わざ(ポケモン)
わざ
概要
ポケモンが習得する特別な力で、「にどげり」や「かわらわり」のように武術のようなものから、「みずでっぽう」や「グラスフィールド」のように自然のエネルギーを使ったもの、「サイコキネシス」や「シャドーボール」のように魔術や呪術じみたものまで様々である。
戦闘中、覚えている技を選択して命令することで使わせることができる。ポケモンは自身が持つ「すばやさ」のステータスに応じて、順番に行動する。
ポケモンが習得して使えるわざは4つまでであり、この「習得するわざ」と「使うタイミング」がポケモンバトルの流れを大きく変える。
わざを使うと、そのわざに応じたちょっとした映像(エフェクト)が流れ、戦闘を盛り上げる。
ゲーム版では「せってい」からこのエフェクトの有無を切り替えられる。
また、ゲーム版とアニメ版ではエフェクトが異なるわざも多い。
わざのバリエーションについては『ポケモン技一覧』を参照。
How to わざ
わざを使う時に大事なことを解説。
タイプ
ポケモンは、第七世代現在18種類あるタイプのうち、2つまでのタイプを保有している。
同様に、わざにもそれぞれ「ほのお」や「みず」などのタイプが1つ設定されている。
タイプには相性があり、相手のポケモンが持つタイプに有効な攻撃「わざ」を使えばこうかばつぐんとなりダメージが増え、反対に相性が良くないわざではこうかはいまひとつとなりダメージを軽減されてしまう。
相手のポケモンやチームをよく見て効きやすい技を選び、技を受ける側はそれを予測して反撃するかあるいは相性の良いポケモンに交代する、というのがバトルの基本的な戦略となる。
ポケモンのタイプ間の相性については「ポケモンのタイプ一覧」や各タイプの個別記事を参照。
※なお、アニメポケモンではタイプ相性に関わらず状況に応じてダメージが増減するという描写が稀によくある。たまに無効タイプも貫通する。……細かいことは気にしたらダメだ。
攻撃わざ
攻撃わざには威力と命中率、物理攻撃か特殊攻撃かという概念が設定されている。
- いりょく(威力)
そのわざ単体の威力。威力が高ければ与えるダメージが増える。
10~250まであり、基本的に威力が高い技ほど命中しにくい・反動があるなどデメリットが大きい。
ポケモン自身が持つタイプと、使うわざのタイプが一致していれば威力が1.5倍になる。
弱点を突けば威力は更に2倍となり、相手のタイプ両方に抜群を取れば威力は4倍まで膨れ上がる。
(くさ→みずは2倍、ほのお→くさ/むしは4倍など)
逆に苦手タイプに使っても威力は半減してしまい、二重に半減されれば威力は1/4まで落ちる。
(くさ→ほのおは1/2、ほのお→みず/ドラゴンは1/4など)
相性によっては完全に無効化されることもある。
(かくとう→ゴースト、でんき→じめんなど)
- めいちゅうりつ(命中率)
そのわざが当たる確率。命中率が高いほど当たりやすくなる。
一部必ず当たる技も存在し、その場合命中率は「-」と表記される。
特に追加効果や反動のないわざの場合、威力の低いわざは当たりやすいものが多く、威力の高いわざは当たりにくいものが多い。
例えば、威力90のかえんほうしゃは命中率が100だが、威力110のだいもんじだと85まで下がる。
タイプによっても多少傾向が存在し、同じ威力110でもほのおタイプのだいもんじは命中85、みずタイプのハイドロポンプは命中80、でんきタイプのかみなりは命中70である。
みずタイプのわざは半減できるタイプが少なく、かみなりは場の状態が「雨」だと必中に変わるという効果があるため、調整されているものと思われる。
ポケモン側にも「めいちゅうりつ」「かいひりつ」というランクが存在し、素の状態だとわざの命中率がそのまま当たる確率になる。
何らかの手段で命中率を上げるとわざが当たりやすくなり、強力なわざでも外す心配が軽減される。
反対に回避率を上げると、わざに当たりにくくなり、命中100の技でも運次第で避けるようになる。
例外として、必中効果のあるわざや一撃必殺わざはこれらのランク変化の影響を受けない。
- ぶつり・とくしゅ
文字通り物理的な攻撃か特殊なエネルギーを用いた攻撃かを指す。
ポケモンはこうげき・ぼうぎょ・とくこう・とくぼうというステータスを持ち、
物理わざはこうげきが高いポケモンが使うとより威力が発揮され、ぼうぎょが高いポケモンが受けるとダメージが小さくなる。
同様に、特殊わざはとくこうが高いポケモンが使うとより威力が発揮され、とくぼうが高いポケモンが受けるとダメージが小さくなる。
第3世代以前はタイプごとに物理か特殊か分かれていたが、第4世代以降はわざごとにそれぞれ設定されるようになった。
(ほのおタイプならほのおのパンチやほのおのキバは物理、ひのこやかえんほうしゃは特殊といった感じになっている。)
- 追加効果
一部のわざには追加効果が設定されている。
すばやさに関わらず先制で攻撃できるもの、威力は低いが何度か連続で当たるもの、当てるだけで能力を下げられるものなど有利になるものもあれば、溜めが必要なもの、使うと自分の能力が下がってしまうもの、外すと自分がダメージを受けるもの、果ては当たる当たらないにかかわらず使えば自分が倒れてしまうなどの重大なリスクを持つものもある。
傾向として、がんせきふうじやニトロチャージなど低威力なわざほどプラスの追加効果を持つものが多く、はかいこうせんやオーバーヒートなどの高威力なわざになるほどマイナスの追加効果を持つものが多くなる。
変化わざ
威力はないが、バトルを有利に進める状況を作り出すためのわざ。
- 強化・サポート・状態異常
戦略を豊かにする技の数々。
大別してステータスを強化するわざ・場に有利な状況をもたらすわざ・状態異常を与えるわざの三種が存在する。
・強化
ステータスを強化する「つるぎのまい」や「りゅうのまい」などは俗に積みわざと呼ばれ、そのポケモンが得意とする戦法をより確実なものとするため使われる。
攻撃力が高いポケモンにつるぎのまいを使わせて本来突破不可能なポケモンを強引に倒したり、耐久力のあるポケモンにコスモパワーを使わせて難攻不落の要塞にしたりと、用途は様々。
反対に、「あまえる」のように相手のステータスを下げて隙を作るわざも多く存在する。
特に、強力な積みわざを覚える高火力ポケモンは積みアタッカーと称されることがある。
・サポート
相手の行動を制限する「アンコール」「ちょうはつ」「かなしばり」や、道具を操作する「すりかえ」「さしおさえ」など、有利な状況を作り出すために使われる技。
確実に一度だけ攻撃を防ぐことができる「まもる」や、「いやしのすず」や「じこさいせい」のように、自分や味方の状態異常や体力(HP)を回復するわざなどもある。
他にも、場の天候を変化させる天候わざや、特定のタイプを強化・弱体化させるフィールドわざ、場の素早さ関係が逆転する「トリックルーム」など、組み合わせ次第で数限りない戦法を生み出すことができる。
いずれも攻撃わざに負けず劣らず影響力が強く、ポケモン自身のステータスにあまり影響を受けないことから、素のステータスが低くてもサポートわざの習得に長けているという理由でバトルに採用されるポケモンが一定数存在する。
場にポケモンが多くなるダブルバトル以上での影響力は計り知れず、実際にマイナーとされていたポケモンが公式大会で大活躍を見せた例も存在する。
・状態異常
ポケモンは「じょうたいいじょう(状態異常)」「じょうたいへんか(状態変化)」という症状になる場合がある。
徐々にダメージを蓄積させる「もうどく」状態や数ターン行動不能にする「ねむり」など様々あり、「どくどく」や「さいみんじゅつ」などのわざによってこれらの状態異常にすることが出来る。
(一部攻撃わざの追加効果で状態異常を与えるものもある)
ゴーストタイプの多くが覚える「おにび」は相手をやけど状態にして攻撃力を減退させ、
習得者の多い「でんじは」は相手をまひ状態にして素早さを半減させるなど、
自分でこれらを治す手段がないポケモンにとっては一発で機能停止に追い込まれるような状況も珍しくない。
ほのおタイプはやけどに、でんきタイプはまひに、どくとはがねタイプはどくやもうどくに、こおりタイプはこおり状態にならないため、使ってきそうな相手が現れたらこれらのポケモンを繰り出すことで対策できる。
また、「しびれごな」「キノコのほうし」などの粉わざに分類されるわざはくさタイプが無効化してくれる。
例外的に、でんじははタイプ相性の影響を受けるわざであるため、じめんタイプに無効化される性質がある。
(「へびにらみ」など他のわざであればちゃんとまひになる)
状態異常を重ね掛けされることはないが、こんらんやひるみ、やどりぎのタネといった状態変化には二重三重にかかるので、注意が必要である。
※状態異常の詳細についてはこちらを参照。
Zワザ
第七世代から登場した概念。
Zクリスタルと呼ばれるアイテムをポケモンに持たせることで、戦闘中一度だけ、トレーナーとポケモンの力を最大限使って解き放つゼンリョクのワザ。
攻撃わざであれば威力を飛躍的に高めた上で必中にして放ち、変化わざであれば本来の効果に更なる追加効果を上乗せして使うことができる。
元になったわざによって、威力や追加効果は様々に変わる。
突破困難な相手を強引に倒してしまえることから、番狂わせとして忍ばせておくとバトルで絶大な効果を発揮する。
まもるやみきりを貫通する(ダメージは減る)効果のオマケつき。
ただしタイプやとくせいによって無効化はされる。
詳しくはZワザの記事へ。
とくせい
第3世代(RSE・FRLG)から登場した概念で、すべてのポケモンが種族ごとに2~3種の「とくせい」の中から1つを持っている。
その多くが、わざの使用感やタイプ相性に影響を及ぼすものであり、中にはわざそのものの効果を自動で発動するものさえ存在する。
とくせいの詳細は該当記事を参照。
- タイプ相性に影響するもの
「ふゆう」に代表されるのが、タイプ耐性を得る特性。
特性ふゆうのポケモンは文字通り浮遊しており、じめんタイプの技を無効化する。
「ちくでん」「そうしょく」「もらいび」のように、無効化したうえで回復したりステータスやわざ威力が上がったりするものもあり、
更には「よびみず」「ひらいしん」のようにフィールド全体からそのタイプの技を呼び寄せて吸収してしまうものまである。
「あついしぼう」「すいほう」「たいねつ」などは無効化こそできないが、2タイプ半減できたり他の効果が付属していたりする。
この相性は攻撃わざへの影響にとどまらず、もらいびならおにび、ちくでんならでんじは、そうしょくならやどりぎのタネなども無効化できてしまうため、これらの特性を持つポケモンには補助技を使うときにも気を配らなければならない。
- 接触技に反応するもの
攻撃わざには接触・非接触という分類がある。公式には「直接攻撃」と呼称される。
おおかたイメージ通りに、つるのムチは接触、はっぱカッターは非接触といった具合で、接触わざはその多くが物理技に偏っている。
例えば、特性「さめはだ」のポケモンに接触わざを仕掛けると、こちらも最大HPの1/8を削られてしまう。
同様に、「ほのおのからだ」「せいでんき」「ほうし」などのポケモンに対して接触すると、確率で状態異常を付与されてしまう。
このように接触するわざは相手の特性に影響されやすい面があるため、リスクを覚悟で攻撃するかは慎重に判断しなければならない。
可能であれば、非接触のわざを中心に使うポケモンをチームに組み込んでおきたい。
- わざと同じ効果を持つもの
「いかく」に代表される、場に出た瞬間に効果が発生する特性。
いかくは繰り出したその場で相手の攻撃力を下げる(ダブルなら二体とも!)効果を持つため、実質ターン消費なしで「なきごえ」一回を使えるのに等しく、強い特性として名を馳せるもののひとつである。
他に「すなおこし」や「サイコメイカー」など、場に出るだけで天候を変えたりフィールドを発生させたりする特性も存在し、これらも「すなあらし」や「サイコフィールド」をターン消費なしで、しかも技として覚えさせていなくても使えるという大きなアドバンテージを持つため、非常に人気が高い。
特別なわざ
アルセウスの「さばきのつぶて」のように持たせるどうぐなどの条件によってタイプが変わる、といった通常とは一線を画する追加効果を持つわざもある。
相手の技をコピーして永続的に覚えてしまう「スケッチ」や、目の前の相手と同じ姿・タイプ・ステータスに化ける「へんしん」のように、特定または一部の種族しか覚えないわざも存在する。
賞金を増やす「ハッピータイム」のように配布されたポケモン以外覚える手段がないわざもある。
番外編(コンテストアピール)
コンテストでは通常のバトルと異なり、元のタイプとは無関係にかっこよさ・うつくしさ・かわいさ・かしこさ・たくましさの5つにわざが分けられている。
それぞれコンテストのテーマに沿っていればウケがよく、隣り合うテーマだと程々に評価され、テーマから離れているとブーイングを受け減点されてしまう。
わざの習得法
レベルアップで習得する
ポケモンは種族ごとにレベルアップで覚えるわざが決まっており、多くのポケモンは自分のタイプに準じたわざを中心に習得していく。
高レベルになるほど強力なわざを覚える傾向があり、レベルによる進化があるポケモンは進化前のまま育てたほうがわざの習得を早められる場合が多い。
ワカシャモの「にどげり」のように進化しないと覚えないわざや、中にはナックラーのじしんのように進化前でないとレベル習得できないわざもある。
石で進化するポケモンのほとんどは進化した後に覚えられるレベルわざが大きく減ってしまうので、必要なわざを習得させてからタイミングを見計らって進化させる必要がある。
わざマシン・ひでんマシン
『わざマシン』『ひでんマシン』という道具を使うことでもわざを覚えることが出来る。
レベルアップでは覚えられない高威力のわざやサブウエポンを充実させるのに非常に重宝する。
ジュカインの「エナジーボール」、レックウザの「れいとうビーム」や、みんな大好き「めざめるパワー」などがその一例である。
わざマシンとひでんマシンのバリエーションについては『わざマシン一覧』を参照。
わざマシン
わざを覚えるための「どうぐ」。
お店で売っていたりジム戦の報酬としてもらえたりダンジョンに落ちていたりと様々。
第4世代までは「1回きりの使い捨て」だったが、第5世代以降では全て何度でも使えるようになっている。
ひでんマシン
バトルの時だけでなくフィールド上でも使用できる特別なわざを覚えることが出来るどうぐ。
ほとんどの世代でシナリオの進行に必須。
第4世代までと第6世代は、特定のジムバッジを獲得しないとフィールドでは使用できない。
第5世代では、バッジを手に入れなくても全ての秘伝マシンがフィールドでいつでも使用できる。
わざマシンと違い、同じ世代でも番号と中身に微妙な差があることも。
初代からずっと何度でも使え、「なみのり」などはバトルでも強力なのでお世話になる人も多かったはず。
なお、第七世代ではライドポケモンの登場により、わざマシンに格下げとなった。
都合上ひでんマシンで覚えたわざは他のわざを覚えるために上書きすることができず、わざ忘れを専門とするNPCに頼んで強制的に忘れさせてもらう必要がある(後述)。
わざ忘れ
ポケモンの覚えているわざの数が上限である4つになっている時、新しくわざを覚えるには今まで覚えていたわざの中から一つを忘れさせないといけない。
この時、ひでんマシンで覚えさせたわざは上書きの対象に選べない。
「わざわすれオヤジ」のところに行けば、ひでんわざであってもちゃんと忘れさせることができる。
まとめ
わざを使う姿はポケモンが一番輝く瞬間。
ポケモンごとに覚えられるわざには大きな差があり、能力値は高いがろくなわざを覚えられない者や、能力値はいまひとつだが習得技に恵まれている者など、キャラクターとしての個性を光らせる要素の一つとなっている。
豊富なわざの選択肢から読めない戦法を考え出すもよし、ストレートに強力なわざで固めて真っ向勝負するもよし、ポケモン勝負に幅を持たせてくれる4つのわざをいかに使うかは、トレーナーの腕の見せ所であると言えよう。