注意
- 「セブルス」や「スネイプ」といったタグをつけている作品が多いが、「セブルス・スネイプ」とフルネームのタグ付けが利便性を考慮すると望ましい。
- 本記事には物語終盤のネタバレが数多く含まれる。
概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。魔法使いの男性。『ハリー・ポッターシリーズ』でホグワーツ魔法魔術学校の「魔法薬学」教授(Potion Master)として登場。
主人公ハリー・ポッターが所属するグリフィンドール寮のライバルであるスリザリン寮の寮監。陰険な性格で、特にハリーを目の敵にする。
一人称は日本語版では「我輩」と訳されている。
本編初登場(1巻)の時点で34歳。
実は元死喰い人で闇の帝王ヴォルデモートの配下。ただし闇の帝王の凋落前に造反し、不死鳥の騎士団に加入した。ホグワーツ校長にして騎士団のリーダーであるアルバス・ダンブルドアの庇護もあり、裁判から逃れることに成功している。ヴォルデモート復活後は再び死喰い人へスパイとして潜入。両陣営から疑いの目を向けられながら任務を遂行していく。
謎が多く、彼の真意は最終巻の終盤まで明かされなかった。実は物語の鍵を握る人物であり、シリーズの「影の主人公」と呼ぶべき人物。
プロフィール
Name | Severus Snape
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誕生 | 1960年 1月9日 |
死亡 | 1998年 5月2日(享年38歳)(ナギニに噛まれ出血死) |
血統 | 半純血(混血) |
両親 |
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兄弟姉妹 | なし |
生家 | イギリス・イングランド、ミッドランズ、コークワース、スピナーズ・エンド |
配偶者・子供 | なし |
出身校 | ホグワーツ魔法魔術学校 🟢スリザリン寮 |
組織 |
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杖 | 詳細不明(おそらくギャリック・オリバンダー製) |
守護霊 | 牝鹿 |
得意分野 | 公式(出典) |
原作に記述あり | |
おそらく
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眼の色 | 黒 |
髪の色 | 黒 |
肌の色 | 土気色 |
映画版演者 |
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映画版吹替 | 土師孝也 |
ゲームEA版CV | 茶風林 |
容姿並びに声
うーん、いい質問ですね。目が悪かった? 鏡を見て、自分は今のままでもじゅうぶんかっこいいと思っていた? 私はそれよりも、彼が自分自身の他の資質を評価していた可能性のほうが高いと思うわ!
──スネイプはなぜあまり身だしなみを気にしていないのか、JK Rowling
父トビアスに似た大きな鉤鼻(hooked nose)が特徴で、ねっとりとした黒い髪を肩まで伸ばしている。また重たげな黒いローブを纏っており、ハリーからは「育ち過ぎたコウモリ」のようだと思われている。瞳の色も黒。唇は薄い。
映画版の演者の影響もあり、二次創作(ファンアート)では渋いイケオジあるいは中性的な美形に描かれることが多い。
また原作者の発言によれば「体臭は古い革靴の臭い(記事)」
身長は不明だが、シリウス・ブラックよりかなり低いという記述がある。
ちなみに映画版では演者の身長により身長が逆転している。
呟くような、静かで柔らかな(softly)声で話す。「猫撫で声」というのは誤訳に近い。
人物
陰険で厳格
性格は無愛想で陰気。
指導が厳しく、出来の悪い生徒には執拗に小言を言う悪癖がある。とりわけ魔法薬学が苦手なネビル・ロングボトムに関しては、皆の前で露骨に失敗を嘲笑ったり、(たちの悪いジョークであるだろうが)彼のペットであるトレバーに毒薬を飲ませようとしたりと虐めを繰り返した。
指導レベルが高度であり、「優」をO.W.L試験で取らなければN.E.W.T過程へ進ませないという方針。クラス授業中の私語なども基本的に許さず、スネイプの授業は常に緊張感が漂っている。
ドラコ・マルフォイなど自寮であるスリザリンへの贔屓が露骨で、多くのスリザリン生から薬学が稼ぎ時と見做されるほど積極的に加点する一方、減点には極めて消極的で、減点したとしても軽いもので済ますことがほとんど。逆に、他寮(特にグリフィンドール)に対する扱いはこれと真逆で、時に理不尽な大幅減点も辞さない。優等生であるハーマイオニー・グレンジャーに対しても、彼女がグリフィンドールであることやマグル生まれの出自、「出しゃばり」であることを理由に冷淡な態度をとっている。
ハリー・ポッターを特に嫌っており、憎悪のレベルに至っている。ハリーの方もスネイプに対し口答えしたり感情を爆発させたりするため、両者の関係は常に険悪なものだった。
根深い恨み
ハリーを憎悪するのは、ハリーが父ジェームズ・ポッターに瓜二つであることが主な原因。スネイプはジェームズと学生時代に対立関係にあり、執拗な虐めを受けたこともあった。
またジェームズの親友であるシリウス・ブラックに殺されかけた末、最終的にジェームズに命を救われたこともあった。この出来事はスネイプの自尊心を傷つけた。
義理堅さ
意外と義理堅い人物でもある。ジェームズやシリウスの友人であり嫌悪の対象であったリーマス・ルーピンに対して(最終的に退職に追い込みはしたものの)、定期的に脱狼薬を処方し支援していた。そもそも辞職に追い込んだ理由も、八つ当たりでなかった可能性がある。「リーマス・ルーピンとの関係」にて後述。
ジェームズに並ぶ憎悪の対象であるシリウスに対しても、利害の一致から形式的に和解した後は、彼の身の安全を考慮している。
アルバス・ダンブルドアに対しては並々ならぬ恩義もあったためか、本人から殺害を懇願されるその時まで彼の呪いの治療に手を尽くした。
愛
実はハリーの母であるリリー・ポッターは幼なじみであり、生涯唯一愛した相手。絶縁しジェームズと結婚してからも、ずっと慕っていた。リリーの死後も変わらずスネイプの守護霊が彼女と同じ雌鹿だったこと、ポッター家の写真をリリーの部分のみ保持していたこと、リリーからシリウスに宛てた手紙の「愛を込めて リリー」の一文を切り抜いて大事に持っていたことなどから、執念とも言える慕情の深さが窺い知れる。
リリーは彼にとって生涯の想い人であり、ハリーを守る理由そのものであった。
偏屈で意地悪な反面、リリーへの愛情を貫徹した意思の強い人物であり、ハリーは彼の問題多き人格を強く嫌っていた一方で、自分を守ってくれる理由を知って以降は考えを改めた。最終巻のエピローグではホグワーツ入学を控えてスリザリンへの入寮などを不安がる次男を諭す際には、「自分の知っている中でおそらく一番勇気のある人だった」と言っている。
そのキャラクター像から海外でも日本でも人気が高く、映画最終作の公開時に行われた人気投票では海外・日本ともにハリーたちトリオを抑えて1位を獲得している。Pixivでの投稿数・閲覧数もぶっちぎりの1位。
能力
プリンスの呪文
闇の魔術について精通。彼を知る人間によれば、学生時代は1年生の時点で高学年よりも呪いに詳しかったという。実際、在学中にセクタムセンプラやレビコーパスなどの呪いを自作していたことが後に判明する。
専門である魔法薬についてもかなり優秀で、闇の魔術と同様に学生時代から既に高い能力を示していた。教科書よりも効率的な魔法薬の調合法を独自で編み出したりしている。
これらの独自の技術は教科書『上級魔法薬』の余白にメモしていた。その後何の因果かホグワーツに保管されていたそれをハリーが入手し、その力に助けられることとなる。
教科書にサインしていた名前は「Half-Blood Prince(半純血のプリンス)」。これは母親アイリーンの旧姓「プリンス」から来ているものである。スネイプは学生時代に父親のマグルの血統にコンプレックスを持ち、母方の血筋を強調していたことが窺える。
上位の実力者
無言呪文や閉心術、開心術に熟達しており、作中に登場する魔法使いの中でも上位に入る実力の持ち主。不死鳥の騎士団や死喰い人として戦争を経験しているだけあって戦闘能力は相当なもの。おそらく魔法の総合力では親世代(ハリーの両親と同世代)の中ではトップであるジェームズやリリーに追随しており、一部は同等かそれ以上の実力があると思われる。
また、ヴォルデモートが発明した「箒なしで空を自由に飛ぶ魔法」も習得している。
論理性
1991年度、賢者の石を守るための罠のひとつとして薬と酒による論理パズルを構築している。このことからスネイプは単純な魔法力に加えて、マグル的な論理的な知性、思考力を持っていたことが分かる。
来歴
生い立ち
1960年1月9日、廃墟となった工場と汚れた川の近くにある荒れ果てた袋小路、スピナーズ・エンドに生まれる。町の近くにはボロボロの家と割れた街灯が並んでいた。彼は大人になってからも、学校がないときはいつでもここで過ごした。父親のトビアスはマグル、母親のアイリーンは魔女で、2人は物心ついた頃から不仲であった。
子供のころのセブルスは汚れた髪に「わざとそうしたかと思えるほど」ちぐはぐの服装をしていた。親からは十分な愛情を受けられず、ホグワーツ魔法魔術学校へ通うのを心待ちにしていた。
リリー・エバンズ(とその姉ペチュニア)とは9歳頃に知り合う。美しく活発なリリーに、スネイプは会話する前から好意を持ち、マグル生まれのリリーに魔法界のことを教えるうち、友達になった。
一方魔力のないペチュニアとは互いに蔑視し合い、それがエバンズ姉妹の関係悪化にも影響した。
学生時代
闇の魔術の頭角
ホグワーツ在学中はスリザリン寮所属。
様々な呪いを独自に習得するほど闇の魔術にどっぷり浸っており、1年生の頃から既に大半の7年生よりも多くの呪いを知っていたという。
魔法薬学にもずば抜けた才能を発揮し、教科書の間違いを自ら訂正するほどだった。
友人は同級生となったリリー以外には皆無と言ってよく、陰険な外見と性格ゆえ嫌われていた。スリザリン内でも浮いていたようである。
ただし、当時高学年であったルシウス・マルフォイとは良好な関係であり、互いに卒業してからも関係は悪化していない。おそらく彼に才能を見出されたのだろう。
ジェームズらとの対立
スネイプとリリーは入学前のホグワーツ特急でジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックのいたコンパートメントに乗り合わせる。その際、スネイプがリリーにスリザリン入寮を勧めるのを聞いたジェームズが「僕はスリザリンに入るくらいなら退学する」と口を挟み、激しく対立。以降、スネイプはジェームスとシリウスから「悪戯」を受けるようになる。
彼らははスネイプに「スニベルス(泣き虫)」と言うあだ名を付けているが、スネイプが在学中に泣いたという描写はない。恐らくスネイプを嘲笑する為に創った蔑称と考えられる。
スネイプが2人の嫌う闇の魔術や純血主義に傾倒。リリー以外のマグル生まれへの差別意識を示した。これらに加えてジェームズがリリーに好意を持ったことも対立の要因となった。
スネイプは決してやられっぱなしではなく、仕返しに自作の呪いを掛けたりしている。しかしジェームズとシリウスに徒党を組まれ、多人数の前で虐めらることもあった。ルシウスや他のスリザリン生が常にスネイプの味方であったかは不明である。(ルシウスに関してはスネイプが中学年になる頃には卒業している。)
スネイプ殺害未遂
そしてスネイプがジェームズ達の尻尾を掴もうと、彼らの友人であるリーマス・ルーピンの秘密を探っていた際に事件は起こる。シリウスが叫びの屋敷へ向かうよう冗談半分で唆し(暴れ柳の突破方法を教えた)、スネイプがそこで人狼となったリーマスに殺害されそうになったのだ。
結局ジェームズがスネイプを救出したのだが、スネイプは日頃の恨みもあってか「奴は自身と仲間の保身のために助けたに過ぎない」と評している。
事実スネイプが噛まれていたらリーマスは退学どころか極刑となった可能性もあり、唆したシリウスもブラック家の庇護があったとしても厳罰は免れなかっただろう。ジェームズが良心を持って救ったとしても、普段の行いから疑われて然るべき状況ではあった。
最悪の記憶
ジェームズとシリウスとの関係が本格的に悪化していく一方で、リリーとの心の距離も学年が上がるにつれて開いていった。彼女の心を取り戻したかったスネイプは「リリーに認めてもらうためには偉大な闇の魔法使いになるしかない」という思い込むようになる。そうして死喰い人予備軍であるマルシベールやエイブリーとの関係を深めるようになったスネイプは更に闇の魔術と純血主義に没頭していく。しかしリリーは闇の魔術を嫌い、スネイプと付き合っている連中も快く思っていなかった。マルシベールがリリーの友人であるメアリー・マクドナルドを傷付けたため、手を引くよう忠告したが、スネイプが耳を貸すことはなかった。
5年生のO.W.L試験の日、スネイプはジェームズとシリウスに一方的に絡まれ、「逆さ吊りにされ下着を皆の前で露出されられる」という尊厳破壊に近しい虐めを受ける。彼らの蛮行を止めようとリリーが介入するも、屈辱と怒りで錯乱していたスネイプは彼女を「穢れた血」と罵倒してしまう。これがきっかけとなり、リリーとは完全な絶縁状態となった。スネイプはこの時グリフィンドール談話室の前で謝ったが、前から我慢の限界だったリリーは完全に愛想を尽かす。以降スネイプにとって「穢れた血」はトラウマワードとなった。
ジェームズとリリーの交際
そして7年生の頃、首席に選ばれたリリーは、素行を改めて同じく首席に選ばれたジェームズと交際を始める。リリーがシリウスやリーマスらとも親しくなっていった一方、スネイプはジェームズを一層憎み、彼とは卒業するまでリリーの見えないところで呪いをかけ合う日々を過ごした。
原作者によればそもそも入学当初からリリーもジェームズのことが好きだったらしい。
死喰い人時代
卒業後、スネイプは死喰い人、リリーとジェームズらは不死鳥の騎士団に加わる。
しばらくしてスネイプは不死鳥の騎士団をスパイする任務を与えられた。
シビル・トレローニーの予言を盗聴しヴォルデモートに密告した結果、リリーとジェームズの子ハリー・ポッターがヴォルデモートを破る子供の候補であると睨まれ、ポッター家の命が狙われる事態となる。
“If she means so much to you,” said Dumbledore,“surely Lord Voldemort will spare her? Could you not ask for mercy for the mother, in exchange for the son?”
“I have – I have asked him –”
“You disgust me,” said Dumbledore, and Harry had never heard so much contempt in his voice. Snape seemed to shrink a little. “You do not care, then, about the deaths of her husband and child? They can die, as long as you have what you want?”
スネイプはリリーの命だけは助けてほしいとヴォルデモートを裏切り、一人アルバス・ダンブルドアを頼る。「見下げ果てた男」と軽蔑されるも、それでも「全てを差し出す」と決意を表明したことで、ダンブルドアに仕える二重スパイとなる。
しかしスネイプの尽力は実らず、ヴォルデモートの手によりリリーは殺害されてしまった。
ダンブルドアは、絶望するスネイプにリリーの遺志を継ぎハリーを守るよう諭し、以後スネイプはリリーを死なせてしまったことへの贖罪に生きることとなった。
そしてヴォルデモートの凋落後、ダンブルドアの庇護下で母校ホグワーツの「魔法薬学」教授となる。この時スネイプは21歳であり、教授としてはかなり若い。
ホグワーツ教授時代
教授時代
1991年度、ホグワーツにハリーが入学。彼に恋敵ジェームズの面影を見たスネイプは、ハリーがジェームズ同様「傲慢で嫌な子供」という偏見を抱き何かと突っかかる。しかし一方で、「リリーの息子を守る」という誓いのもとダンブルドアに従い行動した。ハリーを箒から振り落とそうとしたクィリナス・クィレルに対し反対呪文を唱えて救ったり、1995年度はハリーに閉心術を教えたり、遠まわしに手助けしていた。
また、1992年度はバジリスクによる石化を治す薬を調合したりと生徒のために働いている。
1995年度に死喰い人のルシウス・マルフォイが失態により収監されると、その息子ドラコ・マルフォイはその責任を取る形でヴォルデモートからダンブルドア暗殺を命じられる。「父の地位を奪った」としてドラコを憎まれながらも、彼をサポート。1996年度、ダンブルドアを(本人と示し合わせて)殺害すると、ドラコと共にホグワーツから逃亡。ハリーや不死鳥の騎士団からの憎しみを一身に受けることとなる。
校長時代
1997年度、ヴォルデモートが魔法界を掌握するとホグワーツ校長に就任する。表向きはヴォルデモートに従いつつ、ダンブルドアの肖像画の命を受けて、ハリーたちを陰から支援していた。本物のグリフィンドールの剣にハリーを守護霊を使って誘導している。ちなみにこの際剣は凍った湖の下に埋められていたが、これは原作者いわくスネイプの「衝動的な悪意」の結果らしい。
校長と認めない人物を排除する校長室の扉(前例としてドローレス・アンブリッジが校長に就任した際扉に拒絶され、校長室に入れなかった)がスネイプを受け入れていた事実からも、歴代校長からの信任を得ていたことが窺える。
1998年5月1日、ハリーたちが分霊箱を破壊しにホグワーツに帰還。スネイプとミネルバ・マクゴナガルの決闘に発展し、その後逃走した。
5月2日、叫びの屋敷にて、ヴォルデモートの命を受けたナギニに致命傷を負わされた。ヴォルデモートが死の秘宝の一つニワトコの杖の忠誠心が彼に移っていると勘違いしていたせいである。直後に現れたハリーに自身の記憶と真実を託すと、失血により絶命。
最も憎んだジェームズの顔立ちの中で、唯一愛したリリーの緑の瞳を見ながら「僕を見てくれ」と呟いて息を引き取った。享年38歳。
その死後、ヴォルデモートに従ったという事実もあってか校長室への肖像画の設置は見送られてしまった。しかし、ハリーが彼の肖像画を校長室に飾るよう粘り強く働きかけている。
並行世界
『ハリー・ポッターと呪いの子』における並行世界ではヴォルデモートの完全勝利により生存している。教え子ドラコの息子スコーピウス・ヒュペリオン・マルフォイの協力者となる。
本性がダンブルドア側であることに変わりはなく、ロン・ウィーズリーとハーマイオニー・グレンジャーと共に対ヴォルデモートのレジスタンスをしていた。
ちなみにリリーへの愛情にこそ及ばなかったが、ヴォルデモートに対する忠誠も相応に本当であったらしく、スコーピウスから、本編世界における自身の死について知らされると「闇の帝王自身の手にかかったなら光栄だ」と語っていた。(皮肉や自嘲も混じっているだろうが)
「愛した人が遺したものを守るために戦い、忠誠を誓った者の手で散った」ということになる。スネイプにとってはある意味で救いのある死に方だったかもしれない。
しかし、結局その世界でも命を落とすことになる。命果てる前にスコーピウスに「闇の中の光」だと言われた。
人間関係
ドラコ・マルフォイとの関係
ハリーと対立することが多かったドラコ・マルフォイのことは、学生時代の先輩でもあったルシウス・マルフォイの息子であることを差し引いても個人的に気に入っていたようだ。2巻では彼の露骨なおべっかを建前上注意しつつも嬉しさを隠さず、一方のドラコからも強く信頼されるなど、6巻までは極めて良好な信頼関係にあった。
リーマス・ルーピンとの関係
前述の通り八つ当たりと学生時代からの恨みで辞職に追い込んだ……ように見えるのだが、そうでない可能性もある。
そもそも彼がリーマスを追い込み始めたのはシリウスを取り逃がすより前からであり、実際スネイプの宿題がもとでハーマイオニーはリーマスの正体に気が付いた。またリーマスが担当した闇の魔術に対する防衛術の担当教師はある人物が就任を望みダンブルドアが断って以降、1年以上勤め上げた前例が無い。おそらく彼が手を下さなくとも、校長自身が適当な理由をつけて解雇しようとしていたか、リーマス本人が退職を決めていた可能性もある。
スネイプの態度は、虐めを主導していたシリウスと積極的な加担を避けたリーマスとでは明らかに異なっている。シリウス相手では常に一触即発だが、リーマスからはファーストネームである「セブルス」と呼ばれ普通に会話もしている。こうしたことからスネイプがどういう感情でリーマスに接していたのかは不明な点が多い。
ただし2人の関係が表面上であれ穏やかだったのは、スネイプがダンブルドアを殺害するまでである。このことでリーマスは激しくスネイプを憎み、呼び方も「スネイプ」に変わった。
その後リーマスは仲間や教え子に対する襲撃にスネイプが加担した時も激しく憤っていたが、皮肉にもこれはリーマスの命を助けようとした結果であった可能性が、後にハリーがスネイプの記憶を見たことで浮上している。しかしこの時点で既に2人とも死亡していたため、誤解であってもそれが解けることはなかった。
映画版
彼を演じるアラン・リックマンの名演により、スネイプの不気味さや冷淡さが綿密に表現されていた……のだが!
意外なことにアラン・リックマン氏は天然気味な上にかなりユーモア溢れる人物らしく、ドラコ・マルフォイ役のトム・フェルトン氏にローブを踏まれただけでは飽き足らず、自分でローブを踏んで自爆という笑撃のNGまで炸裂させたことも。最終作ワールドプレミアの時に至っては会場に轟くスネイプコールに投げキッスを返している。
また映画の脚本では、スネイプというキャラクター自体が原作よりも好ましい性格で描写され、生徒を大っぴらに侮辱したり嫌がらせしたりすることはほとんどない。
映画版『アズカバンの囚人』では、狼状態と化したリーマスから盾になってハリーらトリオを守ろうとするシーンが付け加えられたり、『死の秘宝 PART2』の回想シーンにおいては、ダンブルドアにリリーだけではなくポッター家全員をヴォルデモートから保護するように懇願している(小説ではまずリリーを守るように頼み、ダンブルドアに軽蔑された後に一家を守るようにと言い換えた)。ファンならば原作を読むほうが実際の彼のキャラクター性が知れて良いだろう。
映画本編でも第4作での「長めの袖を軽く捲ってから私語を行うハリーとロンの頭を思いっ切り押さえる」「授業態度が悪いロンの後頭部を教科書でダイレクトアタック」といった名演技で天然な部分を余すことなく出したりするなどして、原作では見られないユーモラスなスネイプ先生を見せてくれる。こう見るとただの厳しいが良い先生。また、第1作のメイキング映像には一瞬だけ笑顔のスネイプ先生が映る。
実はリックマン氏は原作者から、最終巻が出るまで黙秘することを条件に物語の結末やスネイプとリリーの縁を唯一知らされていた。そのせいか第3作でのスネイプ先生はリーマスが獣化した際に危険を承知でリーマスの前に立ち塞がり、身を挺してハリーたちを守ることで、原作以上に「実は味方」という事実を抜群の説得力と共に観客に見せつけてくれた。
『死の秘宝 PART2』において、ホグワーツから追放される際、マクゴナガルの呪文を弾きつつ、後ろに控えていた死喰い人(カロー兄妹)に当て無力化という離れ業を見せていた。
ただし、彼のキャラの原作と映画での違いはしばしば論争を引き起こし、映画派と原作派の衝突を生む切っ掛けともなっている。リックマン氏自身は、撮影時にも作者の意図に合わせようとして監督に積極的に意見していたが、作者との約束の内容上理由を明かせず、それもあってか度々意見が衝突したとのこと。
また、最終巻発売までの数年間、「ネタバレをやらかしてしまうのでは」と不安に苛まれ続けていたらしい。
2016年1月14日、見事にセブルス・スネイプを演じてくれたアラン・リックマン氏は、癌により帰らぬ人となった。享年69歳。
ご冥福をお祈り申し上げます。
善か悪か
ファンの間でよく議論されてきたのは、彼は善なのかということである。
日本だけでなく海外の熱狂的なファンはスネイプのリリーへの一途な想い、ハリーを陰ながら守ってきたという行いをもって聖人の様に扱う者が大勢いた。
しかし、元はスネイプが闇の魔術に傾倒し、リリーを結果的に裏切り、死喰い人となった後に予言をヴォルデモート本人に話したことによってポッター夫妻が亡くなったことなど大勢の犠牲者が出ているため、彼は善人ではなく悪人だという意見も散見された。結局はスパイとしてダンブルドア側についたものの、彼が死喰い人として殺人や拷問に加担した可能性は高い。彼は丘の上に赴いたときはまだヴォルデモートの非人道的な哲学を信奉していたのだから。
原作者J・K・ローリングは、
「スネイプはすべてが灰色だ。彼を聖人にすることはできない、彼は執念深く、意地悪な人だったから。彼を悪魔にすることはできない、彼は魔法界を救うために死んだから。」
「グレー。もう一言付け加えるならば、『非常に欠陥のある英雄(a very flawed hero)』と答えるだろう。付け足しようがない。」
と語っている。
上記にあるようにスネイプの肖像画は最後の場面にはなかったのだが後にハリーが彼の名誉回復をし、そしてその後生まれた次男には、「アルバス・セブルス」と名付けている。
ハリーは自らを守るために命を落とした2人への感謝、そして名前を継ぐ家族がいない彼らのために命名したのだと思われる。上記の通りアルバス本人に「最も勇気のある人」だと告げていることから、複雑な感情は抱きながらも恐らくハリーの中ではスネイプも英雄の一人であることが分かる。
『ハリー・ポッターシリーズ』の登場人物は完璧に見える人物にも皆どこか欠点をかかえており、むしろ不器用で不完全なヒーローであるスネイプにファンは共感したのである。スネイプが完全な善人でただの正義の味方であったならばここまでの人気は出なかったであろう。
ちなみにJ・K・ローリングは以前twitterで、高圧的かつ作者相手に尊大な態度をとってきた強火のスネイプファンに対してSnapesplaining(スネイプスプレイニング、マンスプレイニングとスネイプを掛け合わせた造語)と発言し苦言を呈したことがある。
余談・裏話
- スネイプは守護霊の呪文を使用できる唯一の死喰い人である。
- ハリーが武装解除呪文を得意としたのはスネイプの影響があった。スネイプはギルデロイ・ロックハートとの決闘クラブでこの呪文を紹介した。
- 原作では杖の材質や外観は不明。映画版では黒色の杖を使っていたため、黒檀(Ebony)材ではないかという説がある。以下、黒檀材の杖の特徴。
「この真っ黒な杖用木材は、見た目が印象的で評価も高く、あらゆる戦闘系の魔法および変身術に最適である。
黒檀の杖の持ち主として最適なのは、あるがままの自分でいることを恐れない者である。この杖の持ち主には、体制にくみさず、自立心が強いか「はみだし者」の立場を好む者が多い。このため、「不死鳥の騎士団」のメンバーと「死喰い人」の双方によく見られる。
私の経験上、黒檀の杖と最も相性がいいのは、外部からどんな圧力がかかろうとみずからの信念を貫き、たやすく決意をくつがえさない者である」
- 確証は無いが、ホグワーツ史上最年少の校長であった可能性がある。就任時37歳。
- 同じく確証は無いが、映画版においてグリフィンドールの剣は長時間放置すると帽子に送還される描写があるため、スネイプはこの剣をハリー達の近くに送る前に、スリザリン出身でありながら帽子の中のグリフィンドールに認められてこの剣を取り出した可能性がある。ただしこの可能性があるのは映画版のみで、原作では剣は校長室のダンブルドアの肖像画の裏に隠されていた。
名前の由来
セブルス |
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セブルス(Severus)という名前はラテン語で『船尾』を意味する他、シビアで知られる英単語"severe"(厳格な、容赦のない)に由来する。
ローマ帝国のセウェルス朝並びにセプティミウス・セウェルス(Septimius Severus)と同じスペルとなっている。
ホグワーツ魔法魔術学校の校長を務めた魔法使いたちの内、フィニアス・ナイジェラス・ブラックはペスケンニウス・ニゲル(シリア軍団長)、アルバス・ダンブルドアはクロディウス・アルビヌス(ブリタニア軍団長)とローマ皇帝を僭称した三人の帝国軍軍団長の名前がモチーフとなっておりセブルス・スネイプは最終的に皇帝となったセプティミウス・セウェルス(アフリカ軍団長)に由来する。
スネイプ |
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原作者によるとスネイプという苗字はイギリスのとある村の名前にちなむとコメントしており、スネイプ村はイングランドのヨークシャーに実在する。
またsnapeという動詞も存在し意味は"to be hard upon(~に辛く当たる), rebuke(叱責する), snub(鼻で笑う)"というものとなっておりスネイプのキャラクター像と一致する。
プリンス |
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母の旧姓であり、純血主義であった頃におそらく純血の魔女である母に肖って『半純血のプリンス』を名乗っていたセブルス。
プリンスとはそのまま『王子』、イギリス以外であれば『大公』ないし『公爵』の意味がある。
しかしプリマドンナなどの言葉からも連想できるように起源をたどるとラテン語で『第一』を意味するprincepsに由来する。
また英語で"The Prince"は、イタリア語で"Il Principe"と表記されるニッコロ・マキャヴェッリ著の『君主論』を連想させる。
この著書の内容から「いかなる手段や非道徳的な行為を用いたとしても、結果として国家の利益を増進させるのであれば許される」という考え方をマキャヴェリズム、権謀術数主義と呼び、出身寮であり監督寮であるスリザリン寮の特質と深く結びつく。
ちなみに英語圏ではPrinceという姓は普通に存在し、何ならKing姓もある。
イニシャル |
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セブルス・スネイプ(Severus Snape)のイニシャルはS.S.となっている。
これはスリザリン寮を創設したサラザール・スリザリン(Salazar Slytherin)と同じである。
アナグラム |
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セブルス・スネイプ(Severus Snape)の語順をいじるとエバンスのペルセウス(Perseus Evans)となる。公式ではないため注意。
→エバンズの騎士を参照。
関連イラスト
関連タグ
【所属】
【歴代校長】
【派生】
【異名】
【属性】
【NL】
【BL】
親世代間
異世代間
性転換
【似たキャラ】
マジハール:容姿がスネイプに似ている他作品キャラであり、中の人(吹替)も同じ
ホグワーツ魔法魔術学校の教職員 | |
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『ハリー・ポッターシリーズ』 | |
🐾変身術 | ミネルバ・マクゴナガル |
🧪魔法薬学 | |
💫呪文学 | フィリウス・フリットウィック |
🌿薬草学 | ポモーナ・スプラウト |
🛡️闇の魔術に対する防衛術 | |
📚魔法史 | カスバート・ビンズ |
🌙天文学 | オーロラ・シニストラ |
🔮占い学 | |
💡マグル学 | |
🔢数占い | セプティマ・ベクトル |
🥚魔法生物飼育学 | |
📜古代ルーン文字学 | バスシバ・バブリング |
🧹飛行訓練 | ロランダ・フーチ |
🏥校医 | ポピー・ポンフリー |
📖司書 | イルマ・ピンス |
🧼管理人 | アーガス・フィルチ |
🗝️番人 | ルビウス・ハグリッド |