ばない致死率であるが、季節性インフルと比べれば極めて重大である。
季節性インフル死者は2019年冬 - 2020年4月にかけて東京で65人、コロナは初の死者が出た2月26日 - 6月26日時点で死者325人となっており、国外でも、平年多くとも50万人がインフルで死亡しているのに対し、7月2日の時点で52万人が防疫体制へ躍起となる中死亡しているなど、同じ日数の死者数を計測してもその致死性はインフルより強力であるという結果が出ている。
ただし、インフルが過去に起こしたパンデミックとの比較は下記に記すとおりであり、その上で100年の歳月を掛けて未だ撲滅されていない感染症であることは念頭に置くべきである。
加えて、現状では決定的な治療法が存在せず、長時間医師や関係者が対症療法にあたらなければならないために一度大規模な感染拡大が起こると対応に追われる過程で医療現場が崩壊し、致死率が高まるという事例が報告されている。
パンデミックが長引くに連れ治療のノウハウも蓄積されて来ており、医療先進国であるとそのために死者数が減っていることもあるが、一方で保険制度や貧富差により治療を受けられず死者が多い国もあり、死亡率は社会状況にもより大きく異なるともいえる。
また、他国との戦争や内戦、大規模災害などで治安や医療体制が劣悪な場所はCOVID-19以上に短期間で死ぬ感染症が蔓延していることもあり、結果としてコロナ対策どころではなく検査や統計もまともに行われていないところが多い。
動物との相互感染
人間以外の動物でも感染するケースは確認されており、諸外国ではユキヒョウなどのネコ科動物事例が確認されていた。
日本でも2023年3月に和歌山県のアドベンチャーワールドで高齢かつ基礎疾患のあったライオンが飼育員からの感染で2頭死亡、他の個体数頭が罹患した事例が発生し「少なくともネコ科は確実に人獣相互感染のリスクがある」ことがほぼ確定した。
このため、高齢や持病があるペットを飼育している人がCOVID-19へ罹患した際はペットも感染者から隔離することが望ましい。
ネットを中心に蔓延するコロナ軽視論
コロナウイルスはまだ分かってないことが多く、まだデータや他ウイルスとの比較による確信が出来ない状況であることはいうまでもない。
にもかかわらず、TwitterやSNSといったネット上では「コロナはただの風邪」、「コロナはインフルエンザ以下」などといったコロナ軽視論を掲げる人が後を絶たない。
確かに俗にいう風邪菌にはCOVID-19ではないが、コロナウイルスも含まれる。しかし、風邪も拗らせれば普通に人は死ぬ。
感染予防として用いられるマスクや、予防接種(ワクチン)について不要論を称えるような人もいるが、中には他者にもマスクを外すことやワクチンを接種しないことを強要する・感染予防に努めている人や医療に携わる人を無闇に攻撃する、というような過激な行動を取る人がおり、危険視されている。
このような勢力が現れたのには様々な要因が考えられるが、そのうちの1つとして「不自由からの解放」が大きな要因として挙げられている。
コロナによって、日に日に増加する感染者への不安や、強いられる自粛生活による行動制限によって多くの人々が今も不満を抱いていることであろう。
しかし、「コロナはただの風邪」と解釈した場合、一定割合で亡くなる方々や長期間後遺症に苦しむ人達のことは無視をして、東京五輪は予定通りに開幕出来、居酒屋で飲むことも、密となってパーティをすることも出来ることとなるため、ありとあらゆる面倒臭い問題から解放される。そのため、一種の逃げとしてこの話をとても魅力的に感じる人達が少なからず現れてしまうのである。
とはいえ、疾病の性質や対策について、専門外の人間がその正誤を判断することは困難であり、「医療現場で得られたデータ」を基に「専門研究家が出した結論」という権威を頼りとせざるを得ないのが現実である。然るに、コロナ軽視論にはこうした権威の裏付けが存在せず、「コロナはただの風邪」は陰謀論の域を出ていない。
コロナ否認論者が論文などをソースと主張しつつ、実際には内容と真逆のことをいうケースもある。論文というものは読み解くのにリテラシーが必要というのもあるが、英語のものを自動翻訳に掛けたりすると不自然な訳文になり、そこから誤解するケースもあるので注意が必要である。
現在、世界中の医療機関・研究機関で調査・研究が急ピッチで進められているため、十分な査読を受けずに発表された論文も多い。→参考記事
このような査読を受けていない論文に掲載されている情報が全て不正確であるとはいえないが、エビデンス(根拠、証拠)がハッキリしない情報については慎重に取扱うべきであろう。また、これらの情報を都合よく解釈・切取りして、公的な機関発表とは異なる意見を広めようとする人もいる。
また(特に日本の)コロナ否定論者は好んでインフルエンザを持ち出して脅威度が低いように論じたがるが、いうまでもないがインフルは致死性がない感染症とは御世辞にもいえない。42℃に迫る発熱とそれからくる脱水症、激しい咳による呼吸困難、また症状が長期化しウィルスが脳内に侵入するとインフルエンザ脳症を引き起こして致命的な自体となり得る。ただ、潜伏期間が余り長くなく直ぐに症状が出ること、タミフル・リレンザなど既に特効薬が存在すること、日本では対処療法で症状緩和と早期快復が可能なこと、などから現在の日本では致死率が余り高くなく後遺症が残ることも少ないだけである。現在のCOVID-19は、インフルに例えるならタミフル・リレンザ開発前の状況なのである。
1918 - 1920年にかけて発生したインフルの世界的パンデミックでは、約5億人が感染し、少なくとも5000万人、多ければ1億人以上の死者が出たとされる(数字ブレ幅が大きいのは、第一次世界大戦が始まってしまい、国防上の機密としてこれを隠す国が増えたため)。1920年当時の世界人口は約18億6千万人であり、インフルエンザが如何に強力な感染力と致死性を持っているかが解る。なお、COVID-19の2019 - 2022年までの世界累計死者数は約567万人(2022/2/7 23:56-JST基準)であるが、これは文字通り100年掛けて進歩した医療技術と衛生技術による賜である。だが一方で、その100年の技術革新をもってしてもインフルを撲滅するには至っていない。
インフル程度なら、インフルと同じくらい恐れる必要がある。
政府や厚労省からの正式発表がない限りは、ネットなどの根拠がない情報には疑心暗鬼に接し、絶対に警戒を怠ってはならないことを心掛ける必要がある。
風評被害
こういった感染症が流行ると、感染者を批判するような言動が特にネット上で盛んになる。家に張り紙まで貼られることになったりと誹謗中傷が後を絶たない。
無関係な第三者にまでそれが波及するという事態にまでなっている。
特にCOVID-19は一般的に「新型コロナ」と呼ばれるため、コロナと名前が付く企業や商品などは軒並み大打撃を受けた。コロナという言葉は人の名前にも使われることもあるため、いじめに繋がっているというケースもある。小学生が良くやる◯◯菌と同じである。
更に言うと5類に移行する前まではYoutubeの生配信などに於いて新型コロナを想起させるワードを使うとBANの対象になる可能性があったり(「567」等でもアウト)、Yahoo!知恵袋では投稿した質問にコロナのワードが1つでも入っていたら注意喚起のようなメッセージが上部に出てきたりと、明らかにナーバスになりすぎているような悪影響が出てしまっている。
この記事を読んでいる読者はそのような風評被害に惑わされる事無きよう心掛けて欲しいものである。
また、発生地が中国であることから中国人を始めとするアジア系住民が暴行を受けたり暴言を浴びせられる事件が発生している。
応援イラストについての注意
応援イラストも描かれているが、「ヒーロー」として扱うものについては医療現場当事者から「安全圏からの無責任な応援」といった批判が上がることとなった。こうした反応を受け、Xにおいて「GratefulForTheHeroes絵」というイラストタグの発起人となった漫画家ひうらさとる氏は自身からの拡散と募集の停止を宣言した(本人のツイート)。
医療関係者に対する応援をしたい場合は、例えば正確な知識に基づく手洗いなどの呼びかけ・指南イラストといった形にしておいたほうが無難であろう。
関連タグ
コロナちゃん…擬人化キャラクター
Covidiot…この騒動でお馬鹿な行為をする者達
風邪…まずは在来のコロナウイルスの性質を知ろう
手を洗おー!…予防策の基本中の基本
コロナ脳…過剰に反応してしまう人のこと
スペイン風邪…世界の総人口の3分の1が感染した、世界的に影響が大きかった感染症
アマビエ…「豊作や疫病などの予言をする」とされる妖怪であるが、疫病退散祈願の象徴として広まった
デビルマン(漫画)…実態を拡大解釈したパニックが描かれている有名な作品
感染列島…実態を拡大解釈したパニックが描かれている映画
外部リンク
公的な解説
- 新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~(首相官邸公式サイト)
- 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)(厚生労働省公式サイト)
専門家による解説
- コロナ専門家有志の会
- かながわコロナ通信神奈川県医師会のサイト。
- 新型コロナ 典型的な症状、経過、重症化のリスク、後遺症について感染症専門医の忽那賢志による解説。
経済的に困っている人への支援
- 新型コロナウイルス関連(経済産業省公式サイト。本件で経済的に打撃を受けている事業者やフリーランスのための各種補助情報あり)
- 内閣官房公式アカウントによる、学生への支援策解説
- こんなときは どんな支援が?(NHK)
- 解説動画(新型コロナウイルス感染症特別貸付ご利用ガイド)日本政策金融公庫