図鑑データ
「自分、あきつ丸であります。
艦隊にお世話になります。」
概要、いざ出港する!
2013年12月24日のアップデートより実装された艦娘にして『艦隊これくしょん』初の「揚陸艦」クラスの艦娘である。
大正浪漫を思わせる風体が特徴的。空母のように飛行甲板を持っている。
びっくりするほど白いその肌は、史実においてモノクロの迷彩塗装が施されていた事に由来する。
(改の中破時のイラストでは比較的色味のある肌となっている。普段は白粉でも塗ってるのだろうか)
改造前は陰影の無い平面的な画風だが、これも史実のモノクロ迷彩が「立体感を喪失させる」効果を持っていた事の再現であろう。
なお、意外ながらもなかなかの胸部装甲を持っている。
入手方法は大型艦建造か期間限定イベント海域でのドロップのいずれか。
大型艦建造では建造レシピ色々と試行されているものの完全には確立しておらず、狙って出すのは難しい。
大和型狙い或いは大鳳狙いのレシピでの副産物として出たというケースが多い。
2014年夏季イベント『AL作戦/MI作戦』では、MI作戦第二海域のボスからドロップ入手可能だった。
自分には、性格が見えるのであります!
陸軍出身であり、語尾に「~であります」が付く堅めの口調で話す。礼儀正しいが、割とずけずけ物をいう性格である。
改になると鎮守府の雰囲気に慣れてきたのか言動も柔らかくなるが、たまに感化されすぎている自分自身を反省する事も。また、オートジャイロ搭載艦として自信を付けた為か、戦闘面では強気な発言も増えている。カ号観測機がお気に入りなのか、秘書艦時のセリフでもよく言及している。なお、ボイスは割と大人っぽい。
陸軍出身という経歴や特徴的な容姿、語尾の「~であります」など性格以外の部分で強烈な個性を持つせいか、二次創作においては、特殊な立ち位置に置かれながらも自身の立場に振り回される常識人・苦労人だったり、あるいはそれらを吹き飛ばすほどアクの強い性格として描かれる傾向にある。
この容姿、感謝…であります
初期は灰色の陸軍制服を思わせる上着にプリーツスカート、軍帽、背曩といういかにも陸軍らしさを匂わせる衣装で登場する。先に解説した通り、左手には飛行甲板を持っており、艤装は腰周りに武装の無いこぢんまりとしたものを装備。また、風呂敷包みらしきものを袈裟懸している(おそらく丸めたコートと思われる。このように装備するのは、格闘戦時において心臓を守る為で、まさに陸軍らしい装備である)。
改になると衣装の色が黒に変更され、背曩の色が赤くなる。
艤装は深緑色に変わり大型化、飛行甲板は縦に割れてスクリーンが出現するギミックが追加されている。形式としては龍驤や飛鷹型のように巻物型に変化しているといえよう。特徴的なのはその艦載機の出撃のさせ方で、なんと手に持っている走馬灯(らしきもの)の影絵をスクリーンに映し出し、投影された艦載機を召喚している。
余談だが、デザインが某同人シューティングゲームのキャラや、某デビルサマナーっぽいと言われることもたまにある。……というか、後者に至っては艦載機の出撃方法を鑑みると、妙に親和性が高い…(汗)。また「陸軍+呪術っぽい要素」という点からこちらとの親和性も注目されている。
そして中・大破になるとお腹がエロい……
性能、まだまだであります。精進するのであります
分類上は航空母艦に近い性能だが、お世辞にも強力とは言い難い。
……というか、耐久値は軽巡洋艦並み、他のステータスは軒並み低数値、そして一応の航空艤装があるのに改になるまでは艦載数“0”という謎の仕様で、1-1ですら下手をするとまともにクリアできないという有様。
初期武装も攻撃用のものは、対空攻撃用の「25mm連装機銃」のみという手薄ぶり。
スロットも2つと、戦力の補強も厳しいところがある。
揚陸艦である以上、艤装が攻撃的である必要は薄いので、ある意味正解とは言えるが……
一方で大発動艇(通称:大発)を初期装備として搭載しており、これを搭載して遠征に向かわせると大成功時の資材を5%増加させる事ができる。効果は最大4隻分まで重複可能なので、上手くいけば資材の獲得量を最大20%増やせるのだ。なお、大発自体は水上機母艦である千歳と千代田、瑞穂、秋津洲改(無印は不可)、その他では霞改二、皐月改二、ヴェールヌイ、江風改二など一部の改二勢に搭載可能で、あきつ丸のみだと2隻(改なら3隻)しか積めないので、最大効果を得るには彼女達の力を借りる必要がある。
また、長い事大発動艇の入手方法が彼女の初期装備からのみであったが、阿武隈改二、大潮改二、鬼怒改二、荒潮改二、霰改二も初期装備として持ってくるようになった。ただし、彼女らは改二へと改造するにあたって改装設計図が必要であり、改造可能レベルも比較的高く、かなり厳しい条件をクリアしなければならない。(熟練者向きだが阿武隈牧場を経営した際に生まれる副産物的なものと考えた方が宜しいか……)
かといって、あきつ丸も現状は大型艦建造のみでしか入手できない為、量産にあたっては途方もない量の資源がふっ飛ぶ覚悟をしなければならない。
大発動艇は後に改修工廠で改修する事で「大発動艇(八九式中戦車&陸戦隊)」→「特二式内火艇」へと更新可能になった。
陸姫型の深海棲艦に有効な装備であり、あきつ丸も当然ながら搭載が可能。これで揚陸艦としての本領発揮――といきたい所だが、陸姫型が出てくる海域に限ってあきつ丸を入れるとルートが厳しくなってしまい、上述した駆逐艦などに搭載せざるを得なくなるので、あきつ丸の出番がどうしても食われてしまう。
揚陸艦って何だっけ…?
しかし、あきつ丸の本領は改造によって発揮される。
Lv25であきつ丸改となると、史実で搭載予定だった「三式指揮連絡機(対潜)」と「カ号観測機」を初期装備として持参する。
三式指揮連絡機(対潜)は軽空母にも搭載可能で、航空戦には参加しないものの対潜攻撃可能な航空機としては火力(対潜:+7)が高く、索敵や命中にもプラス補正がかかる。
カ号観測機は三式指揮連絡機(対潜)よりも対潜値が更に高く(対潜:+9)、軽空母や航空戦艦、航空巡洋艦、潜水母艦や補給艦などの特務艦にも搭載可能。これらの艦載機により、脅威の対潜鬼と化すのである。
更に15.5cm三連装砲(副砲)も搭載できる為砲撃戦能力も上がったが、こちらについては白露型の改修艦に12.7cm連装砲を三基搭載した場合よりも若干火力が劣る為、無理に砲撃型にする必要性はない。
装備スロットが3となり、各スロットの艦載機の搭載数も8に増加した為、活躍の場も増えるようになった。(合計で24機。これは史実における彼女の艦載機の総数とほぼ同等である)
しかし、その一方で「対潜に偏り過ぎて旨みがない」という意見も多く、彼女のキャラクター性も手伝って、千歳・千代田に次ぐ水上機母艦の担い手として更なる改修を望む声も上がっている。
また、「陸軍籍船が出てきたのだから、どうせなら装備品にも一式戦闘機『隼』や九七式軽爆撃機を…」という声もごく僅かながらあるようだ。
後に三式戦闘機『飛燕』が実装されたが、残念ながら基地航空隊専用で艦載はできない。
しかし、2014年8月には彼女に新たな使い道が現れた。
同年の夏季イベント『AL作戦/MI作戦』の第四海域で、彼女を第一艦隊に編入するとボスへの到達率が大きく上がるのだ。具体的には最初のマスの羅針盤が南側に固定されるというものであるが、北側だと潜水艦の居るマスに強制的に飛ばされ、更にそこからの羅針盤が完全にランダムなので、少しでもボスに到達できる可能性が上がる彼女の存在が際立ったのであった。
この第四海域はミッドウェー島上陸をモデルにしている為、揚陸艦である彼女の存在が同海域のルート固定に関係しているのではないかと思われる。
同様のルート固定方法には第二艦隊に駆逐艦4隻を入れるというのもあるが、第四海域のボス・中間棲姫は三式弾を搭載した艦の砲撃でないと大ダメージを与えられず、駆逐4軽巡1重巡(または航巡、金剛型戦艦)という編成では火力不足で中間棲姫を仕留めきれない可能性が高いのである。
しかし、あきつ丸を第一艦隊に入れた場合は第二艦隊の駆逐艦は最大2隻で済むので、「駆逐2軽巡1(索敵値の関係で電探論者積みでないと厳しい)重巡or航巡2金剛型1」などという編成も可能になり、ボス戦での火力が段違いに向上するのである。
艦載機も烈風を3スロット全てに搭載すれば、制空権の確保に役立ってくれる。
この状態でもボス戦の砲撃戦で、中間棲姫に割合ダメージとして40~50程度のダメージを与えてくれたりする。そのせいか、一部では「烈風拳」などと呼ばれていた。
お前は何処のサウスタウンの支配者だ。
更にこれと同類のネタとして、烈風ではなく同じ艦戦カテゴリの紫電改二を載せた場合でも同様の挙動を行うため、こちらの方は某サイバーパンク武侠ノベルの主人公の二つ名にもなっている必殺技にひっかけて「紫電掌」などと呼ばれている。
前述のように、この海域のボスからは低確率ながらあきつ丸もドロップ入手可能で、大型艦建造で入手できなかった提督の中にはここで「現地調達」したという者もいたらしい…
2015年11月に開催された『突入!海上輸送作戦』の第三海域でも引き続きルート固定要員となり、輸送護衛部隊での出撃という空母が使えない状況下でボス戦での制空権確保にも重宝し(この海域のボスは航空攻撃を仕掛けてくる水母棲姫である)、「あきつ丸がいるか否かで難易度が大きく変わる」とさえ言われた。
まるゆ共々陸軍と海軍の仲の悪さを象徴するような出生の持ち主(と言っても、彼女自身は最初から陸海軍の棲み分けができていた分野で、陸軍が陸軍の作戦の為に建造した船であり、まるゆのように海軍の責務放棄により生まれたというわけではない)であるが、史実では成し得なかった陸海軍の協力プレイと考えると胸が熱くなる……かも。
ちなみに陸海軍の仲の悪さは主に上層部が中心であり、現場単位での関係はそれほど悪くなかったというエピソードが沢山残っている。お互いに生命を預け合わねばならない状況で、所属の違いごときでいちいちいがみ合ってはいられなかったという事か。
小ネタ
- ちなみに彼女の妹には海軍の巡洋艦と同名の子がいる。
- もっとも、彼女自身にも海軍によく似た名前の水上機母艦の子がいるのだが。
- 彼女やまるゆが運用されていた「陸軍船舶部隊」の秘匿名は「暁部隊」。海軍の某駆逐艦娘とは全く関係は無いのであしからず。ただし、陸軍高級技官の甦った戦鬼の名前の元ネタではある。
- 公式四コマでは空母寮に在籍するが、ボーキサイトを食べられず残していた模様(艦載機の搭載数0では消費しない為)。その後MI作戦の上陸作戦と聞いて我もと立候補するが、改造を済ませていなかった為にお留守番となる。しかし、65話の渾作戦にて遠征先で美味しい物を沢山食べたら突如改にパワーアップ。ドヤ顔したり、先陣を切って烈風突撃やダブル烈風突撃とやりたい放題しまくったが、激闘の末に真っ白に燃え尽きて改造前に戻ってしまった。その後も完全に出番がなかったトラック泊地強襲以外のイベントの度に改にパワーアップ→真っ白に燃え尽きるのパターンを繰り返す。最近では他の艦娘もあきつ丸がいきなり改になって登場しても特に驚かなくなってしまっている。お陰でコンバート改装の話題が出た際には吹雪達が即座にあきつ丸を連想していた。なお、後に自身が掴んだコツを響に伝授した結果、響がヴェールヌイ化を制御できるようになった。
- 同じく公式4コマでは阿武隈をはじめ、改造後に大発を装備できるようになる艦娘にはあきつ丸が大発の運用を指導しており、阿武隈達からは「師匠」と呼ばれている。
- ノベライズ版『陽炎、抜錨します!』3巻では、艦娘適性があった為に転属させられた元陸軍軍人という設定で登場し、白兵戦で戦う彼女の様子が記されている。
- あくまで一般の兵器擬人化絵にすぎないものの、担当絵師であるくーろくろ氏は、実装の7ヶ月前に陸軍特種船丙型の擬人化イラストを投稿している(擬装に飛行甲板が見えるので、史実で甲板を搭載したあきつ丸か熊野丸がモデルと思われる)。
関連イラストが帰投したのであります
あきつ丸改
pixivに投稿されるイラストの傾向としては、全体的にあきつ丸改の投稿数が多い。
混ぜるな自然
うむ、関連動画の手入れが行き届いていますね
関連タグは随時、確認されるがよろし
まるゆ-同日に実装された陸軍所属の潜水艦。
吉備津丸 摂津丸 日向丸-揚陸艦仲間。航空甲板がないが、基本設計はあきつ丸を基礎にした準姉妹船である。
摩耶山丸 神州丸-揚陸艦仲間。摩耶山丸もあきつ丸・神鷹と共に轟沈している。
提督殿、飛行甲板を触っては…それに、史実にも触らないで欲しいのであります。
背景
日本は言うまでもなく島国である。だが、日清戦争以降から太平洋戦争まで海外に多数の領土・植民地を保有しており、日本にとって戦争とは文字通り「海外」で行う行為だった。現在の陸上自衛隊と異なり、当時の日本陸軍は紛れもない外征軍だったのである。
この島国という地理性から、陸軍は自然と海上から上陸し奇襲を行う「上陸戦」に関心を示し、その為の上陸用舟艇である大発動艇などを開発した。
これらの舟艇を迅速かつ安全に発進させる為に開発されたのが揚陸艦「神州丸」である。神州丸は日中戦争で実戦投入され活躍。これを更に発展させたより本格的な揚陸艦として開発されたのが「あきつ丸」である。
…こういうのは本来は海軍にも協力を要請すべき分野なのだが、大日本帝国の陸・海軍は仲が悪かった事に加え、海軍は艦隊決戦に注力しており「兵站? 揚陸作戦? そんな事より艦隊決戦の為の戦力の整備を優先しようぜ」状態だったのもあきつ丸が生まれた理由である。
つまり陸・海軍が団結出来なかった故の産物でもある……
ただし、これら揚陸艦の設計には海軍も協力している。
とは言え、陸軍籍船となったのは上陸作戦の担当が陸軍であり、その為の部隊編成も当然陸軍が行っていたからで、末期のまるゆなどと比べると不条理というほどおかしいものではない。アメリカの揚陸艦が海軍籍なのは、アメリカの敵前上陸部隊である海兵隊が海軍省の管轄だからである(現在は独立した組織になっている。ただし、海兵隊は自前で陸海空の戦力を保有している為、他の三軍からは大分嫌われている)。
また、現在でもアメリカ陸軍の輸送を担当する陸軍輸送科でも小型小規模ではあるが、揚陸艦艇を運用しており、後期の空母的運用はともかくその存在自体は世界的に見ても割と当たり前である。
しばしばアメリカ海兵隊と混同されがちだが、日本の海軍陸戦隊は質はともかく規模では到底これらに比肩するものではない(そもそも陸戦隊は緊急用に艦艇乗員から抽出されるものであり、泊地や鎮守府所属の特別陸戦隊を除けば常設されるものではない)。
尚、日本でもイギリスのロイヤル・マリーンズ(王立海兵隊)を参考に一時期海兵隊制度がありはしたが、これは現在の上陸戦部隊ではなく、帆走軍艦時代の敵艦移乗を行う部隊であり、軍艦の交戦距離や機動性が向上したのに伴って廃止された。
概要
あきつ丸の最大の特徴は船内に広い舟艇格納庫を設けている事で、ここに大量の上陸艇を搭載していた。
そして船尾には門扉があり、ここから滑走台を通して上陸艇を発進させる事ができた。
運用方法としては
バラストタンクに注水して船尾を下げる→門扉を開く→滑走台から次々と上陸艇を発進させる
という感じ。
一隻当たりなんと最大1000人もの兵員を上陸させる事が可能。
10隻あれば一個師団を陸へ送り出す事が可能なのである。
また、上部には飛行甲板と格納庫があり、上陸支援用の航空機を搭載、発艦させられるようになっていた。この為、「陸軍空母」とも呼ばれたりもする。
ちなみに甲板後部にはデリックと船幅いっぱいのエレベーターが鎮座しており、制動索など着艦用の設備も無いので、発艦した機体は味方の勢力圏や占領した飛行場などに着陸するしかなかった。無論、それらが確保出来ない場合は機体を捨てて脱出するハメになる。どこが空母やねん。
そんなあきつ丸の実戦での最大の功績は、蘭印作戦で上陸作戦を行い成功させた事である。
蘭印作戦
南方作戦に投入するべく、2月26日に播磨造船所を出港し、帝国陸軍船舶部隊の根拠地であり陸軍運輸部の本部(のちに兼船舶司令部)も置かれている母港たる広島の宇品(宇品港)に移動。
「あきつ丸」と「神州丸」は、大東亜戦争の開戦意義である南方資源地帯確保の為、同年1月11日より始められた蘭印作戦に動員され、その蘭印作戦では「空の神兵」こと第1挺進団の活躍によって、最重要戦略的攻略目標であるパレンバン大油田を2月14日に制圧(パレンバン空挺作戦)する。
この戦いでは、首都バタビア(現:ジャカルタ)やバンドン要塞を擁し、オランダ軍の主力と、イギリス軍・オーストラリア軍・アメリカ軍によるABDA連合軍の将兵約8万強が守備するジャワ島の制圧は最終目標となっていた(当時、東南アジアほぼ全域を掌握していた日本軍にとってこのジャワ島上陸作戦は南方作戦の総決算と言えるものでもあると同時に、100隻弱の船団を使用する南方作戦最大規模の上陸作戦であった)。
このジャワ上陸作戦において、今村均陸軍中将が司令官を務める第16軍司令部が座乗する「神州丸」(当時は秘匿名「龍城丸」を使用)以下はバンタムへ、「あきつ丸」以下はメラクへの上陸に参加する事となった。
護衛空母への転身
それ以降は上陸作戦の機会に恵まれず、陸軍の輸送任務に従事していた。
島国・日本から海外の戦地に向かうには、当然、海を渡らなければならない。日本陸軍は、これまた自然に海上交通路の安全確保にも関心を抱いた。だが、肝心かなめの海軍が“海上護衛戦”に無関心であった為、陸軍は自前で対抗策を模索する事となった。そこで白羽の矢が立ったのが、あきつ丸であった。
あきつ丸は、アメリカ軍による潜水艦攻撃に対抗すべく護衛空母として改修され、オートジャイロ機のカ号観測機を搭載。今度はしっかりと着艦制動装置等も設置され、改めて空母としての能力を遺憾なく発揮できるようになった。
しかしながら、数度の出撃において対潜戦闘に当たる機会には恵まれなかった。その後、シンガポールへと向かう「ヒ81船団」に加わり、フィリピンへの増援部隊輸送を行う事となった。増援部隊を輸送中のあきつ丸は1944年11月14日に五島列島沖にて米潜水艦クイーンフィッシュからの魚雷を受け、積載していた弾薬に誘爆炎上、転覆しながら沈没した。対潜用護衛空母として改修されたはずが、皮肉にも潜水艦に沈められるという最期を迎えたのだった。
ちなみに肝心のカ号観測機だが、量産体制が整わなかった上に、三式指揮連絡機の方が即戦力として有益だとして、搭載が見送られてしまった。では、そこまでして改修されたあきつ丸は何の為に出されたかというと、結局輸送艦として従事させられていた。
……まあ、改修コンセプトが戦況と噛み合わなくなった艦にはよくある話である。
以上の通り本来の用途としての活躍はできなかったが、このコンセプトは強襲揚陸艦(ヘリ空母)の先駆けでもあり、本艦がいかに先進的であったかが窺える。
以前は日本陸海軍の対立、過度のセクショナリズムと絡めて「陸軍が建造・運用した異端の空母」とネガティブに評価されていたところが、近年では「もう少し早く、適切に運用されていれば……」と惜しまれる所以である。
まあ、ぶっちゃけ大戦末期の日本製兵器はみんなそう(一歩及ばず)なのだが。
名前について
なお『あきつ』とは漢字で【秋津】と書き、「秋津島(あきつしま)」という日本の古称に由来する。秋津とはトンボのことで、神武天皇が日本を一望して「トンボが交尾しているかのような形の国だな」と日本列島を形容したという故事に倣っている。
もう一隻の「あきつ丸」
「あきつ丸」の名で有名な船としてはもう一隻、 大阪-小松島航路の貨客船の「あきつ丸」がある。こちらのあきつ丸は日中戦争と太平洋戦争の2回の徴用を乗り越え無事商船として小松島航路に復帰、1970年代に2代目あきつ丸が就航するまで長く活躍した波乱万丈な生涯を送っているが、この貨客船あきつ丸を描いたイラストは今のところpixivには存在しないようである。