イルカマンは
変身して 帰ってきた!
基本データ
各言語版での名称
言語 | 名称 |
---|---|
日本語 | マイティフォルム |
英語 | Hero Form |
ドイツ語 | Heldenform |
スペイン語 | Forma Heroica |
フランス語 | Forme Super |
イタリア語 | Forma Possente |
韓国語 | 마이티폼 |
中国語(簡体字) | 全能形态 |
中国語(繁体字) | 全能形態 |
概要を見ろ!ピジョンだ!ガブリアスだ!いいや、イルカマンだっ!!
「マイティフォルム」とは、ポケットモンスターに登場するイルカマンのフォルムチェンジした姿。
チェンジする前のイルカマンは、胸にハートマークがついた点以外、ナミイルカと姿が全く変わっておらず、「これの何処が進化なんだ?」と思ったプレイヤーも多かっただろう。
しかし仲間がピンチに陥ったり、エコーロケーションで誰かの困った気持ちをキャッチすると、特性の「マイティチェンジ」が発動。
元のナイーブフォルムと呼ばれる形態から、イルカマンの真の姿とも言えるこの形態へと変身するのである。
その姿は愛らしかった元の姿から、アメコミのスーパーヒーローを想起させる筋肉ムキムキな姿に変わり、元の面影はほとんど無い。分類も「イルカポケモン」から「ヒーローポケモン」へと変更される。
SVの図鑑登録システムの都合上、登録演出でこの姿を見てしまい、混乱したプレイヤーも少なくなかった模様。
このどうしてこうなったと言わんばかりの変化は、イルカマンに眠る太古の遺伝子が覚醒することで起こる現象らしい。メガストーンもなしにこの超変化を起こすイルカマンが、いかに特異な種族であるかが窺い知れる。
性格はヒーローらしく、ピンチに陥った仲間や溺れたポケモンや人を救う正義感の強いポケモンで、50ノットの速さで海を泳ぎ、片ヒレ一つでクルーズ船を持ち上げるパワーを持っている。
紺色ボディを覆う水色の部分は、ナミイルカ時代から付けていた粘水のリングが変化したもので、大幅に強度・弾力を増したうえ伸縮自在という頼もしい武装。
尾ビレのリングは分け与えて溺れた者を救う浮き輪や簡易ボートに出来、両目を覆う「水泡レンズ」は視力を上昇させ数十キロ先のものを見渡せる程。
人間の手のような「水泡グローブ」を飛ばす必殺「ジェットパンチ」の威力は絶大で、グローブの下には3対の噴気孔が付いたイルカらしいヒレが隠れている。
更に背中の噴気孔から水を噴き出す勢いで自在に空を飛ぶ事もでき、スーパージャンプや空中の姿勢制御にも活かして、尾ビレの脳天キックを叩き込む戦法は強烈。
ポケモンカードゲームにおいては蹴り技も設定されており、その名も「ジャスティスキック」。威力はなんと210もある。
胸の赤い部分もただの模様ではなく、テンションやコンディションに応じて発光する。同時にイルカマンの急所でもあり、そこを突かれる等で弱ると、何とウルトラマンのカラータイマーそのものな音と共に点滅。
だがその状態からでも、皆の応援の気持ちをキャッチする事で元気を取り戻し、また闘えるようになるという、まさしくヒーローの如しハイスペックなポケモン。
なお実際にフォルムチェンジする瞬間の目撃例は"無い"と言われるほど乏しく、イルカマン自身誰にも見せようとしない。その為、中には「本当に同一のポケモンか」疑う声すらあるという。
個体数も少ないのか、マリナードタウンの港にある記念撮影用の顔出し看板にはナミイルカとセットで描かれていながら、近くの旅行者はナミイルカの進化系とは気付けなかった。
一方、こうしたヒロイックさに惚れ込み熱烈なファンとなる人間やポケモンも少なくなく、スクールのボタンの部屋にはマイティフォルムのポスターが飾ってある。
なおイルカマンはオスメス両方いるのだが、メスのイルカマンも当然が如くこの姿になる。
色違いは青い部分が黒くなっており、まさしくダークヒーロー然としている。
能力
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ナイーブ | 100 | 70 | 72 | 53 | 62 | 100 | 457 |
マイティ | 100 | 160 | 97 | 106 | 87 | 100 | 650 |
変化 | 0 | +90 | +25 | +53 | +25 | 0 | +193 |
手持ちに戻すとナイーブフォルムから変化。
フォルムチェンジをしたのは伊達ではなく、素早さとHPはそのままに、攻撃と特攻が大幅に上昇。防御と特防もそこそこの数値にまで引き上げられる。
なお、見た目や覚える技と裏腹にかくとうタイプは追加されない。
攻撃の値は今作に登場するポケモンでは一位タイであり、ときはなたれしフーパやケッキングやレジギガスと同格で、白バドレックスに次ぐ高さである。みずタイプの超高火力物理アタッカーとして、マリルリ (ちからもち)、キングラー (ちからずく)、シザリガー (てきおうりょく)、オニシズクモ (すいほう)、メガギャラドス、ゲンシカイオーガなどに引けを取らない攻撃力になっている。
この姿に変化するためには1ターン消費する必要があるが、始動は手持ちに帰還する「クイックターン」を使用すると良い。ひんしになるかバトル終了までずっとこの形態を維持してくれるので変身後に交代しても問題ない。
専用技としてみずタイプの先制技である「ジェットパンチ」を覚えることができ、性能面から「アクアジェット」と切り替えるのがオススメ。
物理攻撃の値が高いだけあって、メインウェポンには「たきのぼり」「アクアブレイク」「ウェーブタックル」が挙げられる。
サブウェポンも「インファイト」「れいとうパンチ」「ドレインパンチ」「アイアンヘッド」「げきりん」「しねんのずつき」など多種多様なタイプのものが揃う。
特攻の値も高く、「なみのり」「ハイドロポンプ」「れいとうビーム」「ばくおんぱ」「はどうだん」「きあいだま」「くさむすび」などを習得するが、物理技と比べてレパートリーは少なめ。かなり似合っている技の「しおふき」も覚えない(ハルクジラ系統も現状覚えられないので、今作では覚えさせる術がないだけなのかもしれない)。
ちなみに「ドレインキッス」も習得できる。
変化技は「ちょうはつ」、「アンコール」、「あまえる」、「ビルドアップ」を覚える。特に「ちょうはつ」、「アンコール」は積み技で崩しや要塞化を図る相手への対策となるので有用。
持ち物は生命線の「クイックターン」を速やかに発動できるようにしてくれる「こだわりスカーフ」が第一候補。相手の「いかく」や自身の「インファイト」を交代に変換できるようにしてくれる「だっしゅつパック」も優秀で、その場合は手ぶらになることを活かせる「アクロバット」と組み合わせても良さそうである。パワーは十分ある上にスピードもそこそこなので「パンチグローブ」で事故を防ぐ型もある。
弱点はその変身条件。ナイーブフォルムのままでは攻撃種族値70と貧弱なので、フォルムチェンジはほぼ必須。しかしフォルムチェンジするまでの流れや戦法がほぼ一本化されてしまっているため、行動が極めて読まれやすく、その隙を突かれて相手にいいようにされてしまう可能性が高い。
素早さも高い方だが突出しているわけではないため、交代技を使う前に攻撃されて大ダメージを受ける場合もある。映像の特撮ヒーローとは違って、相手はこちらの変身を悠長に待ってはくれないのである。
耐久もそこそこあるので、いっそのことパワーとスピードを削って耐久に努力値を厚く振り、「たべのこし」「ビルドアップ」型として育てるのも1つの手。その場合、「クイックターン」は切らざるを得ないかもしれない。元々そこそこの威力の先制技である「ジェットパンチ」を覚えるため、素早さを削っても型によっては問題が無かったりする。
中にはイルカマン=引っ込めるの印象を逆手に取ってあえて居座ってちょうはつやひやみず、こごえるかぜなどで起点を作ったり、タスキを待たせてカウンターをする型をする人もちらほらいたり…。
また、交代しないと変身出来ないという仕様上、レイド適性はかなり限定的。
基本的には他のポケモンを使った方がいいのだが、ひやみず・あまえる・ちょうはつ・なげつけるの全てを覚え、変身せずとも最低限の物理耐久があり、素早さも高い…というニッチな需要から、レイド上級者がカイリュー対策としてナイーブフォルムで採用するケースがある。
持ち前の素早さで先手を打ってちょうはつを掛けりゅうのまいを阻止し、あまえるとひやみずで火力を徹底的に落とし、バリアを張られたらかえんだまを投げつけてバリア越しでやけどにするという運用である。
味方を守る効果は絶大だが、ただでさえギリギリの耐久を自らかえんだまで落としてしまうため扱いは難しい。並のトレーナーでは手出し厳禁である。
ランクバトル開始早々独特の需要を得ており、受けループにおける「こだわりハチマキ」スイーパーとしての活躍が主体。シーズン1では使用率29位を記録し、何だかんだマイナーではない模様。
パラドックスポケモンが解禁されたシリーズ2においては「ジェットパンチ」でハバタクカミを縛れる枠として一定の需要を保った。
シーズン4辺りからそれなりに高い特攻を活かせるヘイラッシャ対策の「くさむすび」を搭載した型が散見されるようになった。ラウドボーンやキョジオーン、ドオーが単純に単タイプとして優秀なみずテラスタルを選択することがあるが、それらがテラスタルを切った際に結果的に「くさむすび」が刺さることも。
シリーズ3では四災に全体的に強い枠として立場を保ち、このシリーズでは四災や苦手なドラゴンに強気に出られるフェアリーテラスタル「テラバースト」型が一定数使われる。
シーズン6になると「クイックターン」を不採用としたいじっぱりHAS「ビルドアップ」「みがわり」型が上位層で使われるようになった。
シリーズ4になると、解禁早々爆発的に増加したれんげきウーラオスに打点を持てるでんき、くさ「テラバースト」型が散見されるように。しかしみずの俊足アタッカーとしての需要そのものをれんげきウーラオスに奪われる事態となり、使用率自体は低迷。元々やることがバレバレなので、この頃になると対処法も浸透してしまっていた。
ダブルバトルでは1ターンに味方が2体動く都合上1ターンの内にマイティフォルムを降臨させやすく、交代技や「だっしゅつボタン」、「だっしゅパック」などを駆使してそれを成立させるコンボもある。また、シングルと異なり「くろいきり」を使ったサポーターとしての姿も見られる。
レギュレーションB辺りまでは何とかペリッパーと組めたが、レギュレーションCになるとペリッパーのスペックでは準伝と当たるのが厳しくなり、イルカマン単採用が主流化。この頃になると四災の内チオンジェンに有利が取れる上に基礎スペックで当たり負けしないことから環境に激増している。
「ジェットパンチ」や「ウェーブタックル」への依存度が高い都合上テラスタイプの融通性は非常に低く、例えば初期環境のシリーズ1のバトルデータでは約9割がみずテラスタル型であった。シリーズ2になってようやく「インファイト」や「ドレインパンチ」での遂行力を高められるかくとうテラスタル型がテラスタルの2番手として使われるようになった。
準伝説・パラドックスポケモン以上が使用不能なレギュレーションHシングルでは、600族ドラゴンやアカツキガチグマに技の通りが良く、それらに種族値で対抗できることから、一定数使われている。
WCS2023各国予選第1回期には攻撃技がみずタイプのみで「くろいきり」を覚えた型が流行。オセアニア予選優勝メンバーにも早々に輝き、その個体を元にした配布個体が配布されることとなった。他にもJCS2023シニアカテゴリ準優勝メンバーに輝いており、由緒正しきポケモンと言える。
アニメ版
アニポケシリーズ
- 42話『変身! 海のヒーローイルカマン』
ピンチの人を助ける海のヒーロー。普段はナイーブフォルムだが、マイティフォルムに変身してパルデアのとあるビーチ周辺で人助けを行っている。その為近隣住民からは大人気で、「スナップ小僧」なる撮影愛好会までいる程。
設定通り変身した所は誰も見た事が無く、自身も見られるのを嫌がっており、超音波で人の気持ちを読む事が出来る為、ピンチでもないのに助けを呼ばれても変身して表れる事はない。
ガケガニ軍団に襲われていたロイ達を助けようとするも、その時ずっとカメラで狙われていた事で変身する事ができずにいたが、リコがニャオハのマジカルリーフでカメラを遮ってくれた事で変身し、ガケガニ軍団と対決。
弱点である胸のハートを突かれてピンチに陥るも、旧き仲間・マイティGが助太刀に現れ、リコとロイ達の声援を力に変えてマイティGと「必殺ヒーローハグ」でガケガニ軍団を鎮静化させる事に成功。
なお、リコの「見せたくないものを見ちゃうのはなんか悪いよね」という気持ちを読み取っていた事・カメラを遮ってくれた事から彼女にだけ変身シーンを見せている。
余談だが、本作においてはマークの点滅音は『ウルトラマンティガ』のものを流用している。
余談
- 現実では、ザトウクジラが種を超えた利他行動を見せて他の生物や人間をシャチやサメから守ることから「海のヒーロー」と呼ばれており、鯨類である点もイルカマンと共通している。
- 変身の瞬間は誰にも見せないという設定、胸のマークや筋骨隆々の姿から、元ネタはスーパーマンなどのアメコミヒーローであると思われる。元々イルカそのものの見た目をしていただけあって「マン」という名前には皆当初は疑問符が浮かんだ事だろうが、この姿を見れば納得だろう(なお、マントのような襟の部分は水でできた襟っぽいパーツなだけで、マントは存在しない)。モチーフに例えるなら、元のナイーブフォルムが「一般人として生活を送るクラーク・ケント」であったのに対し、マイティフォルムは「電話ボックスに身を隠し変身したスーパーマン」といった所であろうか…?
- 進化レベルは38だが、スーパーマンのデビューも19"38"年、フランス語名も「dolphin」+「superman」でSuperdofinである。
- ポケモンセンターオリジナル商品である『ポケモンカードゲーム 4ポケット コレクションファイル イルカマン』においてもアメコミ調のイラストで描かれており、少なからずアメコミヒーローの影響はある模様。
- 一方で各国によって由来が異なり、ドイツ語はDelphinとターミネーターで「Delfinator」、英語圏などではパラディンと掛けた「Palafin」となっている。
- また、特性「マイティチェンジ」の英語での呼称は「Zero to Hero」であり、これはディズニー映画『ヘラクレス』の挿入歌と同じ名称である。これもやはり、無名の青年がヒーローへと昇り詰める歌である。さらに、スペインにおける他の伝承とも関連性がある。
- なお、日本でこそマイティフォルムという小洒落た名前だが、英語名は「Hero Form」(意味はそのまんま「ヒーローフォーム」。ドイツ語表記やスペイン語表記も意味は同じ)、フランス語に至っては「Forme Super」(意味はそのまんま「スーパーフォーム」)とエラくド直球な物が多い。