概要
トルネロス、ボルトロス、ランドロス、ラブトロスの通称。勿論、非公式。
『ポケモンLEGENDSアルセウス』においては「ヒスイの化身たち」(サブ任務94)と記述されているが、公式から決まった総称は未だに発表されていない。
コピペロスという呼び方もあるが(後述)、これは「ラブトロス以外の」3体の姿がコピペのようにそっくりであることからきており、ラブトロスを含めた場合に用いるのは誤用ではないかという指摘もある。
命名は中国神話における聖獣「四神」に似た「れいじゅうフォルム」という姿を持つ事に由来する(単純に四体の神としても通じる単語にもなっている点は興味深い)。ただし、対応する方角やカラーリング、季節などは元ネタから乖離しているものが殆ど。
ちなみに『LEGENDSアルセウス』での出現地は五行に対応した色(紅蓮(赤)、群青(青)、黒、白)が名前に入っているが、黒曜の原野は西側、純白の凍土は北側に位置している(五行では北が「黒」、西が「白」に対応しているのが正しい)。
ただし元々のモチーフは俵屋宗達によって描かれた『風神雷神図』(と、ランドロスの設定上のモチーフである豊穣神。大黒天辺りではないかと予想されている)。
霊獣でない時の姿けしんフォルムが四神感のまるでない人型なのはこれが理由である。
初登場したソフトのマイナーチェンジであるBW2において四神をモチーフとしてれいじゅうフォルムが追加され、ここで初めて自然神と四神の混合モチーフとなった。
この頃は全部で3匹だったため「四神? 玄武がいないじゃないか」とイジられるのが通例であった。
そして長い時を経たLEGENDSアルセウスにてラブトロスが追加され、ようやく四神モチーフとして違和感のない存在となった。
特徴
メスであるラブトロスを除き、全てオスで構成されているのが特徴であり、全員が「ひこうタイプ」に属する。
前述の通り雲に乗った人型のけしんフォルム、雲を纏った幻獣のようなれいじゅうフォルムの2つの姿を持つ。
また、けしんフォルム時のツノはボルトロス→トルネロス→ランドロス→ラブトロスの順に多いのだが、図鑑No順ではない事は留意されたし。
名前は全て「〇〇ロス」で終わるが、これはギリシャ神話の風神アイオロスに由来するとされる。
こちらの神話にも風を司る四柱の神がおり、北はボレアース、南はノトス、東はエウロス、西はゼピュロスの管轄となっており、長編叙事詩オデュッセイアにおいてはアイオロスが彼らのマスターという事になっている。
初出である第5世代の舞台イッシュ地方はアメリカがベースとされるが、風神・雷神を思わせる姿や彼らに縁深い「ほうじょうのやしろ」が日本の寺社を思わせる建築構造であった事から一際強い存在感を放っていた。
とは言え、BW自体が様々な地域の文化・伝承からの引用が多い作品である為、突っ込むのは野暮というものである。
登場史
初出は第五世代。
ボルトロスはホワイト、トルネロスはブラック限定のポケモンとして各道路で暴風雨の時に出現する徘徊枠として登場、ランドロスは彼らを連れた状態で「ほうじょうのやしろ」に向かうと入手できた。
『BW2』と連動した『ポケモンARサーチャー』でれいじゅうフォルムが登場し、こちらではバージョンに関係なく、三体が簡単に入手できるように。また、このソフトで捕まえた三体が『BW2』でのフォルムチェンジ用アイテムである「うつしかがみ」の入手条件であった。
『ORAS』では黒雲の中に潜んでおり、ポワルンを連れた状態でホウエン地方の上空に浮かぶ黒雲の中に突入すると出現(オメガルビーではトルネロス、アルファサファイアではボルトロスが登場)。ランドロスは第5世代同様の条件でヒワマキシティ上空に出現した黒雲の中で出会う事ができる。
『USUM』ではウルトラスペースゼロの山岳地帯に現れる。ウルトラサンではボルトロス、ウルトラムーンではボルトロスが出現し、ランドロスは(ry
『剣盾』ではDLC『冠の雪原』で出会える伝説のポケモンとして登場。ソードではトルネロス、シールドではボルトロス、両作共通でランドロスが(ry
『LEGENDSアルセウス』では設定を掘り下げられる形でクリア後に出現。新たにラブトロスも追加された。フィールドを高速で動き回る上、飛び道具を当てないと解除できない暴風壁、近づいてきたプレイヤーを迎撃する突風など捕まえるにはかなりの根気がいる存在である。
どういった種族なのか?
トルネロスとボルトロスは風雷を巻き起こして田畑や民家を荒らす荒神的な立ち位置で、ランドロスは彼らを懲らしめるマスター的な立ち位置にあり、イッシュ地方にある山村「ほうじょうのやしろ」ではランドロスが豊穣神として崇められた。
現在のシンオウ地方に当たる古代のヒスイ地方ではこれに加えて来訪神ラブトロスが春の訪れを知らせ、新たな命を芽吹かせる存在だとされた。
現在のシンオウで彼らが信仰されている様子は見受けられないが、カンナギタウンの祠とほうじょうのやしろにある祠は構造が酷似している為、関連性が気になる所である。
人間にとっては災いをもたらす悪神に見えるトルネロスは強風で大気を攪拌し、ボルトロスは雷で土壌を鍛えるという役割を担っていたことから、この4体は自然界になくてはならない、季節や生命のサイクルを表した存在である事がうかがえる(それはそれとして二体の特性に「いたずらごころ」があることからトリックスターとしての側面も有しているらしい)。実際にBW2のランドロスの図鑑説明でも電気と風のエネルギーが豊穣の力の源となっている旨が記述されている。
とはいえ、ランドロスがげきりんを覚えたり、比較的優しげな性質をもつラブトロスも命を粗末にする相手には容赦はしない荒神の性質を持っている。
なお、BW2ではどちらのフォルムが本来の姿かは不明とされていたが、うつしかがみの説明やラベン博士の図鑑によれば、けしんフォルムはあくまで仮の姿であり、れいじゅうフォルムこそが彼らの本来の姿であるらしい。
それぞれに対応した季節や方角は不明で、公式から発言されたのはラブトロスが「春の神様」と扱われている事ぐらい。習得技や『LEGENDSアルセウス』での出現地から他の三体も予測はつく物となっているのだが。
一覧
民家や畑を吹き飛ばす「風神」。ボルトロスとは宿敵に当たる。
対応する季節と方角は不明だが、前者は専用技から「冬」、後者は『LEGENDSアルセウス』での出現地が純白の凍土であることから「北」と解釈される事が多い(この他、『SV』では4体のうち、彼だけがゆきげしきを覚える)。
れいじゅうフォルムとしてのモチーフは朱雀説が有力。
対応する季節と方角は不明だが、前者は専用技から「夏」、後者は『LEGENDSアルセウス』での出現地が群青の海岸であることから「東」と解釈される事が多い。
れいじゅうフォルムとしてのモチーフは青龍説が有力(ただし、ドラゴンタイプは持たない)。余談だが、仏教において東に対応するのは雷神である帝釈天(インドラ)だったりする。
人々に恵みをもたらす「畑の神様」。トルネロスとボルトロスを御する存在。
一方で特性が「すなのちから」であったり、専用技が「ねっさのあらし」であったりと豊穣とは対極に位置する力を有しており、彼からもまた荒神としての側面がうかがい知れる。
対応する季節と方角は不明だが、前者は権能から「秋」、後者は『LEGENDSアルセウス』での出現地が黒曜の原野であることから「西」と解釈される事が多い。
れいじゅうフォルムとしてのモチーフは白虎説が有力。
四神の紅一点(メタ的には新参者)。春の訪れを知らせる来訪神。
対応する季節は立ち位置や専用技からも分かる通り、「春」、後者は『LEGENDSアルセウス』での出現地が紅蓮の湿地であることから「南」と解釈される事が多い。
れいじゅうフォルムとしてのモチーフは玄武。
ポケモンGOでは
2020年2月にヒードランの復刻および旧正月イベントが終わるのと合わせる形で、第1弾としてトルネロスが実装。以降、残り2匹も順次実装されている。
特にランドロスは攻撃性能の高さからグラードンと並ぶ新たなじめんアタッカーとしてプレイヤーからは注目されている。
なお、本作ではポケモンにアイテムを使ってフォルムチェンジさせる仕様が存在しないため、れいじゅうフォルムはギラティナやデオキシスの時のように、しばらく時間をおいてからけしんフォルムとは別枠のポケモンとして登場させるという形で実装されることになる(ポケモンHOMEに送ると強制的にけしんフォルムに戻ってしまうので注意)。実装は2021年3月中旬以降に順次行われていく予定。
スーパーポケモンスクランブルでは
あいことばを入力するとトルネロスは「3-2 かざんのふもと」のフィールドに、「3-3 ひをふくやま」のフィールドに出現するのでこれを倒すと仲間に出来る。
これとは別に和をイメージした「レッドエリア」で彼らのシンボルを3回倒すとランダム出現ボスとして解禁されるので、これを倒すと同じように仲間に出来る。
ランドロスは上記2体を倒すとレッドエリアのランダム出現ボスとして解禁される。
ネタとして
この呼称が考案される以前は当初の数が三体だったという事もあってか、コピペロスという(不名誉な?)呼び方が定着していた。
ネタとしての成立史はそちらを参照のこと。
関連タグ
御魂(荒魂と和魂):彼らのキャラクター性を理解する上で必要となり得る日本神話の概念。
その他の四体の特別なポケモンたち
同様の立ち位置であるポケモンたち
アルセウス:映画『超克の時空へ』では豊穣の源となる「命の宝玉」を作り出している。そしてモチーフの一つである麒麟は四神の長でもある。
三鳥:映画『幻のポケモンルギア爆誕』での役割が似通っている。