反骨心
はんこつしん
権力を悪用する形で不当な処断を下す者や、不都合な事実を隠そうとする不正行為に対して毅然と立ち向かう意思を見せたり、時代の風潮・世論に簡単に流されようとしない心理。
反骨心の強い者は、基本的に回りに自分をどう思われようとそれに振り回されなかったり、目上の立場の人間にへりくだったりする事は無く、明確な自分の志や信念を持って行動しようとする。
また、上を目指そうとする向上心や弱者を守ろうとする正義感の強さ、自らの意思を通す為に不断の努力も怠ろうとはしない傾向等から、そういった姿勢を見て憧れを抱く者も多く、いい意味で働けば一種のリーダーシップやカリスマを発揮する事もある。
過去の歴史では、反骨精神によって生み出された文化「カウンターカルチャー」も存在し、音楽ジャンルの代表格となっている「ロック」もその産物で、ベトナム戦争の反戦運動が盛んになった時期に一大ブームとなっている。
負の面
反骨心は、過去の挫折等の経験による「怒り」や「悔しさ」と言った感情が原動力になっており、強固な劣等感や鬱屈した感情を内側に溜め込んでいる傾向が強い。
その為、「何事も度が過ぎるのは良くない」と言う様に、行き過ぎた反骨心も問題的な部分があり、悪い方向に働けばトラブルメーカーの要素にも成り得る。
反骨心の強過ぎる者にある負の傾向は、以下の通り。
- 自分の考えこそが誰よりも正しいと信じて疑わない。
- 周囲の人間の気持ちや状況、物の道理よりも、とにかく自分の感情を優先してしまう。
- 自己顕示欲や承認欲求が強く、自分が誰よりも上であると認められたい願望が強い。
- 自分の感情に素直過ぎるあまり思い通りにならない現状を何よりも嫌悪する。
- 自分の都合ばかりを優先する為、言動や行動がダブルスタンダードになりがちとなる。
- 「勝つ」か「負ける」か、「やる」か「やられる」かといった極端な二択に囚われがち。
- 些細な事ですぐ感情的になり、周囲とすぐに衝突したり怒鳴り散らしてしまう事が多い。
- 人の好き嫌いが激しく、個人的に嫌いな者に対しては徹底して排他的かつ不寛容になる。
- 自制心に欠けている為、気に入らない者に暴力で訴えたり物に当たる事も厭わない。
- 自分を批判する者の主張が真っ当な正論でも、「綺麗事」や「偽善者」と切り捨てる。
- たとえ自分を思いやっての進言でも、自分が気に入らなければ聞く耳を持たない。
- 自分と似た境遇の者にしか心を開かず、結果的に傷の舐め合いに居心地の良さを求める。
- 自分は平気で他人を批判するのに対し、他人から自分を批判されるのは許せない。
- 挫折の経験の少ない恵まれた環境にいる者へのルサンチマン(嫉妬)が強い。
- 権力や地位を持っている人間を無差別的に「悪人」と見なし目の敵にする傾向が強い。
- 勝負事で負けても潔くそれを認めようとせず、負かされた相手に見苦しく食って掛かる。
これらからも、行き過ぎた反骨心を持った者が見せるその凄まじい攻撃性は、揉め事を好まない人間からすれば、まさしく「独り善がりで面倒臭い人間」となってしまう事になる。
また、弱者を守ろうとする正義感の強さが悪い方向に働いた場合でも、常に「弱者=正義」、「強者=悪」という偏った価値観に囚われ、理非曲直を正さない形で弱者側を庇い強者側に立てつこうとする思慮の浅さまで見せる事がある(普通に考えれば、揉め事があった場合にて「常に弱者側が正しくて強者側が悪い」なんて事は絶対に有り得ないのだが)。
良くてせいぜい「俺様系」であるが、最悪の場合だと「疑似的なソシオパス」に陥ってしまう可能性もある事から、周囲から孤立しかねない要因にもなる。
近年では、環境問題やLGBT、ポリコレ、ツイフェミ、インセル、迷惑系及び炎上系のYoutuber、中核派を始めとする左翼過激派等に関連する所謂「活動家系」の人間達の多くに反骨心旺盛な様子が見られている。
しかも、彼(彼女)等の大半は、改善の難しい(あるいは改善自体が無理な)現実的問題を一切無視して自らの感情のみを優先した主義・主張を押し通そうとする傾向があり、更にそれらの注目を浴びる為に迷惑行為にまで走り、被害を被った人々の迷惑も全く顧みようとしない(インセルに関しては、大勢の使者を無差別に虐殺する「テロ」にまで発展している)。
当然、自分達の都合しか考えない彼(彼女)等の行動に関する話題では、ネット上で大抵は炎上騒動に陥っている。友人や家族にまで及ぶ周囲の関係者も、当人の自己中心的過ぎる振る舞いには、自分達の生活を乱される事からついていけない場合が大半で、結果的に絶縁を言い渡される形で孤立する事態にるのも珍しくない。
だが、自らの主義主張に一種の「執念」を内包させている為か、SNS等を使って自分の考えを共有出来る「仲間」を探して結集し、全員で大規模な迷惑行為にまで走ろうとする等、更なる悪循環に陥る可能性もある。
反骨精神の強過ぎる人間達による度重なる傍迷惑な事件からも、現在において反骨心はどちらかと言うと「社会的秩序を乱す要素」としてマイナスイメージが強くなりつつある。
勿論、状況に流されず自分の意思を明確に持つ事は決して悪い事ではないのだが、前述の通り何事にも度が過ぎるのは良くない事で、折り合いを付けようとする寛容さや冷静に状況を判断する思慮深さを持つのも大事である。
どんなに正しい事を言っている様に聞こえても、普段から反骨精神に任せて周りに迷惑をかける様な振る舞いばかりをすれば、反発されて相手にされなくなるのが関の山である。
反骨心を持つキャラクターは、本質的に正義感が強く、主人公の立ち位置になる人物も多い。
しかし一方で、上述の負の面を持ち合わせてしまう傾向の強いキャラクターの場合は、最終的に行き過ぎたやり方による暴走の果てに自滅してしまう展開も少なくない。
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