「惡鬼滅殺」
概要
人喰い鬼を狩る力を有した剣士、そしてその剣士を支える者たちが集まった、政府非公認の組織。そのルーツは1000年以上も前に遡り、現在の構成人員は数百名を超える。
人喰い鬼は、人ならざるにして人を蹂躙するモノ。人の天敵である。
鬼は文字通り人外の力を振るう上に陽光を浴びる以外には不死であり、たとえ頭を砕かれようとも瞬く間に治癒して生者を喰らう。只人(ただひと)は宵闇に怯えて暮らし、降りかかった血の災厄に悲嘆と怨嗟の声を上げる以外、出来ることなど無い。
しかし人は弱くとも心在るが故に、智慧(ちえ)ある者は智慧を、業(わざ)ある者は業を、力ある者は力を出し合い寄り集め、鬼を退治する術を編み出した。
そして時は大正。
“鬼狩り様”の名は文明開化の音に紛れて久しく、人々の口には“鬼”と共に御伽噺として上るばかり。されど彼らは決して幻想に消えることなく、今宵もまた闇の中で悪鬼を滅殺する。
災厄を祓う、その時まで。
当主
組織の全てを纏める頂点。隊士たちには「お館様」と呼ばれる。
産屋敷家の男子が世襲しているようで、すでに次の後継者(嫡男)も隊の管理業務を務めている。
彼自身は鬼と戦う力を持たないばかりか、額から目元にかけて火傷のような傷痕で覆われており、失明している。そもそもにして、産屋敷の血統の男子は身体が弱く寿命も短いと、戦士としての資質は皆無である。
しかしながら、組織の長に足る公平・冷静な判断力は言うに及ばず、“異能”と言えるほどに人心掌握術に精通しており、その声と仕草だけで人を高揚させる事すら可能。このため如何なる剣士も、最上級の敬意と共に頭を垂れる。
また、上記の体質のため本部となる屋敷から出ることはないが、無数の鎹烏から逐次報告を受けており、隊士各員の活動状況を細やかに把握している。更に上述したように鬼殺隊は政府公認の組織ではないが、統括する産屋敷家は政府に対しても一定の影響力があるようで、一部の隊士にはその権限によって公的機関の管理下から引き抜かれた者もいる。
鬼殺隊の最終目標である鬼舞辻無惨の滅殺の為に様々な情報を常に探っており、鬼でありながら無惨と敵対する珠世の事も鎹鴉を通じて認知していた。
耀哉の側近を務める五人の童子。全員が耀哉の実子であり、黒髪の子が嫡男で跡継ぎ。
藤襲山での最終選別の説明役や、耀哉の身の回りの世話などをこなす。
なお、上述の通り産屋敷の男子は病弱なため、厄除けとして十三歳まで嫡男も女児の格好をして育てられている。
顔は全員母親似。
鬼殺隊士(鬼殺の剣士/鬼狩り)
任務地にて鬼と戦い、この頸を落とす剣士。
“育手(そだて)”(後述)に見込まれた若者が、その育手の下で数年単位の過酷な修練経て、藤襲山で行われる最終選別を生き残る事で正式に隊士となる(ただし、中には育手を介さず独力で最終選別に挑んで合格する猛者もいる)。
隊士の卵達は大抵がまだ十代前半の少年少女たちで、それでいて育手による修練は下手をすれば命を落としかねない程の過酷さであり、最終選別では十数匹の鬼が囚われた藤の花の結界内で七日七晩生き残らなければならず、命懸けの修練を乗り越えても通過率(生存率)は三割以下と非常に厳しい。修練・選別ともに死者が後を絶たない凄絶なまでの苛烈さだが、この選別を抜けられないようでは、どの道、任務遂行における生存確率は皆無に等しい事を意味する。
また、辛うじて生き残り、隊士になったものはすぐさま鬼狩りの最前線に投入される。しかも、人材不足と時代的に移動手段が限られる事から、鬼狩りで重傷を負っても治療の時間すらなく次の任務に向かわされることが珍しくない。
このような過酷な環境から、隊士の殉職率は非常に高い。そもそも鍛え抜かれて選び抜かれた鬼殺の剣士であっても、不死と超再生の身体を有し、物理法則すら無視する異能“血鬼術”を行使する鬼に対しては絶対的に不利なのである。他にも人間の身体能力の最盛期の関係や当時の日本の平均寿命の低さも相まってか、育手などの例外を除けば鬼殺隊の構成員たちの年齢層はかなり若い。
なお、彼ら・彼女らが剣士を志し、危険な鬼狩りの任務を続ける理由は、金銭的な物を含め各々であるが、縁者を鬼に喰い殺された事で鬼に対して並みならぬ憎悪を抱いている者も多く、それ以外にも孤児であった者や、特殊な生い立ち・生まれ持った資質によって、一般社会に馴染めず居場所が無かった者も少なくない事から、そうした特殊な境の者達の受け皿になっている面もある。
また、剣士に限らず鬼殺隊の構成員は“悪鬼滅殺”という目的達成のため完全実力主義を採っており、能力(剣術に限らず、刀工や特殊技能)にさえ秀でていれば、性格面に難があったとしても重用される傾向にある。
その一方で、複雑な過去を持つ者の存在や実力主義の傾向が強い面は奇しくも敵対者である鬼にも通ずるところがあり、この事から鬼殺隊と鬼は紙一重な面もあるとも言える。実際に鬼の中にはかつては鬼殺隊であった者も存在し、一方の鬼殺隊も鬼でありながら鬼殺隊に協力する者がいる事がそれを物語っている。
ただし、鬼殺隊のメンバー達は同じような境遇を持った者同士が多く鬼を滅ぼすという強い目的意識がある為か、仲間意識が非常に強い者が多く組織としての結束力や士気はかなり高い。他にもあくまで実力主義が通っているので、この時代には珍しく男女の待遇の違いはほぼ見られない。また、トップの産屋敷も自らの事もあくまで鬼殺隊を動かす要員の1人として定義しており、特に柱を初めとした実力が認められている者には異論・反論含めて自由に意見を述べて議論する事を許すという、良い意味での実力主義をとっている為に、現場を知る柱達の声が通りやすく反映されやすい体制が整っている。
総じて同じ完全実力主義でも、トップである無惨の完全なワンマンで無理矢理従わされたり、メンバー同士が餌や階級を巡って争うライバルでしかない為に、関係が極めて険悪な鬼とは対照的だと言える。
全集中の呼吸
著しく増強させた心肺により一度に大量の酸素を血中に取り込むことで、瞬間的に身体能力を大幅に上昇させる呼吸法。
詳細は個別記事を参照。
支給装備
最終選別を終えた剣士は、下記の装備を隊から支給されて任務へ送られる。
刀、隊服ともに個々人に誂えられたものとなる。
日輪刀
太陽に一番近く、一年中陽の射すという陽光山で採れる「猩々緋砂鉄」と「猩々緋鉱石」から打たれた刀であり、日光を浴びる事以外は基本的に不死身である鬼に対して、その頸を斬る事で“殺す”事ができる唯一の武器。
詳細は個別記事を参照。
隊服
背に“滅”の字が描かれた、黒い詰襟。
特別な繊維でできており、通気性はよいが濡れ難くて燃え難い。雑魚鬼の爪や牙ではこの隊服を裂く事すらできない程に頑丈である。
その特殊性から、縫製にも相応の技術(技能)が必要とされるようである。
最初のデザインは着物だったが「大正感が欲しい」という担当の言葉により、今の詰襟+羽織スタイルに変更されたとのこと。
鎹鴉(かすがいがらす)
人語を解し、話す鴉。各鬼殺隊士にあてがわれており、どこからともなく現れては、隊士に任務地やその地で起きている怪異の詳細、または上からの指令や伝令を伝える。
鴉ごとに性分があるらしく、中には隊士に不躾な暴言を吐いたり、高齢化によりる弊害を見受けられる個体も居るが伝達任務は身を賭してこなす。また、やはり産屋敷には忠実。
何故か一名、鴉ではなく人語を話さない雀をあてがわれている隊士もいる。
藤の花の家紋の家
かつて鬼殺隊によって救われた者達が、鬼殺隊員に無償で尽くしてくれる施設。
その尽力は傷の治療に留まらず、食事・宿泊・隊服の洗濯などありとあらゆる世話をしてくれて、依頼をすれば次の任務に必要なものの用意や、準備の手伝いもする。
再び任務に赴く際は切り火をして隊員の武運を祈る。
階級
柱
鬼殺隊最高位に立つ剣士。各人が極めた流派に従い、「○柱」という肩書を持つ。
一般隊士とは隔絶した強さを持っており、文字通り鬼殺隊を支えている。
詳細は個別記事を参照。
一般隊士
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十段階に階級が分かれており、選別を潜り抜けたものは癸から始まる。
戦勲にあわせて階級が上がり、給金も見合ったものに上昇するようであるが、上述の通り生物として圧倒的に超越している鬼との戦いにより凄まじい速度で殺されていく為に、実質的には柱の露払い、または斥候となっている現実がある。
竈門炭治郎(かまど たんじろう) | 我妻善逸(あがつま ぜんいつ) |
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嘴平伊之助(はしびら いのすけ) | 栗花落カナヲ(つゆり かなを) |
不死川玄弥(しなずがわ げんや) | 神崎アオイ(かんざき あおい) |
村田(むらた) | |
- 那田蜘蛛山討伐隊
上記の村田や尾崎、他の隊員ら計10名で構成され、那田蜘蛛山に巣食う鬼の討伐を命じられる。階級は不明だが少なくとも『癸』以上。しかし母蜘蛛に操られて同士討ちなどを起こした結果、村田以外は壊滅した。
また、それとは別の一団もほぼ同時期に入山しており、こちらは兄蜘蛛の毒にやられ、人面蜘蛛にされそうになっていたところを、胡蝶しのぶ率いる『隠』の救助隊によって救われている。
その他
- 竈門禰豆子(かまど ねずこ)
彼女は鬼であり、他の隊士たちと異なり正規の隊士ではなく階級も持たないが、兄・炭治郎による保護・監視の下、お屋形様の意向もあり鬼殺隊の一員と認められている。
詳細は該当記事にて。
蟲柱胡蝶しのぶの私邸であり、隊士たちの治療所として開放されている蝶屋敷にて看護・訓練の担当をしている少女たち。
神崎アオイと異なり最終選別を受けていないため隊士ではないが、しのぶの下で隊士たちの治療に奔走する鬼殺隊の一員である。
育手(そだて)
鬼殺の剣士の育成者。
全国の至るところに居り、才覚を見初めた若者を指導して、仮の日輪刀を渡した上で最終選別に送り出す。
多くは老齢により引退した剣士が担っているようで、人的損耗率が非常に高い鬼殺隊士を勤め上げた彼らの実力、経験による知見は極めて高い。
特に柱としての経験を持った育手は、弟子の剣士の練度も高い傾向がある。
なお、育成方法や弟子の勧誘方法は特に決まっておらず、育手によって大きく異なるが、厳しい修練を経た弟子の剣士達は、師である育手に親のような信愛を抱く者も少なくない。しかし一方で、育手の教育方針が様々なせいで隊士として心技体が揃わないまま鬼殺隊に入隊するものも少なくなく、鬼殺隊の一般隊士の質の低下にも繋がっている。
隠(かくし)
背に“隠”の字の描かれた黒子装束を纏った後処理部隊。400年前に当時の産屋敷家当主が黒死牟に殺害されたのを契機に、結成された部隊である。
鬼と剣士の戦いの後処理や隠蔽や負傷した剣士の救護を行う。メンバーは主に剣才に恵まれなかった者が多く担っているが、鬼殺隊に関わっている時点で育手の修練は受けた経験があると思われ、列車横転など大きな事件でも(鬼殺隊の組織力と合わせて)隠蔽する事ができる。
刀匠
日輪刀を打つ鍛冶師たち。たたら(鍛冶師)としての生業を自ら揶揄してか、ひょっとこ(ヒヲトコ/火男)の面を被っている。
芸術家気質で、自分の打った刀に対して変質的なまでの情熱と愛情をかけている者が多く、作品を粗雑に扱う剣士に対しては刃傷沙汰を起こすこともしばしば。
しかしながら刀匠としての腕は確かなので、たとえ相手が37歳を越えていても、優しく応対してあげるのが吉。
継子(つぐこ)
「柱」が直々に育てる隊士。相当才能があって優秀でないと選ばれないとの事。
それぞれの柱が決定権を持ち、育てる人数に制限は無いようである。
関連タグ
- ジェダイ・オーダー…闇の力を使う者達と戦う事を使命の一つとする剣士達の組織。組織に所属する剣士達は使用者の性質等によって刀身の色が決まる剣を、身体能力や知覚の強化法と特殊な剣術を組み合わせて用いる。また、ごく稀に敵に寝返る剣士が出る事もある。
- グレイナイト…人ならざる超常の存在を、その弱点となる武器を用いて討伐する戦士たちの組織。加えて共にその存在は公ではない共通点がある(ただしこちらは非公然とはいえ公式な国家機関の一部署である)。
- 番犬所…人を喰らう魔物を密かに討伐する剣士達の組織。こちらも人間を守る事が使命であるが、許しがたい悪人をも守らなければならない為に組織に失望して闇に堕ちる者も少なからず存在する。
- 黒の教団…人類抹殺を掲げる不死者から世界を守る使命を帯びた秘密結社。人的損耗率は非常に高く戦闘員非戦闘員関わらず死者は多い。素質ある者ならば死刑囚すらスカウトし、実力次第で幹部に据える事もある超法規的組織。ただし鬼殺隊が政府非公認なのに対しこちらは世界最大級の宗教勢力がバックについた公認組織である一方内情は超絶ブラック企業そのものと、非常に対照的。またこちらでも裏切り者が出た事がある。
- 侍戦隊シンケンジャー…こちらも古くから怪物退治を請負う組織。日本刀を武器にしているという共通点こそあれど、こちらは政府公認の組織である。ちなみに鬼退治がメインの戦隊は別にいる。
- ヴァンパイアハンター…吸血鬼退治を生業としている人々の総称。創作作品でも聖堂教会や素晴らしき青空の会などの組織が存在する。作中の鬼の特徴が吸血鬼に近い事から、鬼殺隊は日本版ヴァンパイアハンター組織といったところであろうか?