作品における概要
リメイクとほぼ同義だが、原作の世界観・ストーリーを尊重し若干のアレンジ程度に作り直すリメイクに対し、より手を加える範囲が広く「作品そのものをリセットする」というより大きな意味合いで使われ、さほど長く作品の製作期間が空いていないものを指すことも多い。
目的としては、「複雑化した設定や話の展開を一度真っ更にし、整理してから改めてやり直す」「シリーズが長丁場となり、新規の顧客が付きにくくなったので新鮮さを取り戻す」といった様々な理由から行われる。このため、基本設定や専門用語などは同一のものを用いつつ、登場人物やストーリーはほぼ別物に改められる傾向にある。
ただし、一部の作品にて「お祭り」的に全作品の同名キャラクターが一堂に会する展開も見られる。なお、ガンダムシリーズやプリキュアシリーズのようにタイトルキャラクターを利用しつつ毎回世界観を改めながら続いているシリーズ作品は、リブートと言われることが基本的にない(シリーズの中に特定の作品のリブートが含まれている場合はある)。
海外ではかねてからこの手法が取られていて、日本でも近年は見られるようになった。
リブートされた作品の例
特撮
- ゴジラ
- 仮面ライダーアマゾンズ
- 公式で『リブート作品』とされているものだが、本項目であげられている定義とはやや異なる。『アマゾン』という名前のみを借りた、仮面ライダーシリーズとしても異質な別作品となっている珍しい例。
- 人造人間キカイダー
- タイトルは『キカイダーREBOOT』。原作者・石ノ森章太郎が残した普遍的ストーリーに21世紀における現代的テーマ性をミックスした。
- 仮面ライダーBLACKSUN
- 『仮面ライダーBLACK』のリブート作品なのだが本作品は特撮作品というよりも社会派ドラマの側面が強く社会風刺も色濃く反映されており、リブート前の作品とは名前を借りた別物となっている。
アニメ
- ドラえもん(テレビ朝日版)
- 2005年4月から始まった、テレビ朝日版ドラえもんの第2期。関係キャストのオールチェンジに伴い、世界観や設定なども変更。同世界観に合わせた旧作映画のリメイクも行われている。
- ゲゲゲの鬼太郎(アニメ)
- ルパン三世(アニメ)
- 鬼太郎と同じく、2期以降の全てが一応はリブートの扱い。同じシリーズ内でさえ話・設定が引き継がれていない事も茶飯事だが、近年は過去作の情報を引用したりと非常に曖昧。
- 美少女戦士セーラームーン
- 『美少女戦士セーラームーンCrystal』ではオリジナル展開が多かった旧アニメシリーズより主人公月野うさぎ/セーラームーン役の三石琴乃以外全キャストを変更、公式が「原作を一からアニメ化する」(原作準拠)と発表してるので、意味合いとしてはこちらに該当。
- 新世紀エヴァンゲリオン
- 映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』として再構築され『序』『破』『Q』が公開され最終作の『:||』は2021年に公開。
- デジモンアドベンチャー
- タイトルは『デジモンアドベンチャー:』。メインキャラクターをそのままに完全新作ストーリーで再構築された。
- クイーンズブレイド(アニメ)
- タイトルは『クイーンズブレイドアンリミテッド』。主人公が変更され原作設定を踏まえつつも登場人物の立ち位置がシャッフルされている他、登場人物の何人かがショタコン化というおねショタ要素が露骨になっている。
- ケロロ軍曹
- テレビアニメ版自体が漫画のリブート作品みたいなものだが、アニメという点ではフラッシュアニメ版である『ケロロ~keroro~』がリブート扱いされている。原作設定を踏まえつつ、物語を一から作り直したもので、テレビアニメ版とは一切繋がらないいわば「さらなる別世界線のケロロ」。ただしWikiなどでは何故かテレビアニメ版の続編みたいな書き方をされている(そんなことは公式から一切言及されていないことに注意)。
ゲーム
- スターフォックス
- 『スターフォックスゼロ』よりリブートを敢行。それまでの作品と繋がりはなく、声優も全て変更されている。
- ソウルキャリバー
- SIREN
- 発売から約15年後にコミカライズ版兼リブート版にあたる漫画作品『SIREN ReBIRTH』が連載されている。
- CoD:MW
- 2007年発売の同名タイトル、CoD4:MWの設定を下地に、時代背景を2019年として物語を仕切りなおした。本作時点では旧作の前日譚を意識した内容であるが、シーズンストーリーや続編において、キャラクターの生死を含め旧シリーズとは大幅に異なる物語が展開された。
漫画
- 寄生獣
- 1995年に原作漫画の連載終了後、2014年から2015年にかけてキャラクターデザインや時代設定を現代風にアレンジしてアニメ化、二部作の実写映画『寄生獣』『寄生獣 完結編』が公開された。2018年からはスピンオフ漫画『寄生獣リバーシ』が連載されている。
- GANTZ
- 2013年に原作漫画の連載終了後、「再起動」として2016年にフル3DCG映画『GANTZ:O』が公開、スピンオフ漫画『GANTZ:G』の連載、2018年には舞台『GANTZ:L‐ACT&ACTION STAGE‐』が上演されるなどのメディアミックス展開が行われた。
- 銀河鉄道999
- 原作者である松本零士が手がけた「エターナル編」を含む、劇場版第二作「さようなら銀河鉄道999」直後の時系列に続く漫画として「アルティメットジャーニー」が2018年に連載開始。なお、同名の小説が2013年に出版されているが、こちらは映画版第三作「エターナルファンタジー」の続編であるので若干時系列が異なる。主に、主人公である星野鉄郎の容姿など、多くの点で松本零士版「エターナル編」およびその関連作品とは設定が異なることが特徴。
海外映画
- ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ
- 初代を除く全作品がリブートという形であり、現在に至るまで何度もリセットが行われている。ファンの間では、各映像作品を基準にシリーズを区分けする考えが主流。
- バットマン
- 1943年に実写化されて以降、リブートを繰り返している作品。1966年のテレビドラマシリーズの劇場版、原作コミックの雰囲気に合わせた1989年版の同名映画、再びコメディに回帰した90年代のシリーズを経て、近年では『ダークナイト・トリロジー』、『ザ・バットマン(2022年版)』など。特に『ダークナイト・トリロジー』はハリウッド映画にリブートの概念を一般化させたと言われ、これを機にリブート展開が行われる作品が増加した。
- スーパーマン
- 1948年に実写化されて以降リブート。アニメーションと組み合わせた白黒時代のシリーズ、1951年のテレビドラマに先駆けた劇場版、オリジナルと題した1978年から2006年までのシリーズ、原作コミックの設定に回帰した2013年以降のシリーズなど。
- 猿の惑星
- 1968年から1973年までのオリジナルシリーズ、リブートされ2011年から2017年にかけて公開された『創世記』『新世記』『聖戦記』と副題を冠した三部作。
- マッドマックス
- 1979年から1985年までのオリジナルシリーズ、リブートされ2015年に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開された。
- スタートレック
- 1979年から2002年までのナンバリングされた作品と、「新スタートレック」の登場人物を含めたオリジナルシリーズ、リブートされ2009年から始まったシリーズに区別される。
- ロボコップ
- 1987年に公開され、2014年にリブートが行われた。ただし話の筋書きそのものはオリジナルのリメイクとなっている。しかし2018年に1987年版の続編の製作が決定するなどしている。
- スパイダーマン(映画版)
- 2002年以降の映画版がリブートとされている。初期の三部作の監督が降板したことで、新シリーズ『アメイジング・スパイダーマン』がスタートし、以降は一つのシリーズとなっている。なお、これ以前にテレビドラマ化された東映版スパイダーマンもあるが、これ自体が異質で、リブートと別件と言える側面もある。
- パワーレンジャー
- 『スーパー戦隊シリーズ』の海外版で、第一作目は恐竜戦隊ジュウレンジャーをリメイクしTV放送され、のち2017年にその作品をリブートし、映画『POWER RANGERS』として上映。なお、過去に一度映画化されているが本作とは違うパラレルワールドと言う形でありリブートとは関係ない。
似て非なる件
- マクロスシリーズ全般
- 同じ時代、同じキャラクターが登場するのに、媒体によって動向が異なる設定(マイクローン化するミリア・ファリーナorゼントラン化するマクシミリアン・ジーナス、TV版と映画版で結末が異なるグレイス・オコナーなど)があるも、これらは「マクロス世界で起きた過去の出来事を基にしたフィクション」(現実で例えるなら三国志や戦国時代を基にしたフィクション作品全般)という設定であり「歴史考証が変わった」「諸説ある」程度の扱いである。
- 新サクラ大戦・サクラ革命
- キャラクターやシステムを一新し再始動した「サクラ大戦」のゲーム二作品。ニュースサイト等でサクラ大戦シリーズの「リブート」とされているが、意味合い的には「前作で一旦ピリオドをつけたうえでの新シリーズ始動」といったものであり、世界観自体は地続きであるため厳密にはリブートではない。
- スーパーマリオブラザーズ・ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
- マリオは元々はイタリア系アメリカ人として作られたキャラクターだが、ゲームボーイ版『ドンキーコング』でのアーケード版からの世界観一新と『ヨッシーアイランド』でのベビィマリオの登場を経てその設定は失われ、キノコ王国出身の人物へと変わっていった。だが以降もイタリア系のキャラクター自体は崩さず、マリオの生みの親である宮本茂氏はイタリア系アメリカ人のマリオの物語をまた作る事も考えており、そこでマリオの家族を作る事が課題となっていたという。そして『映画アニメ版』の制作が実現した際、宮本氏は「イタリア系のマリオの物語」と「マリオの家族の登場」を希望し、映画アニメ版の物語がファミコン版発売当時の初代『スーパーマリオブラザーズ』のリブートとなる事となった。但し独自設定も盛り込まれており、宮本氏も『ピクミン4』のインタビューで「映画だとイタリア系」と発言しており、ゲーム版でも出自設定からしてのイタリア系に戻る訳では無い模様で、あくまでもうひとつの世界としての立ち位置である。