概要
外来種(がいらいしゅ)とは、本来生息していなかったある地域に人為的に移入されそこに定着した動植物を指す言葉である。一方で、元から生息しているものは在来種と呼ばれる。
移入時期や国内外に関係なく、人間の活動によって元々いなかった場所に移入された生物は全て外来種であり、千年前や百年前に移入されようが、日本国内から移入されようが、外来種は外来種である。
生物は長年の進化の歴史を経て、その土地で他の種類の生物との安定した関係を築き生態系を作っていくものだが、外来種は既存の生態系のバランスを崩し、場合によっては在来種との交配によって遺伝子汚染を引き起こす。同様の生態的地位を占める在来種と競合して絶滅に至らせたり、大繁殖して在来種を食い荒らしたりして、その土地の生態系を単純化させる。ワニガメやセアカゴケグモなど、場合によっては人間にも直接的な被害を及ぼす場合もある。ただし、既に絶滅した在来種に近いニッチを占める外来種の増殖により、過去に近い生態系が疑似的に再現されることもある。
生態系や人間社会に重大な悪影響を及ぼす種は侵略的外来種と呼ばれ、優先的に駆除の対象とされる。
その中でも特に被害が甚大な種は、飼育や放出が禁止される特定外来生物に指定される。
外来種として問題になるのは多くの場合外国産の種であることが多いが、北海道におけるカブトムシやゲンジボタルのように、本来その地域には生息せず、他の地方から移入されたとされる動植物も外来種として定義され、それらは主に国内外来種と言われる。
- 国内か否かの記述がない場合、大概は他国のものを差す。
外来種とはあくまでも人為的に移入された生き物を指す為、渡り鳥や回遊魚のように自主的にやってきた場合は定義上外来種にはあたらないが、人畜に害を及ぼす動物が漂着した場合は駆除される事がある(北海道本島から離島に泳いでやってきたエゾヒグマ、東南アジアから流れ着いた西表島のイリエワニなど)。
なお、人間自体は外来種に含まれない。
人間が人為的に生物を改良して作られた改良品種は第三の外来種と呼ばれ、世界のどこにいても、野外にいれば外来種となる。
侵入経路
- 動物の場合
ペット用に持ち込まれた個体が逃げ出したり、捨てられたりしたもの(人気アニメによる火付け役である「あらいぐまラスカル」のブームで輸入されたアライグマや「甲虫王者ムシキング」のブームで輸入された外国産のカブトムシやクワガタムシなど)の他、食用(ウシガエルなど)や毛皮(ヌートリアなど)等の生物資源として導入されたもの、害獣の駆除目的として野に放たれたもの(ハブ対策として導入されたマングースなど)、放牧された生物が放置されたもの(ヤギ、アナウサギ等)等が多い。ヒアリのように貨物に混入されて輸入される場合もある。
- 植物の場合
船などの貨物や輸入された資材に種が紛れ込んでいたり(シロツメクサなど)、観賞用に持ち込んだら種が拡散してしまった(セイタカアワダチソウなど)といったものが多い。
海外から日本に移入された外来種
※五十音順
あ
アカウキクサ類(アゾラ・クリスタータなどが当てはまり、アカウキクサ自体は在来種で絶滅危惧種)
アカボシゴマダラ中国亜種(奄美群島の奄美亜種は在来種)
アザミウマの一部(在来種も沢山いる)
か
外国産カブトムシ
外国産クワガタムシ
コナジラミの一部(在来種も沢山いる)
さ
サクラマス外来個体群
た
ダンゴムシ(オカダンゴムシとハナダカダンゴムシが当てはまり、ハマダンゴムシやコシビロダンゴムシは在来種)
な
は
ハト(カワラバトやシラコバトなどが当てはまり、キジバトやアオバトは在来種)
ボタンウキクサ(南西諸島の個体群は在来種)
ま
モウセンゴケ(モウセンゴケ自体は在来種で、ナガエモウセンゴケなどが当てはまる)
や
ら
わ
など。
日本で別の地域に定着している国内外来種
詳しくは国内外来種の記事へ。
カブトムシ(北海道)
クニマス(西湖)
ゲンゴロウブナ(琵琶湖、淀川水系以外)
ゲンジボタル(北海道)
ツチガエル(北海道)
ナマズ(東日本)
ニゴロブナ(琵琶湖、淀川水系以外)
ニホンイシガメ(沖縄)
など。
第三の外来種(改良品種)
など
日本から海外へ移出され問題になった外来種
など。