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概要

同性結婚とは、男性と男性女性と女性カップルが、男女夫婦と同じ保障を得ることである。

具体的には、同性同士が『(男女の)夫婦と同じく性的な親密さを基礎として、継続して社会的にも経済的にもパートナーシップを築き』『男女の夫婦と同じく、ある種の社会的な承認が付与され、法的な保障や保護が行われる』慣習制度のこと。

同性婚同性間結婚ともいう。

歴史

2013年3月27日に、アメリカ合衆国ワシントン連邦最高裁で開かれた同性結婚禁止法違憲訴訟において、83歳のレズビアンが「婚姻を男女間のものに限定した『結婚防衛法(Defense of Marriage Act、DOMA)』は、憲法に反する法令」と訴え、勝訴した。

それにより、「結婚を異性間のみとするものは、世界人権宣言(外務省の公式HP)の第16条に対してもそぐわない」として、2014年6月から日本でも憲法の見直しに注目が集まっている・・・?

アメリカではマサチューセッツコネチカット州アイオワ州バーモント州メイン州ニューハンプシャー州ワシントンD.C.ニューヨーク州ワシントン州メリーランド州など一部の州でのみ認められていたが、2015年(平成27年)6月26日に「同性結婚を禁じ、結婚を異性間に限定する法律は憲法違反」という最高裁判決が出、全米で同性結婚が認められる形になった。

しかし、トランプ政権になってからLGBTに対する記述を削除する、美女と野獣の同性愛描写に対する反対などで再び同性愛に対する嫌悪感が高まってきている。

参考資料

  1. 青森の女性カップル 婚姻関係がないと制度上「生きづらい」
  2. 同性婚が日本では認められていない理由について(弁護士ドットコム)
  3. 世界人権宣言第16条と日本国憲法第24条

宗教における同性結婚

少年愛のような形で社会的に同性愛が容認されていた社会はあるが、現代で提唱される、異性婚と同様な同性結婚は存在しなかった。日本の衆道を行った武将なども結婚相手は異性であった。

このような背景から、同性結婚を聖典において可能と明記する伝統宗教も存在していない。アブラハムの宗教ヒンドゥー教ゾロアスター教などでは同性愛自体が悪(戒律違反)とされている。

しかし現代になって、伝統宗教でも同性結婚を認める宗派・教派やグループ・個人が現れ始めている。

アブラハムの宗教

キリスト教ではルーテル派長老派聖公会にそうした例があり、福音派でも一部で認める声が現れ始めている。

ユダヤ教イスラム教でも同性結婚が行われるケースが存在しているが、いずれも反対の声も強い。

正教会カトリックでは同性結婚を認めていない。カトリック圏である南米では教会が異端視するサンタ・ムエルテ信仰において同性結婚が執り行われている。

仏教

戒律上では出家修行者は異性間の性行為も本来NGである。大乗仏教では男性同士で性交した人が落ちる地獄「多苦悩処」を設定している。大乗仏教国である日本においても衆道という同性間恋愛の制度はあった(割合的に、同性愛者や両性愛者ではない異性愛者のMSMが多いと思われる)が同性結婚の制度が存在したことはない。

2012年に臨済宗妙心寺派の仏教寺院「春光院」が宗教的な同性結婚式をあげると発表。日本における仏式同性結婚式としては初の例となる。

日本の仏教では浄土真宗が同性愛に肯定的な姿勢を見せており、築地本願寺では「パートナーシップ仏前奉告式」が行われている。

浄土真宗本願寺派のハワイにおける組織「ハワイ本派本願寺教団」は同性婚への支持を表明し、仏式の同性結婚も行う事を発表している。

チベット仏教ゲルク派のダライ・ラマは同性間の性交渉は戒律に反するとしながらも、法律上の同性結婚の権利が存在することは問題ないとしている。が、声明のニュアンスとしては非仏教徒の同性愛、同性婚が為される事については問題にしない、という形に近い。

日本における同性結婚

日本において同性結婚は現在のところ法的に認められていない。

日本国憲法において

  • 憲法 第二十四条
    • 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
    • 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

以上の憲法が制定された当時では「同性間の婚姻」について想定しておらず、記載内容的には「男女同権」(特に女性の権利保護)「戦前の婚姻制度が『家と家の結び付き』の側面が強かったのに対して、『結婚は結婚当事者の意志で決める事である』と云う側面を強化する」の意味合いが強い。(特に24条の原案にはその傾向がはっきりと出ている)

つまり同性婚は特に禁止はされていないが肯定もされていない。

2017年まで裁判で争われたことがないため、現代における公的な法の立場は「同性婚は想定していない」から変わらない状態が続いている。同性婚に明確に反対する自由民主党もこの立場では一致している(参考リンク)。

2018年11月14日、日本にて同性同士が結婚できないのは「法の下の平等」を定めた憲法に反するなどとして、複数の同性カップルが国に損害賠償を求め、来春にも東京など複数の地裁で一斉提訴する方針を固めた。同性婚の合憲性を正面から問う訴訟は国内で初めてとみられる。(外部リンク「毎日新聞」

そして2月14日に13組のカップルが同性婚実現に向けて国を提訴。一部で違憲判決もあった。

同性間の婚姻ができるよう、民法の一部を改正する法律案(婚姻平等法案)も立憲民主党日本共産党社民党の議員らによって提出されている。

しかし自民党は反対しており、また選挙においても非常に強い状態が続いている。

養子縁組制度

同性愛者の間では養子縁組制度が同性婚の代替的な機能を果たしているケースもある。戸籍上は親子となるが、法律上で家族と認められるため、さまざまな法的保護が受けられる。

2014年時点では法的保障はないが、公の場で結婚式をする同性カップルが増え、国内でも同性結婚の合法化を望む声が上がり始めている。

同性パートナーシップ証明

2015年3月31日東京都渋谷区にて『渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』が成立。地方自治としては初めての試みである。

この証明を11月5日に渋谷区世田谷区にて受付を開始した。

その後

2015年11月5日東京都渋谷区渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例24組
11月5日東京都世田谷区パートナーシップ宣誓制度56件(通算)
2016年4月1日三重県伊賀市パートナーシップ宣誓制度4組
6月1日兵庫県宝塚市パートナーシップ宣誓制度
7月8日沖縄県那覇市パートナーシップ証明制度
2017年6月1日北海道札幌市パートナーシップ宣誓制度政令指定都市では日本初。異性も対象

以上全国6ヶ所でパートナーシップ証明書が発行されている。

日本のパートナーシップ証明は地方自治体の試みであり法的な効力などはないが、同区内のこの条例において発行されたパートナーシップ証明を持つ同性カップルに対してアパートの入居や病院での面会を断られるケースなどに配慮し、不動産業者や病院に夫婦と同等に扱うよう自治体が求める。

もし求めに応じない場合はその事業者の名前を公表するとのこと。

2017年11月5日で運用から2年の現在、この制度を利用している戸籍上同性のカップルは全国で134組に上るという。

渋谷区での利用状況

2017年11月現在で同性カップル24組に証明書を交付。

取得者の年代は20~70代と幅広く、11組は制度開始後に区内に転入してきたという。

渋谷区では条例を根拠に証明書を発行している。

条例では区内の事業者に一切の差別を禁じ、証明書を持つカップルが不動産契約や手術の同意手続きで差別された場合、是正勧告をした上で事業者名も公表できる。

ただ、証明書発行には公正証書作成が必要なため約5万円かかる。

(他の自治体では首長権限で定めた要綱を根拠に、パートナーと宣誓したことを認める書類を発行。法的拘束力はないが費用はかからない。)

  • 2017年夏の利用実態への聞き取り調査

対象:取得者12人・取得検討中4人

実際に証明書を活用した場面パートナーが手術を受ける際に病院に提示
生命保険の受取人指定
携帯電話や航空会社のマイルなど家族向けサービスの利用
これから活用を希望する場面住宅ローンの契約
勤務先への説明
公正証書作成について時間や手間がかかる
法的知識がなく難しい

長谷部健区長は「作成のために話し合う過程が2人の関係を見つめ直すきっかけになったと評価する声も多く、費用は思ったよりハードルになっていない」と分析し、「今後は補助も検討する」と方針を示した。

同性婚への是非

台湾での裁判

2017年5月24日台湾では憲法判断をおこなう司法院大法官が、同性カップルの婚姻を認めない現行の民法を違憲とする解釈を布告した。もしこのまま法改正が行われればアジアでは初の同性結婚が可能な地域となる。

2年以内の立法を求め、立法が行われなければそのままの法律でも受付を開始するとのこと。

そこでは何故同性婚を認めるべきなのかについて、次のような理由が挙げられている。

  • 同性間で婚姻を認めたとしても、それが異性間での婚姻に影響することはない。社会秩序への悪影響もない。
  • 生殖と結婚とは関係がない。現行民法では、生殖能力がない人も結婚できる。結婚後に生殖できなくなったら離婚というわけでもない。
  • 「結婚するかどうか」や、「誰と結婚するか」を選ぶ権利は、誰もが持っているものだ。こうした自己決定権は、人格を健全に発展させ、人の尊厳を守るもので、憲法22条で保障された基本的人権の一つだ。
  • 同性間で結婚できないのは、不合理な差別である。

裁判結果についてはアメリカの裁判結果が強く影響している節が見られる。

台湾では2015年から同性の配偶者を注釈の形で住民登録に記載している等、社会的な変遷や議論が長期に渡って行われており、今回の判断もなるようにしてなったとという見方が強い。

とあるニュージーランドでのスピーチ

2013年にニュージーランドの議会で「婚姻平等法案」の最終審議と採決が行われた際に、賛成票を投じたモーリス・ウィリアムソン氏が行ったスピーチ。

非科学的で大げさな批判にユーモアを交えて反論しながら、同性婚を認めることで何が起きるのかを語った。

同性婚は賛否両論が来ており欧米では合法化されている国が多い一方、イランロシア等では同性愛は社会の退廃を招くとして批判している。

その内、ロシアは同性愛自体等は違法としていないのものの、子供に同性愛及び同性婚を肯定させる事を禁じる同性愛宣伝禁止法が存在し、カミングアウトなど表立ってやると罰せられる。

イランの方も同性愛同性婚を厳しく取り締まっており、自国のメディアで同性愛・同性婚が社会の退廃を招くとして批判しており、記事になっている。

詳細はこちらを参照。

この問題は同性愛・同性婚を厳しいロシア・イランだけでなくアメリカの一部の州、欧州などでも批判している団体も存在する。

その内、トランプは同性婚に厳しい姿勢をとっている事が有名で、フランスの大統領候補であるマリーヌ・ル・ペン氏も同性愛を肯定しつつも同性婚を否定している。

パートナーシップ制度

他国ではそれぞれの国で名称などが違うがおおよそ「結婚以外で婚姻関係相当の成人パートナーとの権利を保証する」といった内容の法律。

「結婚」と言わないことで現行法や宗教的な批判を躱しつつ人権を保証する試みである。そのせいか名称の意味合いがだいぶ事務的な関係を表していることが多い。(シビルユニオン=政治的関係、パートナーシップ=協力関係・提携、Pacte Civil de Solidarité(仏)=民事連帯契約etc)

しかし、アメリカ各州等この制度を採用した地域でも、配偶者のための扶助や退職金の受理ができなかったり、病院での家族以外面会謝絶の際にパートナーへの面会の許可が下りずわざわざ弁護士を呼ぶ羽目になる事件が発生するなどの事件が多々発生。

つまり平等な権利保証は出来ず、むしろ差別の助長となる結果になった。

そして結局同性愛者の権利の保証がこのままではできないと法的判断が下り、同性婚制度へ移行している、という国家も多い。

ただ、フランスの民事連帯契約(wiki)におけるような結婚とはまた違う独自性をはっきりと持たせることで、それはそれで有効な法律となっているものもある。こちらの場合、異性のカップルでも利用している。

同性結婚をカムアウトしている有名人の例

その他、日本を含め世界各国で同性の恋人との同居を明かしている人々が多数存在する。

別名・表記ゆれ

同性婚

外部リンク

wikipedia:同性結婚 文章を一部引用

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同性結婚の編集履歴2022/02/17 10:16:22 版