概要
アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』で開催されるイベントの一つであり、プレイヤー同士がリアルタイムで対戦(レース)する。一度の対戦に参加するプレイヤーは3人で、それぞれが3人1組のチームを出走させるため、9人立てのレースとなる(モブはいない)。
常設のチーム競技場が各々の順位や発動スキルなどによるポイント制なのに対し、こちらは単純に誰かが1位を獲ることを競うルールであり、エース役を3人入れるか、エース役とデバフ役を分担させるかなどの駆け引きが行われる。
決勝勝利時は勿論、予選でも勝ち続ければガチャ用のジュエルや育成用のリソースを一気に稼げるため、開催するコース・レギュレーションが発表されると、その条件に最適化したウマ娘を育てるべくトレーナーの育成活動や各コミュニティの議論が活性化する。
環境に応じたトップメタとその対抗馬の考察など、対人戦らしいメタゲームの要素が最も顕著なコンテンツである。
2022年ライブラ杯では決勝の着順で立ち位置の決まるウイニングライブ「Ms. VICTORIA」が実装された事で、センターポジションをかけた戦いにも発展した。
その関係でこの時期になるとトレセン学園は非常に殺気立つ。
大会の流れ
- オープンリーグ(中級)かグレードリーグ(上級)のどちらかを選択する。オープンリーグは評価B以下(2022年タウラス杯よりA+以下に引き上げ)の限定戦、グレードリーグは無差別戦。
- ラウンド1、ラウンド2、決勝と進む。
- ラウンド1・ラウンド2では5戦×1日最大4回のレースを行う。
ラウンド1(予選)
- 3勝以上でAグループへ、2勝以下はBグループへ。
ラウンド2(本戦)
- Aグループは3勝以上でAグループ決勝、2勝以下はBグループ決勝へ。
- Bグループは1勝以上でBグループ決勝へ。
- A・Bグループのどちらでも、1勝も出来なかった場合は敗退(失格)となる。
決勝
- 1回限りのぶっつけレースとなる。やる気は絶好調固定。
- 終了後にウイニングライブ「Ms. VICTORIA」が流れる。(二位以下の者はスキップ可能)
過去の大会
各大会名は、開催月の十二星座に由来している。
※1:該当レースとは季節が合わないレース
※2:現実で代行開催されたものが反映(2021年より京都競馬場が改修中のため)
大会名 | 開催期間 | コース | 現実での該当GI | 活躍した脚質 | 活躍したウマ娘 |
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タウラス杯 | 2021/5/10~5/18 | 東京芝2400 | 日本ダービー、オークス、ジャパンC※1 | 追込、差し | ゴールドシップ、シンボリルドルフ |
ジェミニ杯 | 2021/6/10~6/19 | 京都芝3200 | 天皇賞(春) | 追込 | ゴールドシップ、ナリタタイシン |
キャンサー杯 | 2021/7/23~7/29 | 東京芝1600 | 安田記念、NHKマイル、ヴィクトリアマイル | 全脚質 | エルコンドルパサー、セイウンスカイ、スマートファルコン、グラスワンダー、ウオッカ |
レオ杯 | 2021/8/24~8/30 | 阪神芝2200 | 宝塚記念 | 先行、逃水マル | 水マル、オグリキャップ |
ヴァルゴ杯 | 2021/9/21~9/27 | 阪神芝1600 | 桜花賞※1、朝日杯FS※1、阪神JF※1、マイルCS※2 | 逃げ、差し | 水マル、セイウンスカイ、オグリキャップ、グラスワンダー、ウオッカ |
ライブラ杯 | 2021/10/22~10/28 | 京都芝3000 | 菊花賞 | 追込 | ゴールドシップ、ナリタタイシン、マンハッタンカフェ |
スコーピオ杯 | 2021/11/23~11/29 | 東京芝2000 | 天皇賞(秋) | 逃げ、先行 | 水マル、タイキシャトル、和服ゴールドシチー、セイウンスカイ |
サジタリウス杯 | 2021/12/21~12/27 | 中山芝2500 | 有馬記念 | 追込 | ゴールドシップ、ナリタタイシン、マンハッタンカフェ、クリオグリ、タマモクロス |
カプリコーン杯 | 2021/1/22~1/28 | 中京芝1200 | 高松宮記念※1 | 先行 | サクラバクシンオー、オグリキャップ、スマートファルコン |
アクエリアス杯 | 2022/2/18~2/24 | 東京ダート1600 | フェブラリーS | 全脚質 | オグリキャップ、スマートファルコン、水マル、アグネスデジタル、エルコンドルパサー |
ピスケス杯 | 2022/3/22~3/28 | 阪神芝3200 | 天皇賞(春)※2 | 逃げ、追込 | キタサンブラック、クリオグリ、タマモクロス、ゴールドシップ、ナリタタイシン、マンハッタンカフェ |
アリエス杯 | 2022/4/22~4/28 | 中山芝2000 | 皐月賞 | 逃げ、先クリオグリ | クリオグリ、チョコボン、水マル |
タウラス杯 | 2022/5/24~5/30 | 東京芝2400 | 日本ダービー、オークス、ジャパンC※1 | 逃げ、先クリオグリ | クリオグリ、チョコボン、水マル |
ジェミニ杯 | 2022/6/14~6/20 | 東京芝1600 | 安田記念、NHKマイル、ヴィクトリアマイル | 逃げ、追込 | チョコボン、水マル、オグリキャップ、ナリタタイシン、応援キングヘイロー |
キャンサー杯 | 2022/7/14~7/20 | 阪神芝2200 | 宝塚記念 | 逃げ、先クリオグリ | クリオグリ、チョコボン、水マル |
レオ杯 | 2022/8/13~8/19 | 中山芝1200 | スプリンターズS※1 | 先行 | オグリキャップ、タイキシャトル、ニシノフラワー |
ヴァルゴ杯 | 2022/9/14~9/20 | 大井ダート2000 | JBCクラシック、帝王賞※1、ジャパンダートダービー※1 | 全脚質 | クリオグリ、コパノリッキー、新スマートファルコン、アグネスデジタル、イナリワン |
ライブラ杯 | 2022/10/14~10/20 | 阪神芝1600 | 桜花賞※1、朝日杯FS※1、阪神JF※1、マイルCS※2 | 先行、追クリオグリ | クリオグリ、タイキシャトル、ニシノフラワー |
スコーピオ杯 | 2022/11/13~11/19 | 京都芝2200 | エリザベス女王杯 | 先行、追込 | クリオグリ、秋タマモクロス、ハロウィンドトウ、ユキノビジン |
環境の変遷
チャンピオンズミーティングの環境は、特定のキャラ・サポートの実装によって大きく変化する。ここでは、対人戦の環境を一変させた歴史のターニングポイントを振り返る。
「ゴルシゲー」と揶揄された初期環境
2021年5月に満を持して開かれた第1回チャンピオンズミーティングのタウラス杯は、日本ダービーをモデルとした東京芝2400mのレース。
しかしいざ開催されると、中盤から位置上げを行える追込ウマ娘のゴールドシップが明らかに強いことが判明。誰でも入手できる☆2キャラのため誰も彼もがゴルシを採用した結果、ゴルシ3人が後方からぶっこんでくるレースが多発する。
この惨状は天皇賞(春)をモデルとした6月のジェミニ杯でさらに顕著になる。
距離が3200mまで伸びたことで、最高速度の高い追込の優位性が増加。大部分のプレイヤーが☆3のナリタタイシンと並んでゴルシを採用し、勝つのもゴルシが圧倒的に多く、1位から3位までをゴルシが独占することもしょっちゅうであった。
こうしてチャンピオンズミーティングは「ゴルシゲー」と揶揄されることになり、「ゴルシゲー」がツイッターでトレンド入りしたほか、「はいはいゴルシゴルシ」などのつぶやきが流行した。
一方、他のウマ娘を弱体化させる「デバッファー」の開拓も行われ、強力なデバフスキルを2つ持つナイスネイチャをエースではなくデバフ専用に育成した「デバフネイチャ」などが流行した。
ルームマッチの普及、メタゲームと化したキャンサー杯
7月のキャンサー杯は安田記念がモデルのマイル戦であり、加えてルームマッチ実装により研究が重なった結果、ゴルシの使用率は落ち着くことになった。
当初は唯一無二の固有スキル「アングリング×スキーミング」をもつセイウンスカイの独壇場になるかと思われたが、スマートファルコンなどの逃げウマで「蓋」をすることによりアンスキの発動を妨害できることや、豪脚・乗り換え上手・ライアン固有などといった終盤加速スキルを積んだ差し・追込ウマ(筆頭格はグラスワンダーとウオッカ)ならアンスキを発動した逃げウマを差し切れることが判明し、混戦模様になっていく。
最終的には先行のエルコンドルパサーが優勢となるも、エルコンを出す場合は逃げウマが固有発動の邪魔になるため逃げウマ0編成が増加→無対策の編成に対してセイウンスカイが逆襲……と、まるでジャンケンのようなメタゲームが成立。多彩な顔ぶれが見られたことから、面白いという好評意見が多数あがった。
「水マル」登場、逃げの時代
しかし、8月のレオ杯では、新キャラの水着マルゼンスキー(通称水マル)にアンスキを継承させると手がつけられないほど強いことが早々に判明。
先頭を取らせない対策ができたセイウンスカイとは異なり、レース中間地点から固有スキルで自動的に先頭に上がっていく水着マルゼンスキーに対しては逃げウマで蓋をしても有効な対策にならない。そのため、相手に水着マルゼンスキーが出てきた場合、終盤は独走を眺めるしかないレースが多数を占め、今度は水マルゲーと揶揄されてしまった。
8月下旬には新シナリオ「アオハル杯」が実装。パワーライスや樫本理子など強力なサポートが登場しステータスは大きくインフレしたが、レースシステムへの調整は入らず、9月のヴァルゴ杯でも全体のレベルが上がっただけで特に大きな力関係は変わらなかった。
例外的に11月のスコーピオ杯は有効加速の幅が広く混戦となるなどしたが、やはり逃げというか水マルの圧倒的優位は変わらず。対抗バの登場は翌年2月を待つことになる。
安定の追込一強、長距離
水マルがマイル・中距離を牛耳る一方、長距離戦となった10月のライブラ杯や12月のサジタリウス杯では「直線一気」の使える追込環境が続いており、おなじみの顔ぶれにも新しく登場したマンハッタンカフェやタマモクロスが仲間入りを果たした。性能面だけで考えればゴールドシップを出走メンバーから外す理由はほとんどないので、ゴルシ3体が並んで後ろから追いかけてくるという第1回のタウラス杯から何も変わらない光景が今回も繰り返されることとなった。
12月に登場したクリスマスオグリキャップもサジタリウス杯では一応活躍したものの、後方から猛烈に迫る追込に抜かれてしまうことも多々あった。当時からそのポテンシャルについて予想するユーザーもいたが、後に「クリオグリ」と呼ばれるこのキャラクターが猛威を振るうのはもう少し後の話である。
翌年3月のピスケス杯においては、追込以外では唯一終盤最速加速を打てる期待の新星キタサンブラックが新登場し、長距離環境における逃げ脚質の可能性を提示した。
イレギュラーな条件続き、手探りの環境開拓
年が変わって2022年、1月と2月はこれまで全く開催していなかった短距離及びダートでの開催となった。詳しい環境が読めない中ルームマッチでの研究がいっそう重ねられ、YoutubeやSNSにてさまざまな情報が飛び交った。
1月のカプリコーン杯は初の短距離戦。星2以下で芝短距離Aなのは我らがバクシンオーを含む2人だけと少なく、通常オグリやカレンチャンなど有効な星3キャラを持たないトレーナーは苦戦を強いられた。
しかもよりにもよって終盤にコーナーが存在しない中京芝1200mが選ばれたために、今まで猛威を振るっていたアンスキなどの固有が軒並み発動しない事態に陥り逃げ環境が崩壊。代わって先行が覇権を握り、有効加速の択が少ない中で本来短距離適性の無い通常エルやマミークリークの固有スキルに注目が集まった。
2月のアクエリアス杯は初のダートチャンミとなり、☆2以下はそもそも初期適性がバ場・距離共にAのキャラが存在しないという前回以上の持ち物検査に。
そんな中、やはり強力なレアスキル・固有スキルを持つ通常オグリや水マル・ファル子・デジタルといった限られたウマ娘達が活躍することとなった。
迫る新時代の足音、「大逃げ」予告への不安
アクエリアス杯に向けての準備が進む中、1月末に新キャラとしてバレンタインミホノブルボン(通称チョコボン)が実装。水マルより他ウマとの継承相性が良く、かつ水マルに比肩するほどにあからさまに逃げ用の強スキルを揃えたその姿はポケモンにおけるガブリアスにも例えられるほどで、逃げ自体が強い当時の環境では必ず猛威を振るうであろうことが予想されていた。
実際、直後のアクエリアス杯ではダート適性Gにもかかわらず魔改造して採用するトレーナーが現れたほどであった。
しかし、その後一部のウマ娘が使える新たな脚質「大逃げ」が2月に登場することが予告され、トレーナー界隈は騒然となった。大逃げが登場するとアンスキの発動条件である1位を逃げが満たせなくなる可能性が高く、当時逃げ脚質の強さを保っていたのはアンスキただ1つで、それを封じられると勝ち目がないのはカプリコーン杯で学んだばかり。今後は大逃げが主流になる可能性すらある。
大規模アプデ自体は既に1月に公式から予告があったものの、詳細情報も(主に解析情報によって)ある程度噂されていたため、チョコボンをあえて引かずにサイレンススズカの強化やいずれ実装されるであろうメジロパーマー・ツインターボらの登場に期待する者もいた。
そしてその予想は、思わぬ形で覆されることになった。
満を持してのバランス調整、メイクラ環境へ突入
2022年2月24日、ゲームウマ娘が1周年を迎え、大規模アップデートが行われた。その中には当然予告されていた「大逃げ」に関するものも含まれていたが、その内容が問題だった。
「大逃げ」を取得するには、一部のウマ娘(当時はサイレンススズカのみ)で育成中特定のレースを勝利し専用のイベントを発生させる必要がある。しかし、そのイベントは新シナリオ「Make a new track!!(通称メイクラ)」では発生しない。メイクラシナリオはかなりインフレが進んでおり従来のアオハル杯で育てるよりも遥かに強いウマ娘を育成できるため、大逃げ取得のためにアオハル杯で育成しても、結局ステータス差で終盤前に逃げに抜かれ、アンスキを出されて負けてしまうというオチであった。
そもそも大逃げはスタミナ消費量が尋常ではないため並のトレーナーが気安く扱える戦法ではなく、現在も主流にはなっていない。そのためチョコボンはその後も一線級で活躍し続けていた…のだが(詳しくは後述)。
このアップデートでは他にも様々な点に仕様変更が入ったり、新要素が登場するなどした。環境全般に関わる主なものを挙げると、
- レースに新システム「追い比べ」「位置取り争い」が追加され、根性ステータスの重要性が増加。逃げを中心に、のちの根性育成の流行が後押しされる
- スキル「ノンストップガール/垂れウマ回避」の発動条件が緩和。逃げ以下は脚質関係なく終盤最速で加速スキルを発動させることが可能に。一方、「乗り換え上手」「真っ向勝負」などの終盤ランダム発動スキルは(短距離戦を除き)軒並み使われなくなる
- 逃げ専用スキル「先手必勝/先駆け」が、レース開始直後発動可能な強スキルに。先手必勝が確定入手できる配布賢さSSRブルボンの価値が急上昇
- 新パッシブレアスキル「良バ場の鬼」が、スピードの上限1200を実質的に突破するスキルとして有効視。SSRトプロ自体がメイクラ環境で超強力なことも相まって、以降の良バ場開催チャンミでは必須となる
- スタミナ回復効果を持つスーパークリーク固有・ヒーラーグラスワンダー固有の回復量が増加。長距離レースを中心に継承固有としてもお得な有効択に
などが挙げられる。
また、メイクラシナリオでは仕様上スタミナが勝手にある程度上がってしまうことから長距離以外ではスタミナデバフはあまり意味を成さなくなり、これまでよく使われていた「魅惑のささやき」「八方にらみ」などはひっそりと環境から姿を消した。一方スピードデバフは健在で、主に「独占力」が使える中距離レースではデバフ専用ウマ娘の採用も見られた。
メイクラ環境が主流となって以降もインフレは続き、3月に実装されたグループサポカ「チーム<シリウス>」の配布に始まり、4月の根性バンブー、5月の賢さシービー、とどめに6月の新グループサポカ「玉座に集いし者たち(通称玉座)」が実装。特に玉座は根性育成では上がりにくいスタミナと賢さを自動的に上げてくれる使い勝手の良いサポートとして、インフレを加速させた。
クリオグリ覚醒!「逃げ2+クリオグリ」の時代へ
12月に登場したクリスマスオグリキャップ(通称クリオグリ)だが、実装からここまで本来の実力を発揮できるはずの中距離レースは行われずにいた。しかし、4月のアリエス杯が中山2000mで開催されたことでついに覚醒。順位条件の無い唯一無二の最強スキルで存分に暴れまわることになる。
その惨状は前年のゴルシや水マルとは比べ物にならないほどで、「クリオグリゲー」どころか、極限まで強くしたクリオグリの完成度を競う「クリオグリ品評会」と揶揄されるまでになる。
マイル中距離ではこれに対抗できるのは逃げしかいないのだが、その逃げもアンスキを搭載した水マルとチョコボンの2強。逃げは逃げ同士で競り合うほど後続を引き離せるため、できることならこの2体を自前で同時に出走させるのが望ましい。
つまりどうなるかというと、編成をクリオグリ・水マル・チョコボンの3体で固めたトレーナーが大量発生することになってしまった。クリオグリゲーどころか、「クリオグリ水マルチョコボンゲー」である。これらは全員☆3キャラであるため、1人でも未所持キャラがいるトレーナーは泣き寝入りするほかなかった。
一応クリオグリは中距離の一部レースでしか最大効果を発揮できないため、その場合はクリオグリの枠が差しに代わることもあった。しかしその場合でも前の逃げ2体は不動の石のように変わらなかった。
この環境は5月のタウラス杯、6月のジェミニ杯、7月のキャンサー杯とかなり長く続いた。
一方、8月のレオ杯は短距離で開催。アプデで大きく変わったタイキシャトル固有、新登場のニシノフラワー固有が継承加速として2強を張り合い、1月のカプリコーン杯と同様の先行一強環境を加速させた。
グラライ実装、上限突破とデバフ黄金時代
2022年8月、新シナリオ「私たちのグランドライブ(通称グラライ)」が実装されると同時に、従来のステータス上限1200が突破できるようになった。上がり幅はシナリオごとに設定されており、特にグラライシナリオではスピードの上限が他シナリオよりも大きく解放されたため、現在はこちらがチャンミ育成の主流になっている(これにより「良バ場の鬼」の価値は大きく下がった)。
グラライシナリオの特徴として、深刻なスタミナ不足がある。メイクラでは何もしなくても上がっていたスタミナ値がさほど上がらなくなった上に、スピードの最高値が上がったことでスタミナの消費が激しくなったためだ。これ以降は中距離以下においても、サポートや因子・回復スキルでスタミナを補強することが必要になった。
これに呼応するように復活したのがスタミナデバフ役のウマ娘。複数体いればギリギリのスタミナ構築をしている相手を沈ませることが再び可能になった。実は8月に実装された水着ゴールドシップの継承固有スキルを活用することでスキル構築次第ではレース条件を無視して好きなデバフスキルを1つ発動させることが可能になっており、デバフ育成の自由度はかなり上がっている。
こうした変化によってますます強力になったのは、前から最強ウマ娘であったクリオグリである。もともとクリオグリの弱みは回復スキルを3つ以上取得することによる回復過剰とスキルpt不足だったのだが、スタミナが盛りにくい環境では自前回復スキルの多さはむしろ強みとなる。さらに、クリオグリは固有スキルで速度・加速度が上がるだけでなくなぜか金回復に準ずるレベルの回復効果まで付いてくるため、スタミナデバフが多数飛んでくる環境では圧倒的に優位となる。そしてシナリオで獲得できるスキルpt自体も増加したため、クリオグリ唯一の弱みはほぼ消滅したのである。
一方、7月実装のサポートカードSSRマルゼンスキーがグラライで最強格に君臨したことにより、水マルはチョコボンとの逃げトップ争いで一歩後退することとなった。
一方のチョコボンもグラライ実装により大幅な強化を受けた自身のサポカを使えない上にスズカが大逃げとステータスを両立できるようになったため、少々立場が危うくなっている。
9月のヴァルゴ杯は大井ダート2000で開催されたが、この条件で走れるウマ娘は非常に少ない。星1や星2のキャラで中距離とダートの適性が最初からAのウマ娘はおらず、因子で確実に補えるのもエルコンドルパサーだけなので、初心者のプレイヤーにとっては普通に走れるウマ娘を3体用意することすら困難だったと思われる。
そんななかで大会を支配したのは当然クリオグリ。一応コパノリッキーをはじめとする新キャラ達が対抗馬として浮上はしたものの、基本的にはクリオグリ一強の環境であった。
クリオグリ無間地獄+α
10月のライブラ杯はマイルでの開催。この大会では距離の問題もあり(詳細は後述)流石にクリオグリ一強とはならなかった(とはいえ相変わらず強力ではあったが)…のだが、様々な要因が絡み合った結果あらゆる脚質が価値を狙える大波乱の環境となった。
逃げはグラライシナリオで大幅に強化がされた大逃げスズカが流行。大逃げ持ちが複数人同時に出走してしまい共倒れとなる危険性はあったものの、水マルやチョコボン、通常スカイなどと言った逃げのトップメタを潰せるため人気が高かった。先行はニシノ及びタイキが安定して強く、特にタイキはレジェンドレースでの入手も可能であったため人気を博した。
差しは相も変わらずデバフ兼ワンチャンの爆発力に賭けてネイチャやドーベルを筆頭に様々なウマ娘が活躍していたほか、グラスやウオッカが入手性や育成の容易さから比較的多く見受けられた。そして追込だがなんとここでクリオグリがトップメタとして君臨。素の適性がDであることに加え、スリーセブンに代わる固有のトリガーとなるスキル「下校の楽しみ」の入手手段が困難であるため育成難易度は非常に高かったが、下手な先行クリオグリよりも高い爆発力を持っていたため心血を注いで追込改造を施すプレイヤーが続出した。
本大会から新要素として決勝戦後にライブ「Ms.VICTORIA」が実装された。
11月のスコーピオ杯は京都芝2200。残念ながら今回はまたもクリオグリ一強の環境であり、タキオン継承固有とスリーセブンで固有を起動させる先行クリオグリと、スリーセブンと下校の楽しみで起動させる追込クリオグリが大活躍。特に後者の固有有効発動率は驚異の97%であり、対戦相手にはこれを防ぐ手段は一切存在しない。
この環境ではあまりにもクリオグリしか勝たないので、クリオグリを所持しているトレーナーにとっては他のウマ娘をエースとして出す意味がなくなってしまった。そこで、水着ゴルシの固有を継承したデバフ専用キャラ2体をクリオグリと一緒に出すことが流行。その結果、固有スキルに回復効果が付いており金回復スキルも自前で持っているクリオグリ以外のウマ娘はスタミナ切れを起こすようになり、ますますクリオグリゲーが加速する悪循環に陥る。
上位のトレーナーたちのあいだでは「クリオグリ+デバフ2」が基本形となっており、クリオグリ3体とデバフ特化の捨て駒6体によるレースが頻発して地獄絵図と評されている。
また、クリオグリを所持していない場合でもある程度勝ちを見込めるウマ娘は何人かいた…のだが、よりにもよって先行脚質だらけであり、最終的な環境は先行過多の大渋滞となってしまった。以前の先行不遇時代に比べればある程度状況は改善してはいたが。
「Ms.VICTORIA」の方は仕様変更で一回見ていれば強制スキップになった。
環境上位のウマ娘達
大会ごとに条件が変わるので顔ぶれも変わるはずなのだが、どのレース場にも現れ環境を席巻し続けるウマ娘が存在する。
○○にあらずんばウマ娘にあらず
クリスマスオグリキャップ
「クリオグリ」の通称でチャンピオンズミーティングでは特に恐れられているウマ娘。
速度が上がるだけの固有スキルを持つウマ娘が大部分というなかで、なぜか速度+加速+回復の三拍子揃ったぶっ壊れ固有を持つ芦毛の怪物。
しかも、発動条件は「回復スキル3回発動」と非常に簡単である。
これだけでも十分強いのに、なんと取得する回復スキルの選択によって発動位置を調整できてしまう。さらに、残り777mで発動する回復スキル「スリーセブン」を自前で持っているため、これを3回目の回復スキルとして採用することで、2000~2500mのレースで確実な終盤加速ができる。特に2000~2200mでは終盤接続&最速加速の両方ができるので、無類の強さを誇る。
その他の距離帯でも、レース場の特徴にあわせて「下校の楽しみ」などの回復スキルを覚えることで中距離と同じような活用が可能である。
要するに、終盤突入時に加速スキルと接続速度スキルを出せるかどうかが最も重要なこのゲームにおいて「ぶっ壊れ固有を極めて都合の良いタイミングで発動できる」、しかも「固有の発動条件が自己完結していて順位条件等がないので他のウマ娘が干渉することは一切できない」という、どう考えてもチートとしか言いようがない性能を持つ。
さらに、短距離から長距離まで芝でもダートでもすべてのレースを走ることができる適性を有し、脚質も先行・差し・追込と幅広く対応できるので環境にあわせて強い作戦を選べるという圧倒的な汎用性がある。
また、今後新しい発動条件の回復スキルが追加されるたびに固有発動ポイントの選択肢が広がるため、将来的には短距離や長距離でも終盤速度接続&最速加速を安定させられるようになるかもしれないという無限の可能性を秘めている。
もともと、通常版のオグリも固有スキル「勝利の鼓動」が速度および条件の両面でウオッカの上位互換になっているなど、ウマ娘のゲームはオグリキャップを性能面で優遇している節があり、クリオグリも意図的に強キャラとして実装したものと思われる。オグリキャップは国民的なアイドルホースであったことから、オグリキャップやそのライバルたちを強めの性能で実装することは他の競馬ゲームでも一般的であり、この点に関してはウマ娘だけの問題とは言い難い。
このような事情により、クリオグリのナーフやチャンミ出禁を求める声も高まっており、さすがの運営も少しは危機感を感じたのか対応策として賢さSSRオグリキャップという新サポートカードを実装したが焼け石に水でしかなかった。
かつて3強と呼ばれたもの
クリオグリ以外ではこの2人が槍玉に上がりやすい。
共通するのはバ場・距離の適性が広いことで、どんなレースでも走ることができる。
もちろん大会に応じて3強の勢力が弱まったり他のウマ娘が台頭することもあるが、姿を消すまではいかないのが彼女たちの恐ろしさである。
…が、2022年11月現在、前述の通りグラライの実装による環境の変化やシナリオリンクによるブルボンサポカの強化、SSRマルゼンの実装などがあり、クリオグリ以外の2人は若干大人しくなった。
水着マルゼンスキー
通称「水マル」。
レオ杯でデビューして以来、ライブラ杯を除く全ての大会でハッスルする猛者。
その強さたるや、通常衣装の固有が最大限に活かせるはずのレオ杯でも水着で駆け抜けるレベルである。
史実では1800m以下しか走ったことがないにもかかわらず、なぜか中距離B・長距離Cという適性が設定されているので、どの距離でも活躍することができる。
追込が強い長距離は流石に苦手だが、キタサンブラックの実装以降長距離でも逃げが評価されるようになり、逃げ優勢の環境を作り上げる要因になっている。
継承相性が悪く、地固めやコツも持ってないので育成のハードルが非常に高いが、完成さえすればチョコボンや府中のアイネスも寄せ付けないバッチグーなお姉さんに。
バレンタインミホノブルボン
通称「チョコボン」。
固有も速度+回復と強力だがそれ以上に自前でコンセ・地固め・コツを持っているので(ただし先手必勝の入手手段には自身の賢さSSRサポカを使えないこともあり乏しい)お手軽に強い逃げウマ娘を育てられる上にダート以外の適性補完も容易。スキルが最初から揃っているので初期適性Gのダートでの起用も見られるほど逃げウマ娘の育成は修羅であり、チョコボンのアドバンテージは大きい。
ただ、固有の発動タイミングが早すぎることも多く完成した水着マルゼンスキーに競り負けやすい……が、逃げは競り合うことでどんどん前に行くので結局水着マルゼンスキーと同時に走らせるトレーナーも多い。
ちなみに、「地固めを自力で覚えるので地固め因子のための周回がしやすい」「他の逃げウマ娘への継承相性がいずれも高い」といった事情から、固有スキル以外を目当てにした継承要員としての適性も高い。誰が言ったか「逃げウマ娘のスターターデッキ」。
メジャーなウマ娘
3強ほど圧倒的ではないものの、噛み合ったコースにおいては有力なウマ娘たち。
オグリキャップ
クリスマス版が中~長距離向けなのに対して、通常版はマイル以下で強力。
固有スキルが「残り200mで速度が『すごく上がる』」スキルということでどんなコースでも発動できるが、特にマイル以下だと速度アップを余すことなく利用できる。
適正もクリスマス版同様に広く、短距離に改造しても強い。
ゴールドシップ
中・長距離A、マイルCと脚質が広いのも優秀だが、最大の強みは固有スキルがどんなコースでも有効に使える中盤速度スキルという点。
追込Aの上に覚醒スキルで金回復スキルを持参するため中~長距離に対して強く、特に追込有利の傾向の傾向が強い長距離はゴルシの独壇場になりやすい。マイル適正もCと低くないため、スキル構成次第ではマイルでも普通に戦える。
逆に前方脚質が有利では苦戦しがちで、そういった意味では前方脚質寄りの3強には相性はあまり良くない。
が、それでも採用率の高い理由はゴルシが☆2、すなわち無課金でも入手難易度が低い(というか確定入手枠)ウマ娘なことが大きく、特に3強不在だった初期のチャンピオンズミーティングはゴルシゲー呼ばわりされるレベルにゴルシだらけの環境に。
デバフ用ウマ娘
デバフスキルに特化したデバフ専用機としてよく出てくるウマ娘。エースを勝たせるための捨て駒として活用される。
ナイスネイチャ
通称デバフネイチャ。自前で「魅惑のささやき」「八方にらみ」「差しためらい」を所持しており、スタミナデバフとして使うには最も都合が良い性能をしている。
チャンピオンズミーティングでナイスネイチャが出てきたら9割以上がこのデバフ型である。
シンボリルドルフ
自前で「独占力」を所持しており、速度デバフとして活用できる。
初期はエースとしての活躍が多かったが、現在ではデバフ型が大部分となっている。
グラスワンダー
自前で「独占力」を所持しており、速度デバフとして活用できる。
ルドルフと同じく、初期はエースとしての活躍が多かったが、現在ではデバフ型が大部分となっている。
因子継承の親としての採用率が高いウマ娘
セイウンスカイ
実装以来チャンピオンズミーティング環境を一変させたウマ娘。
固有スキル「アングリング×スキーミング」(通称アンスキ)が「終盤コーナーで先頭にいると発動する加速スキル」ということでマイル~中距離ではほぼ確実に最速発動する終盤加速スキルとして猛威を振るう。
そのため、すべての逃げウマ娘はいかに継承アンスキを発動させるかを競っている、アンスキの有効度合いで逃げウマ娘の環境での強弱が決まるといっても過言ではない。
一方で短距離だと一部コースでは発動しなかったり、長距離だと最速発動せず本領発揮できないといったこともあるため、マイル~中距離に比べれば大人しめ。
……なのだが、逃げ脚質が少ないor弱いことを見込んで、長距離レースで先行脚質が継承アンスキを狙ってくるケースもあるので油断ならない。
なお、本人の方も「距離適正が比較的広い(中・長距離A、マイルC)」「覚醒スキルで逃げ用中盤金速度スキル『脱出術』を覚える」といった事情から決して弱くはなく、特に実装直後のキャンサー杯では他の逃げ脚質の選択肢が今より少なかったのもありトップメタとして環境を振り回した。
……が、その後の水着マルゼンスキーといった固有スキルが中盤速度スキルのウマ娘の増加や「脱出術」を覚える手段の増加に伴い、本人を見る機会は減少。このあたりはまるで古馬になってからはさっぱりだった元馬のようである。
メジロライアン
一言で言えば後方脚質版セイウンスカイ。
固有スキル「レッツ!アナボリック!」(通称アナボ)が「終盤コーナーで6位(チャンピオンズミーティング時)で発動する加速スキル」ということで上記セイウンスカイ同様猛威を振るう……と言いたいところだが、順位指定があまりにも厳しいため、狙って発動させるのはアンスキに比べるとかなり高い。
そのため、実際の運用としては「環境での逃げ・先行ウマ娘の数を想定してチームを編成して6位を狙いに行く」といったテクニカルな運用か、「チーム編成を後方脚質3人で固めて誰かが6位になることを狙う」といったガチャ運用にならざるを得ない。
逆に言えば決まってしまえばレースを破壊できるスペックを秘めているとも言え、前方脚質での安定性を狙えないトレーナーは今日もアナボガチャに掛けるのであった。
なお、本人の方は覚醒スキルが微妙に噛み合わないということもあって、見かける機会はあまり多くない。一応☆1なので無課金でも用意できるワンチャン枠としては優秀な部類なのだが……。
マルゼンスキー
固有スキルが「最終コーナー以降に5位以上で発動する加速スキル」ということで発動はしやすいが、発動しやすすぎて終盤突入前に発動してしまい無駄撃ちとなることも多いことから、終盤開始地点が最終コーナー入ってすぐにあるコースでは逃げ~先行にとって有力な加速スキルとなる。
……が、実は発動条件の都合上最終直線で5位に上がるといった形でも発動することから、差し~追込の後方脚質に継承させた上で垂れてくる先行勢をかわした直後にわざと遅らせて発動といったことが狙えるため、後方脚質向け加速スキルとしての需要を合わせると実は継承固有としての採用率は結構高い。
特に先述したアナボ(6位条件)で加速→追い抜いて(5位)本継承スキルでさらに加速、とすることができるため、決まったときの高い爆発力は随一。
なお、本人の方は水着版が強すぎるため、こちらの固有が十分に生きるレースでもあまり出てこない。不憫。
水着ゴールドシップ
本人はデバフレアスキルを自前で所持しておらず、固有スキルの効果が博打すぎるため安定した活躍が全く望めないが、自前でデバフレアスキルを持つウマ娘に固有を継承させ、レアスキルを発動させたいデバフスキルだけ(あるいは追加で緑金スキル)にして専業デバッファーとして活躍させることができる。
実際直後のレオ杯(中山1200m)では「独占力」を積んだグラスや会長などがそれなりに出走していた。
SSRサポートカードから得られるレアスキルはゴールドシチーの「慧眼」とマンハッタンカフェの「スタミナグリード」しかないが、今後デバフのレアスキル持ちのSSRサポカが増えたらゴルシ本人の出番も増えると思われる。
デバッファーの隆盛を支えるウマ娘であり、ある意味ゴルシゲーの側面を担っているかもしれない。
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