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伊予鉄道とは愛媛県松山市に本社を置く鉄道事業者。


概要編集

正式社名は伊予鉄道株式会社。通称伊予鉄

137年(2024年現在)の歴史を有し、法人格が存続しているものとしては現存最古の私鉄である。

松山市駅を起点として市内軌道線、郊外線3路線及び中予方面への一般バス路線及び新宿名古屋などの夜行バスなどを展開する。

1984年から京王電鉄の中古車を京王重機整備で改造の上導入している。

最初の導入車両は800系(元2010系)で、近年の導入例は3000系(元井の頭線3000系)。

なお、800系は京王重機整備が関わった最初の譲渡車である。

市内軌道線では最新鋭のLRVから、国内では唯一の機関車方式による路面内燃動車として「坊っちゃん列車」(動力はディーゼルだが形状はSL)を運転している。この元ネタは夏目漱石の小説『坊っちゃん』であり、作中の主人公及び実際の夏目が体験した、当時の伊予鉄道の客車牽引列車について著述したことが名の由来である。


1994年よりプリペイドカードシステムの「い~カード」を導入。2005年交通系ICカードのシステムに移行し「ICい~カード」を導入した。が、この時に「サイバネ規格」を採用しなかったため、のちの「交通系ICカード全国利用サービス」(全国交通10カード利用サービス)の立ち上げに参加できず、その導入に際して大きな足枷となっている。

2024年3月13日より路面電車と松山空港リムジンバスに限りICOCAが利用可能となり、2025年春に近郊電車と松山空港リムジンバス以外のバス路線にも導入予定。ICい~カードは同年9月をもって利用終了予定。


鉄道路線編集

郊外線編集

各路線とも、地方鉄道としては珍しく毎時4本の高頻度運転を行っている、


廃止路線編集

  • 森松線(いよ立花-森松)1965年に廃止。
    • 廃止後、跡地に国道33号線が整備されたが、周辺地域の発展により慢性的な渋滞が発生しているのは皮肉である。

市内線編集

軌道線は5系統(7路線)

  • (1)環状線(松山市駅→JR松山駅→松山市駅)西回り
  • (2)環状線(松山市駅→大街道→松山市駅)東回り
  • (3)市駅線(道後温泉⇔松山市駅)
  • (5)JR線(道後温泉⇔JR松山駅)
  • (6)本町線(松山市駅⇔本町六丁目)
    • かつては道後温泉発着だったが、ダイヤ改正で松山市駅発着に短縮され40分間隔となった。

※なお、4系統が存在しないのは、4が死に繋がるとして忌避されているためである。


バス路線編集

一般路線(郊外バス)編集

※()内の数字は系統番号

  • (53)松山空港-松山市駅
  • (52)松山空港-道後温泉駅前
  • (52)松山空港-湯の山ニュータウン
  • (52)松山空港-奥道後(実際は1つ先の湧ヶ渕停留所に停車)
  • (15)松山市駅-えひめこどもの城
  • (18)松山市駅-砥部大岩橋
  • (18)松山市駅-砥部断層口
  • (18)松山市駅-森松
  • (66)松山市駅-堀江・北条
  • (51)松山市駅-マドンナスタジアム
  • (76・77)松山市駅-さくらの湯(東温市の施設)
  • (76・77)松山市駅-川内グリーンタウン上
  • (62)松山市駅-運転免許センター
  • (56)松山市駅-三津港
  • (特急)松山市駅-新居浜駅前(せとうちバスと共同運行)
  • (特急)松山市駅-三崎港口

一般路線(市内バス)編集

※2020年10月現在、2系統のみ存在。

  • (8)JR松山駅前-道後温泉駅前
  • (8)松山市駅-道後温泉駅前
  • (10)津田団地前-久米駅前
  • (10)JR松山駅前-久米駅前

高速バス(一部共同運行便あり)編集

  • 八幡浜・松山市駅-大阪(梅田)
  • 松山市駅-福岡
  • 松山市駅-東京
  • 松山市駅-岡山
  • 松山市駅-高松
  • 松山市駅-徳島
  • 松山市駅-高知

保有鉄道車両編集

太字が現役の車両。

郊外線編集

京王時代の5100系は吊り掛け駆動だったが、他社の中古台車を用いて高性能化されている。2両編成1本は銚子電気鉄道入り。

足回りは流用、車体は自社オリジナル。前面形態はオリジナルだが側面が東武20000系に酷似しており、一部ではアルナ工機東武鉄道の増備車向けに見込み生産した構体を格安で売却したものという噂がささやかれていた。

実際には車体の細部に差異が大きく、伊予鉄道でも公式に否定している。詳細はリンク先記事を参照。

  • 3000系(元京王電鉄3000系)

元京王3000系。 伊予鉄には昭和59年から平成3年に製造された車両が譲渡された。伊予鉄入りに際してVVVF制御に改造されている。

  • 7000系(完全オリジナル車両)

700系の置き換え用として近畿車輛で製造され、2024年に3両編成2本が納車された。


  • 800系(元京王2010系、引退後、2両編成2本が銚子電気鉄道へ移籍した。)
  • 600系
  • 130系
  • 100系(こちらも銚子に譲渡し、後に上記800系も銚子に来たために代替され引退)

1931年に高浜線が電化された際に製造されたモハ100形・モハ200形と戦後の1950年・1951年に製造されたクハ400形で構成されている。


これまた余談だが、京王→伊予鉄→銚子という譲渡体制が比較的多い。また、京王から来た3000系によって京王から来た800系が廃車されて銚子に譲渡され、かつて800系によって置き換えられ銚子に譲渡された100系を銚子にて再び置き換えるなど、それぞれの車両たちは数奇な運命を辿っている。

なお、現行3路線の中で横河原線の全線電化は1960年代と都市近郊鉄道としては比較的遅く、しかも客車牽引鉄道として残っていた。

これは、1950年当時横河原線の乗客数が減少傾向にあり、森松線廃止後の1966年に松山市-平井間が電化されたものの、残りの平井-横河原間は廃止する計画があったためである。

これは、沿線の重信町(当時 現在の東温市)の住民の反対運動や自治体の団地などの誘致もあり変更され、1967年に残りの平井-横河原間も電化された。

後述する「坊っちゃん列車」の元は、軽便時代の郊外線の車両であり(「坊っちゃん」に登場するのはこちら)、それを置き換えたのが、横河原線に最後まで残存していたディーゼル牽引客車列車であった。


市内線編集

  • 2100形(アルナ車両製リトルダンサータイプS、国内では数少ない単行の超低床車
  • 5000形(アルナ車両製リトルダンサータイプS、単行の超低床車で、2017年登場の最新鋭)
  • 2000形(元京都市電2000形)
  • 50形(自社製造、かつては呉市電や南海電気鉄道和歌山軌道線の中古も同様の系列であった)
  • D1形+ハ1形D2形+ハ31形(ディーゼル牽引客車による路面客車・路面気動車・路面機関車であり、何れの形態としても現存するものでは日本唯一の存在)
    • 伊予鉄道が観光用として導入した「坊っちゃん列車」である。前述の通り、その元となる車両は、軽便時代の郊外線に走行していた。これらの車両は、往時の姿に出来るだけ近づけたもので、動力源こそ環境に配慮しディーゼルであるが、D1・D2の両機関車共にSL状の外観に加え、車外スピーカーによる走行音や疑似水蒸気など蒸気機関車と見紛うギミックを搭載し、ほぼ往時の雰囲気を再現した運行を楽しむことが出来る。

また、坊ちゃん列車は伊予鉄道で唯一の新潟鐵工所(後の新潟トランシス)製の車両である。


バス部門編集

伊予鉄グループとして愛媛日野自動車を傘下に持つため、バスはすべて日野自動車製のブルーリボンシティなどで占められている。

長らく中古車の導入はなかったが、2018年11月に臨港バスからノンステップバスを2台購入し、翌年6月に運用を開始。

その後も、新京成バス阪急バス京都京阪バスから中古のノンステップバスを購入している。

それらのバスは、伊予鉄バスの発注車と異なる姿をしているので見分けがつく。

四国のバス事業者としては唯一、中型長尺車・ハイブリッドバスをそれぞれ保有している。

かつてはCNGバスも保有していたが、バスに搭載されていたガスタンクの期限切れのために廃車が進み2022年現在は全廃されている。


タクシー(伊予鉄タクシー)編集

  • いよてつ高島屋の裏には伊予鉄タクシー専用のタクシープールが設置されている。

公共交通以外の事業編集

  • いよてつ高島屋(松山市駅に併設されたデパート。旧:いよてつそごう→伊予鉄百貨店)
    • 旧いよてつそごうは、そごうグループで唯一破綻を免れた企業である。
  • 愛媛日野自動車(日野自動車のディーラーで、伊予鉄の子会社)
    • 前述のように伊予鉄バスは全て日野製の車両で統一されている。
  • 伊予鉄オート(マツダのディーラー)
    • このためか、いよてつ高島屋の社用車はファミリアスクラムである。しかし先述の伊予鉄タクシーは適当な車種がマツダにないと判断したのかタクシーの定番コンフォートである。
  • いよてつ不動産(不動産事業のほかプール・スケートリンク・ボウリング場等を運営する。)
  • いよてつ総合企画(イヨテツケーターサービスより2016年に名称変更 人材派遣業・広告代理店)

その他編集

松山城編集

2008年より、伊予鉄道が指定管理者となっている。


路面ライダー編集

2000年ごろから2010年ごろまで活動していた伊予鉄道のPRキャラクター。

制帽と赤いマフラー、オレンジ色の縞模様のシャツとゴーグルが特徴的なローカルヒーロー

整備士に弟子入りして洗車に挑戦したり、稼働開始直後の『がんばれ運転士!!』をプレイしたり、新型車両や新サービスを紹介するなど伊予鉄道のPR動画を公式サイト内で公開していた。

最後に路面ライダーが「そ、そんなぁ~」とうなだれるのがお約束だが、その中には「『坊っちゃん』ゆかりの場所に行くとスタッフに連れられた先の川に落とされ『これがホントの「ボッチャン」だ』とオチをつけられる」、「マフラーを失くして探し回っていたが実は駅長がこっそり借りていた」など関係者によってひどい目に遭わされるオチの回も多かった。

2009年まではおおよそ年1~2回程度新作動画を公開していたが、2010年の800系引退イベントを取材した番外編を最後に更新は停止。2015年の伊予鉄道公式サイトリニューアルによってサイトも消滅した。


IYOTETSUチャレンジプロジェクト編集

詳しくはこちら

ロゴと電車・バスのカラーが愛媛県らしくオレンジ一色に変更される。2015年以降から塗装変更が行われている。

電車ではステンレス車の610系3000系もオレンジ一色に変更される予定だが、そもそもステンレス車は腐食も少なく、塗装の必要がないため、塗料費や塗装作業費等の保守経費が節約できるのが最大のメリットであるはずのだが・・・

しかし、市民の前に現れた電車・バスの色は驚きのものだった。松山市民の前に現れたのは前塗装のオレンジが全面に施された電車ではなく、それよりもっと鮮やかでドきつい色だったのだ。

塗装変更発表当初から「なじまないのではないか」との声が多く聞かれていた。そして塗装変更が開始してから1年ほどが経過した2016年11月に四国では前代未聞の事態が発生した。

地元松山市の市景観審議会の有志9名が「市の景観になじまないので塗装変更を再検討してほしい」との意見書を提出したのだ。

http://mainichi.jp/articles/20161129/ddl/k38/020/586000c

私鉄で塗装変更をした例は数あれどこのように沿線自治体が塗装についての意見書を提出するというのは非常に珍しく、進展が待たれる。当の伊予鉄道側は現状維持の方針だ。


奇跡は起こすもの~伊予鉄道編編集

伊予鉄道は豊橋鉄道江ノ電と並ぶ瀕死の赤字を克服した地方鉄道事業者として知られる。


昭和40年横河原線廃止撤回編集

モータリゼーションの始まった昭和40年には、最長の横河原線の収益性が悪化し、末端区間の廃止が検討された。日本全国で軽便鉄道の廃止が相次いだ時期である。


だが、沿線住民の存続運動は凄まじいものがあり、存続請願大会には数千人がつめかけたと言う。

その熱意におされた伊予鉄道と地元自治体でる重信町(現・東温市の一部)は……


「廃止やめて電化するわ


( ゚д゚)ポカーン エッナニイッテンノコノヒトタチ


しかしこれは大当たりだった。

横河原線の収益はこの後、バブルまでの間右肩上がりに上がり、伊予鉄の稼ぎ頭となった。


バブル崩壊後の経営危機編集

横河原線廃止の危機の後、順調だったかと思われた伊予鉄の経営だが、バブル崩壊によって一気に悪化する。

1990年代は鉄道・バスとも利用者が減少し続け、2001年にはピーク時に比べて、鉄道は約50%、バスにいたっては約86%の利用者減となっていた。


単純に考えれば、はっきり言ってどうしようもない。ガチ詰み状態である。


だが、その対策として打ち出した伊予鉄道の施策とは、

  • 値下げ
  • 京王から車両を頂戴し増発
  • いよてつ高島屋の利用者に無料乗車券配布
  • 沿線小学校にいよてつ高島屋屋上観覧車無料利用券絨毯爆撃

無謀とも思えるこの積極的な集客力向上作戦はなんと成功した。

減少し続けていた利用者は2003年に底を打ち、増加に転じた。


現在は年10~15億の連結純利益を得る地方中小鉄道有数の黒字企業体である。


2014年頃からは軌道線の松山空港乗り入れについても愛媛県知事、松山市長が積極的に検討しており、伊予鉄道も計画に前向きな姿勢を見せている。

しかしその前段階として計画されていた軌道線の松山駅駅前広場への延伸については2024年3月時点で凍結されている。


関連タグ編集

高松琴平電気鉄道(琴電):四国の中小私鉄。こちらは香川県

京王電鉄 中小私鉄


がんばっていきまっしょい:アニメ映画版では、登場人物が同鉄道に乗って通学するシーンが登場する。


野球拳:伊予鉄野球部による即興の宴会芸として誕生した。

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