「バディは『相棒』と理解していいのか?」
演:斎藤工
概要
今作において「ウルトラマンになる男」。
禍特対作戦立案担当官。警察庁警備局公安課(※)から禍特対に出向している。警察官としての階級は警視正。
ドッグタグによると、誕生日は1986年7月17日。血液型はA型。
※ 映画中では警察庁警備局公安課だが、公式サイトやパンフレットでは「警察庁公安部」「警察庁警備局公安部」となっている。現実では警察庁に公安部はないため、架空の組織となる(上記の公安課はあるが、公安部は警視庁にしかない)。
あまり他者とはなれ合わない一匹狼な性格で、公安警察出身故か単独行動が目立つ。
ウルトラマンの調査のためにやってきた浅見弘子とバディを組むこととなる。
デスクの上にはテトラポッドの置物とマグカップのみが置かれている。
劇中での活躍
物語冒頭、禍威獣第7号ネロンガが出現した山間部の集落に禍特対メンバーと共に出向き、自衛隊と合同で対処にあたる。
熱光学兵器を無力化できる特性を持つネロンガを地球より発達した文明向けの生物兵器ではないかと推測し、変電所の電気を捕食し姿を現した際には「エネルギーを蓄え万事整うと姿を現し周囲を威嚇する、理に適ってるよ」と冷静に分析した。
なお、ネロンガが生物兵器ではないかとの推測は、後に正しかったことが判明している。
陸自の攻撃が失敗に終わり、有効な対策案が出ず行き詰まる中、ネロンガが暴れている地域に取り残されていた子供をモニター越しに発見。単身救助に向かう。
その直後、大気圏外から謎の飛翔体が飛来しーー…。
以下、本作品のネタバレ注意
子供を保護した直後、謎の飛翔体=ウルトラマンの降着に巻き込まれる。その衝撃から子供を庇った際、頭部に砕石が直撃し死亡。一部始終を見ていたウルトラマンと一体化する。
以降、作中の神永は全て神永の姿と声で活動しているウルトラマンであり、神永本人の意識はない(一部のファンは、この時の状態の神永を“神永マン”と呼称している)。
そのため、人間についてあまりよく知らなかった序盤の時は浅見と会話がまったく噛み合っておらず、浅見の神永に対する印象は悪かった。
なお、浅見が一度だけなぜウルトラマンは神永の姿をしているのかと疑問を抱くが、禍特対メンバーは神永が死亡しウルトラマンと融合していることは知らない。
ただし、その記憶と自我は融合したウルトラマン自身にも反映されており、神永の公安警察時代の経験と伝手が外星人第2号ザラブに連れ去られる直前に生かされたほか、ウルトラマンの人格に人類に対する愛着を芽生えさせるなどといった変化を生じさせていった。
また、常に無表情で淡々としているが、浅見をバディとしてちゃんと信頼しており、自身がザラブに拉致される事を見越してベーターカプセルを「君に託す」とのメッセージとともに予め浅見に預けておくなど、禍特対のメンバーを仲間として認識している。
中盤、ザラブによって自身の正体を全世界に暴露されてしまい、以降は外星人として扱われるようになる。戸籍上も日付を繰り上げて死亡扱いとされた。
その後は「ウルトラマンの男」として日本をはじめウルトラマンを軍事、政治の道具として利用しようと目論む世界各国から追われる身となり、禍特対本部はおろか公の場に姿を見て見せることができなくなってしまう。
全ての戦いが終わった後、ウルトラマンと分離し生還した。
分離後の神永がどうなったのかは最後まで明かされなかったが、前述の通り一体化している間は彼自身の意識は全くなかった事から、ウルトラマンの事もウルトラマンと一体化後に出会った浅見との交流も全て覚えていないと思われる。
…が、「彼(神永)も君のことを理解している」というある人物の発言を気休めでないと踏まえれば、別作品ではあるがこの人物のようにある程度は状況を理解している可能性も0ではない。
しかしやはり、神永は意識が無い間にザラブの一件で死亡扱いかつ外星人と言う扱いを世間から受けている為、彼が元の日常を取り戻すのにはある程度の時間がかかってしまう事だろう。原典において、ウルトラマンと一体化していた事を最後まで知られることがなかった為、記憶を失っても元通りの日常を送れたであろうハヤタ・シンとは対照的な終わり方であると言えよう。
なお、ウルトラマンと融合する以前の人間としての神永自身の描写は冒頭のネロンガ戦で限定的に描かれたのみ。
彼自身も公安からの出向者ということもあり、自分のことは他の禍特対メンバーにも詳しく話しておらず、「よく分からない人」という扱いであった。ただ、それが幸いして、彼が途中からウルトラマンになった後も特に怪しまれず、単独行動を取っても深く詮索されることはなかった。
しかし公安きってのやり手であり、前述の通りネロンガの特性を見て目的を持って作られた存在ではないかと真っ先に指摘している。加えて子供を守るために自らを犠牲にすることもいとわない優しさの持ち主であり、彼の献身的な姿を見たことが、ウルトラマンが人類に興味を持つきっかけとなったのである。つまり、彼は元から「ヒーロー」としての素質を持っていたといえる。
余談
演者の斎藤工は、過去に父親が円谷プロで『ウルトラマンタロウ』の爆破担当のアルバイトをしていたらしく、「偶然ですが、親子でご縁があった」とスッキリ!!のインタビューで語っていた。
また、斎藤は『シン・ゴジラ』にも「池田 第1戦車中隊長」という役柄で出演している。その際に庵野監督から「ウルトラマンをやっと見つけた」と言われた模様。
斎藤氏も、今作の撮影中に友人から「あなたはヒューメイリアンかもしれない。」と突然言われたらしく、そのことを2022年4月29日放送の「やりすぎ都市伝説」にて語っていた(例えば非人間らしさの演技のひとつに「瞬きをしない(画面に映さない)」という手法があるが、斎藤工の場合は元からそういう性分だそうである)。
本作の5年前に放映されたTVシリーズ作品の主人公を演じた濱田龍臣は、とある作品で斎藤の少年期を演じたことがある他、indeedのCMでは実際に共演する等、斎藤とは何かと縁がある。
また、斎藤は『シン・ウルトラマン』と同年に放送された『ウルトラマンデッカー』で主人公を演じた松本大輝ともテレビドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理2019「狩人の悪夢」編』で共演したことがあり、松本も公式ツイッターにてこのことに触れている(ちなみに、松本にとってはこれが俳優としてのデビュー作となった)。
『ウルトラマンゼロシリーズ』でゼロの声とモロボシ・シン/ライト役を演じている宮野真守氏とはテニミュで共演して以降仲が良く、宮野氏は斎藤氏がMCをつとめるラジオにも出演したこともある。
また宮野氏は劇場版アニメ映画『GODZILLA』シリーズで主人公を演じておりそこでも共通点がある。
斎藤はウルトラマンへの変身シーンはスプーンを使って練習していたという。
ツイッター上では、スプーンを使ってお道化ている様子を写した写真も掲載された。
神永の誕生日である7月17日は、ウルトラマンの第一話であるウルトラ作戦第一号が放送された日。
関連項目
ハヤタ・シン:原典においてウルトラマンに変身していた人物。彼もウルトラマンの所為で死亡したという共通点がある。彼の場合は融合中も自分自身の意識はあったものの、ウルトラマンと分離した後は初遭遇時以降の記憶を失ってしまった。また、神永と違い(感づかれそうにもなったが)最後までウルトラマンである事を明かす事も知られる事もなかった。
郷秀樹:本作が放映された年で51周年を迎えたウルトラ作品の方で新マンと同化、変身していた人物。こちらも逃げ遅れた子供と犬を救おうとして死亡したことが、ウルトラ戦士に変身できるようになった切っ掛け。
ヒビノ・ミライ:本作の16年前のウルトラ作品の主人公。神永同様、劇中でウルトラマンである事を第三者の手で世間にバラされてしまい、一時は日本政府からも身柄を確保されてしまいそうになったものの、仲間達の助力でそれを免れ、残る強敵達を倒して地球を救った。
モロボシ・シン:本作の11年前の舞台作品の主人公。地球に暮らしている青年と一体化し、神永同様、作中の大半は融合したウルトラ戦士の意識で動いていた。ちなみに一体化する青年の演者はシン・ウルトラマン公開年の全世界配信版のウルトラ作品にてメインキャラとして出演している。
ラン:本作の12年前の映画作品の主人公。神永同様、作中の大半は融合したウルトラ戦士の意識で動いていた。ちなみに演者はシン・ウルトラマン公開年の地上波放送版のウルトラ作品にてレギュラーキャラの一人として出演している。
碇シンジ:同じく庵野秀明が脚本を務める作品『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公で、こちらも「しんじ」。
TVアニメ版・不動明(ふどうあきら):同じく死亡し体を利用されている共通点がある
歴代ウルトラマンの主人公系譜