概要
任天堂が2001年3月21日に発売した、旧ゲームボーイの真の次世代携帯型ゲーム機。
この頃から携帯ゲーム機のカラー表示が当たり前のようになってきた。
カートリッジ内のデータセーブはn64と同じくバッテリーバックアップとカートリッジ内蔵フラッシュメモリ、更にはFRAMまで混在している(DS以降はフラッシュメモリへのセーブに統一し、NintendoSwitchの場合では本体内蔵のフラッシュメモリに保存先を変更で統一した)。
ゲームボーイのカートリッジは5Vで駆動するが、GBAは3.3Vとなっている。
GBAではピン互換を持ちながら異なる二つの電圧に対応した構造となっている。(DSや後述のミクロでは廃止)
GBC同様に単三乾電池二本駆動であるが、取扱説明書においてアルカリ乾電池もしくは専用バッテリーパックの使用を推奨している。エボルタならおそらく長く持つかもしれない。マンガン乾電池でも一応は駆動するが電池の消費が早くなってしまうのであまりオススメできない。
アドバンスと同時発売されたローンチタイトルは史上最多の30作と華々しいスタートを飾った。スーパーファミコンで家庭用ゲームソフトとして発売されたソフトがリメイクされて発売されることが多かった一方で版権タイトル、女児向けソフトが非常に多いのも特徴的であり、複数のメーカーから似たようなソフトが多数発売される例が見られた。
任天堂の携帯ゲーム機は前機種と互換性を持つものが多いが、その記念すべき第1号がこのゲームボーイアドバンスだ。
ちなみに初期生産版は液晶がゲームボーイカラーより暗く、視認性が落ちていた為、中期生産版でやや改善されている様子。
専用カートリッジ
これまでのゲームボーイのゲームカートリッジより約半分のサイズとなっており、コネクタ接続周りの形状が異なっている。
これは本体側のカートリッジ挿入口の奥にある小型スイッチによってゲームボーイソフトかアドバンスのソフトかを判別している。ちなみにこのスイッチはゲームボーイソフトだと触れるようになっていて、この場合はゲームボーイカラーモードとして立ち上がるようになっている。
この形状の違いはDSで旧ゲームボーイ用ソフトを挿入できなくすることにも使われている。
一方旧ゲームボーイシリーズに挿入できないようにするため、上部の左右に突起がある。
この辺りの誤挿入を物理的に防ぐ形状の使い分けは見事なものである。
ニンテンドーDS及びDS LiteにはGBアドバンスカートリッジ用の端子がついていたが、DSiへの移行に伴いこの互換端子は廃止され、携帯機隆盛の1つの契機となったゲームボーイアドバンスはその役目を終えた。
最後のタイトルは2006年発売の「ファイナルファンタジーVIアドバンス」。GBAカートリッジはポケモン映画前売り券の特典としてDSのダブルスロット機能を利用した配布で2010年まで使われた(色違いのエンテイ・ライコウ・スイクン)。
現在はいくつかの人気タイトルがWiiUバーチャルコンソールにて配信・再販されている。…が、この頃はGBAタイトルをプレイできる手段がWiiUユーザー限定であり、3DSではアンパサダープログラム(初代3DSが価格改定されるまでの間に登録を行った者のみ受けられる特典)で配信されたごく一部のタイトルを除き、アドバンス向けのソフトは配信されていなかった。
また、ニンテンドーeショップが2023年3月28日にサービス終了する事が決定してしまい、さらに最近では値上げによる事態が相次ぎ、GBAでの中古価格が高騰状態になってしまっているので今後のプレイ手段は絶望的だと思われていたが……
まさかの復活
「Nintendo Direct 2023.2.9」にて発表されたニンテンドースイッチの新サービス『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch online』が+追加パックで新たに追加された。さらにバーチャルコンソールでは不可能であった4人対戦機能が搭載され、さらには今まであり得なかったオンライン対戦も可能になった。ついにファン念願の本当の意味での復活である。
画面サイズを小さくしたり、当時の雰囲気のまんまの画面でプレイすることも可能。
しかしハードの都合上、専用のコントローラーは残念ながら存在しない。…とは言ってもプレイスタイルは全くGBAそのものなので違和感はない。
初期タイトルはまだ6本のみだが、今後順次タイトルが追加される予定。スイッチにはジャイロセンサー機能も搭載しているので、あのタイトルが追加される可能性も……というかこれらの先駆けともいえるこのソフトが追加されているので(実は上記PVにも少しだけ映っている)普通にあり得る。
スターフォックス2のようにまさかの幻の作品の復活の可能性は……
ちなみにソフトによってはあったスリープ機能は発動しないように施されている。
主なタイトル
ニンテンドーDSがゲームボーイアドバンスのわずか3年8か月後の発売だった事もありソフトの売り上げはやや地味で、ミリオンセラーはポケモンを除くとファミコンミニとして移植されたスーパーマリオ1のみであった。
任天堂
スーパーマリオアドバンス
1~4まで発売された。かつて発売された作品のリメイク。もれなくマリオブラザーズ付。
黄金の太陽
キャメロット製のRPG。
伝説のスタフィー
トーセが自らのブランドとして売り出したマリンアクションシリーズ。
メイドインワリオ
5秒で楽しめる世界はここから始まったのだ!ああまわすのもあるぞ!
マリオ&ルイージRPG
ルイージの不遇さと輝きはここから?
MOTHER3
奇妙でおもしろい。そして、せつない。
リズム天国
つんくプロデュース、任天堂から最後に発売されたソフト。
任天堂以外
ロックマンエグゼ
6作目までゲームボーイアドバンスで続いた新たなるロックマンシリーズの柱。当時の男子小学生に人気だった。
ロックマンゼロ
そしてもう一つのロックマンの中核の主人公は彼である。
逆転裁判
現在も続いているカプコンから発売された法廷アドベンチャーゲームのシリーズで1作目はこのハードから発売された。
パワプロクンポケット
コナミの代表格はこのソフト。パワポケ3~パワポケ7が発売された。パワポケダッシュも。
ソニックアドバンス
セガのシンボル的存在がついに任天堂ハードに……。2では新キャラが登場。
通信ケーブル
単純な2線式同期シリアルであったゲームボーイのものと異なり、ケーブル中央の箱に別のケーブルの1P側を挿すことで4機までのデイジーチェーン接続が可能な独特の結線になっている。
ゲームボーイポケット以降のものとコネクタ形状自体は同一であり、ゲームボーイソフトをプレイする際にはゲームボーイポケット用通信ケーブルを接続する。何気に2本のGBA用ケーブルを「互」の字状に接続したもので代用が可能。一方ゲームボーイにGBA用ケーブルは接続できないよう出っ張りが付けられている。
1P側しか嵌まらない中央の箱のコネクタ、ゲームボーイとの片方向の互換性と、こちらもカートリッジに負けず見事な形状である。
なお、携帯ゲーム機ではゲームボーイアドバンスシリーズが事実上最後の通信ケーブル採用となった。
ワイヤレスアダプタ
GBA専用通信ケーブルの代わりに無線で他のGBAとの通信ができる周辺機器。
後期に登場したこのアダプタはポケットモンスターファイアレッドリーフグリーンで最初に対応しており、ファミコンミニタイトルでも使用できた。
起動時にスタート+セレクトを入力するとワイヤレスアダプタのメニューが起動する。
なお、これは技適マークがきちんと付いたものだが無線LANとは異なる方式の通信であるらしく、無線LANの電波を妨害する事もあるので使用には注意が必要。
ワイヤレスアダプタ同士での通信は一対一のみでGBA通信ケーブルのように四人同時通信はできない。この無線通信方式は後のDSシリーズでのデフォルトになった。
互換機
ゲームボーイアドバンスSP
2003年2月14日発売。中国製。後継機であるDSのように本体が折りたたみ式となっており、コンパクトになっているが、その代わり生産が中国に移ったことや可動部が増えたことにより耐久性は低下している。
日本国外限定だが、フロントライトをバックライトにした上位版も存在した。
当時12500円で発売されたが、2年後に9800円に改定された。
ゲームボーイプレーヤー
2003年3月21日発売。中国製。ゲームキューブ用の周辺機器。ゲームボーイアドバンスを含め、ほぼすべてのゲームボーイシリーズのソフトをテレビに出力して遊ぶことができる。スーパーゲームボーイの後継機的な存在。ゲームキューブコントローラの振動機能に対応しているソフトも存在する。
ゲームボーイミクロ
2005年9月13日に発売した最終モデル。中国製。名前の通り小さいながらもバックライト液晶により鮮明な画像でプレイできるが、旧ゲームボーイとの互換性は廃止されている。また、GBAの周辺機器もほとんど使えない。
GBAのソフトはすでに登場したニンテンドーDSでほとんど出来る上、SPより高価であることもあり売れなかった。
スペック
CPU | ARM7TDMI(ARMv4T 32bit)+Z80カスタム | ARM7TDMIがGBA用 Z80がGB/GBC用 |
---|---|---|
メモリ | CPU内部:32KB+CPU外部:256KB+VRAM:96KB | |
表示画素数 | 240×160ドット | |
表示色数 | 32768色(16bit) | |
メディア | ROMカセット 最大32MB |
当時初代PlayStationやセガサターン等高性能な据え置き型ゲーム機に搭載されていた32bitのCPUを携帯型ゲーム機でほぼ初めて搭載し、直系の前世代機だったゲームボーイカラーはもちろん、一世代前の据え置きゲーム機のSFCすら上回るほどの性能を実現している。
なお、このARM7TDMIは何気にポケットステーションと同じCPUだったりする。ビット数で性能は測れないと言うべきか…。
ただし音源方面はそれほど優れている訳ではなくファミコンやスーパーファミコンの移植作品は移植元より聞き劣りする物が目立ち、画面の表示画素数も劣るため画面縮小を施されている。
2Dスプライトの描画性能は当時破格の性能を誇っていたネオジオに匹敵するレベルで、その性能を活かしてハードウェアのサポートなしの力技でポリゴン描写を実現したソフトも存在している。
具体的には、黒ひげのゴルフしようよ・StarXのようにテクスチャ無しのもの、Driver2・WolfenSteinのようにテクスチャはあるが形状・カメラアングルに制限があるもの、Driv3r・Asterix&Obelix XXLのように遠近法の歪みはあるものの形状・カメラが自由となったPlayStationレベルのポリゴンを表示するものまで様々ある。
また、スーパーファミコンで一世を風靡したMode7と同じ描画システムも搭載。しかも2面同時に使えるようにパワーアップしている。
メモリは当初32KBの予定だったものが、ゲーム誌に情報が載った後という直前になって急遽256KBの追加。引き換えに色数が16bitから15bitになった。この広大なメモリを活かして、1カートリッジプレイや店頭での体験版の配布が可能となった。
幻のGBA直系の後継機
上記の様にニンテンドーDSにはゲームボーイアドバンスのソフトで遊べる互換機能があるが、ニンテンドーDSはそもそもゲームボーイシリーズとは別の計画で生まれたもので、今となっては後継機の扱いであるが本来はゲームボーイアドバンスの後継機も計画されていたという。
DS発表時の任天堂は据え置き機・ゲームボーイシリーズ・DSシリーズの三つの柱で展開する『第三の柱構想』を発表し、GBAも引き続き展開していた(その証拠にDS発売後もしばらくはGBAソフトの供給が続き、ロックマンエグゼシリーズなどGBAで続編を出すソフトも存在した)。しかしDSのヒットを受けて任天堂は「ゲームボーイアドバンスの後継機(新型ゲームボーイ)はしばらくない」と発表。結局何年経っても新型ゲームボーイが出ることはなく、DSが事実上の次世代型の携帯ゲーム機となった。
時は流れ2017年。3月3日にニンテンドースイッチという新しいハードが発売された。本機は据え置きと携帯の両方に対応したハイブリッド型ハードで、携帯モードで遊んでいるときの感覚はGBAに近く、本体形状もそっくりであった。その後2019年9月20日に携帯ゲーム機として特化したNintendoSwitchLiteが発売され、ますますGBAの後継機感を匂わせた。
関連イラスト
関連タグ
ゲームキューブ 4か月後に発売された任天堂の据え置きハード。リンクしている作品も多い。
ゲームボーイ→(ゲームボーイカラー)→ゲームボーイアドバンス→ニンテンドーDS
双海亜美・真美:(双子繋がりもあってか)かつては公式でGBAが好きという設定があったが(アケマスの旧サイト)、他機種への展開に伴ってこの設定は無くなっている。