女王の受難
じょおうのじゅなん
1991年に発売されたゲームボーイ専用カートリッジ。英題は『SUFFERING OF THE QUEEN』。
1987年と1988年に発売されたFC版『Wizardry』のⅠとⅡはいわゆる洋ゲーの移植版であり、それぞれが本家のシナリオ#1とシナリオ#3を原作としている、
これらは本家Sir-Tech社からも好意的な評価を受け、シナリオ#2を大幅にアレンジした事実上の新作を『WizardryⅢ』として発売する許可が得られ、これがまた良アレンジであったことから、完全新作のストーリーに『Wizardry』の名を冠した本家公認の外伝シリーズがスタートした。
その第一作が『Wizardry外伝Ⅰ 女王の受難』である。
モンスター及びキャラクターのデザインは池上明子(池上紗京)が担当。
シリーズ常連のモンスター(後述のディンクを含む)は末弥純のデザインを踏襲しつつ、新規に描き起こしている。
後に版権要素を変更し、ガラケーアプリ『Nether Domain #2』としてリメイクされている。
外伝Iは正伝に対するサイドストーリーとしての性質が強調されており、ゲームシステムはシナリオ#5をベースとして、ダンジョンはFC版Ⅲの「ダバルプスの呪い穴」を改装したものになっている。
ウィザードリィ外伝シリーズに関しては当該記事を参照。
舞台はシナリオ#5"Heart of the Maelstrom"から数十年後のリルガミン(媒体によって解釈にバラつきがある)。
新女王アイラス即位の祝祭は、季節外れの暴風雨によって中止となり、数日にわたって吹き荒れた嵐が止んだ頃にはアイラスの双子の姉・ソークスが消息を絶っていた。
その後約一年間、あらゆる天変地異がリルガミンを襲い、王都を守護する神器「ニルダの杖」の輝きも失われた。
さらには賢者タイロッサムが、至宝「リルガミンの宝珠」を持ち出し、旧王宮跡地である「ダバルプスの呪い穴」に籠りモンスターを召喚し始める。
そしてリルガミン城下と近隣の町村に、女王アイラスの御触書を記した高札が立てられた。
「旧王宮の地下に身を潜め、王国に害を為す、不届きなる反逆者タイロッサムを討伐せし者には、名誉と褒美を授ける。」
『Wizardry』シリーズの伝統に従い、プレイヤーが操作する冒険者の人格や背景に関する設定は何もない。
よって物語の「登場人物」とはNPC及び固定出現モンスターを指す。
女王アイラス
作品タイトル『女王の受難』の通り、即位直後から気の休まる暇もない苦労人。
冒険者が謁見できるのは「リルガミンの宝珠」を持ち帰った後。
賢者たち
古くからリルガミンの王家に仕え、政務を司る重臣たち。タイロッサムもこのうちの一人だった。
本作ではB2某所に固定出現。ゲーム開始直後に直行できる場所ではなく、能力的にもそこそこ強いので、初心者向けサンドバッグとは言い難い部分もある。
B3地下神殿の祭壇に陣取る僧侶。グラフィックはB6のランダム遭遇モンスターの一種プリレート(prelate)と同一。
謎の尼僧
「銀の鍵」を渡すとともに、タイロッサムから女王アイラスへの伝言を告げ、いずこかへ去っていく。
ちいさなとしおいたおとこ
迷宮内を徘徊する謎めいた男。宝箱の職人らしい。
その容姿はシナリオ#2に出現するモンスター・ディンク(Dink)にそっくり。
FC版Ⅲでも、よく似た男が鍵系のアイテムを交換してくれる。同一人物だとすると、老人の姿のままで百と数十年を過ごしている計算になるのだが…
B5の泉(地底湖)に固定出現する人魚。見た目は嫋やかだがかなりの難敵で、地の利を生かして泳ぎ回り強力な呪文を操る。
タイロッサム
リルガミン王家に仕える重臣の一人で宮廷魔術師であり、ソークス・アイラス姉妹の守り役で師でもある。
B6某所にて待ち受けるこの老人を倒し、「リルガミンの宝珠」を持ち帰るのが冒険者たち(プレイヤー)の目的。
タイロッサムが召喚し使役している伝説の妖魔。
「リルガミンの宝珠」を持ち帰り、女王から階級章を授かった勇者が再び同じ場所に来ると、フラックが出現し襲い掛かってくる。
伝説の妖魔を相手に、死後も継続する召喚契約を結ぶとは、さすがはタイロッサムというべきか。
以下ネタバレ注意!
全六階層からなる「ダバルプスの呪い穴」の最深層にタイロッサムはいるのだが、タイロッサムを倒しその奥に進むと、通常のワープゾーンとは異なる「空間の裂け目」を発見できる。
その向こう側には、現世と並行に存在する異次元世界に構築された、「ダバルプスの呪い穴」と同規模の迷宮が広がっており…
ミーミアー
異次元迷宮B3である条件を満たすと、その場所に「知恵の泉」が出現し、冒険者が泉に入ると出現するのが、北欧神話の水の巨人ミーミルことミーミアー(Mímir)。
本作にはランダム遭遇モンスターや入手可能な武具に、北欧神話由来のものが複数確認できる。
よく知られていることなので今更だが、一応リンク先ネタバレ注意。
本作では隠しボスの類は登場しないので、シナリオ上は彼女が最後の敵である。
地獄の王たち
異次元迷宮の最深層であるB6にはシナリオに関わるイベントが存在せず、このフロアの攻略は必須ではない。
ただしここにしか出現しない強力なモンスターがおり、戦利品も相応のものが期待できる。
モンスターリスト
モンスター(Wizardry)も参照。
シリーズ全体を見ても外伝Ⅰにしか登場せず、元ネタも不明なモンスターが少なくない。
リープスライム オーク コボルド アンデッドコボルド ノーコーン
ブリンクドック スラストビートル オイハギ マジシャン ペティプリースト
ジャックオーランタン マーミドン プラージフロッグ ジグラル ロッティングコープス
ワーキャット ファイアービートル スケルトンソルジャー シーフ オチムシャ
クレリック ビショップ ソーサラー コカトリス エクスキューショナー
スライホビット バグベアー ワースネーク コディアックベアー ソーサリス
ダークプリースト ダークビショップ デュラハン マーフィーズゴースト カナバル
ハイウィザード マスターシーフ キメラ ストライクエイプ マウモリスク
マッドゴーレム おくじょちゅう ハタモト マスターニンジャ プリレート
ハイプリーステス アークウィザード ハイソーサリス アークビショップ トモエ
ウイングデーモン エルマナヤン バンパイア ソウルトラッパー フォールンエンジェル
ライトニングボール ワイヤードナイト ファイアージャイアント フロストジャイアント スプリガン
ゼブラジャイアント タイタン ベナムクロゥラー ヘプタバレント ボールビートル
ガルトズル ディスプレッサービスト アイスドラゴン ブレイズドラゴン ゴドルグバッシュ
オロチ ラルバー フェートスピナー レイバーロード ハイマスター リヒャルデス
タタール グレーターデーモン ソーンラフター ブロンディ フラックス
バンパイアロード アイボール マイルフィック ホーンドデビル アークデーモン
召喚モンスター