概要
週刊漫画TIMES(芳文社)にて2011年3月18日号から2024年4月12日号まで隔週掲載として連載された。
単行本は2022年4月現在31巻まで刊行されている。
作者は梶川卓郎だが、単行本10巻収録分までは西村ミツルが原作を担当していた。その後単行本11巻・12巻収録分では西村は引き続き料理監修を務めたが、単行本13巻収録分以降は西村は関与していない。
東映の手によってテレビドラマ化された。詳細別途後述。
あらすじ
鍛冶職人、夏は川上から流れていた男を介抱する。彼の名前はケン。
ケンは事故で記憶を失い、偶然に川で捕まえた宇治丸(鰻)の名称によりここが戦国時代と知る。
自分が何者かもわからないケンだが“料理”に関連する記憶は覚えており、夏の元で暮らすことになる。
数ヶ月後、ケンの料理の腕は京都でも評判となり噂を聞きつけてやってきたのは豊臣秀吉。そして・・・織田信長であった。
登場人物
主要人物
演:玉森裕太(字幕放送で黄色表記)
本名は葛城賢一郎。
平成時代から戦国時代へタイムスリップしてしまった料理人。
記憶を失っており、自分の本名すら忘れてしまったが幅広い知識を所有しており、主に西洋分野の料理に造詣が深い。恐らく西洋料理の調理師と思われる(後に京都のホテルのレストランのスーシェフ(副料理長)であったことが明かされている。)。
織田信長の料理人として召し抱えられ、難題をこなしていく。
優柔で争い事を好まない気質の持ち主で、滅多なことでは怒らない。
演:志田未来(字幕放送で緑表記)
刀鍛冶職人。兄がいたが戦で家族を亡くしている。
実は少女で、刀鍛冶の女神の嫉妬を買わぬように男装している。性格は明るく朗らか。職人としての技術は高く、ケンの調理器具を制作するときもある。
彼の誘いで岐阜へ移住する。ケンに好意を寄せている。
余談だが「同時期の某捜査ファイル」にて、(本作と直接の関係はないが)楓そっくりの人物と共に登場しており、何気にキャラも被っていたりする。
ケンと共に堺を訪れた際、鍛冶場を訪れたことで最高傑作を作り上げるという自身の目標には終わりがないことを悟り、自身にとってのそれを弟子の勘太を育て上げることとした。勘太が一人前になったのを見届け、安土城に自身の最後の一振りを上げてケンと結ばれた。
演:及川光博(字幕放送では水色表記)
天下統一を目指す武将。通説通りの冷酷で残虐な人物として描かれているが、強いカリスマ性と革新的思想の持ち主で合理的な人物。ケンに興味を持ち、料理頭として召し抱える。強引で何事も自分で決めなければ気がすまない。その一方で、寂しがりやな一面も。甘党で濃い味が好み。
織田陣営
織田家
演:斉藤由貴
信長の正室。歴史では謎に包まれた人物であるが、本作では作品の性質上信長の側で侍っており、ケンにも信長の趣味嗜好についてアドバイスをすることがある。
極めて繊細な味覚の持ち主である。
織田家嫡男→当主。
ケン曰く、信長のような豪腕なカリスマではないが、人の声に耳を傾けられる人。
当人曰く、父が一代で築いた織田家の威光を壊してしまうのではないかと怯える臆病だが、家同士の都合で組まれ現在は破談となった松姫と文を交わし続けている。
織田家三男。作中で登場した時期は次男の信雄(茶筅丸)が北畠家養子となっていたように伊勢の神戸家養子という形で別家の当主に据えられていた。井上は信長によく似ていると評したが、ケンは外見こそ面影があると感じながらも、性質は異なると感じている。信長自身も「息子の中では最も武に秀でている」と認めているが、信長の観ている将来的な展望には合わなかった。
織田家配下の武将
演:稲垣吾郎
南蛮渡来の眼鏡を愛用する、初老の男。足利義昭との折衝役であり、義昭追放後も京都における差配を信長に任されている。信長からは「凡庸」と評価されつつも、その愚直さと覚悟の強さを高く評価されて絶大な信頼を置かれており、光秀もそんな信長に心酔し、絶対の忠誠心を寄せている。信長の常識外れな数々の行動に驚嘆するも忠臣然とした態度であり、本能寺で信長に叛く運命を知っているケンは慄然とする。信長の家臣の中では特に秀でているものの、信長とケンの感覚にはついていけないと嘆息したこともあった。松田=果心居士と面識を持ち、果心の予言に心を乱すことになる。本願寺との天王寺の戦いの真っ只中、自らの野望を果たそうとする松田によって娘の玉を誘拐され、信長を討つ最後の一押しとして窮地に追い込まれ利用されかかるも、ケンの尽力もあり玉を取り戻し、戦いに勝利する。宣教師からの明への出兵要請を共に聞き、海外に出ることを信長から宣言されるも、出兵が失敗することにより敬愛する主君の名誉が地に堕ちることを何よりも恐れ、自分がその代わりを買って出るべく織田政権の転覆を考え始める。
【ドラマ版での設定】
岐阜城の牢屋に囚われたケンから聞かされた未来の話に興味を持つが、一方で「未来が分かってしまうとつまらない」と感じている。
また、個人的に調査をしてタイムスリップと思われる不思議な現象があることを確信する。二条城で砂糖を手に入れるために足利義昭と交渉していた時本願寺顕如に接触する。
石山本願寺に招かれ、瑤子が製作した洋菓子「ペ・ド・ノンヌ」を出され手を組むようにそそのかれる。本能寺で信長を出迎えた時、ケンの態度ときりたんぽ鍋を食事に出されたことに疑問を感じて食事の後刀で脅かす等して詰問する(この時、ケンはその質問に答えることが出来なかった)。
その後、洋菓子「ペ・ド・ノンヌ」を出されたことや、それを製作した瑤子の存在をケンに話す。
瑤子に宇佐山城にケンが向かったことを教える。ケンに平成の時代に帰れる可能性があることを教えるが、ケンがこの時代に留まったことを知ると信長とケンが自分の野心に邪魔だと暗に示す。
なお、原作では南蛮渡来の眼鏡を愛用する初老の男と描かれていたが、テレビドラマでは若く描かれている(断じて「殿リーマン」ではない)。
演:ゴリ
信長に仕える家臣。通説通り小柄で猿顔に描かれている。
ケンを「南蛮の間者」として疑っていたが窮地を救われて以来は親しくなる。
コミカルでギャグ的な要員。武将としては行動派で、好戦的。信長からは「サル」と呼ばれる。
手取川の戦いの後、中国方面軍司令官として毛利との戦闘を主導する。
物語の終盤、ケンが未来から来た人物であるという事を知る。
演:宇梶剛士
信長に仕える家臣。武将でありながら腰が低く、穏やかで優しい。
ケンの良き相談相手で夏との仲を応援している。家臣の中でも信長への忠誠心は強く、心酔している。
宇佐山城の戦いで信長の盾となるべく浅井・朝倉軍の足止めにかかるも、致命傷を負わされる。最期の願いとして信長からもらったカカオを使った料理を所望。その香りに包まれる中、息を引き取った。
その死は比叡山の焼き討ちを決断させ、信長を信じて良いのかと家中に不安を巻き起こす大きな要因となった。
信長配下の武将。信貴山の戦い(対・松永久秀)でケンを護衛。森可成の次男。
ケンの重要性をあまり理解していなく松永からは軽く見られた。
演:デビット伊東
信長配下の武将。長島一向一揆の鎮圧に失敗して信長に叱責される。ケンが出した料理を食べた後、自分が信長の弟の信行側に付いたにもかかわらず許されて家臣になったことや時々信長の心理がわからないこと、森可成との思い出などを語る。信長が比叡山を焼き討ちにすると命じて家臣達が動揺した時、ケンに真意を探らせることを提案する。
織田家の拡大に伴う軍団成立にあたり、対上杉を中心とした、北陸方面軍司令官を担当している。
信長配下の武将。三方ヶ原の戦いでは平手汎秀と共に徳川勢の援軍として派遣された。織田家当主を退き、岐阜城を出ることになった信長が安土城築城と現地の仮屋敷が出来るまでの間、佐久間の屋敷に住むことを告げた際には他の家臣から同情交じりの称賛を貰っていた。
方面軍司令官として、対本願寺を担当。講和交渉の際の顕如と信長の会話から自分たちは目的だと思っていた「天下統一」が単なる通過点でしかないと知らされ、困惑する。
最終的に、自身の器と信長のあるべき姿との差にもがき、信長の元を去る。なお、信長は不器用ながらも逃げ出したと汚名を被らないよう、追放という名目で去らせた。最終的に高野山で穏やかな余生を過ごしたことが示唆されている。
信長配下の武将。背伸びをしがちな忠興を諫める。
信長配下の武将。藤孝の嫡男。明智光秀の娘・玉と婚姻を結ぶ。
信長配下の武将。三方ヶ原の戦いで戦死。
信長配下の武将。本願寺との戦いで戦死。
信長配下の武将。対上杉戦に参戦。
関東方面軍司令官。
信長配下の武将。信貴山の戦い(対・松永久秀)に参戦。
信長に仕える九鬼水軍の将。木津川口で村上水軍に大敗するが、ケンの出したオレンジピールのハーブティで九鬼浦を思い出し、敗れてもまだ領土を奪われてはいないと再起を誓う。雪辱を果たすべく望んだ第二次木津川口海戦では炮烙玉が効かない鉄甲船と大筒(大砲)を駆使して村上水軍を撃破。後に信孝による四国攻めに伴い、準備を進めていることが言及された。
信長配下の武将の一人だが、本願寺攻めを外されたことで毛利に寝返り情報を流している。ケンによって内通が発覚すると、半兵衛の策により毛利方の予定よりも早く謀反を起こすことになった。予定よりも早い決行となったこと、織田政権転覆のための条件を果たせなかったことから「最初から失敗していた」と信長は評価している。また、自身の長男の舅である光秀の策によって名誉を全て失い、妻や一族郎党を見捨てて逃げ延びた卑怯者との謗りを受け「武士として」殺されることとなった。
荒木配下の武将。本作では本人は謀反に反対しており、石山本願寺への兵糧の横流しは毛利の策ということになっている。ケンによって内通が発覚するとあっさりと荒木を見限り織田へと帰参。その後は半兵衛の策により、表向きは荒木配下のまま獅子身中の虫として動いている。
秀吉とは親しい間柄。
秀吉配下の武将。ケンとも親しい。
かつて知略を張り巡らせて見知らぬ多くの人々を殺し、その者達の叫びや呪詛や報復、罪の意識に怯える心と張り巡らせた策が思い通りに帰結する戦に対する愉悦の相反する気持ちに疲れ隠棲するも、秀吉に絆されたことで配下に加わる。以降秀吉、織田家の戦いにおいてかずおおくの功績を挙げていく。秀吉に仕える理由として「私がいないとすぐ死んでしまいそうだから」と言っていたが、死の床に伏している最中のケンとの会話では笑顔の絶えない秀吉とその周囲の環境に生かされていたことを実感していた思いを明かす。三木城攻めの最中、陣没する。
秀吉配下の武将。通称は官兵衛。顔の右上部に大きなアザがある。半兵衛は恩人(史実では荒木村重に捕らえられた際に、それを謀反だと思った信長に人質だった息子を殺されそうになったところを庇い、命を救ったいうもの。)と語っている。
その他織田家家臣
演:芦名星
信長に仕える忍。子供の頃に戦で家を焼かれ、通り縋った信長に強い意志を買われて召し抱えられた過去を持つ。
忍としては一流で、人を殺すことに躊躇はない。ケンに密かな恋心を寄せる。
余談だが「同時期の某捜査ファイル」にて、(彼女もまた)夏そっくりの人物と共に登場している。
尾張の宮大工の棟梁。信長の命令で大型船建造の指揮を取った。信長のみならず、ケンからも「(提案した設備を)明日までにお願いします」と無茶ぶりされる苦労人。
井上恭之介
演:きたろう
織田家に代々仕える料理人の家柄。信長に命じられた鴨料理対決でケンに敗れ、料理頭の座から失脚。その後、ケンへの協力を一時拒んでいたこともあるが、ケンが武田に拉致された際には帰還を歓迎している。ケンからはこの時代の料理や食材の知識を必要とされている。
信忠の家督相続後はケンが信長に付いて出て行き、改めて織田家(信忠)の料理頭に復帰できると思っていたが、ケンの推薦で引き抜かれた。本人としては優しい信忠の方がよかったらしい。
太一・金三・与助
織田家に仕える料理人で、特にケンを慕って師事している若者3人。ソバカスがあるのが太一、恰幅が良いのが金三、3人の中でいちばん身長が高い(それでもケンより頭一つ低い)のが与助。ケンと行動を共にすることが多く、基本的な下拵えを任されるなどケンの信頼も買っているが、うっかりミスも多い。またケンは命の危険がある場合は、3人をあえて岐阜に帰らせることもあった。信忠の家督相続によって信長に付いて岐阜城を出るケンは与助を新たな料理頭に指名した。ケンからは若く伸び代もあり、信忠と世代も近い分長く勤められると言われている。
織田家関係者
光秀の娘で後の細川ガラシャ。天正二年の正月、同じ織田家臣団の一人・細川藤孝の嫡子・忠興との婚約が決まった際に信長に引見した。当時の身分のある女性としては頻繁に外出しており、非常に好奇心旺盛。供廻りも連れずに外出する奔放さに、光秀やお付きの侍女を冷や冷やさせている。当面のパトロンとして果心居士に目を付けられる。
好奇心旺盛な面を含め、父と性格が似ていることを示す面が多々存在している。
演:永瀬廉
森可成の三男。多くの作品で描かれるように少年である。ケンや夏の知識に興味があり、よく2人のもとへ赴いている。ケンがなかなか夏の好意に気づかないことをやきもきしていた。作中終盤に元服する。
勘太
三河・設楽ヶ原近辺の村に住む少年。両親を亡くし、村で作った非常食の葛粉を盗んだことで村八分にされていた。長篠の戦いを経てケンからの助言もあって村八分を解かれることになるが、勘太自身は村の外に興味を持ち、ケンに付いて村を出る。岐阜では、夏に紹介した際に気に入られて刀匠見習いとして弟子入りすることとなる。順調に成長を見せており、ケンと夏の関係に発破をかけたりもしている。
徳川家
演:カンニング竹山
大名の一人。信長とは幼なじみ。信長の意図にいち早く気づくなど聡明な人物。家臣からの信頼も厚く、慕われている。鯛の天ぷらが好き。
演:池田政典(酒井)
後に徳川家四天王と呼ばれる武将たち(井伊直政は未登場)。いずれも家康を慕う股肱の臣であり、信長よりも家康こそ天下を取る器であると期待している。酒井は四天王筆頭として家康を支えるが、忠勝などの能天気な若手には頭を痛めることが多い。康政は少々毒舌で家康に対しても遠慮のない意見を申すこともある。忠勝は能天気な健啖家だが、食い物の味にはこだわらないところがある。
主君である家康含めてケンも彼らを気に入っており、酒井が別動隊として命懸けの役目に着いた際には危険を冒して手助けをしている。
演:神保悟志
家康配下の武将。
三好家
堺の町衆
演:大和田獏
のちの利休。本作では戦国に生きる商人であることもあり、武装し外交にも尽力している。その存在感は堺の町衆でもずば抜けており、ケンもその言動から利休であることを悟ったほど。
演:渡辺いっけい
堺の実力者。利休と並び称される茶人だが、本作では下品な人物に描かれている。堺に赴いたケンに対して無茶振りの要求をした上に妨害まで行い、要求通りの物を出されても尚とぼけようとした質の悪いくせ者。
堺の町衆。ケンにじゃがいも(作中では「南蛮芋」と呼ばれている)の存在を教える。ケンのことは気に入っているが、戦国の世では甘いケンの性格から「長生きできひんで」と忠告する。
朝廷
天皇とも親しい公卿。織田と本願寺どちらにつくべきか決めかねていたが、ケンの料理によって織田寄りになった。織田家の強大さを理解しており積極的に織田に近づくべきだと考えている。
敵陣営
本願寺
演:香椎由宇
本名は不明。ケンと同じく平成時代からタイムスリップした料理人。
菓子職人で顕如の庇護の元で暮らしている。ある理由から顕如に依存しており、ケンとは敵対関係にある。天王寺の戦いの最中に織田軍の捕虜となるも、本人の希望を汲んだケンの説得により、ケンの得手(西洋料理を作ること)と引き換えに本願寺に返される。後に本願寺に籠城中、講話交渉に同伴したケンに過去の話を伝える。本願寺開城後は顕如について紀伊へと向かった。
演:市川猿之助
本願寺の住職にして浄土真宗本願寺派宗主。諱(実名)は「光佐」(こうさ)。戦略家で鋭い洞察力を兼ね備えている。傷ついたようこを救い、彼女に「み仏」が宿っていると思い込んでいる。かねてより危険視していた信長に敵対し、10年にもわたる石山合戦の戦端を開く。その過程で和睦と交戦を繰り返してきたため、ケンからはある意味では信長と互いに親友同士より相手のことを分かっていると評されている。
朝廷を介した講和交渉を行う中で、信長の主な講和理由であるキリスト教対策のために折れることには名誉を重んじるのが武士だけだと思うのかとこの場で死ぬことも辞さない態度であったが、信長から自身とは異なる宗教の力が必要である事を告げられたこと、この先の信長の進む道に楽しめるものがあるのだろうとの思いに至り講和を受け入れる。この際、合戦を始めたのは自分であるとして、後処理は自分に任せてほしいと信長に頼み、本願寺を焼き払い、紀伊に移っていった。
演:峰蘭太郎(頼廉)
本願寺の僧兵。顕如の側近。
足利家
演:正名僕蔵
第十五代将軍。信長の傀儡扱いに怒り、裏で各大名に討伐を命じる。
作中ではケンに失望され、上に立つ人物でないと描かれているが謀略家な面を持つ。コメディ要員の一人。照り焼きがお気に入り。信長を排除すべく挙兵するも、あえなく敗北。最期まで抵抗するも、ケンによるスッポン料理(亀の一種であるため、これを食べることは義昭が改元させた「元亀」を否定することにつながる)と、生きてまた料理を出したいとの思いに降伏、河内を経て後、描写はないが毛利の元へと移る。
北畠家
演:本田博太郎
南伊勢の領主。自身や一族を将軍家にも影響をおよぼすほどの名門かつ文化人と自負しており、信長のことは見下していた。圧倒的な兵力差にもかかわらず織田軍を相手に善戦し、信長から和睦を持ちかけられるも強気な姿勢を崩さなかったが、初めて見るケンの作った品および調理方法に戸惑い、その中に含まれていた「炒める」という方法が明の技法であると突きつけられたことで心が折れ、信長の二男・茶筅丸(織田信雄)を養子に迎えた上で家督を継がせることを無条件で飲んだ。
演:水上剣星
具教の息子。
神戸家
北伊勢の有力領主。北畠具教との戦いの前年、三男・三七郎を養子に。
浅井家
演:河相我聞
信長の妹婿。史実同様、金ヶ崎にて信長を裏切る。信長の先見性について行けない人物として描かれているが、その妹で自身の嫁であるお市には深い愛情を抱いている。ケンには、助命したにもかかわらず逃走される、姉川の戦いでの敗因を作られる、朝倉軍の撤退を呼び込まれるなど、散々な目に遭っている。
度々表裏から降伏や投降を勧められるも拒否、最終的には事実通り妻子を逃がし、最後の戦いに臨んで切腹して果てる。
演:星野真里
信長の妹。伝承通り金ヶ崎で長政の裏切りを知らせて兄の命を救っている。ただし、有名な小豆袋ではなく、簗と鮎と罠をかけたものであり、その真意はケンが解いた。娘である茶々の獣肉嫌いを治せば助命するとケンに提案し、その命を救った。小谷城陥落後は兄の元で3人の娘と共に過ごしている。
演:花田鼓→遠藤ゆりな
浅井長政とお市の娘で肉を食べるのが苦手だった。ケンが作った鮎を使った料理に興味を示す。ケンが料理したハンバーグをメインしたお子様ランチに興味を示し完食する。姉川の合戦から3年後、再び開いた織田方との戦のころには幼いながらにおしゃまな女の子になっていたが、親と離れ離れになった際には妹の初と共に涙した。合戦終結の後、岐阜で出会った濃姫には「すてき…」と心酔していた。
姉川の戦いにて三田村国定の首を持ち、織田家臣に化け首実検を申し出てたが、首を持たせた小者が、たまたま近江の村でケンと信長を匿った農民の男だったので見破られ、最終的に勧誘されるも拒否して信長に斬られた。ちなみに遠藤の礼か、信長は小者の命は助けた。
浅井配下の武将。
演:西岡徳馬
浅井家配下の武将。秀吉と半兵衛、ケンの説得により息子共々織田方に付いた。
演:千賀健永
浅井家配下の武将。貞征の息子。父は親子で分かれて織田方に付くことで家の生き残りを図ろうとしたが、秀吉たちの説得を受け、父共々織田家に降る。
朝倉家
演:入江毅
浅井長政らと信長を追い詰めるが、敗北。その後も信長包囲網の一角を担うも、性格的に素質に欠けていると頼廉からも酷評されている。最後は小谷城の救援に駆けつけるも、撤退を織田軍に嗅ぎつけられ、信長自ら先陣を切る電撃戦で散々に打ち破られ、周囲の裏切りもあり自害して果てた。
朝倉家配下の武将。
武田家
演:高嶋政伸
中国文化に精通し、アワビが好きな点は史実通り。ケンの存在を危惧し秋山信友を通じて殺害を試みる。大病を患っており、その死が家臣の間でも不安視されている。
ケンの料理で一時的に体調を回復させ、西上作戦を敢行するも、戦場ではそれもなかなか敵わず、ケンを解放。三方ヶ原、野田城で徳川方を打ち負かすも病状は悪化し撤退、信濃で死去した。
演:賀来賢人
信玄の嫡子だが、父親の威光の陰に隠れてかすみがちな自身に劣等感を感じている。ケンと共に甲斐に連行されてきた夏を気に入る。北条家から嫁いできた継室は夏に似ている。家を滅ぼしたことから松田も含め、現代に至るまで評価は低かったが、最近見直されてきた通り、まさに「強すぎるが故に滅びた」、戦だけなら信玄をも凌ぐ武将として描かれている。定説とは異なり、最後まで家臣達と共に槍を奮い、数多の織田兵を打ち取った後に自らも打ち取られたことが示されている。
武田信玄の四女。織田信忠の婚約者。西上作戦以降も自身を信忠の婚約者であると考え、行動する。
勝頼の死によって武田家が事実上滅亡した後、日本統一が見えてきた信長はもはや政略結婚の意味はなく、むしろ旧武田領統治に松姫を織田家当主の正室として抱え込むことが有効と考え、本人の希望も叶える形で信忠に松姫を迎えに行くように命じた。
演:風間トオル
信玄の命によりケンを拉致、暗殺しようとする。しかし、史実の信玄がその時期に病に冒されていることを知っていたケンが、食事で病人を治すとして自分の腕を売り込んだため、信友はあえて信玄の命に背き、ケンを丁重に甲斐に迎え入れることとなる。
岩村城を守っていたが、信忠に城を囲まれ、ながしのの敗戦の傷が言えず急造の援軍で戦おうとした勝頼の名誉を守るべく、最終的に投降、信長と酒を酌み交わして最後の時を過ごした翌日、長良川で磔刑に処された。
武田家配下の武将。長篠の戦いで戦死。
武田家配下の武将。長篠の戦いで戦死。
松永家
演:笹野高史
ご存じ戦国の梟雄。信長に臣従しているが、もちろん本心からではない。本作では老獪な側面が強調されているためか、表向きは好々爺ぶっているが料理の評価に対してはあまり遠慮がない。カレーなどスパイスの利いているものも好み。最期まで天下を目指して謀反に走るも、信忠により城は陥落、平蜘蛛を破壊し、城に火を放ってケン諸共死のうとするが、よる年波には勝てず、ケンの脱出を許すことになった。
果心居士/松田
本作中では、ケンやようこといっしょに平成から戦国時代にタイムスリップした男、「松田」が、果心居士を名乗っている。松永久秀のもとに身を寄せている。史実の(伝説上の)人物と同様の運命を辿っていることが暗示されている。
平成ではケンやようこと同じ京都のホテルで給仕長を務めていた。タイムスリップする前には総支配人待遇での引き抜きの話もあった。ケンたちのホテルでは、専属のソムリエがいなかったようで、松田がその役目を果たしていた。ハモの「骨切り」の技法を知っているなど料理の基本もマスターしており、酒類の知識も豊富。
天王寺で信長の命を狙ったため捕らえられ、本来なら死罪となるはずだがようことの約束もあり、国外追放に減刑の上、宋花琳の船に乗って日本を去る。去り際に史実では信長が銃で傷を負うはずだったことをケンに伝える。
上杉家
信長とは盟約を結んでいたが、比叡山焼き討ち、将軍追放、改元とたて続いた信長の行動に激怒、討伐と京奪還を決意する。しかし信長の使者となったケンによって「京を渡す」と告げられ、大義を封じられた格好となり、しばし討伐を断念し、同盟を継続し、状況を観察することとする。後に信長の目的が遷都であることを見抜き、同盟を破棄して戦うこととなる。最終的には信長との一対一の会談により信長の考えを理解はできないまでも納得して引き上げる。後に死去したことが明かされており、後継者を明確に定めなかったことから御館の乱を引き起こすこととなった。
毛利家
輝元の祖父。2巻に名前だけ登場。
毛利家当主。松田が働きかけたことで天王寺の戦いへ援軍を出すが、ケンの策によって援軍は間に合わなかった。料理人によって援軍が遅れたことを知るとケンに興味を抱き、村上元吉にケンを捕らえるように命じる。自身の才のなさを自覚しており、やれるものがやればいいという考えを持つ。その分人を見る目を養っており、元吉が信長の言葉に揺れていることをすぐに見抜いた。
毛利に協力する村上水軍の武将で、海賊大将武吉の息子。木津川で九鬼水軍を圧倒し、本願寺への補給を成功させる。信長の命でケンが村上水軍の船に乗った際は、腕を誇示せず食材(牡蠣)に真摯に向き合うだけのケンを気に入り、相手が自分の探している人物とは知らずに輝元の探す料理人の心当たりを尋ねている。信長から海賊ではなく世界を相手にする日本の水軍として勧誘された際は拒絶するものの、内面では揺れており第二次木津川口の戦いからは外された。望月と思わしき、「三好長治の料理人」を知っていると語り、織田が村上水軍に勝てたら教えるとケンに伝えた。
その他
三原
演:酒井敏也
ケンらと一緒にタイムスリップしてきた初老の料理人。原作漫画ではコミックス16巻時点では氏名不詳で、ドラマ版のみ名前が設定された。記憶を無くしたケンを危険な場面から助けるが、原作では追っ手に斬殺されてしまい、ドラマ版では野盗化した武士に弓矢で射殺されてしまう。娘がいたようで、今際の際には、娘の名をつぶやきながら死亡した。
望月
ケンらと一緒にタイムスリップしてきた人物で、ケンと同じく副料理長。年齢はケンより一回り上。ケンの父親から預かった箱を所持している。間者と疑われた際、松田と共に逃げたが、松田に見捨てられるようにして現地人に捕まる。松田はそのことから自分が殺したものと思っていたが、実は望月は太っていたことから、名のある者と勘違いされたため、殺されなかった。ケンたちを襲ったのは三好の雑兵であり、望月は三好家へと連れ去られていた。このことをケンに教えた三好康長によれば、その後、望月と思しき者は三好長治に仕えていたが、長治の自害後の消息は不明といわれていた。その後は一条兼定の隠棲する伊予国の戸島にいる。
宋花琳
堺に出入りする明の商人たちを束ねる女性。堺の商人と南蛮人との間を仲介して、巨利を貪る。己の母国を最上と考え、日本人を軽蔑している。だが、ケンの料理や馴染みのない中国茶を本茶含めてすべて利き分けた千宗易には素直に感嘆していた。女性としてはかなり体格が良く長身。最終回にも登場。
演:ダニエル・カール
布教が目的でポルトガルから来日した宣教師。信長のもてなしを受け、ケンが作る野菜と棒鱈入りのコンソメ(ドラマ版ではポタージュ)に、故郷のバカリャウやカルドベルデの味を思い出し、感涙する。再会時にはフロイスをもてなすためケンは「パスティス・デ・バカリャウ」(干し鱈のコロッケ)を用意するが、信長の思惑から別目的で使われてしまったため、食べ損なうことになる。
京に本拠を置く絵師集団「狩野派」の棟梁。上杉への外交交渉を任された秀吉が進物として彼の作品「洛中洛外図屏風」を求めるが、信長の行状などを理由に拒否する。狩野派の棟梁として上り調子の織田に真っ向から逆らうような真似はしない狡猾さを持つが、数年前に亡くなった足利義輝からの依頼である屏風を没した後にも描きあげた絵に対する真摯さも併せ持っている。
安土城築城の際には障壁画を依頼され、面白い仕事が来たとして請け負った。
料理人。「日の本一の料理人」と呼ばれる。かつて、三好氏に仕えていたが、ケンが信長に仕えるようになったのと前後して織田方に捕らえられる。井上が楽をしようと信長の料理人に推したが、京風の薄味料理を夕食に出したため信長に気に入られず切腹を申し付けられるが、翌朝に田舎風の濃い味付けを出したため赦される。
主な出来事
1巻 | ~1569年 | ケン、信長と出会う。夏、信長、秀吉、森可成、蘭丸初登場。大河内城の戦い(VS北畠具教) |
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2巻 | 1569年 | 大河内城の戦い。ケンの料理の前に北畠具教、信長に屈服。足利義昭初登場。ケン、義昭に料理をふるまう。ケン、正月の宴で秀吉の危機を救う。 |
3巻 | 1570年 | 金ヶ崎の戦い。信長、義弟・浅井長政の裏切りを受ける。 |
4巻 | 1570年 | ケン、浅井家で茶々にお子様ランチを作る。 |
5巻 | 1570年 | ケン、堺衆の無茶難題を解決。姉川の戦い(VS浅井長政、朝倉義景) |
6巻 | 1570年 | 野田城・福島城の戦い(VS浅井・朝倉連合軍、一向一揆勢、比叡山延暦寺僧兵)。森可成、戦死。 |
7巻 | 1571年 | 信長、比叡山延暦寺を焼き討ち。 |
8巻 | 1571年 | 信長、顕如と対談。ケン、武田家に連れ去られる。 |
9巻 | 1571年 | 三方ヶ原の戦い(VS武田信玄)。 |
10巻 | 1573年 | 信長、足利義昭を京都から追放。 |
11巻 | 1573年 | 小谷城の戦い(VS浅井長政)。浅井長政自決。 |
12巻 | 1573~1575年 | ケン、顕如に「西洋料理を封じる」と約束。 |
13巻 | 1573~1575年 | ケン、狩野永徳に料理を作る。 |
14巻 | 1573~1575年 | 果心、信長包囲網に明智光秀を加えるべく陰謀を張り巡らす。 |
15巻 | 1575年 | 長篠の戦い(VS武田勝頼)。 |
16巻 | 1575年 | 信長、家督を長男・信忠に譲る。 |
17巻 | 1576年 | 天王寺砦の戦い(VS本願寺)。信長、本願寺を撃破。 |
18巻 | 1576年 | ケン、宋花琳にフカヒレで交渉。ケン、銃弾を受ける。 |
19巻 | 1571年 | ようこ、本願寺に戻る。 |
作中の回想にて語られている戦い
巻数 | 戦いの名と年 | 概要 |
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2巻 | 1556年、長良川の戦い | 信長の義父・斎藤道三が息子・義龍に討たれた戦い。森可成は殿を務め、討たれそうになるが信長に命を救われる。 |
テレビドラマ
テレビ朝日系列(24)局にて2シリーズ放送された。
第1シリーズは2013年1月11日から3月15日まで毎週金曜日(原則)23:15-翌0:15の「金曜ナイトドラマ」枠で、第2シリーズは2014年7月10日から9月4日まで毎週木曜日19:58-20:54の「木曜ミステリー」枠を(一時)廃止した上で、それぞれ放送された。
第2シリーズの放送枠では「木曜20時枠において、15年ぶりの時代劇」となる(蛇足ではあるが、「木ミス」枠の前身が「木曜時代劇」として放送時間を3度変更されながらも設置されていた)が、一方で「科捜研の女」などの人気シリーズを輩出した同枠の流れから、本作の第2シリーズの放送決定時点で「木曜ミステリー枠の廃枠」が懸念されていた。
結局、同枠における前作品「刑事110キロ(第2シーズン)」最終回をもって「木曜ミステリー」枠は一旦廃枠となった。
ただ、金曜ナイトドラマ時代は第2話以外は全て2桁の視聴率を取ったのに対し、木曜20時台に移動すると一変、「奇跡体験アンビリバボー」(フジテレビ系列局)や「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系列局他)に全く歯が立たず、一度も視聴率2桁を稼げなかった。結局、本作終了後の2014年10月期の「科捜研の女(第14シリーズ)」にて「木曜ミステリー」枠は復活した。
主題歌
kis-My-Ft2・・・「My Resistance -タシカナモノ-/運命Girl」