CV:咲野俊介(『2』以降)
概要
眼光鋭い目元から鼻筋にかけて走る横一文字の傷跡の印象から中々の強面であるが、その見た目に反して組長の風間新太郎同様に思慮深い穏健派であり、アクの強い面々の多い東城会のまとめ役でもある。
主人公・桐生一馬にとっても、学生時代から風間組事務所に出入りしてた事もあり、若き頃から面倒を見てもらった兄貴分で、桐生が直系の堂島組組員となり、その後、更に四代目会長になるなど地位が逆転してからも変わらず敬意を持って接している存在である。
初期のタイトル以来本編ストーリーに深く関わることがないため影が薄くなってしまっているが、組織管理・情報提供・援軍などのサポートに定評があり、縁の下の力持ち的な存在である。
しかしその一方で、桐生の話によると冷麺に異常なまでのこだわりを持っており、焼肉屋で食べられないと鬼の如く怒り店で大暴れすることもあったとか。桐生も若衆時代においては、兄貴分の柏木からたびたび冷麺の材料を買ってこいとパシリに使われていたらしい。
本編での活躍
龍が如く0 誓いの場所
本作では深い剃り込みが入ったオールバックに眉なしとかなり威圧感のある風貌をしており、装いや立ち振る舞いがどこか紳士然とした『1』以降のイメージとは違った印象を受ける。
堂島組の若頭として辣腕を振るう風間を補佐する立場にある優秀な極道。厳しくも仁義に厚い性格をしており、神室町でも名の知られた存在。桐生とその兄弟分である錦山彰は盃の序列で言えば立場が上(風間組は堂島組の傘下組織なので、彼らは柏木の叔父貴分にあたる)なのだが、実力・経験の差から年の離れた兄のように恐れられている。組長不在の風間組を預かり、堂島組の企みに立ち向かう。
そして、後の『1』以降では見れなかった喧嘩を好む武闘派としての一面も見せ、真島吾朗を相手に「化け物」と言わしめる実力を見せている。また、一人でケジメを取るために組に破門を願い出ようとする桐生を殴り飛ばしてでも止めようとするなど、熱血漢としての性格も見せる。
また、ハイスコア時のカラオケデモにも何故か登場し、80年代風ロッカーに扮した桐生・錦山の隣でキーボードを弾いている。
余談だが、初登場時は12月の真冬にもかかわらず、口いっぱいにスイカ入りの冷麺を詰め込みながら「ほうぐうぎわっふぁわ(よく無事だったな)」と話しかけてくる、「桐生が生きて戻ってきたのを見て安心したのか、また冷麺を凄い勢いで食べ始めた」ことが錦山の口から語られるなど、本作から『3』のネタ選択肢に過ぎなかった「冷麺好き」という設定が強調されている。
龍が如く / 龍が如く極
桐生が風間組の事務所を訪れた際に登場。
桐生に風間の過去を語ろうとしたが、風間に止められ、縮こまっていた。
物語終盤では、嶋野太によって桐生と風間が危機に陥った際には、大型トラックの荷台に風間組組員達を大勢乗せ、駆けつけた。その際、クリスマスが近かった事から援軍の組員達を「屈強なプレゼント」と表した。
リメイク版の『極』では過去の回想で桐生が錦山の罪を被り刑務所に収監された後、「シャバに戻ってきた際には引き取り手の無い桐生の受け皿となり面倒を見てやれ」という風間の言葉を錦山に伝えた上で彼に錦山組を持たせ、風間組の組員を貸し出すなど面倒を見ていた。
しかしシノギを勉強させるべく入れさせた風間組出身の松重が、独断で風間組のシノギに手を出す不義理を行い、それを許してしまった錦山に柏木は激昂して殴り飛ばし、不甲斐ない彼の姿をみて「桐生ならこんなことには…」と不満を漏らしてしまう。桐生にコンプレックスを抱き始めていた錦山にとっては柏木のこの発言は錦山の闇堕ちを加速させる原因の一つとなってしまった。
龍が如く2 / 龍が如く極2
風間の遺志を継ぎ風間組二代目組長を務め、東城会若頭代行も兼任する。
桐生が近江連合との五分の盃を交わすため、大阪・蒼天堀にいる間、韓国マフィア「真拳(ジングォン)派」が仕掛けた爆弾でミレニアムタワーにある風間組事務所を爆破され、命に別状はないものの負傷してしまう。
寺田が五代目会長となった新体制の東城会でも他の組が苦戦する中、着実に実績を残していたが、自身へのイエスマンのみを配下に置きたがる五代目会長・寺田行雄に除け者扱いにされ、不遇なポジションを強いられていた。
内密に行われた1980年の真拳派襲撃についても知っており、当時を知らない桐生達に事件の詳細を語った。
郷龍会との戦いでは東城会の組員を集め桐生達に協力した。
ちなみに寺田の葬儀に乗り込んできた郷田龍司には、柏木が喪服で見た目が地味だった事もあり、「葬儀屋のおっさん」と呼ばれ馬鹿にされていた。
リメイク版である『極2』の追加シナリオでは、植松彰信殺害の濡れ衣を着せられ真犯人を探す真島にサイの花屋の情報と居場所を提供した。
尚、ストーリー中、真島は桐生の前では「柏木のオッサン」と呼んでいたが、本人の前では「柏木さん」と呼んでおり敬意を払っている。
龍が如く3
『2』の若頭代行から正式に東城会本家若頭へと昇格しており、銃撃され現場を離れた六代目会長・堂島大吾に代わって東城会を仕切る。幹部たちの動向に頭を悩ませており、幹部会では桐生を会長代理として呼び戻す案を出した。
しかし、神室町に戻ってきた桐生に風間似の男のことを聞かされた直後、謎の武装ヘリに襲撃され機銃掃射を浴びてしまう。重傷を負った柏木は風間似の男と繋がっている人物を捜せと桐生に言い残し、息を引き取ったと思われていたが…。
その後、桐生は沖縄から出て来た島袋力也と公園で、柏木の追悼を行う。その際に柏木の人物像について振り返るが、その中に「すごく冷静な人だったな」と「すごく冷麺が好きだったな」という2つの選択肢が用意されており、後者を選択すると、桐生が若い頃よく焼肉に連れて行かれてシメは必ず冷麺で、冷麺を切らしていると材料を買いに走らされたというエピソードが聞ける。
メタな話をするとこの選択肢は会話後に力也から貰える報酬の質が下がってしまうハズレ選択肢として用意されたネタ会話であり、冷麺好きという設定はこれ以前一切語られたことが無い急に生えた設定だったのだが、以降の作品で語られた過去話やリメイク作品では冷麺好き設定が適用され、柏木の個性として正史に組み込まれている(前述の通り、ここで「冷麺」を選択すると力也から貰える報酬の質が下がってしまうので、気になる人はセーブをしてから行おう)。
また、「堅生会」という組織を作り、行き場のない元極道達をカタギにして社会復帰させる活動を行っていた事が語られている。
更に『4』では谷村正義の警察無線のイベントにてかつて瀕死の赤石を助け、その事が後に赤石が神室の盾を作るきっかけとなっていたことが判明している。
また、『ONLINE』の桐生のキャラストーリーでは、アサガオの院長になるよう桐生を推薦したことが明かされている。
龍が如く7 光と闇の行方
作中の主要舞台である横浜・伊勢佐木異人町に店を構える「サバイバー」と呼ばれるスナックにて、白髪交じりのオールバックで、柏木と同じ顔の傷と声(中の人的に)の人物が登場する。同スナックのマスターで、本作のメインキャラクターで元刑事の足立宏一とは古い付き合いとのこと。
店名である「サバイバー」の由来は、かつてマスターがある組織からの武装ヘリの銃弾でハチの巣にされ、長い間生死の境をさまよった経験からで、幸運にも生き延びた事で人間のしぶとさ、命の大事さを学んだという理由で名付けたらしい。こうした経歴も『3』における柏木の最期と合致しており、さらに春日たちの依頼で作成してくれる弁当の中に冷麺ランチボックスなる弁当があるため、ファンの間では本人ではないかと推察されているが…?
なお本作には、実際に戸籍を偽装して別人に成りすましたり、死亡者扱いで表の社会から姿を消したりなどして、別の人生を歩む極道関係者が何人か登場している他、舞台である異人町で暮らすホームレスたちには、東城会絡みの抗争で出た死体の処理を請負い、万一死体が生きていたら見逃すという取り決めが長年存在し、柏木とマスターの同一人物説を強調している。
本編においては、以前から物置として使っていた2階の空き部屋を、主人公・春日一番とその仲間のアジトとして気前良く提供してくれる。春日たちのことは、陰謀渦巻く異人町から住民たちを守る「勇者さん御一行」と呼んだが、足立から「ちょっとクサくねぇか?」と笑われるなどコミカルな面も見せた。
地域住民との関係も良好な様で、町内会のパーティーなどにも参加しているが、その時のプレゼント交換会で当たった女性物のイヤリングが原因で、バーの2階を借りていた春日が女性陣から囲まれ修羅場になる事があった。
因みに作中の召喚魔法「デリバリーヘルプ」では、堂島大吾の召喚時に柏木本人がショットガンを引っ提げ登場する(姿は『3』当時のもの)。堂島宗兵、嶋野、そして風間といった錚々たる面々と共に、大吾と並んで敵に銃弾の雨による総攻撃を展開する。
…という死者蘇生ともいえるぶっ飛んだ展開だが、本編中で確実に死去したとされるキャラの足元にモヤがかかっている一方、存命である堂島大吾と生死があやふやになった柏木だけはモヤがかかっていない。
また、柏木を演じた咲野氏が『0』の主要キャストスペシャルインタビューにて「墓か骨壷が出ない限りは(死んだかどうかは)わかりませんよ」と監督から聞かされたことを語っており、『3』以降柏木の墓や骨壷が描写されていないことも生存説に真実味を増している。
『7外伝』では、ある理由から桐生がサバイバーを訪れたが、たまたまマスターが腰痛で店に出ていなかったため、会うことはなかった。
龍が如く8
引き続きサバイバーのマスターが登場。
新たにハーブティーを作る事にハマっており、ハーブを持ち込むと特製のハーブティーを作ってくれる。
冒頭では、半年ぶりに再会した春日達の飲み場としてサバイバーを提供した。
その後、桐生のエンディングノートを埋めるべくカラオケを歌いにナンバ達が桐生をサバイバーまで案内し、そこで桐生と顔を合わせる。ナンバ達が桐生を「鈴木太一」と紹介した為、桐生の事を鈴木さんと呼び、来店を歓迎した。
桐生もマスターの顔に心当たりがある様だが…
ネタバレ注意!
そして桐生のエンディングノートである「追憶ダイアリー」の「それぞれの居場所」にて、明言こそ避けたものの柏木修本人である事がほぼ確定した。
仲間たちとサバイバーを訪れた桐生は、自分のかつての兄貴分とマスターがよく似ているのだと話していた。
そんな話の流れで、桐生は「マスターから見て自分はどういう人間なのか?」と質問する。
桐生からの質問にマスターは、「強いがゆえに、人に助けを求められない…弱さがあっても人に気づいてもらえない」人間であると話しつつ
「実は自分も、サバイバーの店主になる前は人に弱みを見せられない業界に身を置いていた」
「若い頃の強い自分でいようと気負わなくては生き残れない道を長く生きてきた」
と自身の過去の境遇を話した上で
「多かれ少なかれ人に助けられて、逆に自分が誰かの支えになっていることもある。そうやってこの街に根を張って生きてきた」
「自分に居場所がある、とはそういう生き方であると思う」
と返した。
そんなマスターの考え方を聞いて「羨ましい」と漏らす桐生に対しマスターは
「貴方は多くの人間のために戦って、守って、そして……傷つき、失ってきた」
「そういう人こそ最後には幸せになってもらわないと、私は世の中を不公平と感じてしまう」
「何もかも手に入れて満ち足りる事が幸せなら、貴方は幸せではないんだろう」
と話し、桐生の今までの人生、桐生の現状が決して幸せではない事、そして最後には幸せになって欲しいという自身の願いを桐生に伝え、
「しかし……貴方のそばには今、助けを求めれば手を差し伸べてくれる仲間がいる」
「そこに彼らがいるのは、貴方のこれまで生き様が間違ってはいなかったからだ」
「人に弱みを見せろとは言わないが、もう少し仲間に頼ってみてはどうでしょう?」
桐生の生き方は決して自分を幸せには出来ていない。
だがそんな桐生の生き様があったからこそ、今目の前に頼れる仲間がいるのだと桐生を励ました。
そして……
「そのあたりも……そろそろ学んで良い頃合いだぜ。お前もぼちぼち、いい年なんだからよ」
かつて桐生が兄貴分と慕っていた人と同じ口調で話しかけたマスターは、
「いつか本当の名前を取り戻したら、隠し事なしで腹を割って話しましょう。最高に良い酒を用意して待っています……もちろん、私の奢りで」
と、自分のように生き残って、いつか「サバイバー」で良い酒を飲みながら話そうと桐生と約束を交わすのだった。
「この店の名前は「サバイバー」。フッ、我ながら良いネーミングだったな」
このイベント後に、デリバリーヘルプで呼び出すことが可能となり冷麺を作ってバフをかけるサポートタイプとなっている(ただし、調理工程にドスを持ち出したりと少々物騒ではあるが…)。
外伝・その他の活躍
LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶
スピンオフである本作にもマスターとして登場するが、残念ながら、会話することはできない。
『ジャッジアイズ』シリーズでは基本的に本家シリーズのメインキャラクターは登場しないのだが、マスターが柏木と同一人物だとすると数少ない例外(『6』までのシリーズのメインキャラに限れば唯一の例外)となる。
サバイバーは「異人町で最も安全な場所」らしく、裏社会に関わりのある人物からも一目おかれている。ここでは酒を飲めるだけではなく、冷麺を食べることも可能。
龍が如く 維新!
新撰組六番隊隊長「井上源三郎」として登場。組織における最年長者であり、局長の近藤勇や、副長の土方歳三から重用されているが、他の隊士たちからは軽んじられ「組の小姑」「無用の六番隊」などと陰口を叩かれている。
実は、主人公・坂本龍馬の恩師・吉田東洋を殺害した“覆面の男”の正体であると共に、結成当時2派閥に分かれていた壬生浪士組(後の新撰組)におけるもう一人の局長・芹沢鴨であることが判明。さらに古くは風魔の流れを汲むとされる剣術“水戸天狗流”の宗家であり卓越した剣術の腕前を持ち、弟子の平間重助と平山五郎の二人も彼の剣の影響を受けている。
かつては水戸藩の影として仕え、日の目を見ない裏仕事を担っていたが、いつしか藩から見限りをつけられてしまい、なんとか脱藩するも行き場を失っていたところを近藤からの誘いを受けて壬生浪士組を結成。弟子たちと共に隊の最高幹部として重用される。
しかし、そうした信頼の篤さが近藤の弟子である試衛館一派に焦りを与えてしまい、物語の一年前、沖田総司、永倉新八、本物の井上源三郎の3人が結託し、芹沢一派に夜襲を仕掛けるが、芹沢たちは彼らを返り討ちにしてしまう(このとき芹沢は、沖田の一太刀により顔に『龍が如く』本編と同じような切り傷を負うことになる)。その後、一部始終を見ていた近藤からの願いもあり、表向きは芹沢たちが粛清された事とし、平山が沖田を、平間が永倉を、そして芹沢が井上の名を名乗るようになった。そして水戸天狗流は「天念理心流」と改名し、近藤ら試衛館の人間に指南するようになった。
東洋の暗殺は、かつて水戸藩脱藩を見逃す条件として、とある人物から請負った仕事である。そのため、「斎藤一」の偽名で新撰組に入隊してきた龍馬に対しては、東洋の件に対する罪滅ぼしとして陰ながら手助けを行なっていたが、最期は暗殺の依頼主であった「もう一人の坂本龍馬」に口封じのために殺害される。
なお、幕末の時代においても冷麺好きは相変わらずだが、日本における冷麺の代表格・盛岡冷麺の発祥は昭和29年に韓国の咸興(ハムフン)出身の青木輝人氏が日本に移住し、作られたものが最初であり、井上はオーパーツを食べていることになってしまう(龍が如くの世界では朝鮮出身の料理人が幕末頃につれてこられたのだろうか)。
戦闘
シリーズ通して長らく実力の程が知れなかったが、『0』の真島編にて初めてボスとして登場、3次の若頭とは思えない気迫で拳を振るう。
使用スタイルは空手(モーションは恐らく風間譲二の流用)でヒートは黄土色。
序盤は連続技も初段程度までしか出さず攻撃のチャンスも多い、ガードも甘いのでダメージは稼げるが体力ゲージが残り一本に差し掛かるとQTEが入り、本作最短0.2秒(難易度LEGEND時)の入力猶予を誇る凄まじい速度の必殺中段追い突きを放ってくる、当たれば体力の3割は吹き飛んでしまう。
QTE後はヒートが入り、ここから柏木の真の実力が垣間見える。
出の速い4連コンボで気絶させて単発技の鉄槌打ちや後ろ蹴り、または通常コンボで追い打ちを取る立ち回りを得意とし、反撃技も持ち合わせているので無理矢理こちらの攻撃を妨害させることもできる。
『極』では、クリア後に開放されるモードである究極闘技の「乱戦闘技 其の十」にて、作中の髪を下ろした姿の柏木と戦う事ができる。
道中ボスとしての戦闘でありヒート状態には入らないものの、桐生の能力が最弱で固定なこともありかなりの難所となっている。回避とヒートアクションを駆使しなければ突破は難しいだろう。
余談
- 「龍が如くスタジオ」が手がけ、本シリーズからの演者の続投が多い『北斗が如く』では、柏木役を務めた咲野氏がトキ役として出演した。「主役(ケンシロウ)の兄貴分」にして「理解者」、「相談役」…と確かに柏木に重なる所が多い配役ではあるが、トキが『北斗の拳』作中トップクラスの人気キャラであること、また北斗四兄弟として肩を並べるメンバーが真島(CV:宇垣秀成)に龍司(CV:岩崎征実)といずれも主役級のキャラクターであることを鑑みれば、ファンが予想だにしなかった大出世である事がよく分かる。
- 2023年12月30日より開催された「龍が如く『散った男たち展』」では、シリーズ複数作出演者にもかかわらず柏木の姿が無かったことから、公式設定においても生存していると思われる。
- pixivにおいては「冷麺」で検索すると、かなりの確率で「柏木修」か「龍が如く」がついたイラストがヒットする。
関連イラスト
- 龍が如く0
- 初代龍が如く以降
- 龍が如く7以降