キュアスカーレット
きゅあすかーれっと
今作4人目のプリンセスプリキュア。
「炎のプリンセス」とも称される。イメージカラーは赤。
キュアスカーレット専用に用意されたドレスアップキーは、変身キーが「スカーレット」、エレガントキーが「ハナビ」、ミラクルキーが「フェニックス」、プレミアムキーが「サン」となる。
攻撃アイテムとして彼女専用の『スカーレットバイオリン』を持つ。
変身バンクはプリンセスパフュームから噴射された霧が炎となって身を包み、衣装へと変化する形で、先代炎キュアのキュアエースやキュアサニーを彷彿とさせるものになっている。(変身バンクは大田和寛氏が原画を担当している。)変身後は髪の色がピンク色に変化する。
『新世代プリキュア』
彼女はホープキングダムの伝承にはないプリキュアで、建国伝説ではプリンセスプリキュアは3人という記録があったという。
しかし19話で先代プリンセスプリキュアが、闇の勢力・ディスダークを封印したあと、彼らが将来更なる力を持って復活することを悟ったことで、そのときの対策としてもうひとつプリンセスパフュームを用意していた事をはるか達へ告げた。
しかし、炎の神殿に封じられていたプリンセスパフュームは、こともあろうかディスダークのプリンセス、トワイライトに発見され、更に女王・ディスピアが産み出したブラックキーが持つ闇の力で汚されてしまう。
汚れたパフュームはトワイライトを4人目のプリンセスプリキュアではなくブラックプリンセスへと変身させ、21話ではプリンセスプリキュアと壮絶な戦いを繰り広げる。
しかしその戦いの中、カナタはこのトワイライトが幼い頃に生き別れになった自分の妹だということに気づいた。その妹であるトワは幼い頃に魔女ディスピアに誘拐された上に記憶を改竄され、魔女の娘になりきっていた。
カナタは、妹の記憶を取り戻すべくかつて妹と共に演奏していたバイオリンの曲を奏でる。その音色に心の奥底の記憶を蘇らせ、苦しみだすトワイライト。その隙にプリキュアたちはトワイライトに浄化必殺技を浴びせかけ、彼女の記憶を完全に取り戻させた。
しかし、虚偽の記憶だったとはいえ自らの罪によって生きる気力を失っていたトワは、以後は自分の心の殻に閉じこもるばかりだった。
その絶望を利用しようと再びディスピアが近づき、絶望を煽る魔女の囁きに一度は心が折れそうになるも、キュアフローラの言葉から兄の言葉を思い出し、絶望を辞め、夢に向かって再度邁進する覚悟を決める。
このとき、ブラックプリンセスへの変身に使われていたブラックキーが、トワの夢の強さに呼応して本来の姿・・・「4人目のプリンセスプリキュア」への変身アイテムであるドレスアップキーとしての姿を取り戻す。同時に黒くなったパフュームも元の輝きを取り戻し、トワ姫は正式に「4人目のプリキュア」として選ばれた。
こうして、天・地・海に不可欠な『太陽』を司る『新世代プリキュア』として、闇を祓い希望を照らす炎・キュアスカーレットが爆誕した。
憧れの『グランプリンセス』へ
トワは、ホープキングダムで王女として暮らしていたときから『グランプリンセスになりたい』という夢を持っていた。
しかし、グランプリンセスはプリキュアに選ばれないとなることはできない。プリキュアは王国に究極の危機が訪れないと選抜されない伝説の戦士なので、トワがいくら努力してもそれだけでプリキュアになることはできない。トワはプリキュアでなくったってグランプリンセスのような素晴らしいプリンセスになることはできると信じていたが、やはり心の奥に諦めの気持ちもあった。
ディスピアはそんな幼い頃のトワの心に語りかけ「自分ならばお前をグランプリンセスにしてあげることができる」と誘惑することで、トワを自分が潜む「絶望の森」におびき寄せた。
トワ姫としての記憶を取り戻したばかりのころの彼女は、自分がディスピアの魔の手に堕ちたきっかけがプリキュアでないにも拘らずグランプリンセスになりたいという分不相応な夢をもっていた事からであり、自らが夢を持つこと自体が赦されない罪ではないかと不安にかられていた。ロックとの戦いではその負い目を指摘され動揺からピンチに陥ってしまう。
しかし、永遠に許されない罪を背負ってでも、グランプリンセスになりたいという夢だけは命がけで貫くと決意したとき、その夢の強さによってプリンセスパフュームとドレスアップキーはトワをプリキュアに選んだのである。グランプリンセスへの資格を(思わない形で)得ることができたのだ。
そう。トワイライトの時にプリンセスパフュームを見つけたのも、偶然ではなかったのである。
きっと彼女ならば、同じ夢を持つはるか・みなみ・きららと共にグランプリンセスになれるであろう。
ピンク髪で髪型はポニーテールから途中で4本に枝分かれした縦巻きテールを持つ髪型である。
目はタレ目で、トワイライトの時とは違うタイプでありながら目下のラインの目尻側にうっすらピンクのアイシャドーが入っている。
但し色が殆ど肌色に近く、意識しないと気付かないレベルに薄いのがポイントで、ファンアートでは省略されてしまうこともある。
また、外見上の特徴として見逃せない要素が史上初となるとんがり耳。これまでの『プリキュア』シリーズに登場した異世界出身の戦士たちには、いずれも地球側戦士との明確な差異は無かっただけにその独自性が際立っている。
コスチュームはサリー状の巻き布が強い存在感を放っている。また、上半身を除けばほぼほぼ左右非対称なデザインであり、スカートや巻き布のバランスが異なる。
変則的なデザインではあるが、プリキュアとしては初めてハイヒールを着用している。
全体的にかなりオリエンタルな雰囲気があり、ホープキングダムの王族としての衣装とも方向性が丸っきり異なる。
和風の着物を現代的にアレンジしたようにも見えるが、中国の美姫のようにも見え、はたまたインドやペルシャの民話に出てくるタイプのお姫様のイメージもあり、オリエンタルとはいえかなり多国籍風である。
このコスチュームは鳥をモチーフにした見た目にもなっており、各種の技などから推察するに火の鳥をイメージしている事が覗える。
初登場では相手の攻撃を受け流すような肉弾戦、炎を使った攻撃を披露している。炎は風と合わせて灼熱の風を生み出し、竜巻のように変形させることも可能。初戦闘で幹部以上の敵と互角以上に戦ったのはミルキィローズ、キュアムーンライト以来で高い戦闘力を見せたが、強化されたロックとクローズが登場すると必殺技が通じず苦戦を強いられるようになった。特に復活したクローズには自慢の炎の技が通用せず「ぬるい」と切り捨てられる屈辱を味わっている。
トワイライト時代に見せた高貴な立ち振る舞いを意識した、非常にエレガントな戦闘方法であるが、基本的に相手の攻撃を受け流してからの反撃が得意で自ら攻撃を仕掛けるような状況では返り討ちにされることが多い。
プリキュア・フェニックスブレイズ
羽ばたけ! 炎の翼!
モードエレガントにエクスチェンジし、フェニックスキーをセットしたスカーレットバイオリンを奏でることで巨大な火の鳥を召喚。相手に向かって突撃させて攻撃する浄化技。
攻撃を受けた相手は炎に包まれた後、スカーレットの頭上で打ち上げ花火のように弾け飛ぶ。
プリキュア・スカーレットイリュージョン
燃えよ、炎よ!
ハナビキーをセットしたスカーレットバイオリンを奏でて、自らの周囲に召喚した火花を炎のシールドに変換させて張り巡らせるバリア技。
スカーレットスパークと同じくハナビキーを使用する。
- モードエレガント(キュアスカーレット)
通常フォームのコスチュームに装飾を加えてロングドレスとしたサブフォーム。浄化効果のある決め技使用時に、ミラクルフェニックスドレスアップキーを使用しこの形態に変身する。
キュアスカーレットは初登場時からこのモードにフォームチェンジ可能。
スカーレットのドレスは、バスト下にスカートの切り替えしがある「エンパイアライン」のデザイン。この状態では下半身がシンメトリーになる。
他のプリキュアはモードエレガントは一種類ではなく細部のデザインが違うサブタイプがあるのだが、スカーレットのみフェニックスタイプしか登場していない。これは彼女が追加戦士であるがゆえに複数種類のタイプを描くような話数の余裕がなかったからと思われる。
ただし、秋映画の劇場版限定フォームとしてのハロウインタイプのモードエレガントにはスカーレットも変身している。
なお、モードエレガントに対して通常の形態のことを設定上では「モードプリティ」と呼ぶ。
- ドレスアッププレミアム(キュアスカーレット)
第30話より登場するパワーアップフォーム。広義としてはモードエレガントのサブタイプと言えるのだが変身後のデザインが明らかに異なるため、それまでのモードエレガントとは別種のフォームとして扱われている。
- ドレスアップロイヤル(キュアスカーレット)
第37話より登場する二番目のパワーアップフォーム。ドレスアッププレミアムのマイナーパワーアップ版であり、背中にレース編み状の羽根が生える以外はデザイン的な変化はない。
- グランプリンセス(キュアスカーレット)
第49話より登場する最終フォーム。ドレスアッププレミアムをベースにさらに豪華にしたデザイン。ドレスは黄金に輝き、手には鍵の形をした王笏、背中にはマント、頭のティアラは王冠のごとき装飾となり、さらにレース編み状の魔法陣が頭上に光輪として回転しているのが特徴。
スカーレットは、「高貴であること」と「罪悪」を暗示する色であり、英単語としてのscarletにも、古風な用法ではあるが、「罪深い」・「極悪の」・「道徳的にふしだらな」といった意味がある。(※)
キュアスカーレットは「自らが犯した罪は決して消えることはない。ならば、その罪を抱いたままグランプリンセスを目指す」という決意によって覚醒したプリキュアである。プリキュアに選ばれたことで罪が赦されるなどとは決して考えていない。自らを罪人と規定している彼女の覚悟に相応しい名前であると言えよう。
(※)参考:小西友七・南出康世(編)『ジーニアス英和大辞典』(2001年、大修館書店)、1924頁
Oxford English Dictionary,Oxford University Press,2nd ed. Oxford,1989 vol.14 pp.592-594
モチーフ
公式では「各プリキュアには、特定の物語のプリンセスをモデルにしているわけではない」と明言されてはいるものの、フローラ・マーメイド・トゥインクルの三人はおおまかなイメージソースがあるのではないかと想像されてはいる。詳細はそれぞれのリンクを参照。
スカーレットに関してもそういう元ネタを推測する声が大きいお友達の間であるが、予想は割れがち。
だが傾向としては、主要イメージである「炎」の要素はもちろん、コスチュームとフェニックス(鳳凰)の姿が東洋風であることから、東洋のプリンセスを挙げる説が多い。
和服テイストのコスチュームからの予想。…ただし、前々作にて、かぐや姫のような経緯で人間界に来た赤キュア先輩もいるし、制作会社が同じアニメにおいて、すでにかの国民的ヒロインのモチーフに使われおり、新作展開中のこの時期に内輪で被せてくる事は考えにくい、というのが現実。月のイメージもトゥインクルの「ルナ」と被っている。
灰かぶり姫(シンデレラ)
火の属性からの連想と思われるが、主人公本人はむしろアニメ・実写映画両ヴァージョン共に「青」の印象が強いヒロインである為、説得力としては弱い。
ディスピアのモチーフがマレフィセントっぽいことからの連想。糸車で指を刺し呪いに掛かったことから、血=「赤」のイメージはあるものの「炎」の要素が見つからず説としてはこれも決定力に欠ける。
実はいばら姫モチーフならばとある作品で同じ声優でピンク髪でとんがり耳なキャラが存在していたのだが…。
「千一日物語」やオペラで知られるプリンセスだが、東洋のイメージ(舞台は北京)に加えて登場時点では悪役という立ち位置の近さがある。また、「氷」に例えられる悪役時のトゥーランドットが「王子の愛の炎」によって心を入れ替えるという結末なので、青い炎のトワイライトから赤い炎のスカーレットへの変化もイメージさせる。戦闘中に原典宜しくクイズを出す演出が出てくるようなら信憑性は一気に高まるかも?(ちなみにトゥーランドットの謎かけの中には「赤く、炎の如く熱いが、火ではないものは?」「氷の如くに冷たいが、周囲を焼き焦がすものは?」という問題もある)
「東洋風」&「炎」のヒロイン、という事で条件はそれなりに満たしていそうだが、能・歌舞伎の演目としての『道成寺』での印象が強烈であるゆえ「こんなヤンデレは嫌だ」の声が殺到するのは必至であろう…(実は後日談の方でその意外な正体が明かされるのだが)。
初瀬姫(鉢かづき)
コスチュームの和服的なテイストからの予想。かの有名な童話集・御伽草子に収録されながらも、何故か物語本体の知名度は大阪府寝屋川市周辺位でしか高くなく、キャラクター単体ではむしろあちらの方で有名、という状態。高い教養と美貌と湯殿番(湯を焚く=火を使う仕事)等の要素が通じるものの、攫われたどころか生家から追い出されたという背景故にこれまた当てはめ辛い。
関連リンク:鉢かづき姫の物語@寝屋川市
また、特定のキャラクターのモデルという視点から離れて考えてみた場合、コスチュームに「火の鳥」のイメージがあることから、ストラヴィンスキーのバレエ組曲『火の鳥』の世界観そのものを擬人化したようなところがあるのかもしれない。
(このバレエ劇は王子役と王女役の男女ペアがストーリー上の主役なものの、舞台上の舞踏において一番重きを置かれる演者は火の鳥に扮するバレリーナである。その存在感は圧倒的で、この点で「白鳥の湖」のような男女のペアが普通に目立つ伝統的なバレエとは大きく異なることで知られている)
- キュアスカーレットが初登場するのは22話だが、21話放映終了後にはすでに東映アニメーションの本作の公式サイトでは「“スカーレットバイオリン”を武器に、炎の力で敵を一網打尽にする謎のプリキュア」という一文のみでキュアスカーレットが紹介されていた。
- ちなみに22話以降は文章は詳細なものに差し替えられたかわりに、こんな物騒な表現ではなくなってしまった。
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