概要
地中海東岸に位置し、かつてはパレスチナと呼ばれた地域の大部分を領土とする国家。
国名は旧約聖書にもあるこの地の旧名「イスラエル」に由来する。
ユダヤ人の間で起こった「シオニズム運動」(イスラエルの地、パレスチナ地域に故郷を再建しようと考える運動)の高まりに端を発し紆余曲折の末1948年に独立宣言。
パレスチナ
現代ではパレスチナのイスラエルに属さないアラブ人の国家を一般に指すことば。イスラエルとは歴史的・宗教的に複雑な関係。東はヨルダンに接する「ヨルダン川西岸地区」と、西は地中海、南はエジプトに接する「ガザ地区」に分かれている。現在イスラエルはパレスチナを敵国認定し、攻撃を続けている。
詳しくは→パレスチナ問題
首都
イスラエル政府はエルサレムを首都と宣言しているが、パレスチナ問題から国連はもとより多くの国もエルサレムを首都と認めず、テルアビブが首都であるとしている。
イスラエル側は第二次大戦で東西に分断されていたエルサレムを統合統治してきたと主張。
ところが、パレスチナ側は東側はもともと自国領であり統治自体が国際法違反だと主張している。
イスラエルとパレスチナの衝突、宗教問題などの難しい問題が重なり合っており決着を見ない。
そのためクネセット(国会)や省庁(国防省を除く)はエルサレムにあるが、各国大使館はテルアビブに集中している。
歴史
この地域は遠い過去にはユダヤ教徒の国が存在したり、エルサレムがイスラム教の聖地の一つとされるなど様々な経緯を経て、第一次大戦の頃にはオスマン帝国の領土であった。
詳細はwikipediaや世界史・パレスチナ問題に関する多数の資料サイトに譲る。
イギリス介入
第一次世界大戦でオスマン帝国と戦っていたイギリスは、援軍として多くがオスマン帝国の支配下にあったアラブ人を味方に引き入れる。その代償として、アラビア半島からシリアに至る広い地域のアラブ人独立運動を支援することを約束する(フサイン=マクマホン協定)。一方でイギリスは主な敵国ドイツと戦うのに十分な戦力を持つ中立国アメリカを味方とする為に、当時アメリカ政治に強い影響力を発揮したユダヤ人社会にも協力を求めていた。その代償としてはパレスチナの地域へのユダヤ人居住地設立支援が約束された(バルフォア宣言)。なお、誤解されるがこの二つの約束で提示された双方の領土には重複がない。
ユダヤ人集結
こうしてイギリスは大戦に勝利してアラビアからパレスチナの地域を植民地とし、いずれはアラブ人とユダヤ人それぞれが自立する為の支援をすることになった。また、アラブ人とユダヤ人との代表者は、相互にアラブ国家(state)とユダヤ国民の家(national home)を設立する為に(暫定的とはされたが)協力を誓った(ファイサル・ワイツマン合意)。アラブ人の独立はもとより獲得した地域の多数派であった為に比較的順調に進んでいた。しかし、パレスチナにおいてユダヤ人は多数派ではなかった(明確な統計がされていたわけではないが、数万人に過ぎなかったとも)。このため、ファイサル・ワイツマン合意において中東各地からのパレスチナへのユダヤ人移住を促進する事が定められ、1930年代には数十万人のユダヤ人がパレスチナに居住することになった。さらに第二次世界大戦によって東欧からのユダヤ人も合流することになる。第一次中東戦争の後には、かつて100万人以上が居住していた中東各地におけるユダヤ人社会はほぼ消滅する。逆に彼らの流入も受けたイスラエルのユダヤ人口は急増し、1970年代には200万人を越える。
アラブとの対立
しかし、パレスチナの地で多数派として居住していたアラブ人(パレスチナ人)はそもそもこれら交渉には発言権が無かった。当時聖地メッカを支配していたヒジャーズ王フサインや後のイラク王ファイサルといったイギリスやイスラエルと交渉したハーシム家の王族は、確かにアラブ人社会では名門であった。だが、彼らがパレスチナ人の代表者と呼べるかはまた別問題である。バルフォア宣言にはパレスチナに住むアラブ人の居住権を尊重することは謳われていたが完全な履行はできず、パレスチナ人と入植したユダヤ人とはたびたび衝突することになる。そして、国家建設を進める周辺地域のアラブ人社会においても対ユダヤ人感情は次第に悪化していく。
国家成立
1922年よりパレスチナは英国委任統治領であったが、この緊迫した情勢の中に1948年にイギリスが撤退する。同年5月に事前に国連のパレスチナ分割決議によりイスラエルとアラブ人領パレスチナの領域が決まる。決議ではパレスチナの56%がイスラエル、43%がアラブ人に与えられ、双方の宗教の聖地たるエルサレムは宗教的衝突を避ける為に国連領となった。これを受けてイスラエルが独立を宣言。しかし決議成立を阻止できなかった周辺アラブ諸国は、独立を軍事力で阻止すべくイスラエルに攻め込んで第一次中東戦争が勃発する。戦闘の結果イスラエルが勝利し、分割決議でアラブ人領となった領域の多くを停戦交渉を通じて奪取した。こうして国家としてのイスラエルが成立、停戦協定で国際的に認められた国境が現代の地図で見るイスラエルの国境線である。
一方で周辺アラブ諸国はパレスチナ奪還の機会を伺うことになる。西岸地区とガザはアラブ諸国の領土となり、ヨルダンは国連統治下エルサレムを占拠して自国領に組み込んだ。その結果、懸念されていた通りエルサレムは宗教的衝突の舞台となり第二次中東戦争に繋がる。下記に挙げるようにイスラエルと周辺諸国との紛争はそれ以降も繰り返され、不法占領ではあるがイスラエルの領土はさらに広がっていく。戦略的領土的後退を強いられた周辺諸国の多くは、イスラエルとの軍事衝突をしだいに避けるようになる。だが、パレスチナ人はなおも奪われた故郷を取り戻すべく抵抗活動を続けて現在に至っている。
主な戦歴(括弧内の呼称はイスラエル側のもの)
- 第一次中東戦争(独立戦争):1948~49年イスラエルの勝利
- 第二次中東戦争(シナイ作戦):1956~57年イスラエルの軍事的勝利・エジプトの政治的勝利
- 第三次中東戦争(六日戦争):1967年イスラエルの勝利
- 第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争):1973年イスラエルの軍事的勝利・エジプトの政治的勝利
- バビロン作戦:1981年イラクの原子炉破壊に成功
- レバノン内戦介入(ガリラヤの平和作戦):1982年イスラエルの戦略的敗北
- レバノン侵攻(第二次レバノン戦争):2006年イスラエル・ヒズボラ双方が勝利宣言・停戦
- ガザ地区侵攻(キャスト・レッド作戦):2008~09年ガザ封鎖の継続
- ガザ地区侵攻(プロテクティブ・エッジ作戦):2014年停戦
国民
「ユダヤ人国家」であるが、先住のアラブ人でもイスラエル国籍所有者(アラブ系イスラエル人)は多い。また、イスラエルは建国後ヨーロッパ・アジア・アフリカから多くのユダヤ人が移民してきたためユダヤ人と一口に言ってもアシュケナジム系ユダヤ人(主にロシア・東欧世界)、スファラディム系ユダヤ人(地中海世界出身)、ミズラヒム系ユダヤ人(アジア・アフリカ出身)など多種多様であり、同じユダヤ人であってもコミュニティ間の対立なども見られる。
特に、イスラエル国籍を持つアラブ人はユダヤ人とほぼ変わらない権利をもち、国会議員に選出された人もいる。しかし、アラブ人はあらゆる場面で二級市民扱いされており、一部のアラブ人は不法入国者と見なされている。特にパレスチナ自治区に住むアラブ人の扱いは過酷で、イスラエルに入境する際はイスラエル人や外国人と比べて遥かに厳しい検査を受けねばならないなど、かつてナチスがユダヤ人を閉じ込めた「ゲットー」を彷彿とさせる強制隔離状態に置かれている。
国内の公共の場における主要な標識はヘブライ語、アラビア語、英語表記であることが多い。北部はアラブ人が多く住み、北部の中心都市ハイファでは日常的にアラビア語で書かれた新聞や張り紙を目にすることができ、アラビア語で会話しながら飲酒を楽しむアラブ人が多くいる。
軍事
イスラエルにおいては周辺アラブ諸国のほとんどが仮想敵国であり、しかも東西に狭い国土を有する。この地勢から戦争での敗北は国家の滅亡リスクに直結し、イスラエルにおける安全保障への危機感は極めて高い。こうしてイスラエルは国策において軍事の優先度が高く、自国の高い技術力を活用した国産兵器を多く開発している。秘密裏に核を保有しているという噂があり、ネタニヤフ首相がうっかり「イスラエルは核保有国である」と口を滑らせたあたり、真実であることが分かる。
数度に及ぶ戦争と勝利や独自の兵器開発からミリタリーの印象が強いのか、pixivではイスラエル関連タグは兵器・ミリタリーのイラストがほとんどとなっている。
兵役
国民皆兵制度のため男女とも兵役の義務があり、男子は36ヶ月、女子は21~24ヶ月の期間、常備軍であるイスラエル国防軍にて兵役に就く。ただし徴兵はユダヤ教徒が対象でありアラブ系国民(ドゥルーズ派・チェルケス人を除く)は志願制となっており徴兵の対象となっていない。
このため国民の成人のほとんどが予備役となり、総動員発令時には60万弱の兵力に達することになる。さらに限られた人口資源をフル活用するため、軍事組織に不向きとされていた自閉症スペクトラムの国民を画像解析部隊に組み込むなどしている。
防諜
イスラエル諜報特務庁(モサド)も知名度の高い諜報機関であり様々なフィクションのネタにもされている。イスラエルにはモサドの他イスラエル総保安庁(シャバック)、イスラエル政治調査センター(ママッド)、イスラエル警察捜査諜報局、イスラエル参謀本部諜報局(アマーン)、イスラエル空軍諜報部がありそれぞれが協力する形で情報コミュニティを形成している。
経済・産業
国としては小さいが科学水準が非常に高い。特にIT技術のレベルは高くIBMやマイクロソフト、INTELを筆頭にイスラエルに海外拠点を置く企業も多いほか、医療技術の開発も盛んで海外企業と提携しているイスラエル企業も少なくない。大学・研究所の代表としてはテクニオン工科大学やヴァイツマン研究所が挙げられ、双方とも多くの科学者・技術者を輩出している。
イスラエルの輸出額543億ドル(2013年)のうち医療関連(薬品・医療機器)36.4%(198億ドル)がトップ、次いでハイテク製品が20%(110億ドル)、天然資源が8.9%(48.4億ドル)、貴金属が8.1%(43.8億ドル)となっている。
また農業技術のレベルも高く、国土の60%が乾燥地帯であるにもかかわらず食料自給率は90%以上である。これは先述の通り農耕可能面積が少ない上に周辺諸国と常に緊張状態であることから食料生産が課題となり、その中で小さな面積・少ない降雨量でも大量の食料が生産できるよう技術開発が進んだためである。地中海気候のイスラエルの代表的農産物であるトマトの10aあたりの収穫量は日本では約6トンの一方でイスラエルは約50トンにも及ぶ。また2011年の農業総産出額を比較してみると日本の産出額約819億ドルに対しイスラエルは産出額48.8億ドルであり、農業従事者一人当たりの生産額を比較するとイスラエルのそれは日本の2倍以上である(イスラエルが7.4万ドル、日本は3.4万ドル)。
フルーツでは柑橘類の栽培が盛ん。オレンジ・タロッコ・スウィーティーが有名。
イスラエルの兵器輸出額は10.74億ドル(2014年)で世界第7位となっており、アメリカ・ヨーロッパの他にも中南米や東南アジア、インドにも輸出している。
しかし一般的に裕福と思われているユダヤ人のイメージとは程遠く、OECD加盟国では最悪の貧困率(全国民の2割に当たる約170万人が貧困状態)、そのほとんどが日々の食事すらままならない状態が続いている。そのため、毎年多くのイスラエル人がアメリカやドイツへ移住する事態となっている。
宗教・文化
エルサレムがアブラハムの宗教共通の聖地とされているためか、ユダヤ教の他各地にイスラム教、キリスト教の施設が存在する。
さらに、イスラム教系新宗教「バハーイー教」の聖地があり、これは新宗教に関連するものとしては現状唯一の世界遺産となっている。
世俗的な国家でもあり、中東では珍しく同性愛者に寛容な国、テルアビブではゲイパレードも行われる。これを「ピンク・ウォッシュ(悪印象をLGBT保護で洗い流す行為)」に過ぎないとする批判も根強い一方、「(宗教的に保守的な)パレスチナのゲイを保護しているのはイスラエルだ」という反論も当然存在する。本来企業や個人に用いられるピンク・ウォッシュという言葉が国単位で使用されるのはイスラエルが抱える問題ならではといえる。
建国の推移やパレスチナ人に対する振る舞い等によってユダヤ教的に正当でないとするユダヤ教徒も多数存在する。
例えばユダヤ教の宗派の一つ「超正統派」のグループ「ナートーレー=カルター」はメシアによって建国されたわけではない現代の国家としての「イスラエル」を正当なイスラエルと認めていない。
他にシオニズムをユダヤ教に反するものとするユダヤ教徒として、モントリオール大学教授ヤコヴ・ラブキンがいる。
超正統派ユダヤ教徒
ユダヤ教には様々な宗派があるが、超正統派ユダヤ教徒がイスラエル国民の1割ほど存在する。国内では少数派とはいえ無視できるほどの割合でもなく、その強烈な存在感のためユダヤ教のステレオタイプとなっている。
その特徴をいくつか記載する。
- 男性は髭ともみ上げを伸ばし、黒服と帽子を身に纏う。女性は男性を誘惑しないため、定められたカツラを被るか、既婚女性は頭髪を布で隠すことが一般的。
- 近代的な教育を受けたり、労働をすることには否定的。彼らにとっての仕事とは、律法に沿った生涯を全うし、その勉学に励むことにある。
- 「産めよ増やせよ」の言葉を実現するため、極めて多産。平均出生率は7で、これはイスラエルの平均出生率の倍以上になる。
- 過度な外部の情報や文明を入れることには消極的。携帯電話も、特別な設定がされたものを使用する。
その教義のため、多くの超正統派ユダヤ教徒は社会保障やカンパでどうにか生活している状況にある。加えて多産のためにイスラエルにおいて彼らの人口は急増し、政府や納税者の負担が増えていることを面白く思わないイスラエル人も多く存在する。
また、シナゴーグで密集して集会を行うことが多いためCOVID-19のパンデミック時には超正統派の居住地区で大規模クラスターが頻発する原因ともなった。
外交関係
中東情勢はイスラエルを中心として動いており、イスラエルから中東を紐解いていくと、複雑な世界情勢が見えてくる。
中東
ヨルダン川を隔て、国境ができている。1994年10月にイスラエルとの和平条約に署名し、同年11月に外交関係を樹立(イスラエルとの和平条約に署名したのは、アラブ諸国の中ではエジプトに次いで2ヶ国目)。
かつてダビデ〜ソロモン王時代はレバノン杉などの貿易が盛んであった。しかし、今やテロリストの温床となっており、ヤーセル・アラファトがここへ潜伏した際、イスラエルは侵攻を開始。インティファーダが引き起こされた。
中東戦争で何度も対立、続くインティファーダでも因縁深い国である。
イランはシオニスト政権イスラエルと呼称しており、国家承認していない。
国際大会で相手がイスラエルの場合は試合を放棄するという徹底ぶり。
更にイスラエルの入国スタンプがあると入国拒否されてしまう危険性もある。
極力内戦には関わらないようにしていたが、アサド政権の混乱に巻き込まれる形となっている。またシリアはイランやロシアと結託しているため、敵国認定。
シリアのレジスタンスはゴラン高原のシリア側を制圧し始め、イスラエルを脅かすテロリスト・ヒズボラ党との関連も警戒されている。2013年1月末、イスラエルはレバノンに向かっていたトラック車両をシリア領内にいる間に空爆するという事件が発生。イスラエル軍の基本理念は「対イスラエルに使われる武器は領土内へ持ち込まれる前に、出来るだけ遠い場所で破壊する」というもの。イスラエルはシリアへ、「化学兵器を持ち込むなら決して躊躇しない」と釘を刺した。
中東ではイスラエルとは仲が良い部類に入るが、イスラム教に基づくポピュリズム路線をとるエルドアン政権以降は難しい関係が続いている。
公式の外交関係はないが、しばしば国交正常化交渉や、様々な経済・文化の限定的交流が続いている。
独立して以来、イスラエルと国交を樹立してこなかった。1973年にイスラエルとアラブ諸国の間で第四次中東戦争が起こった際には、UAEはアラブ産油国に対してアメリカおよびイスラエル支持国への全面的な石油輸出の禁止を呼びかるなど、強硬な姿勢を取った。
1990年代以降、両国は主に安全保障や治安分野に関して水面下で接触を重ねるようになり、2020年8月13日に国交正常化。これは歴史的合意として世界中に衝撃が走った。
UAEと同じく2020年に国交正常化に同意。
欧米
アメリカはイスラエルの建国以来、中東における重要な同盟国として国連決議でもイスラエルを擁護する傾向がある。
又、アメリカの主流派であるプロテスタント右派がイスラエルの建国に関与している為、イスラエルロビーの力が大きい。
事実、ジョージ・W・ブッシュはイスラエルを使ってイラク戦争を実行させたという噂がある。
共和党にイスラエル支持者が多く、一般的に「アメリカのユダヤ系住民が強力な圧力団体になっている」とされるが、実際はユダヤ系よりもキリスト教保守の方が熱烈にイスラエルを支持している。
イスラエルとロシアの関係は、ソ連崩壊以降堅調でロシアとイスラエルの飛行機便が多く設定されており、またイスラエル国民の相当数がロシア及び旧ソ連圏出身者とその子孫である。
ただ、中東情勢では対立している面も存在しており、ロシアはシリアのアサド政権やイランを支援しているのに対し、イスラエルはサウジアラビアやエジプト、トルコ等を支援している状態である。
更に中国やイランと共にパレスチナ独立賛成派だが、アメリカやカナダとともに反対にまわることもある。
- 欧州各国
特にドイツ、イギリス、ウクライナはその傾向が強く、イギリスはイスラエルの建国に関わっている。
更にドイツではホロコーストの反省からイスラエルの最大ロビーとして存在している。
尚、イスラエルがUEFAに加盟しているのはアジアリーグだとイランやシリアなどの一部の中東の国が試合を拒否する為、移籍している事が挙げられる。
アジア
イスラエルは例年、アメリカの情報に頼っていたが、ここ最近はアメリカの衰退に伴い中国にも接近している。事実、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設メンバーとして入っている。
その為、AIIBを介して中国政府の融資をもとにシオニスト入植地を建設している。
更にイスラエルは上海協力機構に申請しようとしており、中国との接近もより一層進んでいる。
イスラエルと韓国の関係は良好。
又、イスラエルと韓国はFTAを締結しようとしており、同時にAIIBの創設メンバー国の一員でもある。
イスラエルと北朝鮮の関係は悪く、イスラエルの不法入国を取り締まっているほどである。
更にイスラエルと北朝鮮の国交はなく、北朝鮮はイスラエルの敵国であるイランを支援している。
パスポートに「Pasport ini sah digunakan untuk semua negara kecuali Israel(このパスポートはイスラエル国以外の全ての国で有効)」とまで書かれるほど険悪な関係にある。
ただし中東ではないためかイランほど入国審査は厳しくはなかったという報告もある。
日本との関係
政治・外交
一見あまり接点のない両国だが、1902年の日露戦争ではのちにイスラエル建国に大きく影響を与えるシオニストが日本軍の捕虜となったり、1918年のシベリア出兵でユダヤ陰謀論が日本に輸入されたり、1938年には文部省による留学生プロジェクトがあったりと、その歴史は古い。1948年にイスラエルが独立すると日本政府は1952年にそれを承認、1952年にイスラエル公使館、1955年にテルアビブに日本公使館が設立。(両公使館は1963年に大使館に昇格)
1972年には日本赤軍によるテルアビブ国際空港乱射事件が起き、日本政府が公式に謝罪・賠償を行っている。
日本政府はイスラエルやパレスチナ問題に深く介入しない中立的立場を取ってきたが、1973年のオイルショックによりその方針の変更を強いられることになり、1970年代からはイスラエル・パレスチナ双方に歩み寄る形での積極的中立路線へと入る。
現在もこの路線を継続しておりパレスチナへの支援を行うと同時にイスラエルとの経済提携を推進している。2014年5月にはネタニヤフ首相が来日し、2015年には安倍首相がイスラエルを訪問しているが、このときパレスチナも同時に訪問しており、パレスチナ自治政府大統領マフムード・アッバースと会談している。
2019年には、成田空港にエルアル航空による初の直通便が開通することが決定している。
外国に移住した日本人を探す番組「世界の村で発見!こんなところに日本人」にて千原ジュニアが訪れており、当初は「テレビのイメージから危険な印象がありそう」と述べていたがその後は「すごいフレンドリーでみんな優しい笑顔でめちゃくちゃ好きや」と評していた。
芸術
イスラエルでも日本のアニメやマンガは人気で2009年からは日本のコミケに相当するCAMI(Convention of Anime and Manga in Israel)と呼ばれるアニメ・マンガイベントがほぼ毎年開催されている。ちなみに2009年の第一回CAMIではファンメイドのデスノートの演劇ややおいについての解説講座、ひきこもりについての心理学講座などが開かれた。
日本では2012年に国交樹立60周年を記念してイスラエル大使館がゆるキャラのデザインを募集し、翌年に公式ゆるキャラのシャロウムちゃんを発表した。
食文化
日本における山わさび(ホースラディッシュ)はイスラエルでは苦菜(マロール)の一種に該当する。
敬虔なユダヤ教徒は律法の食料規定(カシュルート。コーシャとも)に沿った食生活を送る。
飲酒は自由だが四つ足動物は蹄が割れ反芻するもの、魚介類はヒレと鱗があるもののみが認められ、肉類と乳製品を同時に摂取してはいけない。
中東諸国の食文化をベースに、世界中から帰還したユダヤ人によってイスラエルの料理は多種多様なバリエーションに富んでいる。特に最大の都市テルアビブでは、空前の寿司ブームが起きているといわれている。
経済
先述の通りイスラエルではハイテク・医療技術の開発が盛んであり、イスラエルと提携している日本企業も少なくない。
イスラエルの対日輸出額は14.1億ドル(2013年)でそのうちの半分以上、8.1億ドルが機械類、次いで医療関連が3.8億ドル(27%)がある。日本からの輸入額は10.7億ドルで自動車などの輸送機器の4.8億ドル(45%)が最大。イスラエルの自動車市場シェアも47%(2014年)が日本製となっており、エルサレムでも多くの日本車を見ることができる。2位以下は機械類2.5億ドル(23%)、2億ドル(18.5%)となっている。
治安
イスラエルは自国民の安全を守るということに関しては非常に積極的で、膨大なコストと人員を費やしている。パレスチナとの間に設けた分離壁や空港のセキュリティのみならず、鉄道駅やバスターミナル、ショッピングモールでは荷物検査と金属探知機による身体検査が行われ、観光地を中心に重武装した兵士が常に警備をしている。
このため、国内の公共交通機関を利用するとほぼ必ず機関銃を携行した兵士と同乗するような状況になっている。
このような過剰とも言えるセキュリティ対策のため、いびつながら外国人が持つイメージよりもイスラエルは遥かに安全な国である。2009年以降はイスラエル国内において自爆テロは1件も起きていない反面、このセキュリティ関連費用により物価は非常に高い。
しかし、軍事国家ゆえに本当の意味で平和とはいいがたい社会であり、イギリスのエコノミスト紙が発表している「世界平和度指数」では、北朝鮮とほぼ肩を並べるほどに低い順位となっている。イスラエルにとって危険と判断されれば、未成年者への拷問も許可されるほどである。
渡航
多くの外国人が出入国のために使うベングリオン空港は、その歴史的経緯から非常にセキュリティが厳しいことで知られる。
利用者は旅の目的、日程はもちろんのこと滞在先、イスラエルにいる知人の有無、航空券の購入元、所持品についての事細かな質問からパッキングをした時間や場所について聞かれることも珍しくない。家族や友人同伴の場合は、話の整合性を取るために全く同じ質問を行う。このため他の空港よりも早めの時間に到着することが推奨されている。
さらに、パスポートにイラン、シリア、リビアなど中東諸国のスタンプがあると、入国審査はより厳しくなる傾向にあり入国拒否されることがある(ヨルダン、トルコは例外)。そのため、別紙にイスラエルの入国スタンプを捺印する必要があったが、近年ではスタンプは廃止して出入国時にカードを発行するようになっている。
エルアル航空では海外の就航都市でもチェックインカウンターや搭乗口で事細かな質問をし、荷物を減圧装置に入れる、機内には常に銃を携帯した私服警備員が乗り合わせており、使用機材もミサイル攻撃やハイジャックを可能な限り防ぐための特別設計となっている。
ただしパレスチナ情勢の影響で日本の外務省は渡航中止を呼びかけている。
イスラエル国籍の著名人
- ナタリー・ポートマン:3歳の時にアメリカのワシントンD.C.に移住。
- ガル・ガドット:兵役経験あり。
- ユリ・ゲラー:テルアビブ出身である。
関連キャラクター
※ユダヤ教や現地で発祥した幻獣と関連したキャラクターが多い。
- 神代凌牙(漫画版遊戯王ZEXAL)※エースモンスターの元ネタから。本人は日本人。
- 傷の男(鋼の錬金術師)⋯イシュバール人のモデル。
- ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世(ファイナルファンタジー9)
- ユウナ、ブラスカ(ファイナルファンタジー10)
ダビデ(Fate)、ソロモン(Fate)、サロメ(Fate)
ファイナルファンタジーシリーズ等で有名なバハムートもこの国で発祥した幻獣(厳密にいえば旧約聖書)
関連動画
関連タグ
政治体制・思想:極右 軍国主義 ファシズム テロリズム アパルトヘイト 差別 帝国主義 ネオコン キリスト教原理主義 イスラモフォビア カルト
空港
外部リンク
参考資料
- 月刊オリーブライフ:BFP(ブリッジス・フォー・ピース)が毎月発行しているイスラエルの雑誌。
- UAE・イスラエル国交正常化の背景NHK